唯「ごめーん!はー……はー!ごめん、お待たせ!」

律「お、おう……。いや、私も今来たとこだから大丈夫だぞ」

唯「ほんと?はー……良かったー……」

律「別にちょっとぐらい遅れても怒んないっての」

唯「いや……そ、そうじゃなくて……デート、の、時間……短くなっちゃう、でしょ?」

律「またそういう……いちいち男前な事言うなよ、恥ずかしいな」

唯「ぐふふ。じゃ、行こっか。はい、手」

律「んっ」

唯「(やっぱり手ぇ冷たくなってるじゃん、嘘つき。……優しいなぁ、りっちゃん)」

律「どこ行こっか?」

唯「あ、私カラオケ行きたいなー」

律「あれ?唯、買い物行きたいって言ってなかったっけ?」

唯「んー、ちょっと気が変わりまして」

唯「(りっちゃん寒いだろうし……早くどっか中入ろ)」

律「あぁ、そっか。じゃ、行こうぜ」

唯「りっちゃんの歌ってあんまり聞かないから楽しみだよ」

律「変なプレッシャーかけんなって……」

唯「でも今から歌うのも慣れとかないと。ほら、卒業式の日あずにゃんにさ」

律「あー、そうだなー。あれもそろそろ練習しとかないとな」

唯「ほらー、ね?」

律「よーっし!りっちゃんのエンジェルボイス聞かせちゃる!」

唯「これで超上手になっちゃったら次の新曲はりっちゃんがボーカルだね」

律「いや……それは……C-C-Bみたいになるだろ……」


唯「すいませーん、2時間ドリンク飲み放題で」

律「……」

唯「お待たせー。4階だってさ。あ、ドリンクバーは3階ね」

律「よく来んの?カラオケ」

唯「んー、たまにね。和ちゃんとか憂とかと」

律「へー。和ってそういうイメージ無いけど。その2人って歌上手いの?」

唯「めちゃくちゃ上手いよー。もうね、いつでもボーカル頼めるよ」

律「いや、そりゃお前の仕事だろ」

唯「さーて、とー」

律「?」

唯「うふふ、個室ですわよ田井中さん」

律「なんもしないぞー」

唯「防音ですわよ」

律「しねーって!恥ずかしいなー……」

唯「えーっ。ま、いいけどねー。いつでもできるし。……はいっ、りっちゃんマイク」

律「うん」

唯「……?え、曲入れないの?」

律「うん、1曲目唯が歌えよ」

唯「なんで?」

律「なんとなく」

唯「?……ま、いっか」

律「いーのいーの」

唯「君に、キースッマージック♪」

律「おー!うめー!さすが!」

唯「えへへへ……やだなー、普段から歌聞いてるでしょ?」

律「いや、唯のこういう歌初めて聞くからさー。新鮮。なんかテクノっぽいのも聞くんだな」

唯「りっちゃんの中ではどんなイメージだったの?」

律「そだなー。あ、『あーたし、さくらんぼー』みたいな」

唯「それも後で歌おっかな。りっちゃん『もう1回!』って言ってね」

律「言う言う。『うーイェイうー!』とか完璧に言うわ」

唯「あはは!あ、次りっちゃんだよ。はい」

律「よっしゃー」

律「ミルクティー飲みながらーあー♪」

唯「りっちゃん上手いじゃん!」

律「ふふーん。やー、どーもどーも」

唯「でも、りっちゃんのほうが意外じゃんかー」

律「そうかあ?」

唯「そうだよー。えーっと、りっちゃんはねー『ビ!キ!ニィ、スポーツザモンキースパーナポン!チン!』って感じ」

律「ホルモンかー。最近聞かねえな。……っていうか一応私、女なんだけど……ホルモンて」

唯「私と2人でいる時のりっちゃんは真逆だけどね」

律「あー……」

唯「AKBだよ、AKB」

律「アイドルですか……」


……

唯「次どこ行くー?」

律「私ん家来る?」

唯「いっ……!!」

律「うっそー。映画見に行こーぜ」

唯「……く……ああ……そ、そうだね。映画ね」

律「まだ明るいうちから発情してんなよ?」

