憂「おねーーちゃーーん」
唯「なぁに?」
唯「もう……変な子」アハハ
私は「唯ちゃん」と呼ばず
「お姉ちゃん」と呼びます。
だって私のお姉ちゃんだから。
響きがいいよね。
――お姉ちゃん。
うん。やっぱりいい。
何度見ても――呼んでもいいよ。
――学校
憂「――でね、こたつに並んで一緒にテレビを見てたんだぁ」
憂「ぼーっと見てたんだよ。こう肩を寄せてね」
梓「ふーん暇なら私達呼んでくれればよかったのに」
純「そうだよっ!日曜日なのに暇だったんだから!!」クワッ
憂「ふふふ。ごめんね、たまにはお姉ちゃんと一緒に、ね」ニコニコ
梓「私は休みはずっとギターさわってたなあ」ハァー
純「私ゲームしたり昼寝してた」
梓「時間をもっと有意義に使おう」
純「わかってますよーっと」
お昼休み。友達と一緒にお昼ご飯を取ります。
右手の黒髪でツインテールのかわいい子が梓ちゃん。
左手の茶髪で結構くせっ毛のかわいい子が純ちゃん。
大事な大事なお友達です。
梓ちゃんとは高校から知り合ったけど、すごく仲良くなっちゃいました。
純ちゃんとは中学からだね。そのころからも仲良いよね。
梓「――ちょっと憂聞いてる?」
憂「はいはい聞いてますよ~」
純「こんど遊びに行こうよー」
梓「映画とか見に行ったりとかさ」
憂「いいかも」フフ
梓ちゃんは長いツインテールを揺らして話しかけます。
お姉ちゃんも夢中になっちゃうくらいかわいい子です。
そんな梓ちゃんのあだ名はあずにゃん。
ネコさんみたいだからつけたようです。
梓「ん?じっとこっち見てなに?憂」
憂「ん~そうだなあ」ジロジロ
純「おお、憂が梓を品定めしている」
憂「あーずにゃん」
梓「へ」ドキン
純「おお、憂のお姉ちゃんだ」
梓「び、びっくりさせないでよ」
憂「呼んでみただけだよ」エヘヘ
梓「だいたいそう呼ぶのは唯先輩だけだから」
憂「む~。じゃあこれでどうだ」スルリ パチン
憂「あーずにゃん!」ギュ
梓「にゃーーッ!」
純「あー憂が唯先輩に変身した」
梓「くっ。ヘアピン付けて髪ほどくだけでこうも変わるなんて」
純「さすが平沢姉妹」
憂「えへへ~」
梓「もう離れてよ~」
憂「はいっ」サッ
梓「ふ~」
憂「イヤだった?」
梓「いや……そんなことないけど」
憂「よかったぁ」ニコニコ
梓「その状態でやられると唯先輩にされたみたいだよ」
梓ちゃんはちょっぴり頬を赤くして言いました。
かわいいですね。お姉ちゃんが夢中になるのもわかる気がします。
抱き心地といえば最高でした。柔らかくて夢中になりそうでした。
お姉ちゃんみたいに頬擦りしたかったけど、それはまた今度。
梓ちゃんとお話していると純ちゃんが言います。
純「私もあだ名が欲しい!」
梓「あだ名?」
憂「純ちゃん!」
純「それあだ名かあ?ちゃん付けただけじゃん」
梓「りっぱなあだ名だよ。あずにゃんよりよっぽどね」
憂「お姉ちゃんが一生懸命つけたのに」シュン
梓「即決した感じだったけどね」
憂「じゃあ、じゅんにゃん?」
憂「純ちゃんもネコ耳合いそうだもんね」フフフ
梓「すごいお似合いだね」ニヤニヤ
純「うぉぉおい。なんか言いにくいよ!」
憂「やっぱり純ちゃんは純ちゃんがいいよ」
梓「そうそう純以外考えられない」
純「そうかな~」
憂「純ちゃーん」ニコニコ
純「なぁに」ブスー
憂「呼んでみただけ」ニコニコ
梓「じゅ~ん」
純「なぁに」ブスー
梓「呼んだだけ」
純「はいはい」
口を尖らせながらぶっきらぼうに答える純ちゃん。
その様子はどことなくお姉ちゃんに似ていました。
お姉ちゃんと純ちゃん。
ちょっぴりだけ行動が似ているのかもしれません。
憂「はい、純ちゃん機嫌なおして。あーん」
純「むぐ。玉子焼きだけじゃあ機嫌はなおんないね」
梓「しょうがない。私のアスパラベーコン巻きをあげる」
純「アスパラあんまり好きじゃないんだよねぇ」
憂「好き嫌いが激しい子はゆるさないよ!」
梓「そうだよ。はい食べた食べた」
純「むぎゅ」モグモグ
憂「えらいえらい」ニコニコ
純「ベーコンおいしい~」
憂「私の玉子焼きは~?」
純「メッチャおいしい!」
憂「よかった」ニコニコ
梓「アスパラぁぁ」
純ちゃんはマイペースなところもありますが
快活で一緒にいて楽しいです。
いつかお姉ちゃんみたいに抱きついて
髪の毛をもふもふしてみようと思います。
それからしばらくすると
きーんこーんかーんこーんと鐘がなりました。
憂「じゃあ、またね。純ちゃん、梓ちゃん」
純「またーー」
梓「うん、後でね」
――そして放課後
憂「梓ちゃん、一緒にかえろっか?部活ないよね」
梓「うん。帰ろう」
純「ジャズ研はちゃんとあるのであった」
憂「部活がんばって!」ファイト!
梓「がんばれー」
純「がんばるよ~」ヘイヘイ
――とてとて
憂「――でね、お姉ちゃんがリビングで演奏してくれたの」
梓「うんうん」
憂「いろいろ歌ってくれたんだ。ギー太もすごいがんばってたの」ニコニコ
梓「それはすごいね」
憂「でね、それからね――」
梓「へ~」
梓「あっ、私こっちだから」
憂「そっかぁ。また明日だね」バイバイ
梓「うん、またね」
憂「梓ちゃん」
梓「ん?」
憂「またね」バイバイ
梓「うん」バイバイ
――――――――――
――ありがとうございました
憂「お買い物済ましたし、はやく帰ろう」
憂「今日ちょっと買いすぎちゃった。重たいなぁ」ヨイショ
憂「うーんうーん」
唯「うーさぶいさぶい」ブルブル
唯「はやくういのあったかご飯が食べたいよ」トテトテ
憂「あっ、あの後姿はお姉ちゃん!」
憂「おねーーちゃーーん」
唯「ん?」クルリ
唯「あ、うーいー」ブンブン
憂「よいしょ」
憂「わぁーーい」ダダダ
――がつっ
憂「あ」
唯「あ」
――どてん ごろごろ
憂「いったぁぁ……」
唯「憂!だいじょうぶ?」
憂「うん、ちょっぴり慌てちゃったみたい」
唯「ひざ、血が出てる」
憂「ああぁ食材がぁ」ウルウル
唯「憂のケガのが大事だよ」
憂「私なら平気。すぐ治るよ」
唯「早く帰って手当てをしよう」アタフタ
憂「うん、帰ろう」スク
散乱した食材を袋に詰めて立ち上がりました。
いつもはこんなおっちょこちょいはしないけど
帰りに普段見ないお姉ちゃんがいたので焦っちゃったのかな。
お姉ちゃんは荷物は私が持つよと言いながら私から荷物を受け取りました。
ちょっぴり痛むひざを抱え、お姉ちゃんの後を追います。
最終更新:2010年12月21日 23:47