唯「憂に嫌いだと言ったらどうなるか」
唯「ねー、ういー」
憂「なに?お姉ちゃん」
唯「嫌い」
憂「?」
唯「大嫌い」
憂「?なにが?」
唯「憂が大嫌い。」
憂「え…」
唯「嫌いで嫌いで、もう顔も見たくない」
憂「…お、お姉ちゃ…」
唯「そっくりな顔が嫌い」
憂「……ご、ごめん…」
唯「良い子ぶってる姿が嫌い」
憂「良い子ぶってなんて…!」
唯「憂は家事だけしてくれればいいんだよ。ロボットね」
憂「お、お姉ちゃ…ん……」
ブー ブー
唯「あ、澪ちゃんから電話だ…もしもしー?あ、今部屋いくよ」
トントントン……
憂「……お姉ちゃん…私のこと、嫌い…なの?」
憂「嘘。嘘だよ…お姉ちゃん、今日からかってるんだ!そうだよ」
憂「昨日まで普通だったし……」
憂「……最近そっけなかったっけ」
憂「………じょ、冗談だよね…
憂「……多分」
……
バタン
唯「澪ちゃん?部屋きた」
澪「明日なんだけど…みんなで遊びに行かないか?律が提案してるんだ」
唯「明日?」
澪「都合はつく?」
唯「明日って確か…」
唯「………」
澪「だめだったか?」
唯「大丈夫だよ!」
……
テレビ「なんでやねん!」ゲラゲラ
憂「…お姉ちゃん…」
憂「……ぐすっ…」
憂「お姉ちゃん…お姉ちゃん…お姉ちゃん…」
バタン
トントン…
憂「!」
唯「アイスアイスー」
憂「あ、今日ね、雪見だいふく買って…」
唯「別に憂には聞いてないよー。部屋で食べよっと」
トントントン…バタン
ガチャ
憂「……一緒に食べたかったな…お姉ちゃんと」
浴室
憂「…あったかいなぁ…」カポーン
憂「……なんで、嫌われちゃったんだろう」
憂「なにか…私したのかな…」
憂「……ぐすっ…」
憂「やだよぉ……っ、嫌われたくないよ…っ」
憂「お姉ちゃ、ひっく、ぐすっ…お姉ちゃん…」
がちゃっ
唯「ちょっと憂」
憂「ひゃあっ!?」
唯「?なに、なに慌ててるの?」
憂「な、な、なに?お姉ちゃん」
唯「明日朝早いんだけど起こして?どうせ起きてるでしょ?」
憂「え…」
唯「なに?いやなの?」
憂「い、いやじゃないよ!」
唯「便利な目覚ましさん、よろしくねー」
パタン
憂「……まだ、私…必要と…されてる」
憂「……よかった…よかったよぉ…」
……
唯「おまたせー!みんな」
澪「おお、早いな」
律「いい目覚ましでも買ったか」
唯「目覚ましなんかいらないよ~。あ、むぎちゃんおはー」
紬「おはー♪」
唯「どうせ憂ちゃんに起こしてもらったんだろー?唯」
唯「まぁね!」
律「便利だなー…くれよ、憂ちゃん!」
ボカッ
律「い…っ!!!」
澪「!?」
唯「あ、むぎちゃん。今日はどこ行くの?」
紬「え?あ、確かモールに買い物…」
紬(唯ちゃん…りっちゃんをバッグで殴った…)
…
グイーン
憂「この掃除機も古いな…音、うるさい…」
憂「……独り言、言っても…聞こえないよね…」
憂「元気だったな、お姉ちゃん…みなさんと遊べて嬉しそう」
憂「…今日は…本当は私と出かける予定だったんだけどな…」
憂「……お姉ちゃん…」
憂「…あはは、ばかだな私」
…
律「良い服じゃん」
唯「似合うー?」
澪「そう言えば普段着は変な字書いてあるよな、唯」
唯「澪ちゃんも欲しい!?」
澪「いやいらないけど…」
紬「欲しい!!」
律「うわびっくりした」
紬「どこで買ってるの!?」
唯「近所のお店だよー。今日もね、憂と……」
唯「むぎちゃん、今度一緒に行く?」
紬「い、いいの?」
唯「いいよー♪」
律「…?」
澪「喉かわいちゃった…」
律「どっか入るか?」
澪「みんなは?」
唯「スタバ!」
紬「マック!」
唯「スタバがいいよ!むぎちゃん」
紬「マックシェイクがいーと思いまーす!」
律「今日はむぎテンション高いなー」
紬「今日、すごく楽しみだったのー♪」
澪「多数決…って偶数か」
唯「あずにゃんがいればー!」
律「結局スタバかー」
唯「じゃんけん弱いねぇ、琴吹さん」
紬「じゃんけん強いわねぇ、平沢さん」
澪「ほら、ふざけてないで…」
律「席あいてる?」
澪「私、取ってくるよ」
律「澪で平気かー?」
澪「な、なんだよ…」
