遊義皇第13話 - (2007/02/06 (火) 17:17:55) の最新版との変更点
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天辺博士の探索隊、突如姿を消す。
天辺博士はエジプト史を研究し、氏が発見した地下に埋る逆ピラミッド型の建造物の研究に当たったが、
一ヶ月経っても帰って来ず、救助隊が救助に向かったが発見できなかった、
エジプトの警察は隠し部屋で行動不能となり死亡したと判断、調査は打ち切られ、立ち入り禁止となった。
以上、鉄筋社発行、7年前の日東新聞2面記事より抜粋。
(二封気視点)
「うむ、やっぱり駅弁は電車内で食うに限るな。」
色々用事を頼んだクロックや正念党の動向に不安がるのが筋なんだろうが…旨い物を辛気臭い気分で食べる理由にはならない、
それにクロックだったら俺と違って子供達に言い包められる事も無いだろうし、正念党の刺客も巳式クラスになら勝てるしな。
「…あ、すいません、もしかして二封気くん?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには見覚えの有る顔が1つ。
端正な顔に似合わないスキンヘッドに、更に似合わない鳳凰のタトゥーを刻み込んだ個性的な顔は他に無い。
「……そうです、二封気くんです、
まさか祢祢(びね)さん、正念党二番目の刺客が貴女とは思いませんでしたよ。」
彼女の顔は訝しげな表情に歪む。
「刺客って……二封気くん、もしかして二封気くんも復党強要されてたりするの?
それなら心配ないわよ、君が抜けてから私も熾貴も兄さんも……つまり灸焔3兄弟全員脱党したから。」
熾貴(おき)=灸焔3兄弟末弟でバーンデッキ使い
「なんだ、俺はてっきり……ってことは祢祢さん達も復活を迫られてるんですか?」
「私たちは大丈夫、ホーちゃんにしっかり言ったし、代わりにエビちゃんって幹部衆に入りたい子を紹介したから。」
がー、がががーががー
俺が次の言葉を発するより早く、列車は急停車した。
「なんだ? 飛び込み自殺か?」
「いいえ、二封気くん、東京みたいに人口密集度の高いところならともかく、ここみたいな田舎では…」
瞬間、電車の戸を張り手で打ち破り、前の車両からマスクを被った大男が、こちらもマスクを被った少女を左側に引き連れ、中腰で侵入してきた、
少し車内を見渡して俺と目が合い、そのままヅカヅカと近付き、少女に耳打ちした。
「……あんたが列効二封気ね?」
「チガウヨ、ボクハウチュージンノハムエッグ3世ダヨ」
「え? そうなの? 悪かったわね。」
自分でボケといてなんだが、騙されてくれるとは思わなかった、
しかも女の子はご丁寧に大男に英訳して説明してくれて……大男が開いている方の手で頭を押さえ、女の子にツッコミを入れる。(勿論英語で。
「って、そんなバカみたいなウソにだまされるわけないでしょーが! この××××ッ!」
子供に暴言を言われるのは慣れているから別に良いが……騙されてたよなぁ、アレは。
「俺、英語喋れるぜ?」※英語だと思ってください、ここで「I can speak English.」なんて言ったら可哀想な会話になるので。
「……そうか、それは助かる、俺の名前はウォンビック、ここでは言えないが『あの組織』から派遣された。」 ※当然英語です。
「二封気くん、やっぱり正念党の人?」※日本語です。
整理すると俺と女の子が英語と日本語の両刀、弥祢さんが日本語オンリー、ウォンビックが英語オンリー……どっちで喋れと?
「……悪いが二封気さん、俺とのデュエルを要求する、
俺が勝ったらおまえには正念党に戻ってもらう、おまえが勝ったら好きにしろ。」 ※英語です。
「断ったら?」※英語です。
ウォンビックは折り曲げていた腰を思いっきり伸ばし、頭突きで電車の天井をぶち抜いた。
「わー! ブラックマイン様さっすがー!」 ※英語です。
いや、それって明らかに人間のパフォーマンスじゃないよな?
「……同情はするが俺も引き下がることはできない……、
デュエルを断ればデュエリストではない、デュエリストでないならば……殴っても正念党としての規則は乱さない。」 ※当たり前ですが英語です
「正念党の規則第29条、デュエリストをデュエル以外で傷付ける者はデュエリストの資格無し、ってやつか?
アレはデュエリストを殴るなって意味で、デュエリストじゃないヤツを殴って良いってルールじゃねぇぞ。」 ※しつこいようですが英語です。
「……作り手の趣旨は無視するのがデュエリストだろう、テキスト通りの解釈だけをしてる内はデュエリストではない。」 ※絶対に英語です。
デカイだけじゃなくて屁理屈も言うのかコイツ。
「二封気くん…2対1なら…私も手伝うわよ?」 ※えい…いや日本語です。
「あんた……もしかして灸焔3兄弟の二子、キュウエンビネ?」 ※日本語です。
祢祢さんはあっさり頷き、女の子はその事をウォンビックに知らせる。
「祢祢さん、いくらダメ大人の俺でもそこまでは面倒見て貰うわけには行きません。」 ※日本語です、きっと多分。
「……灸焔祢祢、お前も正念党のリストに載っている、要注意人物…そしてスカウトの必須対象としてもな、
二封気に手を貸し…デュエルするならばお前にも相応の物を賭けてもらうぞ。」 ※英語だってば。
俺が和訳し、祢祢さんに耳打ちする。
「つまり私が負けたら正念党に復党しろって事ね、いいよ。」 ※日本語だろーが。
「話が纏まったわね、それじゃあウォンビック様、行きましょう。」 ※前半日本語・後半英語
その言葉を聞き、ウォンビックが俺・と祢祢さん、そして女の子を一纏めにして抱きかかえ、自分が頭突きで開けた穴へと飛び上がった。
「………暴れるなよ、ちょっとやそっと暴れたぐらいでは離さんが、全力で暴れられたら。」
「ちょちょちょちょじょじょじょじょじょJOJOっと待てぇええええ! このまま走って行く気かぁあああああ!?」 ※日本語、つーか英訳不可能。
人を3人抱え、舗装もされていない野道を走ってもなお、このウォンビックは時速50キロ以上のスピードで走っている…これってギネスだよな?
