――3-2――
唯「それでねー、憂がファブリーズかけたのー」
律「マジかよ! それって大丈夫なのか?」
澪「大丈夫だろ。私も似たようなことしたことあるし」
紬「ふぁぶりーず?」
律「ムギはファブリーズ知らないのか?」
紬「う、うん。見たことない」
和「澪、ちょっといい?」
澪「和、どうした?」
和「……ここじゃあ話しにくいことなのよ」
澪「わかった。じゃあ放課後に喫茶店で」
和「……そうね。今日は生徒会もないから、それでいいわ」
唯「……あやしい。和ちゃん、なにか隠してるね」
澪「そんなことないだろ」
唯「そんなことあるよ! 付き合いの長い私はわかるもん!」
唯「澪ちゃん! なにか心当たりは!?」
澪「まったくないよ。きっと進路のことで相談があるんだろう」
律「進路……。たしか和はK大志望だったよな」
唯「うん。私とりっちゃんでは手が届くどころか見えもしないようなところだよ」
律「な!」
紬「和ちゃん、なにか悩んでるのかなぁ」
澪「どうだろう。成績は問題ないと思うけど」
唯「和ちゃん、毎日遅くまで残って勉強してるもんね」
律「となると……。精神的な問題か」
澪「あんまり詮索するなよ。和の問題なんだから、決めつけるのはよくない」
唯「それもそうだけど……」
律「歯切れ悪いな」
唯「どうして、私に相談してくれないんだろう……」
紬「え?」
唯「うう……」ぐすっ
紬「どうしたの!? 唯ちゃん! 泣かないで!」あわあわ
唯「和ちゃん……和ちゃんは……私のことぉ……」ポロポロ
律「おいおい……そんなことないって。な?」
澪「そうそう。和が唯のコト、嫌いになる筈ないよ」
唯「本当?」ぐすっ
澪「本当本当。だから、泣かないの」
唯「……う、うん! 和ちゃんが私を頼りにしてくれなくても、私泣かない!」
ドア「がちゃ」
和「なんの話?」
唯「うわ! 和ちゃん! なんでここに!」
和「なんでって、私のクラス、ここなんだけど」
チャイム「キーンコーンカーンコーン」
律「と。チャイムなったな。それじゃあ、席に戻るとしますか」
紬「しますかー」
――そして放課後――
律「ゆいー、帰るぞー」
唯「あれ? 部活は?」
律「ああ。澪が和の話聞くって言うから、今日はお休み。梓にもメールしといたから」
唯「なんだそっかー」
澪「それじゃあ、和。行こう」
和「ええ。駅前の喫茶店でいいわよね」
ドア「がちゃん」
紬「唯ちゃん?」
唯「やっぱり怪しい」
律「だからなにが?」
唯「和ちゃん、もしかして澪ちゃんが好きなんじゃ!」
律「何言ってんだお前」
唯「私というものがありながら……許せない! いくよりっちゃん! ムギちゃん!」
律「話が見えないって!」
唯「和ちゃんたちを追いかけるよ! こうなったら国勢調査だよ!」
紬「それを言うなら浮気調査よ!」
律「ムギ!?」
唯「さすがはムギちゃん。察しがいいよ。――そう! これは和ちゃんの浮気調査だよ!」
律「……」
紬「うふふふー」
唯「私というプリティ天使がいつも側にいるのに、澪ちゃんに浮気する和ちゃんを懲らしめる
よ!」
律「だから浮気ってなんだよ」
唯「シャラップ! 今の私を止めることなんてできないよ! 和ちゃん探偵団だよ!」ダダっ
紬「おー!」ワクワク
律「お、おー」
ドア「がちゃん」
姫子「……軽音部は相変わらずわからない」
――下駄箱まえ――
澪「――」
和「――」
唯「壁ささっ」
紬「壁べたっ」
唯「なに話してるか聞こえないね」
紬「そうね。でも、笑ってるわよ」
唯「……楽しそうだね」
紬「まるで付き合いたてのカップルみたい」
律「おーい。やめよー。悪趣味だからー」
紬「静かにりっちゃん。バレたら終わりよ」
律「は、はぁ」
梓「あれ、唯先輩たち何してるんですか?」
唯「あ。あずにゃん。静かにしてね」
梓(抱きついてこない……だと……)
梓「律先輩、これは……」
律「関わらない方がいいぞ後輩。非常にテンポの悪い状況になった」
梓「テ、テンポ?」
律「いや、こっちの話だ。とにかく、唯が狂った」
紬「りっちゃん。ちゃんと隠れて、梓ちゃんも」
梓「隠れるって……」
律「とりあえず言うとおりにしておけ。どうやら、すでに巻き込まれたみたいだからな」
梓「……澪先輩と和先輩。二人がどうかしたんですか?」
唯「どうかしてるよ! このばかにゃん!」
梓「ひ、ひどい……」
律「唯、落ち着けって。そんなに和が好きなのか?」
唯「はい」
梓「はいじゃないが」
唯「あ、動き出したよ! ハリーアップ!」
梓「……純と憂と一緒にマック行くつもりだったのに……メールしとかないとなぁ」