律「みおしゃんは一人だとナンパされちゃうぞ?」
澪「……りつぅ~…」
律「はいはい…唯、むぎ。お前らとおんなじの頼むよ」
紬「任せて!」
紬「うふふ…律澪」
唯「……仲良いよね、あの2人」
紬「だって2人はお付き合いしてるもの…」
唯「……羨ましいね」
紬「唯ちゃんは…いるの?好きな人」
唯「………い、いないよ。むぎちゃんは?いるの?」
紬「今は…私もいないの。あ、唯ちゃん番がきたよ」
唯「おっとっと」
ジュー
唯「あまーい♪」
澪「ありがとな、2人とも…」
律「はいお金ー」
ごくごく
律「梓は今頃デートかー」
唯「彼氏どこの学校だっけ?」
紬「桜が丘工業高校よね、たしか」
澪「楽器屋での出会いか…ロマンチックだな」
律「…ふーん?」
澪「あ、ち、違うぞ!律は律で…」
唯「いちゃいちゃ!」
紬「ラブラブ!」
律「うるへー///」
唯「じゃあねー!みんな!」
律「またな」
澪「また学校で」
紬「ばいばいー」
てくてく
唯「…あはは、楽しかったなぁ…」
てくてく
唯「……楽しかった、な…」
てくてく…
唯「……自己嫌悪で、気持ち悪い…」
唯「…」バタン
憂「お帰り、お姉ちゃん」
唯「…嫌い」
憂「え?」
唯「…嫌い!大っ嫌い!」
憂「え…?え…?」オロオロ
唯「なんなの!?なんで、笑顔なの!?」
憂「だ、だって…」
唯「今日は私と買い物に行く約束があったでしょ!?忘れてたの…!?」
憂「……ないよ…」
唯「え…」
憂「忘れるわけ、ないよ…」
唯「じゃあなんで怒らないの!?」
憂「お、お姉ちゃんが…嬉しそうにしてたから…言いそびれちゃって」
唯「意味わかんない…。普通怒るでしょ?」
唯「あ、そっかー。自分は良い子だから黙って我慢する優しいのーって思ってるんだ」
憂「え……」
唯「はぁ、ナルシストなんじゃないの?」
憂「そ、そんなこと思ってないよ!!」
唯「…偽善者。嫌い」
パシン
唯「!?」
憂「酷い…酷いよ…!」ぽろぽろ
唯「…痛い…」ジーン
憂「お姉ちゃん…お姉ちゃん…なんで…!」
唯「あーこわー。ナルシこわー。部屋いこー」
トントントン…
バタン
ガチャ
唯「…憂が、私を…叩いた…」
唯「あの…憂が…」
唯「まだ、ヒリヒリする…」
唯「…よかった…よかった」
cf.目覚めた訳じゃありません
唯「…憂…。私を確実に嫌いになったよね」
唯「ふふ…これで…」
…………
律「ほらみおー」
澪「ば、ばか…人前で…」
律「へへ…っ///」
…………
梓「王子様が昨日ですね…///」
律「始まったぞのろけが」
紬「ケッ」
澪「王子様かー。いいなぁ」
梓「聞いてください!王子様が昨日肩を抱いて…好きだよって、言ってくれたんですよぉー♪」
律「……こんなの梓のキャラじゃねーし」
唯「幸せそうだねー…」
…………
唯「…好きな人と結ばれるって…」
唯「……いいなぁ…」
――――
「あずにゃんに彼氏ができたの!?」
「うん。梓ちゃん嬉しそうだったよ」
憂が笑いながらそう言った
あずにゃんは可愛い
フリーだったのがおかしいくらいだ
鼓動がはやまる…やだなぁ
恋愛の話は避けてたのに
無視していたいのに
「憂には、好きな人、いるの……?」
「え?私?」
「う…うん…」
鼓動がまたはやまる
ああ、聞かれそう
外に音が漏れてそう
……いたらどうしよう
「いるわけないよー」
……いないんだ…
よかった…
……よかった…?
――――
憂「…」
唯「…」もぐもぐ
憂「…さっきは…その…」
唯「はぁ?」
憂「うぅ…」
唯「うざいなぁ。なんでそんなナルシなんですかねぇ」もぐもぐ
憂「…この魚、美味しいかな…」
唯「まずいよ。あ、多分憂のせい。この野菜炒めも、煮物も、味噌汁も…くそまずいから」
憂「そっか…」
憂「おかわり?」
唯「うるさいな。黙っててよ」
唯「あーまずかったー。さー部屋いこー。やっとナルシから解放されるわ」
憂「あ…お姉ちゃん」
唯「………」トントントントン…
憂「お姉ちゃん…!」
唯「………」バタン
ガチャ
憂「……お姉ちゃ…ん……」
最終更新:2010年12月13日 21:23