「光栄に思いなさいよ、あんた達みたいな××××が、私や子供達だけの特等席のブラックマイン様にダッコしてもらえるんだから!」
これはダッコか? この振動だけで昇天しそうなコレが?
俺と祢祢さんが吐きそうに為る中、更に森の中へと進むウォンビック。
(作者視点)
乗り気な子供3人と引率のクロックが刀都屋の裏口に勢揃いしていた。
「それじゃ、刀都屋探検、開始するぞ! おー!」
『おー!』
「おー………。」
刃咲の号令に従って叫ぶ福助と壱華、そして対象的にげんなりなクロック。
「それじゃあ、新店長刃咲蕎祐率いる探索隊、行くぜ!」
えーっと、説明させてください。
30分前。
「えー、と言う訳で二封気は暫らく戻らないと思います。」
クロックはおっさん達のデュエルしろコールに律儀にもイカサマ無しで全員倒し、
その後に刀都屋の店舗を二封気に貸していた助姫さんに事情を説明し終えた。(当然福助はいない。)
「あの福助って子には言わないで下さいよ、絶対にしつこく尋ねてくるし、行き先までは言うわけには行かないので。」
「……あの店舗は余ってたヤツだから家の管理も兼ねて貸してた店だから別に良いけど……店自体はどうするの?」
「二封気が言うには、誰か引継いで店やる奴が居ればそちらにやってほしいそうです。」
退屈そうに2人の話を聞く蕎祐へ振り向く助姫。
「……蕎祐、やってみる? 刀都屋。」
その言葉を冗談と思ったのはクロック一人だったが、そのクロックも数秒で雰囲気を理解した。
「蕎祐くんはまだ八歳ですよ!? それを……。」
「私も6歳でメス持ってたしね、何より重要なのは年齢よりも実行する意思だと私は思う、どうする蕎祐?」
そして刃咲は意思を持ってる事を表示し、今に至る。
意外にも掃除の手が行き届いた生活スペースに、クロック以外の初めて入った子供たちはかなり驚いた、
二封気は絶対に家事とかできそうにないと思っていたらしい。
「でも二封気さん、どこに行ったんだろうね……。」
二封気の影を探すような目で部屋を見渡す福助。
「どこだろうなー、おれはしらないぞー。」
口を滑らせたらクロックの勝手、とばかりにフォローもせずに散策を続ける刃咲。
「拍子抜けだな、てっきり2階には拳銃とかレアカードとかが飾って有ると思ったんだが。」
「有るとしたら、押入れの中とかでしょ……ちょっとこっち来て、3人とも。」
壱華に続いて中を覗きこむ男3人。
「改造デュエルディスク……だよね?」
そこには着色され、通常のデュエルディスクには付ける必要も無い部品が据え付けられたデュエルディスクが6~8台が無造作に放置されていた。
「あぁー、あいつはディスク改造が趣味だからな、気に入った奴には全員ディスクを渡してたんだよ。」
その言葉を聞いて、刃咲の心中にいくつかの疑問を持ったが、言葉として発する前に壱華が持ち前の傍若無人振りを発揮した。
「それじゃ、1台ずつ貰って帰ろうか。」
「勝手に持ってっちゃ駄目だよ! 壱華ちゃん!」
「何言ってるのよ福助、ディスクは使わなきゃしょうがないし、私達がお気に入りじゃないわけないでしょ。」
「それもそうだなよなぁ、壱華、俺も持ってくのは賛成だぜ!」
自信満々な壱華、興味ある福助、便乗する刃咲。
「あぁー、別に持ってても良いと思うぜ? あいつの事だから使い手もいないのに作ってただけだろうから。」
「それじゃあ遠慮なく、俺はこの赤いヤツが良いな。」
「私はこのブラウンのボーガンが付いてる…なんだ? 矢を装填するんじゃないのかな?」
「あ、じゃあ僕は。」
「じゃあこの一番小さいヤツね、福助は。」
「……僕、そっちのドリアード色したヤツの方が・・・・・・。」
「最初に良い子ぶった福助に選択権は無い!」
先生! 壱華ちゃんが福助君を苛めてます!
「あぁー、ガキども、手首に漢字が1つ掘り込んである筈だ、それがそのデュエルディスクの名前で能力名だ。」
ダメ大人1号の『角』は見た目で能力が分かったが・・・・・いかんせん外見に大きな違いは見られない。
「ほう、俺のは……『火』だな。」
「こっちは『狩』、福助のは?」
「……なんだろ、これ、白川?」
他のメンバーも覗きこんでみるが、刃咲や壱華の知っている漢字は主にデュエルモンスターズで扱ってる漢字だが、カード内で見覚えはない。
唯一の大人、クロックも日本語は典型的な喋れる・書けない・読めないの旅行者らしく、全く認識できない。
その上、二封気の文字は決して綺麗とは言えず、『狩』や『火』ですら結構苦しい。
4人はとりあえず、それを無視してその奥のダンボール箱を引きずり出した。
「…へぇ、〔封印されしエクゾディア〕・〔サンダー・ボルト〕クラスが箱一杯入ってる。」
「マジで!? うおおおお! 激レアぁああ! これも俺は持って帰るぜー!」
刃咲、それじゃあ火事場ドロボーだよ。
「あぁー……言い難いんだがな、蕎祐、それは偽造カードだ。」
ビシッ!
