音楽準備室!
律「さーて、暗くなってきたしそろそろ帰るとするか!」
唯紬「おー!」
澪「全然練習できなかったな…」
梓「ここ最近ずっとですよ…。ティータイムもいいですけどちゃんと練習もしないと…」
律「明日はしっかりやるってばー♪」
梓「明日は学校休みなんですけど」
律「さーて鞄かばん、っと…」
梓「聞けー!」バタバタ
帰り道!
唯「ねーねー、今からみんなでアイス食べに行かない?」
律「お、いいねー!」
紬「私も行きたいでーす♪」
澪「私は別に…」
律「嫌なら一人で帰ってもいいんだぞー?」
澪「や、やっぱり私も行こうかなー?」
梓「澪先輩まで?!」
紬「梓ちゃんはどうするの?」
梓「わ、私も行きます!」
唯「決まりだね!それじゃあしゅっぱーつ!」タタタッ
澪「そんなに急ぐと危ないぞー」
唯「大丈夫だいじょうぶ!平気だよー」クルッ
律「!?唯!!危ないっ!!」
唯「ふぇ?」
キキィーーッ!! ドンッ!! キャー! ワー!
梓「唯先輩がトラックに撥ねられた!?」
紬「唯ちゃーん!!?」
澪「あわわ…」ブクブク…
律「梓!救急車だ!早く!」
梓「は、はい!」
数日後!
唯「いやー、お騒がせしました」
律「もう飛び出しなんてしちゃダメだぞー。みんな心配したんだからな」
梓「本当ですよ…もうだめかと思いました…」
唯「えへへ…ごめんなさい」ペコリ
澪「でも擦り傷だけ済んで本当によかったよ…」
紬「それじゃあ今日はみんなで唯ちゃんのお祝い会をしましょう♪ちょうど美味しいケーキを持ってきたの」
唯律「わーい♪」
梓「あ、これはまた練習しないパターンですね」
澪「学習したな梓…」ホロリ…
律「それにしてもさー」ムシャムシャ
唯「どうしたのりっちゃん?」モグモグ
律「唯って車に轢かれすぎじゃない?」
唯「えー、そんなことないよー」
梓「唯先輩、今月に入って何回車に轢かれました?」
唯「えーと、8回くらいかなあ?」
律「いくらなんでも多過ぎだろ」
澪「ヨン様でさえ2回だったのにな…」
梓「冬のソナタとかもはや懐かしい響きですね」
唯「まあ今までも大丈夫だったし、次もきっとなんとかなるよ!」フンス
梓「次があるのは決定事項なんですか?」
紬「でも今まで大丈夫だったからと言って、次も大丈夫とは限らないよ?」
律「ひょっとしたら次は大怪我しちゃうかもなー?」
澪「ひぃぃっ?!」ガクガクブルブル
律「なんでお前が怖がるんだよ」
唯「そうだよね…。わかった!私もう車に轢かれるのは止めるよ!」
律「えらいぞ唯!よく言った!」
澪「車に轢かれるのって本人の意思でなんとかなるものなのかなあ?」
律「よーし!それじゃあ唯が車に轢かれないようにみんなで対策を考えようぜ!」
唯「りっちゃん!?」
紬「私も協力する!お父様にも話してみるわ!」
唯「ムギちゃんも…」ウルウル
律「泣いてる唯なんてらしくないぞー?やっぱり唯にはいつも笑っていてもらわないとな」ニシシ
紬「唯ちゃんが元気になれるよう、みんなで助けてあげるからね!」フンス
唯「みんな…、ありがとう…」ポロポロ
梓「あ、これはしばらく練習しないパターンですね」
澪「成長したな梓…」ホロリ…
作戦その1・めざせ抜け道マスター作戦!
律「前々から思ってたんだけどさ、あの道って交通量の割に信号が全然ないんだよな」
唯「うん。その上横断歩道もあまりないし、見通しもかなり悪いんだよね」
紬「改めて考えたらすごい危険よね…」
律「そこで唯隊員にはこのりっちゃんが直々に秘策を授けてやろう!」ビシッ
唯「秘策?」キョトン
帰り道!
