● 憂side
今日の私はなかなか冴えている
いや、いつも冴えているのだが、今日はより一層と冴えている
憂「予想とは違ったけど、とりあえずいつのまにか律さんを家に引き込むことは成功……私はなにもしてないけど……」
おねえちゃんに寝かされたベッドの上で足をバタバタさせたりする
憂「ただ……問題は……仮病を使っちゃったから、心配されて普通に行動できない……」
あぁ、さっき熱を測るために、おねえちゃんの手が当てられていた額が熱い
……あぁ、おでことおでこで測かってくれてもよかったのに
……そのまま唇と唇が近づいていって……
憂「(きゃああああ////!!)」バタバタ
……っは!!、こんなことをしてる場合じゃない。
まずはおねえちゃんと律さんの距離がもっと近づくようにしないと!!
~~憂妄想side
律「唯、愛してるよ」チュッ
唯「あぁん、駄目だよ、りっちゃん、憂が見てるよ~」
律「ははは、憂ちゃんもおいで~」
憂「//////」
律「ほら、憂ちゃんにも」チュッ
唯「あ~、私も憂にする~」チュッ
―――
憂「きゃああああああ////うんうん、いいよおおお」バタバタバタ
はっ!!そうとなったら、少しでも今の様子を探らないと
まずベッドから降りて、床に耳をつければ……下の階の声も
憂「聞こえない……」
こうなったら
部屋から脱出して、ばれないように様子をうかがうしか
そうとなったら話は早い
いざっ、外の世界
――ガチャッ
ドアを開け放った先、そこにはおねえちゃんがいた
唯「えっと、あははは……ちょっとバタバタと音がしてたから憂が魘されてるのかなって様子を見にきたんだけど……」
あぁ、困惑顔のおねえちゃんもかわいいなぁ。
でも
憂「……その……えっと、ちょっとさっきまで熱に浮かされていたかな……なんて」
唯「あはは、そうだよね……うん、憂ももう少し寝ておいたほうが……」
憂「ううん、もう大丈夫だよ!おねえちゃん」
今もう一度ベッドに連れ戻されるわけにはいかない。私には使命があるから
唯「そう……?でも、私とりっちゃんは今から買い物に行って来るから、憂も安静にしておくんだよ~」
献身的な看護士さんのことを白衣の天使ってあらわすことがあるけど、もともと天使なおねえちゃんはなんてあらわせばいいんだろう
ゴッド!?もしかして神様なの?女神様なの?おねえちゃん!
憂「うん。でももう大丈夫だから。心配しないでおねえちゃん」
今からおねえちゃんと律さんが買い物デート!!
つまり
……これは後をつけるしかないよ!!
● 梓side
ほんとうに大人気ない
誰がって?もちろん先輩達に決まっている
こういう時くらい後輩に譲ってくれてもいいものを……
………よく考えたら先輩達、来年も唯先輩と一緒にいられるじゃん
紬「だめよ、梓ちゃん。どうせ梓ちゃんのことだから、頻繁に唯ちゃんに会いに行くだろうからそれは理由にならないわ」
心の中を読まないでください眉毛先輩
……まぁ、行きますけど
仕方が無い。ここは私が少し大人になって
梓「あのー、それならもうみんなで行きませんか?」
紬「………」
澪「………」
え?なに、なんですかこの空気?私悪いこといいました?
すると眉毛先輩が溜息をつきながら
紬「はぁ……しかたないわねぇ……梓ちゃんがどうしてもっていうなら……」
澪「まったくだ。でも可愛い後輩のためにそのくらいの我侭きいてやるかー」
え?なんなの?なんでこの人たちこんな偉そうなの
紬「でも、ここで梓ちゃんの我侭きいてあげるんだから、当然後から私達の我侭もきいてくれるわよね♪?」
しまったあああああああああああああ!!そういうことかあああああ
……まさかこれをずっと狙ってたのかあああああああああ
ずっと貼られていた罠。そこへまんまと飛び込んだ私。そしてニヤけた先輩
なんという汚さ
これは圧倒的な私のミスだ。先輩方の汚さを侮っていた
ここは……
梓「いや、それじゃぁいいです」
澪「いやいや、後輩の我侭も聞けなくてなにが先輩だ、な?ムギ?」
紬「えぇ、梓ちゃんのお願いですもの。聞いてあげましょう」
駄目元で発言を撤回しようとするが、やはりだめ
汚い。ほんと汚い
● 澪side
よくやった梓。よくこの静止した場を動かしたな
心の中でだけは褒めておいてやろう
それにしてもムギがあんなこと言い出したのには少し驚いたが、
すぐに真意に気付いてよかった
……さすがに梓より1年長い付き合いなだけあるな
と自分を褒める
まさか強引に貸しの形にまで持っていくとは……
紬「さぁ、早く行きましょう。あ、唯ちゃんのカバンは私が持つわね」
おい、待て
澪「いやいや、やっぱり私が持つよ。ムギはさっきから動きっぱなしだしな。律と戯れたり、紅茶いれたりと」
そういえば律は元気だろうか
いや、きっと元気なんだろうなぁ。天国でも
あ、でもあいつこの前、唯の消しゴムぱくってまったく同じ消しゴムに取り替えてたから地獄かもなぁ……
そういや、あれどうしたんだろう。
梓「いや、ここは私の我侭なんでやっぱり私が荷物は持ちますよ」
あ、とうとう開き直って我侭って認めたのか
……貸しと唯のカバンと天秤にかけたら、カバンのほうに傾いたんだろうなぁ
紬「それじゃぁ、しかたないわね~。ジャンケンにしましょう♪」
澪「うん、まぁそれでいいよ」
梓「………」
さぁ、梓、ジャンケンは嫌です とでも言ってしまえ
梓「……それでいいです」
ちっ、貸しが2つになるチャンスだったのに
紬「じゃぁいくわよ~。じゃんけーん♪」
澪・梓「ぽん」
一発で勝負は決まった
● 律side
我が事ながらにすごく恐ろしい
なにが恐ろしいって今の自分の幸せが、だ
左を向けば楽しそうに歩く唯の姿が
唯「ん?なに、りっちゃーん?」
律「いや、平和だなぁって……」
唯「あははは、なにそれー。りっちゃん、じじくさいよ~」
律「うるせぇやい」
あぁ、本当に幸せだ
ただ平和と言ったことは、嘘だ
いや、それが平和なままでいてくれるか、脅威をもたらすかすらもわからないが
……やっぱりいるよなぁ~
住宅街を曲がった瞬間に、振り返りカーブミラーをみた
律「(どうみてもあれ、憂ちゃんだよなぁ~)」
尾行のつもりだろうか
そこにはコソコソと後をつけながら、なぜか顔が紅潮している憂ちゃんの姿が
……まさか私、刺されたりしないよな……?