唯「……ちょっと前までの、何言ってもアタフタしてるりっちゃんのほうが可愛かったなー」

律「へへーん。私だって成長するんですー」

唯「これかー」

律「あ、他に見たいのあった?」

唯「んー、そうじゃないんだけど。……あのねー、この映画カップルで見ると別れるって噂が……」

律「ばーか、そんな噂信じんなって。それで別れるカップルなんて、映画見なくたってどうせ別れてたよ」

唯「……あれ?りっちゃんが頼もしい……。あれ?」

律「惚れた?惚れた?」

唯「うん。惚れた」

律「………………お、あ、そっか。うん……」

律「(ガラガラだな……ま、平日の昼間だしな)」


律「……」

唯「……りっちゃん、りっちゃん」

律「なんだ?」

唯「キスしたい」

律「我慢しろ」

唯「うー……」

律「ったく……」

唯「……」

律「……」

唯「……」

律「(指……指っ……!なぞっ……かりかりすんなよー……ああ、もう、抱きしめたろかこいつ)」

唯「肩いっ、たーい」

律「……唯、見てる途中で手ぇ絡ませてくんなよ……。っていうか手つきがいちいちエロいんだよ、バカ……」

唯「あれ?スイッチ入っちゃった?」

律「……ちょっと」

唯「えっち」

律「唯のほうがえっち」

唯「どうしよっか。次、ホテルでも行っちゃう?」

律「い……!行かねーし!ほら、ご飯食べに行こっ!」

唯「やっぱりりっちゃんのキャラはこっちだよ」

律「くっそお……」


唯「私、お好み焼き食べたーい」

律「お、いいじゃん。行こうぜ」

唯「あのさ、イカ玉ってエロくない?イカ玉」

律「何考えてんだ、お前は……」

唯「ぐふふ……ねーねーりっちゃん、イカ玉ってエロく言ってみて」

律「また何言い出すかと思ったら……やーだよーだ」

唯「じゃ、こうしよう!エロく言えたらー……次えっちする時、超サービスしたげる……っていうの、どう!?」

律「はあ?なに…………え……サービス、って?」

唯「あのねー…………を、こう……したり……………とか入れ…………とか、どう?」

律「…………もう……ほら、耳貸せ……」

唯「わーい」

唯「はいっ」

律「……んんっ!あー…………いか、たまぁ……」

唯「……ぶふっ」

律「や、やらせといて笑うなぁ!」

唯「だっ、だってりっちゃん!あは、あはははは!イカ玉ー!」

律「もおーっ!あー、顔あっつ!」

唯「ご、ごめんごめん……あー、良かった。えっちかったよー、りっちゃん」

律「嘘つけっ。もうやだ!」

唯「ごめんって、りっちゃーん。……ね、サービスしますよ?お客さん」

律「……絶対だかんな」

唯「うへへ」

唯「私、豚玉にしよっかなー。あ、キムチもいいなー。うーん……あ!あんみつあるよ!あんみつ食べたいねえ!」

律「デザートはえーよ!」

唯「うーん。りっちゃんは何にする?やっぱりイカ玉?」

律「ミックス」

唯「…………すじモダン?」

律「ミックス焼だって!唯が言うと全部そう聞こえるからやめろっ!」

唯「失礼だなー」



「マヨネーズかけさせていただきまーす」


唯「はーい。……おおおーっ!?」

律「うっわぁ!すげー!」

「あはは……」


律「あ、すいません……」

唯「す……すごいですね!マヨネーズが、ぶぅわあぁぁって!もう1回見せてください!」

律「あほか!もうそれマヨネーズ味になるだろ!」

「し、失礼しまーす……」


唯「プロになれますよ!」

律「何のだよ!」

律「ほんと、お前子供かよ……」

唯「んふふ、だってー」

律「こういう時は幼いくせになぁ……」

唯「ん?こういう時は、って?」

律「なんもねーえよ。唯ちゃんはいっつも可愛いねーって事っ」

唯「えー、何それ?」

律「知らないっ」

唯「変なの…………あ、美味し」


「ありがとうございましたーっ」


