梓「てい!や!はぁ!」

ギャー
GAME OVER

梓「せい!てやっ!」

ギャー
GAME OVER

梓「くう!もう一回!」

律「あのー梓さん?」


律「結局何回やってもダメだったなー」

梓「ううう…」

律「ま、頭冷やすってことで。次、あれやろうぜ!」

梓「……プリクラ、ですか?」

律「そ、せっかくだし記念にな」

梓「律先輩と、かあ…」

律「なんだその含みのある発言は」

梓「いえいえ。けっして澪先輩とかムギ先輩のほうが良かった、なんて考えてませんよ?」

律「ぜってー考えてるじゃん!私の扱いひどくね!?」

梓「ホントに考えてませんって。ほら、撮りましょうよ?」

律「なんかうやむやにされた気がする…」

(とは言ったものの)

律「撮影モードはこれで……と、よしOK!」

(なんか、プリクラって苦手なんだよね…)ソワソワ

律「梓ー顔がこわばってるぞー?」

梓「そ、そうですか?」ソワソワ

律「別に命とられる訳じゃないんだし、もちっと気楽にしろって」

梓「そりゃあそうですけど……」ソワソワ

梓「うーん………」ソワソワ

律「…えい♪」ツネリ

梓「ふぁ?!」

律「ぎゅーっと」

梓「ひょ、りふへんはいなにすふんでふか!?(ちょ、律先輩何するんですか!?)」ギュー

律「よし、いい顔になったな!」

梓「ふぁひ?」

律「澪と初めて撮った時もこうやったもんだよ。あいつも表情かたいからなー」プニー

律「どうだ、少しは気がほぐれたか?」グニー

梓「ああ、はひ…ありがほうございま「はい、チーズ」パシャ

律梓「あ」

律「……ぷっ」

梓「くく……ふふ………」

律「あはは!なにやってんだ梓、ぷくく…」

梓「律先輩が、ふふっ、こんなことするからじゃ、くくっ、ないですか、ぷふっ」

律「すっげー顔だぞこれ、……ぷくく」

梓「ホントですよ。どうすんですか、これ?」

律「まあ撮り直しがあるし。……個人的にはこのままでも」

梓「絶対いやですよ?」

律「ちぇー、つまんねーのー」


―――――――――

律「もうちょっと右か…いや、大丈夫か?」ウィーン
(いつもだらしなくていいかげんな律先輩)


律「よしドンピシャ!このまま…」ウィーン パンパカパーン
(その印象は今も変わってない―――けど)


律「よっしゃー!見ろ梓!見事ぬいぐるみゲットしたぜー!」
(今なら、律先輩みたいな姉っていうのも)


律「ほら、次はあれやろうぜ!あれ!」
(それも結構、楽しいのかもしれないな―――)
(そう、思えてきた)


――――――――――――

律「いやー遊んだ遊んだ!」

梓「よかったんですか?受験生なのに」

律「いいんだよ、梓だってかなり楽しかったろ?」

梓「まあ…そう言われるとそうですけど」

律「それにさっきも言ったろ?たまには息抜きしないとプレッシャーにやられちゃうんだって」

梓「律先輩がプレッシャー……ぷっ」

律「中野ォー!」

律「この生意気な後輩めー」ギュー

梓「プレッシャー……ぷっ」

律「まだいうかこのこのー」ギューッ

梓「ああごめんなさいくるしいくるしいです」キュー

律「…」ギュッ

梓「ホントに苦しいですって律せんぱ……」

律「…」ギュ

梓「……律先輩?」

梓「……どうか、しました?」

律「梓」

梓「はい」

律「……悪かった」

梓「へっ?」



律「ホントは忘れ物なんてなかったんだけどな。どーしても言いたいことがあって、それで、嘘、ついた」

梓「律先輩…?」

律「あ、て言っても愛の告白とかじゃないからな?勘違いするなよー?」ハハッ

律「本当はもっとはやく言うべきだったんだけどなー」

律「だけどいっつも言うのが怖くて、先延ばしにしてた。情けないよなー」タハハ

律「……けど、やっぱり言わないとな」



律「―――梓。私、いままで頼りない部長だったな、ごめん」
(―――――――ああ)


律「なんだかんだで結局、新入部員も獲得できなかったし」
(ああ、この人は)


律「練習だって、部長の私がしっかりしないといけないのに、澪とか梓に怒られてばっかだった」
(いいかげんで、大ざっぱで、お調子者で)


律「部長らしいことなんか、何一つ出来なかった」
(なんも考えてないようにふるまって、みんなに甘えてるようで)


律「いっつも、いっつも。みんなに迷惑かけてた」
(でも、こんなにも優しくて、こんなに人を思いやれて)


