朝!教室!

文恵「姫子!おはよ。」

姫子「文恵、おはよ。今朝はちゃんとお好み焼き焼けた?」

文恵「うん…。」

……

しずか「立花さんって本当にかっこいいよね…。」

三花「うん。優しいし、姫子ちゃんが男の子だったら私絶対好きになってると思う。」


唯「やっほ~。」

姫子「あ、唯。おはよ。」

唯「あれ?足どうしたの?」

姫子「うん、昨日久しぶりに後輩の練習につきあったら怪我しちゃった。」

唯「大丈夫?かなり痛そうだよ…。」

姫子「うん、大丈夫だよ。それより唯、ギー太とラブラブなの?」

唯「うん♪昨日も1時過ぎまで練習しちゃいました~。」

姫子「唯は偉いね。」よしよし

唯「えへへ~////」

ガラっ

さわ子「それでは出席を取ります…。」




授業中!

数学教師「だからよ~、おい!x=aを導関数に代入すればいいんだよ~!んああ!」

姫子「……。」

数学教師「おじょうちゃ~ん!これ分かるぅ!?」

紬「3π/2です。」

数学教師「んあああ!そうだぁ!」

姫子「……。」

しずか「(また立花さん遠い目をしながら窓の外見てる…。)」

姫子「……。」

しずか「(なんか考え事かな…。)」



昼休み!

唯「わーい!ごはんだ~。ごはん~。」

律「それでさ~、澪のやつ『パンツくれ~』とか言い出してさ~。」

澪「そんなこと言ってないだろ!」ゴツン

律「いてえ」プクウ

紬「あははは~」

…………

いちご「……。」もぐもぐ

いちご「……。」もぐもぐ

いちご「……。」もぐもぐ

姫子「あ、いちご!一人?いっしょにごはん食べていいかな?」

いちご「別に…、いいけど…。」

いちご「……。」もぐもぐ

姫子「……。」

いちご「……。」もぐもぐ

姫子「あ、そうだ!今日天気良いし屋上行ってみない?」

いちご「…。うん…、いいよ…。」



屋上!

姫子「ふああ~~!やっぱ景色いいね!」

いちご「…。うん…。」

いちご「……。」

姫子「やっぱりジュリエット、やりたかった?」

いちご「別に……。」

いちご「…。っていうか立花さんだって、ロミオ…。」

姫子「う~ん、『やりたくなかった』って言ったらウソになるかな。」

いちご「……。」

姫子「でも私、裏方の仕事も嫌いじゃないから、楽しめてるよ!」ニコっ

いちご「っていうか私…、無愛想だから…。」

いちご「無愛想だから、みんなとなじめないし、学園祭とか好きじゃない…。」

姫子「そんなことないよ!みんないちごのこと『かわいい』って言ってるよ!」

いちご「そんなことない…////」

姫子「赤くなった。ふふっ。そういう所がかわいいんだよ。」

姫子「無口なところもひっくるめて『いちご』だってみんな受け入れてるよ。」ニコッ

いちご「ありがとう…///」

姫子「あ、そうだ!学園祭2日目の三時からって空いてる?頼まれてほしい仕事があるんだけど。」

いちご「大丈夫だよ…。」

姫子「みんなには、特に軽音部の4人には内緒にしておいて欲しいんだけど…。」




放課後!

エリ「」ゴクゴクゴク

よしみ「エリって本当にコーラ好きだよね。」クス

エリ「うん!なんかスカッとするじゃん?」

姫子「もしかして『利きコーラ』とかできるんじゃない?」

エリ「そこまで自信あるわけではないけどできると思う!」

よしみ「じゃあ今度みんなでやってみようよ!買えるだけいろんな種類のコーラ集めてさ!」

エリ「あ、おもしろいかも!っていうか今日うち来ない?」

姫子「私は夜からバイトだからそれまでの時間なら大丈夫だよ!よしみは?」

よしみ「私は今日親戚が来てるから無理。」

エリ「そっか。じゃあよしみはまた今度だね。」



瀧家!