唯「ねえねえりっちゃん、帰り道は向こうだよ?こっちじゃないよー?」
律「いいんだよ。今日はこっちこっち」テクテク
紬「ここって…繁華街?」
律「ああ。ちょっと遠回りになるけど、ここなら歩行者天国だし車に轢かれる心配はないだろ」
唯「おおっ!なるほど!」ポン -3
梓「でも繁華街を抜けた後はどうするんですか?結局いつもの道に戻りますよ?」
律「心配ご無用!こないだ繁華街から唯の家の近くまで行ける抜け道を発見した!」ビシッ
紬「りっちゃんすご~い!」パチパチ
澪「律は昔から抜け道とか探すの得意だったもんな」
律「はっはっはー!抜け道マスターりっちゃんとは私のことだぜー!」
抜け道!
梓「うんしょ、っと…。結構細い道ですね…」
紬「でもこれだけ細いと車も入って来れないだろうし、これなら唯ちゃんも車に轢かれずに済みそうね」
唯「うん!ほんとりっちゃん様々だよー!」
律「はっはっはー!もっと褒めるといい」
澪「さてと…、ここまできたらもう大丈夫かな?唯の家まではもう目と鼻の先だし」
律「だな。じゃあ今日はここで解散!」
唯「じゃあみんなまた明日ねー」タタタッ
澪「走ったら危ないって言ってるだろー!」
唯「これだけ近いんだし大丈夫だよー」クルッ
律「!?唯!!危ないっ!!」
唯「えっ?」
キキィーーッ!! ドンッ!! キャー! ヒエー!
梓「あっ!?唯先輩がまたトラックに撥ねられた!?」
紬「唯ちゃーん!!?」
澪「ひいぃぃっ!?」ブクブク…
律「梓!早く救急車を!」
梓「は、はい!」
次の日!
唯「みんなおいーっす!」ガチャ
梓「唯先輩、身体は大丈夫なんですか?」
唯「心配してくれてるの?あずにゃんありがとー!」ダキッ
梓「に゙ゃっ!?トラックに撥ねられたんですから心配くらいしますよ!」ジタバタ
唯「えへへー、愛いやつ愛いやつー」ナデナデ
律「…どうやら大丈夫そうだな」
澪「ああ、本当によかったよ…」ホッ…
紬「でも昨日の作戦失敗しちゃったね。あともうちょっとだったのに」
律「そうだよなー…。よし!今日は違う作戦でいってみるか!」
澪「作戦って…、これまだ続くの?」
作戦その2・秋の交通安全大作戦!
律「昨日の事故もそうだったけど、唯が車に轢かれるのっていつも急な飛び出しが原因なんだよ」
唯「ふむふむ…」
律「つまり飛び出しなんかせずに交通ルールをしっかり守って帰れば…」
紬「車には轢かれないってわけね!」ポン -3
唯「おー!りっちゃん頭いい~」
律「わっはっはー」
梓「あの人たち小学校で習わなかったんですか?」
澪「単に馬鹿なだけだと思う」
帰り道!
唯「右見て左見て、また右を見て…、車は来てないけど一応手を挙げて…」
律「ふぅ…、これで横断歩道は全部渡り切ったな」
紬「後はこの歩道に沿って行けば唯ちゃんの家だから…」
唯「うん!今日は久しぶりに車に轢かれずに家に帰れるよー」
梓「なんだか不思議な日本語ですね」
澪「あれ…?あのトラック…、なんだかフラフラしてないか?」
律「本当だ…ってうわ!?こっち来た!?」
唯「わわわわわ!?」
ドーン!! グシャッ!! キャー! イヤー!
梓「歩道にトラックが突っ込んだ!?」
紬「唯ちゃーん!!?」
澪「あわわ…」ブクブク…
律「梓!早く救急車!」
梓「は、はい!」
次の日!
唯「昨日は本当にびっくりしたよー」
律「まさか居眠り運転のトラックが突っ込んでくるなんてなぁ」
紬「でも唯ちゃんが無事で本当によかったわ」
澪「それにしても傷ひとつないなんて…」
梓「思いっきりグシャッ!って言ってましたからね、グシャッ!って」
澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイ…」
律「それにしてもあの作戦は結構いけると思ったんだけどなぁ」
紬「もしかしたらトラックからだと唯ちゃんのことがあまりよく見えないのかもね」
唯「えー?これでもりっちゃんやあずにゃんよりは大きいよー?」
律「身長がな」
梓「そうそう、身長が」
澪「3人とも背はそんなに変わらないだろ」
律「一部はどんどん差が付いてるんだよ」
紬「前に聞いたんだけどね、トラックと普通の車じゃ視界が全然違うらしいの」
紬「もしかしたらそのせいで唯ちゃんに気づきにくいんじゃないかしら?」
律「なるほど…、それもあるかもしれないな」
唯「最近暗くなるのも早いしね」
紬「だからもっと目立つ格好をしてれば、トラックも気付いてくれると思うの!」フンス
作戦その3・紅白大作戦!