「二封気は公式デュエルで使えない偽造カードでも取っておく、っつータイプだったからな、
なんでも『偽造でもコイツらに罪はない、破いたり捨てたりするのはデュエリストのクズだ』と度々力説してたぞ。」
そういうのを力説するのはダメ大人チックだが、デュエリストとしては悪くない…と思うよ、闇遊戯アニメでレアハンターのカード破いてたけど。
「ところでダメ大人2号、どうして二封気はこんなに大量に偽造カードを持ってるんだ?」
『うっ!?」
当然の疑問とも思える発言に言葉を詰まらせるバカ正直な福助とクロック。
各メンバーの情報状況、クロック→一通り事情を知っている、福助→二封気が元レアハンターだった事を知っている。(2話)
刃咲→クロックが事情を知っている事を知っている 壱華→競馬でどの馬に賭ければ勝てるかを知っている。
「あぁあああああん、ど…どうしてだろうな~? 俺はダメ大人2号だから分からないぞ~?」
「僕もよくわかんな~い。」
当たり前だが、壱華と刃咲は騙せない。
「まあ、秘密っつーなら良いけどな。」
「同感、それに偽造カードなら前にアンティで奪ったカードも使えてない状況だし、いらない。」
(二封気視点)
ウォンビックが人外のスピードで走って辿り着いた山の中、俺は乗り物酔いならぬ人間酔いをし、そのまま意識を失っていた、
既に祢祢さんとトガ(あの女の子の名前、ウォンビックにダッコされている間に聞いた)は既にデュエルを始めている。
「…使用するルールは新エキスパートのシングルデュエルだ、良いな?」
「それはそうとして、幹部連中は元気か? ホーティックとかシャモンとかよ。」
「……シャモンは俺が勝てないほど健康だ、ホーティックは…まあボチボチだ。」
なぜかホーティックの件でトガに視線を送る……?
「ん? ところでその言い方だとお前はシャモンと殴り合いの喧嘩したのか?」
別に同じチームといっても色々有っただろうし、殴りあったこと自体は不思議ではない、
だが疑問が一つ、シャモンの必殺技のマウス・イン・クランプ(口中の足痛)で倒されたならコイツの様に歯が揃っている筈が無い。
「……ああ、俺が卵の様に傷が無い事が不思議か? 俺は昔から体の治りが早くてな、骨折くらいなら2日で治る。」
「いや、歯は折れたら戻らないと思うが。」
「……歯ぐらい折れたら生えるだろう。」
「さっすがブラックマイン様♪」
……ああ、殴り合いとかじゃなくて良かった……。
「もう一個質問、お前は負けられない理由とか有るか?
例えば肉親が人質に取られてるとか、負けると組織追放されるとか、負けると体内の爆弾が爆発して俺もろとも自爆するとかそういうヤツ。」
「……少し前なら有ったがな、今はシャモンのお陰で無い……今はただ…自分の為に戦える。」
最高の回答だ、相手が自分の力で最大に戦い、叩き潰さない理由も無い。
「それならオーケーだ、『俺は誰々の力も継いでいるから負けない』とかいうのが有ると2対1で戦うことに為るからな。」
ちゃんと英語で言ってるのにウォンビックはよく分かっていない模様、
アメリカには『俺は親友の力も引き継いでいるから負けない!』とかいうジャンプ系は無いのか?
「行くぜ!」
『デュエル!』
ランプが点灯したのは…ウォンビックのデュエルディスク。
「…先攻を貰うぞ(手札6)、モンスターを裏側守備表示で召喚、2枚セットして終了だ。(手札3・伏せ2)」
「俺のターン!(手札6枚) 手札から〔E・HERO ウッドフェアリー〕を攻撃表示し、 アタック!」
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>E・HERO ウッドフェアリー </Td><Td>地属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1400</Td><Td>DEF200</Td></Tr><Td ColSpan="6">植物の肉体を持つ両性具有のE・HERO、同じ種から生まれた兄弟剣・リーフブレイドで悪を切り裂く!(オリカ)</Td></Table>)
〔E・HERO ウッドフェアリー〕(攻撃力1400)VS(守備力200)〔魂を削る死霊〕→無効。
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>魂を削る死霊</Td><Td>闇属性</Td><Td>アンデット族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK300</Td><Td>DEF200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードは戦闘によっては破壊されない、魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった時、このカードを破壊する。<BR>このカードが相手プレイヤーへの直接攻撃に成功した場合、相手はランダムに手札を1枚捨てる。 </Td></Table>)
「……俺の〔魂を削る死霊〕は戦闘では破壊されないからな、〔ウッド・フェアリー〕の攻撃なんぞ関係ないな。」
「ならばこの瞬間! 手札から速攻魔法〔吸収融合〕を発動!
手札の〔沼地の魔神王〕とお前の〔魂を削る死霊〕を融合し、融合デッキから〔ナイトメアを駆る死霊〕を特殊召喚!」
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>吸収融合</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手フィールド上の融合モンスターカードによって決められた表側表示のモンスター1体を融合素材として扱い、モンスターを特殊召喚する。(この融合は正規融合として扱う。)<BR>この効果で融合モンスターの特殊召喚に成功した時、カードを1枚ドローする。(オリカ)</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>名前</Td><Td>闇属性</Td><Td>アンデット族</Td><Td>レベル5</Td><Td>ATK800</Td><Td>DEF600</Td></Tr><Td ColSpan="6">「魂を削る死霊」+「ナイトメア・ホース」<BR>このカードは戦闘によっては破壊されない、魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった時、このカードを破壊する。<BR>このカードは相手フィールド上にモンスターが存在しても相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。<BR>直接攻撃に成功した場合、相手はランダムに手札を1枚捨てる。 </Td></Table>)
二封気手札3→手札4(吸収融合の効果)
「そして〔ナイトメアを駆る死霊〕の攻撃! ナイトメア・ディーヴァー!」
「…伏せカードオープン、〔グラヴィティ・バインド―超重力の網―〕だ。」
グラヴィティ・バインド―超重力の網― 永続罠
フィールド上に存在する全てのレベル4以上のモンスターは攻撃をする事ができない。
「ロックデッキか? 俺は1枚伏せてターンエンドだ。(手札3・伏せ1)」
「……お前に言う必要性を感じんな、俺のターン、ドロー(手札4)…裏守備でモンスターを召喚、手札を3枚セットして終りょ…」
この瞬間を待っていた! 潰れろ!