律「もうすぐ卒業して、言う機会が無くなっちゃうと思ったんだ。だから今、言わせてくれ」
(私の事、軽音部の事。しっかり考えてくれてた、しっかり引っ張ってってくれてた)




律「――――すまん、梓。 私のせいで、いろいろ迷惑かけたよ」
(ほんとに、姉のような人だ――――)


梓「ほんと、律先輩はズルイです」ボソッ

律「…梓?」

梓「……そうですね。ならせっかくですから、私からも言いたいこと言わせてもらいます」

律「な、何だ?」ゴクリ

梓「………律先輩はだらしなさすぎです!」

律「う」

梓「いっつもドラムは走り気味で、結局直らなかったですし!」

律「うっ」

梓「講堂の使用申請書は出し忘れるし!」

律「ううっ」

梓「調子に乗って変なことばっかりするし!」

律「うううっ…」

梓「―――でも」

梓「律先輩も、私の大切な軽音部の先輩なんです」

梓「たまーにですけど、見直すとこもあったりしますし」

梓「軽音部がこんなにまとまれたのも、きっと律先輩が部長だったからです」


梓「私の方こそ今まで言えませんでしたけど、今言わせてもらいます」



梓「律先輩、今までありがとうございました」




梓「――――律先輩以上の部長として、来年もがんばりますから!」



律「………くぅぅっ…………」グスッ

梓「律先輩?」

律「べ、別に泣いてなんかね―し!これはあれだ、ココロの汗だ!!」

梓「………そうですか、律先輩が言うならそうですよね」

律「グスッ……それと!『今までありがとうございました』、だけじゃないだろ?」

梓「え?」




律「…『これからもよろしくお願いします』、だろ?」

律「私らが卒業したって、放課後ティータイムは不滅だからな!嫌でも付き合ってもらうぞ!」


梓「…はい、そうですよね。わかってますよ」

梓「それまで部長の座は預かっておきますから。そっちに行くまでに、今度こそ立派な部長になれるようになっててください」

梓「じゃないと、私がそのままやっちゃいますからね?」

律「ふっふっふ、私を甘く見るなよ!このりっちゃん、大学で華麗な変身を遂げてくれるわ!」



梓「まあその前に受からないとお話にならないんですけどね」
律「ぐはっ」

梓「というか大丈夫なんですよね?受験勉強のほうは」

律「ふふふ、日々りっちゃんは進化するのさ!この前の模試では見事C判定だったぜ!」ババーン!

梓「それって……安心できないような……」


梓「……本当に大丈夫なんですよね?シャレになりませんよ?」

律「だーいじょうぶ!ワタクシ田井中律は本番に強い女!出来る女!」ドーン

梓「まったく……これだからお姉ちゃんは…」







律「へっ?」
梓「え?………はっ!」


律「梓?今なんて?」

梓「な、なんでもないです!なんでも!」

律「いやーなんて言ったのか気になるな―。もう一回言ってくれよ、梓?」ニヤニヤ

梓「ううう……」ダラダラ

律「梓ー?」ニヤニヤ

律「梓ちゅわーん?なんて言ったかもう一回聞きたいなー?」ニヤニヤ


梓「うううううう……」
梓「う、う、うるさい!バカ律!」

律「んなっ!先輩に向かって『バカ律』なんて言うとは!」

梓「うるさいです!律先輩なんてバカ律で十分です!」

律「また言ったなー!このやろー!」

梓「に゛ゃーーーーー!」

ワーワーギャーギャー……………



後日

唯「りっちゃーん、一緒に帰ろー?」

紬「新しいアイスクリーム屋さんが近くに出来たらしいの♪」

澪「まったく……受験生なのに」

唯「といいつつも一番ノリノリな澪ちゃんであった」

澪「うっ。そ、そりゃあ私だって少しは興味あるし…」


律「あー悪いなみんな。ちょっと先約がな」

唯「えーそうなのー?」

紬「それは残念ねー……」

澪「も、もしかして彼氏が…」

律「バカ、そんなんじゃないって」

律「とにかくすまん、またこんd 梓「律先輩、まだですかー?」


澪「ん?」
唯「おやおや?」
紬「まあまあまあまあまあ!」

律「と、とにかくそういうことだから!じゃ!また明日!」ダダダッ





唯「ほえー……まさかあずにゃんだったとは」

紬「やっぱり梓ちゃんはりっちゃんのことを…」

澪「いや、違うだろ」

唯「ぼーっとしてていいの澪ちゃん!りっちゃんがとられちゃうよ?!」

澪「わ、私と律はそんな関係じゃない!」

紬「………と見せかけて実は~?」

澪「見せかけない!」

唯「からの~?」

澪「からもない!」






梓「律先輩ー?」
律「今行くー!」





一応これで終わりです。



最終更新:2010年12月18日 16:06