…
唯「ささっ」
紬「さささっ」
澪「――」
和「――」
唯「こちら、コードネーム『コンバット唯』。どうぞ」
紬「こちら、コードネーム『ダニー紬』。どうぞ」
律「……え?」
唯「早く、応答せよ『グレッグ律』」
律「お、おお」
紬「クリムゾン梓も。急いで」
梓「私、銃ですか」
唯「くそぅ。楽しそうにおしゃべりしおって」
紬「キスしちゃうんじゃない?」
唯「~~~~~~~~!!!!」ポカスカ
律「おお、唯がムギにつっこみをいれてるぞ」
紬「やめてー、くすぐったーい」
唯「和ちゃんが私以外の人にキスするなんてありえないもん!」
律「おい、二人が喫茶店に入ったぞ」
唯「ホントだ! ベストポジションを確保しなきゃ!」
梓「ていうか、さっきさらりと変なこと言いませんでした?」
紬「そうだった?」
梓「いや、キスがどうのと」
律「気にするな」
紬「そうよ。梓ちゃんだって、唯ちゃんのことが好きなレズにゃんじゃない」
梓「はい?」
律「最近はムギにもアプローチかけてるらしいじゃないか」
紬「そうなのー? あらやだー」
梓「ちょ! なに言ってるんですか!? このデコ!」
律「中野ォ!」ぐりぐり
唯「三人とも! 遊んでないでいくよ! このばか!」
律「デコに莫迦にうるせえよ!」ぐりぐりー
梓「あううー」
紬「ぽわー」
唯「ああもう! 急がないと! 浮気の現場掴まないといけないのにー!」
通行人(なんだあれ?)
紬「はっ! そうよ! 私たちは和ちゃんたちを見に来たのよ!」
律「中野ォ!」
梓「でこー」
唯「ムギちゃんの言うとおりだよ! 入るよ! 私、喫茶店に入るよ!」
ドア「がちゃ」
憂「いらっしゃいませー。4名様ですか?」
唯「なん……だと……?」
憂「あれ? お姉ちゃん」
唯「うい、なにしてるの?」
憂「なにって、アルバイトだけど。言ってなかったっけ?」
律「あれ? 憂ちゃんじゃん。何してんの?」ぐりぐり
憂「いや、だからアルバイトですよ」
梓「痛い痛い! 律先輩! こめかみが砕ける! あれ? 憂。なにしてるの?」
憂「アルバイト」
紬「憂ちゃん――」
憂「アルバイトです」
唯「……いた。和ちゃんは壁際のあそこだ。憂、わかってるよね」
憂「わかったよお姉ちゃん。――4名様! 窓際の5番テーブルご案内でーす!!!!」
唯「ちょっと! 静かにしてよ! 妹の分際で!」
和「?」
澪「?」
唯「やばっ!」
律「ばれるぞ!」
梓「痛い痛い! 気持ちよくなっちゃうから!」
和「あれ?」
澪「どうした和」
和「……気のせいだったみたい。唯たちがいた気がして」
澪「唯たち? いや、見えないけど」
憂「……?」
唯「……すでに」
唯「発動していた。私の『スタンド』……」
唯「Dirty Deeds Done Dirt Cheep(いともたやすく行われるえげつない行為)」
憂「いや、ただ単に壁の影にかくれただけだよね」
律「なんかかっこいいな。それ」ぐりぐりー
梓「律先輩……私、もうだめぇ」
紬「イッちゃう? 梓ちゃん、先輩にぐりぐりされてイッちゃうの?」わくわく
唯「憂、次妙な動きをしたら本気で怒るからね!」
憂「具体的にどんな風に怒るの?」
唯「殺す」
憂「きゃっ」
律「唯ー。とりあえずここに座ろうぜー」
紬「憂ちゃん、この特大チョコパフェを4つ……。あ、いや。6つ頂戴」
梓「誰が食べるんですかそれ!」
紬「私に決まってるじゃない。それと、パンツ取り替えてきた方がいいんじゃない?」
梓「関係ないじゃないですか!」
唯「いいから黙ってよ。デコ、レズ、ネコ」
紬「はーい」
梓「……微妙に声が聞こえますね」
律「私たちの声が聞こえないのが不思議で仕方が――」
憂「余計なこと言いそうなのでお待たせしました―。特大チョコパフェ6つと、コーヒー3つ。
それと、ひじきの煮物が一つですね」
唯「ナイスタイミング」
和「それで、悩んでるのよ」
澪「そうだったのか」
唯「しまった。重要な内容部分を聞き逃した」
律「逆にこれから相談しだしてたら引くけどな」
梓(またぐりぐりしてくれないかな)
紬「パフェおいしー」ぱくぱく
唯「こうなったら、これからの会話から推察するしかないね」
澪「つまり、和は大学に行って、唯と離れるのが厭なんだな。だから志望校を変えようか
悩んで、私に相談しに来たってことか」
唯「!?」
律「アニメか漫画か!? これ!」
唯「SSなんですけどね」
律「メタ禁止な」
唯「ちょっ。分かったよう」
最終更新:2010年12月18日 03:12