作戦その9・憂とりっちゃんとシャッフル大作戦!
唯「まず憂は髪を下ろして、りっちゃんはカチューシャを外します」
憂「ふむふむ」ホドキホドキ
律「それでそれで?」ハズシハズシ
唯「3人並べば…、ほら!」
紬「すごいわ!唯ちゃんが3人も!」
憂「え!?お姉ちゃんが3人!?やったあ!!」
唯「これならいけるんじゃない!」フンス
律「唯が轢かれる確率は3分の1か!私の道連れ作戦よりすげえ!」
澪「みんなで守ろう作戦じゃなかったの?」
梓「どっちにしろ誰か1人は犠牲になるんですけどね」
帰り道!
唯「もう1度作戦を確認するよ。トラックがこっちに来たら憂は道路の左側に」
憂「わかったよ!」
唯「りっちゃんは右側ね」
律「おう!」
唯「そして私は真ん中に、っと…。完璧だ…!」
澪「そうかなあ?」
プップー! ブロロロロロ…
紬「あ!トラックが来たわよ唯ちゃん!」
唯「あ、本当だ!よーし!2人とも、フォーメーションAだよ!」
憂律「ラジャー!」ダダダッ
唯「ふっふっふ…。確率は3分の1、どれが私かわかるk…ふぎゃ!?」
憂「お姉ちゃーーーーーーーん!!?」
澪「まあ普通トラックが来てるのに道路の真ん中にいたら撥ねられるよな」ブクブク…
梓「なんでこの人一番轢かれやすい位置に飛び出して行ったんだろう」
次の日!
唯「うう、さすがにこれだけ事故が続くと身体に来るものがあるよ…」
梓「普通の人は1回目で来るものですよ」
紬「でも今回も擦り傷1つ無いなんて…、さすが唯ちゃんね!」
律「まさに軽音部の鉄人だな!」
唯「えへへ~」テレッ
唯「そういえば今日は澪ちゃんは?」
梓「澪先輩なら憂に『お姉ちゃんが轢かれたのはお前のせいだ!』ってボコボコにされて入院しましたよ」
唯「あれれ?澪ちゃん私に何かしたっけ?」
律「さあ?帰りにお見舞いにでも行ってやるか」
唯「そうだね」
和「あなたたちまだやってたの?」ガチャ
律「あ、和だ」
和「澪に用事があるんだけど…、今日は休み?」
紬「実は澪ちゃん、かくかくしかじかで今入院してて…」
律「それで今からお見舞いにでも行くかー、って話してたんだよ」
和「そうなんだ、じゃあ私生徒会行くね」スタスタ
梓「あれあれ?これってじゃあ一緒に行こうって流れじゃないんですか?」
唯「澪ちゃんに用事もあるって言ってたのにね」
和「あ、忘れてたわ」ガチャ
唯「どうしたの?やっぱり一緒にお見舞い行く?」
和「そんなことじゃなくて…。唯を事故らせない作戦、私も考えてきたわよ」
作戦その10・部室でお泊まり大作戦!
和「はい律、これ書いて」パサッ
律「これって…、宿泊許可証?」
和「そうよ。学校から帰ると事故に遭うのなら、学校から帰らなければいいじゃない」
梓「なんという乱暴な作戦」
唯「和ちゃんの前世はきっとジュディ・アンド・マリーだね!」
和「マリー・アントワネットって言いたいのかしら?」
紬「でもすごく理にかなってるわ!」
梓「そうかなあ?」
紬「それにしても学校でお泊まりだなんて…、とっても楽しみだわ!」キラキラ
唯「そうだよね!…でも私、その前におなかすいてきたかも」グゥー
律「それじゃあ今からみんなで何か食べに行くか!」
梓「でも外に出ても大丈夫なんですか?これで車に轢かれたら元も子もないですよ?」
律「あっ、そうか…」
唯「えーっ、ご飯なしなのー?」シュン
和「しょうがないわね…。生徒会室にカセットコンロがあったからそれを使って鍋でもしたら?」
唯「和ちゃん?!」
律「え?!いいの?!」
和「本当は駄目なんだけど、今回だけは目を瞑るわ」
数十分後!
律「お肉と野菜買ってきたぞー」ガチャ
唯「おお~、ありがとうりっちゃん隊員!」
律「ちょうど憂ちゃんに『昨日新鮮なのが手に入ったので』ってお肉をおすそ分けしてもらってさ」
梓「あとで何のお肉か確認しましょうね」
紬「お茶とお菓子もたくさん持ってきたわ!食後のデザートは任せて!」フンス
律「倉庫にテレビと64があったから後でみんなでスマブラしようぜ!」
梓「何だかすごいお泊まりって感じですよね!」ウキウキ
律「おっ、梓も何だかうれしそうだな」ニヤニヤ
梓「そ、そんなことないです!///」カァーッ
夜の学校!