紬「というわけで色々準備してみました!」ビシッ
律「おおっ!」
澪「襷型の反射材に交通安全ののぼり…、他にも色々あるぞ!」
紬「これ全部ホームセンターで買ってきたの~」
梓「このメガ小林幸子みたいなキンキラキンの衣装もですか?」
紬「うん、これならかなり目立つでしょ?」
律「ホームセンターすげぇ!」
梓「こんなん着てたら車に轢かれる前に周りにドン引きされますよ」
唯「私もこんなの持ってきたよ!」フンス
澪「何これ?プラカード?」
唯「うん!これ持って歩いてたらかなり目立つと思わない?」
澪「『いのちをだいじに!私をひいたら罪金100万円です』…」
梓「この人は可愛いのか可哀想なのか」
唯「だって痛い目に遭うんだよ!100万円くらいもらって当然だよ!」フンス
律「バカだなあ唯、字が間違ってるぞ。『罪』じゃなくて…、えーっとなんだっけ?」
澪「『罰』だよバカ2号」
紬「つまり100万円用意すれば唯ちゃんを自由にできるのね!」
梓「戻ってこいバカ3号」
帰り道!
梓「あれ?さっきの装備はしなくていいんですか?」
唯「うん、さすがに全部つけてたら歩きにくくて帰れないよ」
紬「だから車が近付いてきたら準備をすることにしたの」
澪「わざわざ全部使おうとするからだろ。どれか一つだけでもいいんじゃないか?」
唯「おおっ!澪ちゃん頭いい!」
プップー! ブロロロロ…
律「あっ!トラックがこっちに来たぞ!」
紬「作戦開始ね!」
プップップー! ブロロロロロロロ…
澪「おい、かなりスピード上げてきてるぞ!」
梓「唯先輩、用意はいいですか?」
唯「ちょっと待って…、この衣装着にくくって…」
梓「何故よりによってメガ幸子を選ぶ」
紬「唯ちゃん裾踏んでるわよ」
唯「えっ!?わわわ!?」ドシーン
プップー! キキキィーー!! ドゴォッ!! ウワー! ギャース!
梓「また撥ねられたー!?」
紬「唯ちゃーん!!?」
澪「うーん…」ブクブク…
律「梓!救急車だ!早く!」
梓「は、はい!」
次の日!
梓「唯先輩、今回の反省点をどうぞ」
唯「私一度でいいからあの衣装着てみたかったんだー」
律「でも紅白に出てるみたくてすごかったぞ!」
梓「もう少しで唯先輩の家に白黒の幕が掛かるとこでしたよ」
紬「唯ちゃん身体は大丈夫なの?」
唯「うん、軽い突き指だけだって」
澪「どうしてトラックに乗りあげられて突き指だけで済むのだろう」
律「しかしこの作戦も失敗か…」
梓「あ、この流れはまずい」
紬「結構自信あったのになぁ」
唯「別の方法を考えたほうがよさそうだね…」
梓「ほらほら先輩気分転換に練習でもしましょうよー」ジャカジャカジャーン
作戦その4・バスガス爆発作戦!
澪「あ、そういえば」ゴソゴソ
梓「敵は後ろにいた」
澪「今朝学校の前でバスの運行表をもらったんだけど…」パサッ
紬「やだ澪ちゃんうんこだなんて///」
唯「澪ちゃんお下品ー」ケラケラ
梓「この人たちこんな残念な頭で大学受験は大丈夫なんだろうか」
澪「…コホン、まずはここを見てくれ」
唯「桜ヶ丘女子高等学校前バス停…」
梓「私たちの学校の前ですね」
澪「そう、そしてここからずーっと進んでいくと…」
律「あ!ここのバス停、唯の家の真ん前じゃん!」
唯「ほんとだ!今まで全然気付かなかった!」
澪「このバスに乗っていけば唯も車に轢かれることなく安全に帰れると思うんだ」
律「偉いぞ澪!よくこんなの見つけたな!」
梓「唯先輩も家の真ん前のバス停によく18年も気付きませんでしたね!」
紬「でもこれなら無事に帰れそうね!」
唯「よーし、今日は澪ちゃんのバス作戦で絶対無事に家まで帰るぞー!」
みんな「おー!」
最終更新:2010年12月12日 20:11