どちらからでもなく、キスをする。
 ついばむように唇を合わせ、口を開かせた。
 柔らかい唇を舌で舐っていく。
 熱いよ、唾液の粘着質を含んだ水分が私とあずにゃんの口元を繋いでいる。
 さっきのチョコキスのお返しといわんばかりに、あずにゃんの口内を吸い取っていく。
 歯茎から舌の裏側、絡ませれば絡ませるほど、熱気が私達を包む。
 酸素ですら、二人の間には入れないよ。

梓「……はぁはぁ、唯先輩、凄すぎです」

 一度、呼吸をするために、唇を離す。

唯「本当の、フレンチキス、だよ」

梓「……唯先輩」

唯「あずにゃんの気持ち、なんだか解ってきちゃった……。 
  今、あずにゃんが私じゃない誰かとキスしてたら、怒っちゃうから」

梓「唯先輩の怒った顔も、みたいです」

 生意気なことをいう後輩には、おしおきが必要じゃないかな。
 腕であずにゃんの頭を抱え込み、唾液をたっぷり含ませたキスを送る。
 唇が開いたので、親指と人差し指で顎を固定させ、唾液を嚥下させる。
 ゴクッ、ゴクッと喉が鳴った。飲み込んでいるんだ。
 もう止められないや、このまま、あずにゃんとキスを続けた。
 既に二人の口元は唾液でベタベタで、糸がベッドにまで垂れていた。

唯「あずにゃんも、私に、飲ませて」

梓「……はい」

 ベッドに倒れこみ、あずにゃんが上位になる。
 あずにゃんは私の手を握り、小さい舌で、必死に私の口内を舐っていく。
 口の中で作り上げた、僅かな唾液を、私に流し込んでいく。
 すっごく、いやらしいけど、すっごく気持ちいいや。

唯「澪ちゃんやりっちゃんたちより、凄いことしたいな」

梓「……そういうことだったんですね、さっき顔が赤かったのは」

唯「うん、だから私も勇気が出たんだよ」

梓「澪先輩と律先輩には何か奢っておきたい気分です。
  大変お世話になりました、って」

唯「それじゃ、お別れみたいだよ」

梓「感謝の気持ちです、一番感謝したいのはムギ先輩ですけど」

唯「あれ? 私は?」

梓「言わなくてもわかるじゃないですか」

唯「……恥ずかしがり屋さんだね」

梓「……感じ取ってください」

唯「ん、わかった」

 薄手のパジャマに手を伸ばし、一枚ずつ剥ぎ取っていく。
 あずにゃんの身体はお風呂で何度も見ていたが、
 その時とは違う上気した白い肌が私を昂ぶらせた。
 私も服を脱いでいく、残ったのはお互い白いショーツだけ。
 裸と裸で抱き合うのって、いつもの抱きつきとは全然感じが違った。
 あずにゃんの肌はマシュマロみたいにふわふわ、まさにそんな感じだよ。
 もっと、触れ合いたい、そう思うことしかできなくなるくらい魅力的だった。

梓「全身で、もっともっと唯先輩を、感じさせてください」

唯「私、快楽には忠実だから、ね」

梓「手加減は――」

 しないよ。下位にあずにゃんを押しやる。
 あずにゃんの太ももを右手でさするとくすぐったそうに目を細めた。
 左手で指を絡め、舌でピンク色の乳首を愛撫する。
 ふぁ! っていう声があずにゃんから漏れた。
 可愛い感じ方だなって、思う。
 小さな胸は掌で包むと完璧に隠れちゃうくらいだったけど、
 それがまた可愛くて好き。

唯「あずにゃんは胸に弱いのかな?」

梓「わ、わかりません、今まで胸で感じたことなんてないですから……」

唯「じゃあ、ちょっと試してみようか」

何を? って顔をしてるあずにゃんの胸に、私の胸を合わせる。
 突起した乳首と乳首を擦り合わせ――私も感じてきちゃうよ、これ。

梓「唯先輩の方が気持ち良さそうにしてるじゃないですか、声が漏れてましたよ」

唯「えへへ、一緒に気持ちよくなっちゃおう」

梓「……はい」

 もう一度、胸と胸をくっつけ、擦り合わせる。
 ジェットコースターで急降下するあの感覚より気持ちいいよ。
 下着が濡れていて気持ち悪かったので、脱ぐ。

唯「なんか、感化されちゃったのかも……」

梓「全部は脱がなくていいですから、そのショーツは足にひっかけておいて下さい」

唯「……?」

梓「そっちのほうが、なんだかエッチっぽい感じがするので」

唯「あずにゃんの拘りがよくわからないけど、そうしておこうか」

梓「私も、そうしますから」

 ショーツを脱ぎ捨てることなく、足の途中に絡ませる。
 ……確かに全部着ていないより、雰囲気あるかも。
 あずにゃんの割れ目は主張が小さく、小学生みたいだった。
 口にしたら傷ついちゃうかもしれないから言わないけど。