「伏せカード発動! 〔王宮のお触れ〕!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>王宮のお触れ</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカード以外の罠カードの効果を全て無効にする。</Td></Table>)
「……ターン終了だ。(手札0・伏せ4・発動中1)」
「眉一つ動かさないか、ナイス平常心(手札4)、俺は〔未来融合―フューチャー・フュージョン〕を発動し〔F・G・D〕を指定だ。」
真紅眼の黒竜 真紅眼の黒竜 真紅眼の黒竜 沼地に住まうドラゴン 沼地に住まうドラゴン→デッキから墓地へ
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>未来融合-フューチャー・フュージョン</Td><Td>永続魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のデッキから融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、融合デッキから融合モンスター1体を選択する。<BR>発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に選択した融合モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。<BR>このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。<BR>そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>F・G・D</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK5000</Td><Td>DEF5000</Td></Tr><Td ColSpan="6">「ドラゴン族モンスター」+「ドラゴン族モンスター」+「ドラゴン族モンスター」+「ドラゴン族モンスター」+「ドラゴン族モンスター」<BR>このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。<BR>ドラゴン族モンスター5体を融合素材として融合召喚する。<BR>このカードは地・水・炎・風・闇属性のモンスターからは戦闘ダメージを受けない。 <BR></Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#ccb028" Border="2"><Tr><Td>真紅眼の黒竜</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル</Td><Td>ATK2400</Td><Td>DEF2000</Td></Tr><Td ColSpan="6">攻撃力は上級レベル。まぼろしの超レアカードだ!</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>沼地に住まうドラゴン</Td><Td>水属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1500</Td><Td>DEF200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードを融合素材モンスター1体の代わりにする事ができる。(その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。)<BR>このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、お互いのプレイヤーはカードを1枚ずつドローする。(オリカ)</Td></Table>)
「……流石は超融合、そのカードも持っていたのか。」
「更に! 手札から〔龍の鏡〕と〔連続魔法〕を使うぜ!」
真紅眼の黒竜・真紅眼の黒竜・沼地に住まうドラゴン→除外、真紅眼の守護竜→融合デッキから特殊召喚。
真紅眼の黒竜・沼地に住まうドラゴン→除外、メテオ・ブラック・ドラゴン→融合デッキから特殊召喚。
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>龍の鏡</Td><Td>通常魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分のフィールド上または墓地から融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、<BR>ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする) </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>連続魔法</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の通常魔法発動時に発動する、手札を全て墓地に捨てる。<BR>このカードの効果は、その通常魔法の効果と同じになる。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>メテオ・ブラック・ドラゴン</Td><Td>炎属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル8</Td><Td>ATK3500</Td><Td>DEF2000</Td></Tr><Td ColSpan="6">「真紅眼の黒竜」+「メテオ・ドラゴン」</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>真紅眼の守護竜(レッドアイズガーディアンドラゴン)</Td><Td>闇属性</Td><Td>ドラゴン族</Td><Td>レベル12</Td><Td>ATK3800</Td><Td>DEF4500</Td></Tr><Td ColSpan="6">「真紅眼の黒竜」+ 「真紅眼の黒竜」+「真紅眼の黒竜」(オリカ)</Td></Table>)
「1ターンで攻撃力3000以上のモンスターを2体……見事だ。」
「行くぜ! 〔E・HERO ウッド・フェアリー〕で裏守備へ攻撃だ!」
〔E・HERO ウッド・フェアリー〕(攻撃力1400)VS(守備力600)〔メタモルポット〕→メタモルポット破壊、墓地へ。
メタモルポット 攻撃力700 守備力600 地属性 岩石族 星2
リバース:相手と自分の手札を全て捨てる。その後、お互いはそれぞれ自分のデッキからカードを5枚ドローする。
「〔メタモルポット〕の効果発動だ、俺もお前も手札を5枚に為るように引け。」
二封気手札0→手札5
ウォンビック手札0→手札5
「予想はしてたぜ、手札を不自然なまでに伏せたからな…だが! だからこそ俺はこの攻撃が出来た!
〔真紅眼の守護竜〕! 〔メテオ・ブラック・ドラゴン〕! 〔ナイトメアを駆る死霊〕! 直接攻撃だ!」
「伏せカード発動! 〔スケープ・ゴート〕! そして〔エネミー・コントローラー〕!
羊トークンによって〔メテオ・ブラック・ドラゴン〕と〔真紅眼の守護竜〕の攻撃は無力化、
直接攻撃のできる〔ナイトメアを駆る死霊〕は〔エネミー・コントローラー〕の効果の対象となり破壊される!」
〔メテオ・ブラック・ドラゴン〕(攻撃力3500)VS(守備力0)〔羊トークン〕、羊トークン破壊。
〔真紅眼の守護竜〕(攻撃力3500)VS(守備力0)〔羊トークン〕、羊トークン破壊。
ナイトメアを駆る死霊→墓地へ。
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>スケープ・ゴート</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">このカードを発動する場合、自分は発動ターン内に召喚・反転召喚・特殊召喚できない。<BR>自分フィールド上に「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)を4体守備表示で特殊召喚する。<BR>(生け贄召喚のための生け贄にはできない) </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>エネミー・コントローラー</Td><Td>速攻魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">次の効果から一つ選択して発動する。<BR>●相手フィールド上に存在する表側表示モンスター1体の表示形式を変更する。<BR>●自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。相手フィールド上の表側表示モンスター1体を選択し、<BR> 発動ターンのエンドフェイズまで選択したカードのコントロールを得る。</Td></Table>)
「っち、バトルフェイズ終了! やっぱり罠だけじゃ無かったのかよ
……ん? どうした? 何笑ってるんだ?」
あの2枚が発動し、俺のバトルフェイズを防ぎきった今、初めてウォンビックの顔が歪んでいた、しかも似合いもしない不自然すぎる笑みに。
「いや、なに……生まれて18年、いままでは危機感を楽しむ余裕が有るデュエルなんぞは数えるほどしか無くてな、それが面白かっただけだ。」
「……あんたその図体と顔で俺より年下、しかも未成年だったのか?