唯「お鍋おいしかったねえ…」
律「おいしかったなあ…。私食べ過ぎてもう動けないよ…」
梓「2人とも欲張るからですよ…」
紬「でもこの調子だとお菓子は食べられそうにないわね。せっかく持ってきたんだけど…」
唯律「食べるー!」
梓「もう入らないんじゃなかったんですか?」
唯「甘いものは別腹だよあずにゃん♪」モグモグ
律「そうそう♪」ムシャムシャ
梓「まったくもう…」クスッ
澪「おい」
唯「うひゃあ!」ビクーン!
律「あれ、澪じゃん。どうしたの?」
澪「どうしたのじゃないよ!誰もお見舞に来てくれないし、私抜きで部室で鍋してるし…」
紬「入院してたのはもう大丈夫なの?」
澪「夜の病院なんて怖くて泊まれるわけないだろ!」
梓「私たち今からその次くらいに怖い夜の学校に泊まるんですけど…」
澪「…」ブクブク…
紬「あ、また気絶しちゃった」
律「仕方ないなあ…。ここで寝てたら風邪ひきそうだし、寝袋まで運んでやるか」
梓「そうですね。唯先輩、私は頭の方を持つので先輩は足を……唯先輩?」
唯「うーん…」
紬「唯ちゃんどうしたの?顔真っ青よ?」
唯「苦しい…」ブルブル
律「苦しいってどこがだ?!すごい震えてるけど大丈夫か?!」
唯「もう…だめ……」バターン
紬「唯ちゃん!!?」
律「梓!救急車だ!」
梓「は、はい!」
次の日!
律「唯、昨日は大丈夫だったの?」
唯「うん、お医者さんに見せたらただの食べ過ぎだって」
梓「その程度で済んでよかったです。唯先輩のことだから心臓の病気にでもなったのかと思いました…」ホッ…
唯「えへへ~、心配掛けてごめんねあずにゃん」ダキッ
梓「に゙ゃっ!?もう!唯先輩止めてください!」ジタバタ
紬「でも唯ちゃんったらいきなり倒れちゃうんだもん。びっくりしちゃった」
澪「私も目が覚めたら夜の学校に一人きりでびっくりしたよ」
紬「ごめんね澪ちゃん。でも緊急事態だったから…」
梓「澪先輩は大丈夫でした?あんな暗がりに一人でいて」
澪「私は大丈夫だったよ。怖くて一睡もできなかったけど」
澪「でもおかげで唯の事故対策をじっくりと考えられたよ!」エッヘン
梓「あんなに練習熱心だった澪先輩はどこへ行ってしまったのだろう」
作戦その11・ちょっと山の様子を見てくる作戦!
澪「色々考えたんだけど、この前のマラソン大会のコースを通って帰るのはどうかな?」
澪「ちょっと遠回りになるけど、あそこなら見晴らしもよくて車の通りも少ないだろうし」
紬「そのコースならちょうど唯ちゃんの家の前も通るしね!」
梓「たまには原点回帰で普通に帰ってみるのもよさそうですね」
律「マラソン大会のコースってどんなのだったっけ?」
唯「さあ?私もう忘れちゃった」
澪「お前ら…」
律「てな訳で教えてください澪先生!」ペコリ
唯「澪先生ー」
澪「ええ?!口で説明すると長くてわかりづらいんだけどなあ…」
澪「えーっと、まずは校門を出て繁華街を通って…」
澪「橋を渡って住宅地を抜けたら…」
澪「坂を登り切ったら公園があるから、そこをまっすぐ進んで…」
澪「…っとこんな感じかな?どう?2人ともわかった?」
律「ぐおーぐおー」ムニャムニャ
唯「えへへー、もう食べられないよー…」スヤスヤ
紬「先生ー、田井中さんと平沢さんが超寝てまーす」
澪「…」ジワッ
律「わわわっ!?そんなことで泣くなよ!ちゃんと聞いてたからさ!」
唯「そ、そうだよ!えーっと、まずは山の祠に行って封印の玉を取ってくればいいんだよね?」
澪「全然違うよ」
唯「あれ?」
梓「唯先輩がどんな夢を見てたか、だいたい想像がつきます」
マラソンコース!