唯「あずにゃんも、えっちな液がいっぱい出てるね、太ももまで濡らしてる」

梓「あ、当たり前です……こんなに激しくされるなんて夢にも思っていませんでしたから」

唯「あずにゃんは、どこまでが本望だったのかな?」

梓「それはもちろん、最後までですけど……」

唯「最後って?」

梓「うぅ、えっちして……」

唯「えっちして、どうするのかな?」

梓「一緒に、一緒に……」

唯「一緒に?」

梓「一緒に、イっちゃいたいです!」

唯「……あずにゃんは、普段どんな風にイっちゃうのかな?
  私、凄く興味あるよ」

梓「そ、そんなの答えられません!」

唯「そっか、今日はおしまいにしよっか……」

梓「わかりました! 言います!
  私は、唯先輩で、いつも弄ってました」

唯「どんな風に、かな?」

 あずにゃんは目線を下腹部に持っていきながら、自分の手で性器を擦っていく。
 そんないじらしい姿を見てたら、いいこと思いついた。

唯「あずにゃんは、私の、何を思って、一人でえっちしてるのかな?」

梓「唯先輩の残り香とか、抱きしめられた感触、繋いだ指の感触を思い出してです。
  自分の指を……唯先輩のものと重ねて……」

唯「ふぅーん、じゃあさ、使ってみない?」

梓「え……っ?」

唯「イメージしてる私の指じゃなくて、目の前にある、本物の私の指」

梓「ど、どうするんです?」

唯「私は動かさないから、あずにゃんの自由にしていいよ」

梓「ふぇ……」

 顔を真っ赤にして、たどたどしくも、私の指に手を伸ばして掴んだ。
 小さい手、ぎゅーってしたくなるよね。
 そんな手が、私の手に重なり、あずにゃんの性器へと伸びていく。

梓「ん! あぁぁ!」

 膣内へ、中指と薬指の第二間接くらいまでを入れる。
 狭くて熱い、熱を帯びすぎて、指が溶けてしまいそう。
 さすがに、中に入れたあとは動かし辛そうだったので、自ら擦るようにして動かす。
 ちゅぐちゅぐ、音がした。

梓「いやぁ! やっ! やぁあ! 動かしちゃ! やぁあ!
  そんなにされたらっ! シーツ……っ、シーツ汚しちゃうぅ! あふぁっああ!」

 どうやら、あずにゃんのウィークポイントを直撃したようでした。
 オクターブの高い声が、部屋中に響き渡ったのがわかった。

梓「それいじょ! 本当にっああ、ダメです! 唯先輩! 唯せんぱぁ!」

 あずにゃんの感じてる顔を見ていると、なぜこんなにも満たされるのだろうか。
 どうせなら、絶頂させてあげたい。
 空いていた左手で、陰核をつまみあげる。
 充血していたそれは、あずにゃんにとっては最後の壁。

梓「ふぁぁぁぁぁ! イくならっ! 唯先輩とっ! いいです!
  あっ! こんな! ヤダ! あ、あ、あ!
  イクっ! あああっ!……ふっ、ふぁああッ!」

 あずにゃんの腰がガクガクと痙攣するように震えていった。
 足が真っ直ぐ伸びて、ベッドのシーツを蹴っていく。

梓「あっ、あぁーーっ! 唯せんぱっ! んぁああああーっ!」

 小さい口から、可愛い叫びが飛び出していった。

梓「……すん……すん、私だけイかせるなんて、酷いです」

 涙声で鼻をすするあずにゃん。
 うーん、ちょっとやりすぎちゃったかな。
 でも、あずにゃんの全てが見れるのは私だけなんだもん。

 今度は、私が見せてあげなきゃいけないよね。

唯「ごめんね、あずにゃん、あんまりにも可愛かったから」

梓「大丈夫です。唯先輩なら、許せますから……」

 あ、ダメだ。
 もう一回♪ なんて言葉が私の頭を駆け巡った。

唯「あずにゃん、今度はあずにゃんが上になって、私を、全身で感じたいんだよね?」

梓「は、はい……」

唯「そう、そのまま太ももに跨って、もう一回♪」

梓「ふわぁ……」

唯「私、あずにゃんの可愛い顔、もっと見たいなぁ~」

梓「ううぅぅ~」

唯「あずにゃんの、可愛い声、もっと聞きたいなぁ~」

少しずつ、身体を倒していき、性器を私の太ももに密着させる。
 そして、私のおっぱいを――ってあれ?

梓「唯先輩の声もいっぱい聞きたいです」

唯「あ、あずにゃ! ……んっ! あッ!」

 私の太ももに垂れる熱い愛液と、乳首と乳房を弄ばれる二つの快感が襲ってくる。
 ずっと、こんな状態が続いちゃったら、呼吸困難になっちゃいそう。

梓「唯先輩、膣口が開いたろ閉じたりしてます、指、入れますね」

唯「……え? きゃあっ! ぬちゅぬちゅして! 
  指、指が! 入って! いいのっ!」

 上か下かどっちがどうなってるのかなんてもう解らないよ。
 もっと激しくかき回して欲しいよ!