じゃあこの二封気兄さんからのアドバイス、もっとハラハラ感を楽しみたいなら何もせずにエンドするのを勧めるぜ、間違い無くドキドキだ、
俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ!(手札3・伏せ2・発動中2)
「ふふふ…遠慮しておこう、ドロー(手札6)、さてどうするかな……。」
こいつみたいな奴が幹部衆に居るなら俺がいなくても正念党は安泰だな、
事情も無く単身で勝負を挑み、更に俺を安心させるとは……俺の中のロック使いのイメージ変わりそうだな、コイツは。
この後にコイツが見せたプレイングは更に俺の中の常識をぶっ壊してくれた。
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&html(<table border="1" bgcolor="#D7F2F2" width="1200"><tr><td><font size="2"><center>)
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&html(<Table Border Bordercolor="#1e332c" Cellspacing="10" cellpadding="5"><Td BgColor="#b2a5cc">正念党、本格始動!<BR>レアハンター組織、制々正念党の七人衆(七票多人式決定衆会の略)は数ヶ月前に4名の欠員が出ていたが、<BR>グールズの人員を吸収し、アドバンテージ保持の『追走者』、超重量級ロック使い『不動不死』、ピアスの男『四界の王』を補充するも、<BR>やはり『超融合』に続いて抜けた主要メンバーが多く、絶頂時に比べて新規加入メンバーは多いが総合戦力は80%といった所、<BR>その為、『超融合』の再加党の為にかなりの手段を用いている。<BR>以上、情報サイト『マウスコミューン』より抜粋。</Td></Table>)
----
刃咲
・LP:7900
・手札:1
・モンスター:アルティメット・インセクトLV7
・魔法・罠:伏せ1
・フィールド:黒きハイエルフの森
クロック
・LP:8000
・手札:5
・モンスター:異次元の生還者
・魔法・罠:伏せ1 マクロコスモス
----
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>アルティメット・インセクト LV7</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル7</Td><Td>ATK2600</Td><Td>DEF1200</Td></Tr><Td ColSpan="6">「アルティメット・インセクト LV5」の効果で特殊召喚した場合、<BR>このカードが自分フィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力・守備力は700ポイントダウンする。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#0f9926" Border="2"><Tr><Td>黒きハイエルフの森</Td><Td>フィールド魔法</Td></Tr><Td ColSpan="4">フィールド上に存在する昆虫族モンスターの攻撃力・守備力が300ポイントアップする。<BR>昆虫族モンスターが破壊された時、そのカードのコントローラーのライフを1000ポイント回復する。(オリカ)</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>異次元の生還者</Td><Td>闇属性</Td><Td>戦士族</Td><Td>レベル4</Td><Td>ATK1800</Td><Td>DEF200</Td></Tr><Td ColSpan="6">自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがゲームから除外された場合、<BR>このカードはエンドフェイズ時にフィールド上に特殊召喚される。 </Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>マクロコスモス</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分の手札またはデッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚する事ができる。<BR>また、このカードがフィールド上に存在する限り、墓地へ送られるカードは墓地へは行かずゲームから除外される。 </Td></Table>)
「刃咲くん! ずるいよ、刃咲くんだけでデュエルするなんて!」
「デュエル中には別の話題はしないのがマナーよ、福助。」
蕎祐は『てめぇが二封気とデュエルしたいって言ったからデュエルしてるんだろうが!』とでも言いたそうだが、耐えている。
ここで言えばクロックとの賭けが成立しなくなり、二封気の情報は手に入らない。
「……勝ったあとに説明してやるからよ、ちょっと待ってろ。
さあ、クロック、これでやっとサマ抜きの正面対決だ、カードを引け!」
普通のイカサマ師は複数の技を臨機応変に使いこなし、成果を挙げるもの。
しかしながら、クロックの場合は小道具などは使わず、小手先だけの手札入れ替えを極めてしまい、他の小技はガキの手習いレベルでしかない。
「あぁー、ドロー(手札6)。
俺は〔紅蓮魔獣 ダ・イーザ〕を召喚する。」
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>紅蓮魔獣 ダ・イーザ</Td><Td>炎属性</Td><Td>悪魔族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK?</Td><Td>DEF?</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードの攻撃力と守備力は、ゲームから除外されている自分のカードの数×400ポイントになる。 </Td></Table>)
その名の通り紅蓮に輝く魔獣は、異次元に存在するカードの波動を写す紅玉の鏡。
肉が増える、体が脹らむ、攻撃力が上がる。
紅蓮魔獣 ダ・イーザ:攻撃力?→攻撃力3200 守備力?→3200
「! 大きい!」
「刃咲くん!」
「あぁー、手加減しねぇぜ蕎祐、守備表示の〔生還者〕を攻撃表示に変更。」
「最初からしちゃいねぇだろうが…ダメ大人。」
「あぁー、そりゃそうだ……俺のバトルフェイズ。
〔ダ・イーザ〕で〔究極虫〕への攻撃、スペースサンダー!」
「させるかぁッ!〔和睦の使者〕ァ!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>和睦の使者</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">発動ターンだけ相手モンスターからの全て戦闘ダメージを0にする。 </Td></Table>)
2つの巨体が激突する数秒前に、使者による停戦条約が可決し、撃ちかけていたエネルギー砲を収めるグレンダイザー。
「あぁー……リバースカードを1枚伏せて終了だ。(手札4・伏せ2・発動中1)」
「俺のドローフェイズ(手札2)!
