こんにちは、平沢憂です。

私は今、桜が丘高校に通う高校3年生です。

そんな私にはひとつ違いのお姉ちゃんがいます。
お姉ちゃんは今年から大学生。
今は大学の寮で一人暮らしをしています。

両親は家を空けることが多く、今では私も一人暮らしをしているようなものです。


今日の天気予報は雨のち曇り。
予報通り、朝から空は真っ暗です。
洗濯物は外に出せそうにありません。

夜も少し冷えそう。
今日の夕飯はロールキャベツにしようかなぁ。


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がっこう!

ガヤガヤ


純「おっはよー!」

憂「あ、おはよう純ちゃん」

純「梓はまだ来てないか…。それより聞いて!」

憂「どうしたの?」

純「さっき職員室の前で聞いたんだけど」

純「なんと今日、このクラスに転校生が来ます!」フンスッ

憂「へぇ。今の時期に珍しいね」

純「でしょ!これは何か事件の予感が」

憂「…お家の都合とかじゃないかな?」

純「もー。憂ってばノリわるいよー」ハァ

憂「ごめんごめん。あっ、梓ちゃんおはよう」

純「おっ、来たな梓め!ちょっと聞いてよ。実は今日さぁ…」



ーーーーー


梓「普通に家の都合じゃないの?」

純「…君達には失望した!」ビシッ

梓「え、なにが?」

憂「それは私もさっき、あっ先生来たよ」

ガラッ

教師「ほら、チャイムがなったら席に着く。ホームルームはじめるぞー」

教師「今日はこのクラスに転校生が来てる。ほら、入って」

???「…」


「わぁーかわいー!」

「あの子ハーフ?」

「お人形みたーい!」

教師「ほら、静かに!じゃあ自己紹介してもらおうか」

杏樹「…真紅 杏樹」

教師「…えっと、ご両親の仕事の都合で越してきたそうだ。短い間になるが、みんな色々教えてあげるように」

「はーい!」

杏樹「よろしく」


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純「謎の美少女転校生…ますます何かありそうじゃない!?」

梓「今家の都合って言ってたじゃん…。でも真紅さん凄くかわいいね」

憂「ほんと。まるでフランス人形みたい」



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すうじつまえ!

真紅家


煉「なに?高校に行きたいだと?」

杏樹「えぇ」

カレラ「杏樹、お前はもう成人して昼間は外を出歩けないんだよ?それになんで今更…」

ヘンリー「いかん!私は認めんぞ!」

杏樹「…お願いパパ…」


ヘンリー「くっ…だ、だめなものはだめだ!危険過ぎる!それに悪い虫がついたらと思うと…」オロオロ

杏樹「…そう」

煉「…」

煉「まぁ、高校くらい良いんじゃないか?」

ヘンリー「煉!?」

煉「曇りや雨の日だけ登校して、それに学校も女子校なら問題ないだろ」

杏樹「…兄さん」


カレラ「…あぁ、そういうことね。ただし、無茶はするんじゃないわよ」

ヘンリー「カ、カレラまで」

杏樹「ありがとう」

杏樹「入学の手続きは自分でやっておくから。それじゃあお休みなさい」

バタン

ヘンリー「一体どういうつもりだ…いきなり高校に行きたいだなんて…」

カレラ「…きっとあの娘のことでも思い出したんでしょうね」

ヘンリー「!?…そうか…」



煉「まぁ杏樹も今年で18、人間なら高校生ってわけだし」

ヘンリー「しかし、今の杏樹に昼の世界は」

煉「俺が全力でサポートするさ。だからちょっとの間、杏樹の我が儘を聞いてやってくれ」

ヘンリー「…わかった」

煉「すまないな、親父」

ヘンリー「いいんだ、可愛い娘のためだ」



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やすみじかん!


「ねーねー、真紅さんはどっから来たの?」

「好きな食べ物は?」

「きょうだいとかいる?」

杏樹「~」

ワイワイ

ガヤガヤ


憂「真紅さん、すごい人気だね~」

梓「まあ、あれだけ可愛いと色々聞いてみたくなるよね」

純「そうだ、真紅さんをけいおん部に誘ってみたら?」

憂「いいね。真紅さんとも仲良くなれるし、どうかな梓ちゃん?」

梓「確かに部員が増えるのは魅力的だし」

梓「でも今はあの人集りだよ…」

純「じゃあ放課後誘ってみよーよ」

憂「そうだね。あ、次体育だよ。早く着替えよう」



ーーーーー

たいいく!


純「うー、さむっ!こんなに天気悪いのに外でマラソンだなんて」ハァ

梓「ほんと。今日は雨だって言うのに」

憂「あっ、でもちょっと太陽出てきたね」

杏樹「!?」

杏樹「あっ…」クラッ

バタッ

「真紅さん!」

「せんせー!真紅さんが!」

教師「おい、誰か保健室に~」



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ほけんしつ!


杏樹「…んっ」

杏樹「(ここは…?)」

憂「あ、真紅さん気が付いた?」

杏樹「あなたは?」

憂「私は平沢憂。真紅さんと同じクラスだよ」

杏樹「そう…あなたが運んでくれたの?」

憂「うん。でも真紅さんが急に倒れてびっくりしちゃった」

杏樹「私日光苦手だから。でももう大丈夫」

憂「よかったぁ。でもあんまりムリしないでね」

杏樹「…ありがとう、平沢さん」

憂「ううん、気にしないで。あっ、それと憂って呼んでくれて構わないから」ニコッ

杏樹「ええ、わかったわ」

憂「じゃあ私、教室に戻るね」

杏樹「待って、私も行く」

憂「でも…真紅さんはもう少し休んでた方が」

杏樹「もう平気。それと私のことも杏樹って呼んでもらっても構わないわ」

憂「うん。じゃあ杏樹ちゃん、行こっか」ニコッ

杏樹「ええ」



ーーーーー


きょうしつ!