梓「ふぁァ! やっぱり! 唯先輩の声! 私好きです! 
  もっと! 私で! 感じて下さい!」

唯「……動いてる! あずにゃん、動いてるよ! 
  ……んっ! あぁん! すごく、いいよぉ!」

 身体と、身体のぶつかり合いが、全身であずにゃんを感じて!
 きっとあずにゃんも同じで!

梓「唯先輩! 私っ! 愛してます! ずっと! 
  唯先輩のこと! 愛してますからっ!」

唯「うん! わかってる! 私も、あずにゃんだけ! 愛してる!」

 頭の中が、真っ白になり、そのまま果てた。
 気がついたら、肩で息をしている私とあずにゃんがいた。

梓「……ふぅ、ふぅ、唯先輩も、イっちゃい、ましたね、これで、一緒、です」

唯「あはは~、あずにゃんに、はぁ、はぁ、ヤられちゃったぁ」

梓「リードされるのも、いいですが、……ふふっ、たまにはしたいときもあるんです」

唯「あずにゃん、私たち、もっと、すごいこと、しちゃおうよ」

梓「これ以上、何を……?」

唯「そーれーはーぁー」

 ぐちゃぐちゃに乱れたシーツの上、夜はまだ明ける気配もない。 
 きっと今の私は酔っている。だって、こんなにも、体温が高いんだから。
 髪の毛が汗でおでこに引っ付いていたので、軽く振り払う。
 ふふん、と悪だくみな考えを思いついたような顔を浮かばせて、
 あずにゃんと姿勢を逆にする。
 丁度、お互いの性器が顔に来る位置、なんだかすごく、クラクラした。
 身長差がちょこーっとだけあるけど、回転してお互いの性器を見つめる。
 かなり恥ずかしいことは間違いないし、微かに手足が震えてるのがわかった。
 でも、大丈夫。全てを体感したい欲望のほうが強かったから。

 混じりあった二人の愛液で、ベタベタしている太ももに舌を当てた。
 ただ、それだけで軽く嬌声が上がった。
 唾液とは違った味と匂いのする愛液を喉を鳴らして飲み込んでいく。
 愛しているからこそできる芸当だよ、これ。
 せっかくなので、じっくり観察してみようかな。
 ……あずにゃんの膣ってこんな形なんだー。
 平坦な土手に、毛のほとんどない小さいもの。
 綺麗、そんな印象が先だった。
 桃を連想しちゃうかもしれない。
 桃だと思ったら、なおさら美味しそうに見えてきたよ。
 これは、私へのデザートなんだよ。 
 頂きまーす、を振り向いてアイコンタクトしてから、
 舌でちゅぷちゅぷ吸い取っていく。
 舐れば舐るほど淫靡な音が耳に響いてくる。
 ぬちゃ、ちゅぷ、ぐちゅ、ぴちゃ、くちゃって奏でていくのは、 
 イヤラシイ人体楽器の音の羅列。
 涙ぐんだあずにゃんの声すらも、BGMと化していくよう。
 でも、

梓「ゆ、唯先輩に、負けっ! 負けられないですっ!」

 とうとうあずにゃんの反撃がやってくる。
 それも、とびっきり大きい。

梓「唯先輩の! ここだって、充血、しっぱなしです……っ!」

 そうだよ。
 ずっとあずにゃんで、感じてたから。
 だから――

唯「あ、あずにゃ! ……んっ!あ、アぁあ! 歯がっ!
  クリにコリッって! あたあた! ……んぅあ! 当たって! 強いのっ!」

梓「息がぁ! 唯先輩の熱い吐息が! 気持ちいいよぉ! もっと! 一緒に!」

 円舞のように、二人でくるくる喘ぎ声を聞かせあう。
 より際立った声を張り上げ、私たちは、また果てる。
 ――はぁ、はぁ。
 酸素が足りないよ、視界が狭くなってきてたし。 
 深呼吸しなきゃ……ああ、あずにゃんの匂いがするー。

梓「幸せ、です……唯先輩」

唯「うん、私もぉー。……んんっ。
  愛し合うって、素晴らしいことなんだね、私、初めて知っちゃった」

梓「初め、てで、嬉しいです。できたら、私だけを愛してください」

 そんなの、当たり前だよ。
 もう受け入れて、受け入れられた二人だもん。

唯「……ふふっ、欲張りなあずにゃん。
  そうだね、恋人としての愛は、あずにゃんの独占市場となっておりま~す」

梓「ずっと、私が独占します」

唯「じゃあ、私もあずにゃんを独占しちゃおー」

梓「はい、是非そうしてください」

唯「あずにゃんの髪の毛、さらさら~」

梓「唯先輩に、髪の毛いじられてると、安心します」

唯「ねえ、このまま、眠っちゃおうよ……ちょっと、疲れちゃった」

梓「私もです……」

唯「うん、おやすみ、あずにゃん………………」

梓「おやすみなさい、唯先輩」


 意識が完全に途切れる前、あずにゃんが軽く、口づけてきたような、気がした。
 だから、心の中で、愛してるよーって呟いておいた……。


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最終更新:2010年12月12日 19:20