〔アルティメット・インセクト〕で〔異次元の生還者〕を攻撃だ! 究極害病砲LV7!」
〔アルティメット・インセクト LV7〕(攻撃力3000)VS(攻撃力1800)〔異次元の生還者〕→生還者除外、クロックLP8000→LP6800。
このデュエル中、初のダメージにたじろぐクロック。
手札入れ替えさえできていれば、前のターンで〔聖なるバリア〕の1枚もセットしていたのだが。
「あぁー、クソ、だが〔マクロコスモス〕がある限り、〔異次元の生還者〕は何度でも生還するぜ。」
「いいや、無駄だ!
〔アルティメット・インセクト LV7〕と〔黒きハイエルフの森〕をゲームから除外。
……来い!〔アルティメット・インセクトLV9〕!」
「あぁー…?」
アルティメット・インセクト LV7:ゲームから除外。
黒きハイエルフの森:ゲームから除外。
アルティメット・インセクト LV9:エクストラデッキ→刃咲のフィールド
&html(<Table Border BorderColor="#6b23b2" Border="2"><Tr><Td>アルティメット・インセクト LV9</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル9</Td><Td>ATK3400</Td><Td>DEF2100</Td></Tr><Td ColSpan="6">「アルティメット・インセクト LV7」+「表側表示で自分フィールドに存在している魔法カード」<BR>アルティメット・インセクト LV7が戦闘でモンスターを破壊した時、上記の融合素材をゲームから除外する事でのみ特殊召喚できる。<BR>(融合の魔法カードは必要とせず、アルティメット・インセクトLV7が召喚・反転召喚・特殊召喚されたターンや他の方法では召喚できない。)<BR>またこのカードは魔法カードの効果を受けず、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は半分として計算される。(オリカ)</Td></Table>)
「なんだありゃあぁっ!?」
ギャラリーのひとり、寝ぼけ眼の八百屋のサブローさんがクロックや他のギャラリーの代わりとばかりに叫ぶ。
「究極虫シリーズのモンスターは、はフィールド残留・戦闘で敵撃破という2種類の経験地を稼ぎ成長する。
幼虫たる〔LV1〕時点では魔法を弾く外殻を持つが、攻撃力と毒鱗粉のためにそれを脱皮し捨て去る。」
本物の昆虫を解説するように、刃咲は頭上で羽ばたく神々しいまでに毒々しい蛾について語る。
「だが、この〔LV9〕は完成形!
毒を散らす羽と巨体、それを包む魔封じの鎧、負ける気がしねぇーぜ!
まだ俺のバトルフェイズは終わってないぜ! 〔&html(<RUBY><RB>LV9<RT>レベルナイン</RUBY>)〕で〔ダ・イーザ〕を攻撃!」
レベルナインの翼から雹のように振る毒の雨に打たれ、魔獣の紅蓮の皮膚はただれ、腐り、緑色になっていた。
そこに攻撃力3000級の衝撃をくらっては、耐える事など夢のまた夢。
〔アルティメット・インセクト LV9〕(攻撃力3400)VS(攻撃力1800)〔紅蓮魔獣 ダ・イーザ〕→ダ・イーザ、破壊・ゲームから除外、クロック:LP6200→LP4600
「ま、これ以上はレベルアップしねーから安心しとけ、手札を2枚ともセットしてエンド!(手札0・伏せ2)」
異次元の生還者:除外→クロックのフィールド
「あー、お前のエンドフェイズで〔生還者〕が守備表示でフィールドに戻る。
俺のターン、ドロー。(手札5)……モンスターを裏守備で召喚、ターンエンド。(手札4・伏せ2・発動中1)」
クロックが伏せ出したのは〔異次元の偵察機〕。
〔生還者〕と同じく、〔マクロコスモス〕下では無限に再生するモンスターである。
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>異次元の偵察機</Td><Td>闇属性</Td><Td>機械族</Td><Td>レベル2</Td><Td>ATK800</Td><Td>DEF1200</Td></Tr><Td ColSpan="6">このカードがゲームから除外された場合、<br>そのターンのエンドフェイズ時にこのカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。</Td></Table>)
「ドロー(手札1)……いよっしゃ! 伏せ状態の〔働き蜂への報酬〕を発動し、〔ランスタッグ〕を攻撃表示!」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>働き蜂の報酬</Td><Td>永続罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">自分フィールド上のモンスターが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与える度に、自分はカードを1枚ドローする。(オリカ)</Td></Table>)
&html(<Table Border BorderColor="#cc7a28" Border="2"><Tr><Td>ランスタッグ</Td><Td>風属性</Td><Td>昆虫族</Td><Td>レベル3</Td><Td>ATK1550</Td><Td>DEF820</Td></Tr><Td ColSpan="6">守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。<BR>このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合、フィールド上のモンスターを全て攻撃表示に変更する。(オリカ)</Td></Table>)
現れたのはカブトムシのように野太い角を持ったモンスターだが、よく見るとカブトムシにしてはやけに平たい。これはクワガタムシだ。
&html(<ruby><rb>槍<rt>ランス)と&html(<ruby><rb>クワガタ<rt>スタッグ)をかけた名前、ということだろうか。
「〔ランスタッグ〕で〔生還者〕へ…攻撃!」