唯「ごちそうさまー」

律「ごちそうさまでしたー」

唯「うっわ……寒いよー……」

律「もう冬だかんなー」

唯「りっちゃん、手ー」

律「んっ」

唯「恋人つなぎー」

律「五つ子できちゃうー」

唯「え、これ女同士でやった時はどっちが妊娠するんだろ?」

律「知らねーよ」

唯「やっぱり双子と三つ子なのかなー?」

律「できねーよ」


唯「うっ……わあ……!」

律「そっか、もうすぐクリスマス……」

唯「ツリーだあー!りっちゃん、ツリー!」

律「あはは……声でけーって!」

唯「だあって!ツリーだよ!めちゃくちゃおっきい……」

律「あー……ほんとでけー……綺麗だな」

唯「うん。……へへ、こうやって2人で手ぇつないでツリー見て、ってすっごいデートっぽいねえ」

律「歯に青ノリ付いてなかったらもっとロマンチックなんだけどな」

唯「先言ってよお……」



律「ゆーい」

唯「なーに?」

律「これ。あげる」

唯「ん?何?これ」

律「こないだ誕生日だったろ?だから、私から誕生日プレゼント」

唯「ええっ!?でも、前にみんなでちゃんと……」

律「あれは軽音部全員からの物だから、いいの。一応私、唯とこういう仲なんだからさ。ちゃんと私から、ってことで渡したいじゃん」

唯「りっちゃあん……」

律「開けてみて」

唯「うん…………おお……帽子だあ!もっこもこ!」

律「似合うといいけど」

唯「いや!似合わなかったとしてもかぶるよ!ほんとに嬉しい!ありがとう!」

律「おう。そこまで喜んでくれたら、私も嬉しいよ」

唯「……はいっ、どう?」

律「うん、似合ってる。可愛いぞー、唯」

唯「んふふ。りっちゃん、大好きっ!」

律「へへ……私も唯大好き」

唯「りっちゃん」

律「……んー?」

唯「ホテル行こっか」

律「だーめ」

唯「この雰囲気で、ダメって……りっちゃん……」

律「私達、これでも一応受験生だぞ?唯も帰って勉強するの」

唯「りっちゃんの口からそんな言葉が出るとは……!」

律「うるせー。………………あっ……?」

唯「え?……うわぁ……」

律「雪……」

唯「りっちゃんが珍しい事言うからだよー」

律「へーへー、私のせいですよーだ」

唯「……来年もこうしてようね」

律「うん」

唯「一緒の大学入ってバンドも続けて」

律「デートしてツリー見てな」

唯「寒いねって言って手ぇつないで」

律「うん。来年も再来年もだ」

唯「えっちもいっぱいしようね」

律「……どんと来いだ。安心しろって」

唯「んへへ、頼もしいな」

律「……帰ろっか」

唯「うん」

律「ありがとな、送ってくれて」

唯「いえいえ、とんでもないですー。帽子のお礼ですー。ほんとにありがとね。これ、すっごい暖かいよ」

律「ふふ、そっか」

唯「今日、すごい楽しかったね」

律「そだな。私も楽しかったよ。まあ、これからしばらくは勉強優先になっちゃうだろうけど……」

唯「うぅ……そうだね。……うん、じゃあ、また勉強の合間にメールとかするね!ばいばい!」

律「おー。ばいばーい」

律「……」

唯「……」

律「…………唯!」

唯「……?どしたの?なんか忘れ物?」

律「唯っ、その……」

唯「なーに?」

律「受験終わったら……ほ、ホテル行こっ!で、何してもいいぞ!」

唯「……」

律「……」

唯「りっちゃん……!私、死ぬ気で勉強頑張るねっ……!じゃっ!ばいばいっ!」

律「おう!」

律「(…………ああ……言っちまった。……はーっ……よしっ、私も頑張ろ。で、唯にいっぱいご褒美もらお)」


デート編 終わり



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最終更新:2010年12月21日 02:32