純「あ、憂…と真紅さん!」

「あ、真紅さんだ!」

「大丈夫?」

杏樹「ええ。もう大丈夫よ」

ガヤガヤ

純「うひゃ、まるでアイドル扱いだね」

梓「おかえり憂。真紅さん大丈夫なの?」

憂「うん、なんだか日光が苦手なんだって」

純「そうなんだ。で、けいおん部のことは話した?」

憂「あっいけない…」

梓「もう、憂ったら…」

憂「ごめんね梓ちゃん」

純「まぁまぁ、放課後に誘えばいいんだし、ね?」



ーーーーー

ほうかご!


杏樹「けいおんぶ?」

純「そう!軽い音楽と書いて軽音部!」

梓「…なんか誤解されそうな言い方」

憂「真紅さんは音楽とか興味ある?」

杏樹「…ちょっとよくわからないわ」

純「よーし!じゃあ私達の演奏を聴いてもらおうよ」

憂「杏樹ちゃん、この後時間あるかな?」

杏樹「…えぇ、大丈夫よ」

純「じゃあ、ぜひ聴きに来て。うちの部はなんてったってティータイムが売りでさぁ」

梓「ちがう!あくまで演奏がメイン!」



ーーーーー

おんがくしつ!


憂「はい。どいぞ」カチャ

杏樹「ありがとう」

憂「あ、杏樹ちゃんはお砂糖いくつ?」

杏樹「大丈夫、このままで構わないわ」

憂「それとクッキーもあるから食べてね。私の手作りで申し訳ないんだけど…」

杏樹「…頂くわ」

純「どう?おいしいでしょ?憂は料理すっごく上手いんだよ」

梓「って、純が威張る所じゃないでしょ」

杏樹「…」サクサク

杏樹「そうね。とても美味しい」

杏樹「(と言ったものの、ヴァンパイアは味覚を感じないんだけどね)」

梓「ほら、そろそろ演奏するよ!」

純「え~、もうちょっとおしゃべりしよーよー」ブー

梓「ダメ!せっかく真紅さんが来てくれたんだから」

憂「純ちゃん、まずは演奏を聴いてもらおうよ」

純「う~。憂が言うならしかたない」ヨッコイショ

梓「…私が部長なのに」


ーーーーー

~♪


純「どうだった?」

杏樹「なんというか」

梓・憂・純「うんうん」ワクワク

杏樹「あまり上手くないのね」

梓・憂・純「(ばっさりだー!)」

杏樹「でも、とても楽しそうに演奏しているのは伝わってきたわ」

純「でしょー!」

梓「まぁ、このメンバーで始めたのは今年の春からだしね」

梓「去年までは先輩たちがいて、部員ももう少し多かったんだけど…」

憂「私のお姉ちゃんも部員だったんだよ。パートはギターでね、それがギー太って名前でそれからそれから」

梓「憂、落ち着いて!」

純「でも今年で卒業しちゃったんだもんね」

梓「うん…」

純「そこで、淋しがっている梓のために我々二人が入部したって訳よ!」

梓「べ、別に淋しくなんてなかったし!一人でも全然大丈夫だし!」

杏樹「!?」ドクンッ

純「またまたー。強がっちゃってー」

梓「もう!別に私は先輩たちがいなくても全然平気なんだから!」

純「はいはい、わかったわかった」ニヤニヤ

杏樹「(この子…)」

杏樹「ごめんなさい、私そろそろ帰らないと」

杏樹「お茶とクッキーご馳走様。おいしかったわ(…たぶん)」

純「そう、じゃあ少し早いけど私達も解散しよっか」

梓「え、もう?」

純「うん。私今日はジャズ研にも顔出しときたいし」

梓「…そっか」

純「ごめんね二人とも。じゃあ先に行ってるから。真紅さんもさようなら」

杏樹「ええ、さようなら」

憂「じゃあ、私達はもう少し練習して帰ろっか」

梓「!うん、そうだね!」

杏樹「それじゃあ私はこれで」

憂「うん、今日は演奏聴いてくれてありがとう」

梓「よかったらまた聴きに来てね」

杏樹「そうね、ありがとう」



ーーーーー

~♪


梓「ふぅ、今のはいい感じだったね」

憂「そうだね。でもやっぱり二人だけだとちょっと淋しいね」

梓「うん…」

憂「そろそろ私達も帰ろっか」

梓「あ、もう外真っ暗じゃん!帰ろっ」



ーーーーー

ろうか!


憂「杏樹ちゃん、けいおん部に入ってくれるかなぁ」

梓「どうだろう。楽器も何もやってなかったみたいだし、難しいかも…」

憂「うん…でも今日は演奏聴いてもらえてよかったね!」

梓「そうだね。先輩たちのためにも部員は確保したいし、また明日もお願いしてみよう」

憂「その意気だよ。あっ杏樹ちゃんのアドレスとか聞いておけばよかったね」

梓「ほんと…ってあ、ちょっと携帯忘れちゃったみたい。憂、先行ってて」

憂「うん。じゃあ下で待ってるね」


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最終更新:2010年12月21日 21:04