ランスタッグの豪槍は、あっさりと生還者の貧相な肉体を貫き、クロックの腕にも深い傷を残す。
〔ランスタッグ〕(攻撃力1550)VS(守備力200)〔異次元の生還者〕→生還者除外、クロックLP4600→クロックLP3250
刃咲:手札0→手札1(働き蜂への報酬の効果)
「あぁーっつう、貫通持ちかよっ!?」
「更に! こいつは相手にダメージを与えた時に他のモンスターの防御体制もぶっ壊す! スタッグハンマー!」
ランスタッグは角に刺したままの生還者を地面に叩きつけ、その衝撃によって裏守備表示の偵察機はメンコのように空中に弾き飛ばされた。
「行け! 〔アルティメット・インセクト〕ォ!」
空中でバタバタする〔偵察機〕は、何の抵抗もできずにアルティメットインセクトに抱かれ、破片というより粉になるまで抱きしめられ、消失した。
〔アルティメット・インセクト LV9〕(攻撃力3400)VS(攻撃力400)〔異次元の偵察機〕→偵察機除外、クロックLP3250→クロックLP250
刃咲:手札1→手札2
「ターン・エンド!(手札2・伏せ1・発動中1)」
異次元の偵察機:除外→クロックのフィールド
異次元からの生還者:除外→クロックのフィールド
「将棋で言うところ……王手、ってやつだね。」
「確かに。
次のクロックのターンで〔ランスタッグ〕を除去できなければ貫通ダメージで勝利。
でもクロックのモンスターは〔アルティメット・インセクト〕の効果で攻撃力が低下して倒せるかどうか…。
倒せたとしても返しのターンの〔インセクト〕の攻撃で終わるわね。」
福助と壱華は寝起きで朝飯も食ってないのに冷徹に見極める。
クロックもわかってはいるが、人に言われると更にヤバイ気がしてくる。
「あぁー、この状況を打破できるカードっつったら……デッキにあと4枚ぐらいか……?」
「残りが22枚、22分の4か、奇跡って言うには高い確率だな。 気合で引いて見せろダメ大人。」
「バカヤロウ、気合で好きなカードが引けるならイカサマなんてしねぇっ!」
正論なのだが、凄まじく情けない。
だが、クロックは目をつぶり、神経を統一し、デッキのカードにしっかりとエネルギーを込める。
「だが引いてやる! あぁーァァアアがぁあああ! ドロー(手札5)ッ!」
ドローカード:閃光の追放者
もちろん、逆転できるカードではない。
「挙動が一々ダメ大人のクロックさん、4枚の内の1枚かドロー強化系は引けましたかー?」
福助のモノマネか、やたらに礼儀正しい口調の刃咲がすごく良い笑顔で笑いかける。
残された選択肢はエンド宣言をして刃咲の攻撃で死ぬか、サレンダーするかしかない。
クロックは手札を入れ替えようとも考えたが、周囲には人の目、そしてオセロ村唯一の電気屋にしてカメラマニアの田中さんが収録までしている。
普通に考えて、こんな状態では手札入れ替えなんぞできるはずはない。
……“普通に考えれば”。
「ふゥー……あぁー……ま、七人衆たる者……“普通”程度じゃなぁ。」
「なんだと……?」
「あぁー、やりたくはねーんだぜ?
指も痛いしよォー、これもダチの二封気を思えばってヤツでな。」
言葉とは裏腹に、クロックは削り取ったような笑顔だった。
「何の話だ?」
「あぁー、2回はやらないし、2回はできない。
だから瞬きなんてするなよ? クシャミしてて見てなかったって言い訳も嫌いだぜ?」
ポーカーフェイス、という物がある。
ポーカーをしている時、強い手であっても弱い手であっても表情に出さず、一定の表情を保つ物である。
これができるかできないか、それだけで結果が変わるほどの物である……が、クロックはそんな物は使わなかった。
表情から相手がそれを察したとしても、クロックの技は“決して証拠を押さえられない”のだから関係ないのだ。
「ここなら指がぶっ壊れても助姫さんが居るからな、気兼ねなくできた。」
『できる』ではなく、『できた』と確かにクロックは言った。
クロックはアメリカ人だが、下手な日本人よりは日本語は上手いはずだった。
「……ハッタリだろ?」
「あぁー、そう思ってるってことはお前には見えなかったんだな?
他の皆さんもかな?」
ギャラリーはいきなり話を振られ、困惑している。
誰にも見えず、数秒前とはなにひとつ変わった様子はない……クロックの右腕、指の付け根から黒い血が滲んでいる以外は。
「あぁー、やっぱり助姫先生に治してもらわなきゃなァ。
薬指と中指の感覚がねぇ、“2枚”でこれじゃァ……。
カードを2枚セット、エンドだ。(手札3・伏せ4・発動中1)」
クロックは自分の魔法・罠置き場を埋め尽くすと、あっさりエンド宣言をした。
そんな挑発とも取れる態度に、刃咲は自分にこう言い聞かせた、『ハッタリだ、手札入れ替えなんて無理に決まってる』と。
目を逸らさせるのが狙いなのだ。 そうに決まっている。
「ドロー!(手札3)
…ビビってなんてやらねえ、俺のバトルフェイズで……」
「あぁー、タンマ。
お前のスタンバイフェイズで発動したいカードがある。」
「何…?」
「伏せカード発動、〔D.D.ダイナマイト〕。」
&html(<Table Border BorderColor="#b21162" Border="2"><Tr><Td>D.D.ダイナマイト</Td><Td>通常罠</Td></Tr><Td ColSpan="4">相手の除外されたカードの数×300ポイントダメージを相手に与える。</Td></Table>)
数ターン前からセットされていたカード……刃咲の除外カードが溜まるまで待っていたというところか。
刃咲:LP7900→LP5200
「っツゥ…が、まだまだ負けねぇっ!」
「あぁー、その通り、まだまだその程度では倒せない。
だから、だ。
薬指と中指の分……前のターンに伏せた“2枚”の伏せカードも発動。
2枚目の〔D.D.ダイナマイト〕、さらにチェーンして3枚目の〔D.D.ダイナマイト〕!」
「な……っ!?」
刃咲の足元に、2つの爆弾が転がってきた。
左右対称、シンメトカルな爆撃が刃咲を炙る。
刃咲:LP5200→LP2500→LP0
「す…すげぇ、ライフポイントを一気に削りきった…!」
「あれは一度手合わせしてもらいたいねぇ、朝ご飯食べた後で。」
盛り上がるギャラリーとは真逆に、刃咲は歯軋りをしつつデュエルディスクを折りたたむ。