エリ「そういえば姫子うち来るの初めてだよね!」

姫子「うん、そういえばそうだね。」

エリ「姫子と二人きり////」

姫子「っていうか本当に仏像にはまってるんだね…。かなりあるよ。」

エリ「うん!かわいいでしょ//」

姫子「かわいいとは思わないけど…。これは?」

エリ「こっちがガネーシャでこっちがシヴァだよ!ヒンズーの神様!でもやっぱり仏像の方が好き!」

姫子「こんなのどこで買うの…?」

エリ「エスニックショップとかで見つけたら買うんだよ。」

姫子「……。」

エリ「ねえ、姫子//せっかく二人きりになったんだから/////」

姫子「こ、こんな仏像だらけの部屋でそんなかわいい顔されても…。」

エリ「ちぇっ。あ、じゃあこれ見せてあげる!やっぱりオブジェより本物の方が美しいからさ。」

姫子「しゃ、写真集!?確かに美しいよね。」ペラペラ

エリ「でしょ!でしょ!っていうかやっぱり本物が見たい!行こうよ!」

姫子「仏像を見に?」

エリ「うん。私、姫子と二人きりでデートするのが夢だったの~/////」

姫子「なんで琴吹さん…?っていうかどこに見に行くの?」

エリ「鎌倉!姫子と二人きりで鎌倉デート!」

姫子「鎌倉か……。」

エリ「どうかしたの…?」

姫子「いや、なんでもない。じゃあ今度の日曜日ね!」

エリ「やったーー!!」



立花家!

姫子「ただいま~。遅くなってごめんね、母さん。大丈夫?」

姫子母「大丈夫よ。それより、いつも心配かけてごめんね。」ゴホゴホ

姫子「謝らないでよ、母さん。それより帰ってすぐで悪いんだけど、もうバイト行かなきゃだから。」

姫子母「ごめんね。毎日バイトバイトで…。」ゴホゴホ

姫子「だから謝らないで。私は大丈夫だから!」ニコ

姫子母「ありがとう…。」

姫子「それじゃあ、行ってきます。何かあったらすぐ電話してね!」



バイト先!

ピーンポーン♪

姫子「いらっしゃいませ~!」

店長「姫ちゃん、力仕事は我々男連中に任せてくれればいいのに。」

姫子「いやいや、私がやった方が早いですから!あははははは。」

店長「それを言われちゃうと男として情けなくなっちゃうよ…。」

姫子「あはははは。」

店長「まあ、よく働いてくれて助かるよ。ありがとう。」

姫子「どういたしまして。」



帰り道!

姫子「なんだかんだで疲れたな。」

……

不良A「おい、兄ちゃん!金だせやコラァ!」ドン!

兄ちゃん「だ、だから持ってないんですよ。」プルプル

不良B「財布だしゃいいんだよ!何回言わせるんじゃコラ!」グッ

姫子「ちっ…。」

姫子「おいてめえらぁあ!!よってたかって何やっとるんじゃごるぁああ!!!」

不良B「なんだこのアマ!?」

不良A「…、ひ、姫子だ!!」ガクガクブルブル

不良B「な、なに!?」ブルブル

不良A「逃げるぞ!!」スタコラ

兄ちゃん「あ、ありがとうございます。」

姫子「……。」

…………

紬「今の…。立花さん…?」




日曜日!電車!

ガタンゴトン

エリ「やった~!姫子とデート♪」

姫子「はは。で、どこへ行くの?やっぱり大仏?」

エリ「大仏は何回も見たから北鎌倉に行きたいの!」

姫子「北鎌倉…。」

エリ「うん。円覚寺と建長寺。栄西が最初に禅を広めたのは北鎌倉だからね。国宝の舎利殿もあるし!」

姫子「そ、そうなんだ…。」

エリ「あ、着いたよ!」



円覚寺!

エリ「大きな山門だね!」

姫子「うん…。」

エリ「京都の仏像もいいけど、鎌倉の仏像はワイルドな感じで好きなんだ。」

姫子「うん。なんだか気が引き締まる思いがするよ。」

エリ「あ、向こうからお坊さんが歩いてくる。なんかただならぬ雰囲気だね…。偉い人なのかな。」

姫子「……。」

………

北嶺「これは…、立花さんではありませんか…。」

姫子「お久しぶりです、老師。お元気そうで。」

エリ「老師!?」

北嶺「立花さんも、高校生活楽しんでいるようですね…。」

姫子「はい。おかげさまで。」

北嶺「いろいろと苦労された上で勝ち取った生活ですからね…。」

姫子「はい…。」

北嶺「僧堂にいらしては如何ですか…?皆、立花さんに会えれば喜ぶと思います。」

姫子「今の私には…、僧堂の門をくぐる資格がございません。いずれまた、腰を据えて行に参加させていただきます。」

北嶺「そうですか…。それではまた。」

………


エリ「びっくりした!姫子修行してたの?」

姫子「少しだけね。一般の人のための道場があってね。島崎藤村とか夏目漱石もここで修行してたんだよ。」

エリ「あ、『門』。」

姫子「そうそう。」

エリ「なんだ~。じゃあ姫子に案内してもらえばよかったんじゃ~ん。」

姫子「じゃあとりあえずお寺巡りながら鎌倉まで歩いて、そこから江ノ電のって江の島行こうか!」

エリ「うん!なんか本当にデートみたい♪」

姫子「あははは。」


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最終更新:2010年12月19日 22:08