憂ちゃんは極度のシスコンだ
もはやそのシスコンっぷりは唯を愛してるといってもいいほどだろう
その憂ちゃんがこの唯とのイチャイチャっぷりをみたらどう思うだろうか
……まぁ、唯がいるうちは大丈夫だよな……?
考えてみれば私と唯がくっついたら、憂ちゃんは義妹になるわけか
……姉妹どn
いや、ありえないか
まぁ、憂ちゃんに気に入られるようにしておこう
● 憂side
ふふふ、そのまま腕をからめちゃえばいいのに
……じゃましちゃいけないと思って、コソコソついてきたけど
案外楽しいかも
憂「ああ、あの真ん中に私が入れたらもっと最高なんだけどな~」
あ、角曲がった
あれ、今カーブミラー越しに律さんと目があったような
……気のせいかな?
憂「ばれたならいっそ、開き直ってあそこに混じるのもありかな?」
そんなことを思っていると
……ん?あの前方にいるのは……
● 唯side
今日の私はごきげんだ
ほんとに幸せ日和
あずにゃんはいつもどおりかわいいし
澪ちゃんはモンブランのクリをくれるし
ムギちゃんは自分の分を我慢してまでケーキを食べさせてくれるし
りっちゃんはこれからハンバーグを作ってくれるし
唯「~~♪」
律「おっ、唯、なんかごきげんだな」
唯「うん、だって毎日が楽しいからねっ」ニコッ
その言葉にりっちゃんがなぜか顔を赤くする
あれ?なんか変なこといったかな
まぁ、いっか
律「おい、唯危ないから前をみて歩……け……」
りっちゃんが言葉をつまらせる
なんだろう、前を見て固まっちゃった
りっちゃんの目線の先を見てみると
唯「あっ!澪ちゃんに、ムギちゃんに、あずにゃん!!」
● 律side
今私は幸せの絶頂だったのに……
唯がニコッと笑顔を見せたときには見とれてしまった
そして、そのまま抱きしめてやろうかとおもった途端に
これだ……
紬「あらぁ~、りっちゃん、こんなところにいたのね~♪ 探したのよ~♪」
かけよりながら、そんなことをいうムギ
……どうみても嘘ですよね。ムギさん
それにしてもまずい
間違いなく前の三人は私に……
澪「よぉ、律~。心配したんだぞ~」フミッ
律「あいたっ!!」
澪さん、足踏んでます。しかも今勢いつけて踏みましたよね
梓「ほんとですよー、律先輩。急にいなくならないでくださいよ」
律「いたいいたいいたい!」
わき腹つねるのも勘弁してください、梓さん
唯「りっちゃん?」
ほら、唯が心配そうな顔でこちらを見つめてくる
ほんと唯さん天使です
あぁ、もう抱きしめたい
てか、お前らほんとに唯の天使っぷりを見習え
● 憂side
きたあああああああああああああああああああ
とうとうおねえちゃんのハーレムルートだよっ!!
ふふふ、やったね憂ちゃん。義姉ちゃんが増えるよ
あ、でも梓ちゃんは同じ年かぁ
うん、でも同じ年の義姉ちゃんってジャンルもありだよね
憂「ふふふふ……」
● 梓side
まさか律先輩がこんなうらやましいことになっていたなんて……
よく考えたら、律先輩って、横取りだけど唯先輩のアーンも受けてるんですよね
その上、いつのまにか唯先輩とこんなところで
もう一回ぐらいつねってもバチはあたらないかな
律「いたっー」
こんなもんで唯先輩との時間が共有できたんですから、安いもんでしょう?
あ、そうだ
梓「唯先輩、カバン忘れていってましたよー」
そういって戦利品を唯先輩に差し出すと
唯「おおっ!!すっかり忘れてたよ~」
「ありがと~~あずにゃ~~ん」ダキッ
これだ。私はこれのために今日一日がんばったと言っても過言ではない
一生のじゃんけん運をこのために使ったかもしれないが、後悔はない
梓「……もう忘れないでくださいよ///」
嘘だ
もっと忘れてください
そのたびにあなたのあずにゃんがお届けいたします
紬「あ、そうそう唯ちゃん、お見舞いにケーキもってきたの~♪」
唯「えっ、ほんと!! わぁい、ありがとね~ムギちゃーん」ガバッ
っち、あの沢庵先輩はなんてタイミングで……
あぁ、カムバック唯先輩の温もり~
唯先輩に私と同じように抱きつかれたムギ先輩と目があった
……なんて、幸せそうな顔をしてるんだ
あぁ、私もあんな顔をしていたんだろうか
……まぁ、唯先輩は天使だから仕方ない
最終更新:2010年12月23日 01:31