そんな刃咲に、クロックは足早に近付き、語りかける。
「“賭け”は俺の勝ちだ、約束は守れよ?」
刃咲は、自身の敗北によって“友人”である福助の再戦を叶えてやれなくなった。
クロックは、自身の勝利によって“友人”である二封気の情報を守りきった。
何かを背負っている者は強いというが、背負っているものが同じ場合、残るのはただの実力差である。
「……ああ、約束は守る、ところでクロック、カセットテープを買う気は無いか?」
「あぁー?」
刃咲はポケットから延長コードで何本か中継したイヤホンを『耳に付けろ』というジェスチャーを含めてクロックに渡す。
耳に入れた瞬間に流れ出す、聞き覚えの有る2つの声。
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【あぁー、それでも俺は自分の頭を殴ってでも喋らなかったんだぞ、言えねぇよ。】
【…それなら賭けデュエルしようぜ、俺が勝ったらあんたが知ってる限りの二封気の情報を教える、
あんたが勝ったら俺は福助に『クロック・ジュフが二封気の情報を知っている』って事を言わない。】
【あぁー? 別に言われたところで俺は困らんぞ?】
----
「……どういうことだ?」
「俺は約束通り、福助には“クロック・ジュフが二封気の情報を知っている”ということを伝えない。
だけどなァ…俺も子供だしなぁ…。
偶然録音したカセットを、偶然友達に聞かせないとも…限らないなぁ?」
クロックの浸っていた勝利の余韻は、あっさりと薄まった。
「あぁー……こんな詐欺紛いのことを……デュエリストの誇りは無いのか!?」
「手札の入れ替えなんてことをするお前には言われたくねぇな。
……俺もいくらなんでもこんな屁理屈で全部教えろとは言わない、情報のヒントだけでカセットを売ってやる。」
どうやら大音を立ててギャラリーを呼んだのも刃咲の手段らしい。
こういう不当な状況でもは大人と子供、腕力に物を言わすこともできない。
「あぁー、また論点のボカシだな、負けておいてカセット1本で懐柔しようとしてる。
言っておくが、俺は…」
「皆さーん、実はですねー、このクロック・ジュフ23歳、カッコ独身はー!」
「だぁあああっっ!?」
思わず刃咲を抱きかかえ、口元を押えるクロック…それがいけなかった。
そもそも、ここで『クロックが二封気の情報を知っている』なんて言えるわけが無かった。
言ってしまえば交渉の余地が無くなり、福助はクロックを質問責めにする…それだけだ。
福助はクロックがノイローゼになっても聞き出そうとするだろうが、クロックはそうなっても友達を売ることをしないだろう。
「あぁー…しまった…。」
刃咲は8歳にして、ゆすりの基本を修得していた。
すなわち、相手に思考の暇すら与えず、反論もさせず、ひたすら自分の都合の良い方向に向ける。
精神年齢はおいといて、実年齢ではまだ子供である刃咲をいきなり抱きかかえ、黙らせた村の外から来たクロック。
どう見ても、悪いのはクロックである。
「で? どうするんだ? クロックさんよ?」
クロックにしか聞こえない声で言う。
「あぁー…わかった、こうしよう。
俺は二封気の行き場所も目的も知ってるが、こんな方法では言うわけにはいかねぇ。」
「ヒントで見逃してやる、さっさと言え。」
パッと刃咲を手放し、クロックはギャラリーに徹していた福助の方を向き直った。
「あぁー! 福助ェー! お前、二封気に会いたいか!?」
いきなり話を振られても、福助の応えは決まっていた。
「はい!」
「あぁー…なんつーか、俺は二封気の情報は知らん! だがヒントは教えてやる!」
クロックは、ニガテなポーカーフェイスでウソを隠す。
刃咲から見ればバレバレなウソなのだが、福助を騙すくらいはできたようだ。
「はい! お願いします! 教えてください!」
「二封気にはレアハンターに知り合いが多い。
情報を得るなら、レアハンターと交渉するのが一番!
レアハンターを追うならレアハンターが一番だが、ここは二番のセカンドハンターを推す!」
「セカンド…ハンター?」
知っているだろう、という前提で喋っていたクロックだが、セカンドハンターの存在は一般には知られていない事を行ってから気付いた。
「あぁー…レアハンターを狩るハンターだ!
プロデュエリストになるとKCのデータバンクに所持レアと名前が登録され、それをレアハンターはハッキングして盗み見る。
普通のデュエリストは、所持していても使わないレアカードは登録しないが、セカンドハンターは全てのレアカードを登録する。」
「そのレアカードの情報で、レアハンターを釣る。
だからハンターを狩る第二のハンター、セカンドハンターってわけか。」
刃咲も初耳だったらしく、感心して頷いた。
「…それってつまり、強いレアハンターさんとたくさんデュエルできて……
しかも二封気さんとも会えるかもしれない、ってことですか!?」
「あぁー、セカンドハンターを目指すなら急いだ方が良いぜ?
セカンドハンターには星5以上の認定が必須だが、星の認定には公式大会にでなけりゃならねぇ。
…一番近いのは、確か明後日のナニワカップか?」
「うわぁあっ! ありがとうございます! クロックさん」
これでいいだろ? とアイコンタクトをするクロックに、刃咲は無言でカセットテープを渡す。
受け取ると同時にテープを引き出し、グチャグチャの状態でポケットに押し込んだ。
「で、刃咲くん、さっき言い掛けた言葉の続きって何?
【クロック・ジュフ23歳、カッコ独身はー!】の次。」
「ああ、あれね。
あれは…。」
ニィっとイタズラっぽく一笑い。
「クロックが、希望者とデュエルしてくれるってよ! 無制限に!」
「あぁああっっ!?」
驚いたのはクロックだけ。 デュエル大好きの村民たちは目を輝かせる。
「なにぃ! なら最初はワシじゃ! 若造にはまだ負けん!」
「いいえ! 僕です!」
既にギャラリーは20人以上、どんどん増えていくだろう。
無理な手札入れ替えによって指は痛いし、飯も食ってない、そんなコンディションでデュエルをする人数じゃぁない。
「はぁーさぁーきぃー?」
「頑張れ、ダメ大人♪」
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