澪「…」ムスー
律「なあ澪、いい加減機嫌直せよー?話聞いてなかったのは謝るからさ…」
唯「澪ちゃん本当にごめんね…」
紬「澪ちゃん私からもお願い。今度澪ちゃんの好きな美味しいケーキ持ってくるから…」
澪「うっ……。ま、まあ私もムキになってたところもあるし、今回は許してあげるよ…」
唯「本当!?澪ちゃんありがとう!!」ダキッ
澪「わわっ!?いきなり抱きつくな!!」
唯「ムギちゃんもありがとう!」ダキッ
紬「あらあら」
梓「これで一件落着ですね」
律「だな。それにしてもこの道久しぶりだなー」
紬「そうね、マラソン大会の時以来だわ」
澪「確かこのあたりだったよな。唯が急にいなくなったの」
律「そうそう!あの時は本当にびっくりしたよなー」
梓「唯先輩は結局どこにいたんですか?あの時はバタバタしてて聞けなかったんですけど…」
紬「近所のおばあちゃんの家にいたのよ。転んで擦りむいたところにちょうど通りかかったそうなの」
梓「まったく…、唯先輩はいつも迷惑ばかりかけて…」
律「そうだぞ唯。もうあんなことするなよー、ってあれ?唯は?」キョロキョロ
澪「えっ?さっきまでここにいたんだけど…」
律「ゆいー、ゆいー!…ここにはいないみたいだな」
紬「こっちにもいなかったわ!」
梓「今憂に電話してみたんですけど、まだ家にも帰ってきてないし近所のおばあちゃんの家にも来てないそうです!」
澪「携帯にも繋がらないし…。まさか今度は本当に遭難したとか…」
律「あはは…、まさか…」
ピンポンパンポーン♪
梓「あ、田舎とかでよくある町内放送だ」
「最近熊の目撃情報が相次いでいます」
「先程も桜ケ丘女子高校の頭の弱そうな生徒が熊に襲われていたという情報が入りました」
「危険ですので山に入る時は十分注意してください」
梓「…」
律「…」
澪「…」ブクブク…
次の日!
澪「で、次の日には何事もなかったかのように普通に登校してる、っと…」
唯「これでも崖から落ちたり川で溺れたり熊に襲われたりして大変だったんだよー」
律「それでもやっぱり無傷なんだな」
梓「最近は事故のバリエーションも増えてきましたね」
唯「あ、でも言われた通りちゃんと封印の玉は取ってきたよ!」フンス
紬「偉いわ唯ちゃん!」
梓「どうせ使わないので捨てといてください」
梓「しかしあんな短時間で遭難するとは…、さすがは唯先輩です」
唯「えへへ~、それほどでも~」クネクネ
梓「褒めてないですよ」
紬「でも澪ちゃんの作戦は目の付けどころは良かったと思うわ」
紬「結果として遭難はしちゃったけど、車には轢かれなかったんだし」
唯「昨日は車が全然来なかったからすごく帰りやすかったよ~」
律「よーし!なら今日は車が通らなくて遭難のしようもない、わかりやすい道を通って帰ろうぜ!」
作戦その12・私は私の道を行く作戦!
澪「で、畦道を突っ切っていくことになったのか…」
梓「うう…、靴も制服ももう泥だらけです…」
律「文句言うなよ。これなら途中ではぐれてもどこに誰がいるか直ぐにわかるだろ?」
紬「私こんな道を通ってみんなと泥だらけになりながら家に帰るのが夢だったのー♪」ウキウキ
澪「…まあ滅多に車も通らないし、こういうのもたまにはいいのかもしれないな」クスッ
律「走ってるのもおばあちゃんの軽トラかヤンマーくらいだしな」
唯「それくらいなら私だってかわせるよ!」フンス
梓「ん…?あ、あれを見てください!」
UFO「…」フヨンフヨン
澪「あれって…嘘?!UFO?!」
律「すげぇ!私UFOがミステリーサークル作ってるところなんて初めて見た!」
紬「これがスクープ映像ってやつなのね!」キラキラ
唯「よーし、もっと近づいてカメラで撮ってこよう!」タタタッ
梓「あっ!唯先輩、そんなに近づいたら…」
UFO「…」ビー
唯「うわー!」フワフワ
紬「大変!唯ちゃんがUFOにキャトられたわ!」
梓「きっと生きたまま解剖して実験に使う気ですよ!」
澪「解剖…実験…」ブクブク…
律「こらー!唯を返せー!」ダダダッ
最終更新:2010年12月12日 20:13