第80話 ある昼下がりの賢者
放送が流れる。
禁止エリアは13時にC-5、15時にG-3、17時にE-6。
ミカエルは放送内容の内、それだけを頭に入れておいた。
死者の名前なぞ興味は無い。
「ちっ、ムカつくぜ…」
誰に言うわけでもなくミカエルは呟く。
ゲーム開始直後に2人殺した後、久しぶりに見つけた『標的』。
だがあと少しという所で逃してしまった。
しかも一度自分が負けた相手に一杯食わされて、だ。
腹いせにその辺りの民家を殴りつけたが、その程度では収まらない。
獲物を探して平瀬村を歩きながら考える。
死者の数は13人。その内自分で殺したのは2人。
残りの11人は自分以外の参加者が殺したことになる。
どうやら他にも殺し合いに乗った奴が多いようだ。
このペースなら、主催が言っていたようにゲームの終了も早いかもしれない。
村の中を探したが、ミカエルが期待するような防具は見つからなかった。
どうやら武器防具といった物はあらかた淘汰されているようだ。
他の連中が持っていったのか、最初から置かれていなかったのかは分からない。
いずれにせよそういったアイテムを入手するには、他の参加者から奪うしかなさそうだ。
今の所体力には問題無い。
あの青い髪の男にやられた頭の傷は大した物では無いし、それ以外に攻撃はほとんど受けていない。
強いて言えば、魔力を多少消費した程度か。
いつもより魔力の減りが早い気がするが、これが最初に主催者の言っていた制限とかいうやつなんだろう。
だとすると、あまり魔力を使いすぎるとガス欠という事も考えられる。
そういう事がないよう、魔力は少し節約しながら戦った方がいいかもしれない。
まあ自分の技がまともに決まれば、普通の人間なら一撃で殺せる筈。
よほどの強敵では無い限り、無駄遣いするという事は無いだろう。
小一時間ほどエリア内を回ったが、獲物は見つからない。
今からでもエルネスト達を追うか?
…いや、焦る事はない。時間はたっぷりある。
まだ49人もの参加者が生きているのだ。必ず何人かはこの村に集まってくるに違いない。
気を取り直し、ミカエルは再び平瀬村の探索にかかった。
【G-2/真昼】
【ミカエル】[MP残量:80%]
[状態:頭部に傷(戦闘に支障無し)]
[装備:
ウッドシールド@SO2、
ダークウィップ@SO2(ウッドシールドを体に固定するのに使用)]
[道具:
ミックスグミ、
魔杖サターンアイズ、荷物一式]
[行動方針:最後まで生き残り、ゲームに勝利]
[思考1:どんな相手でも油断せず確実に殺す]
[思考2:平瀬村で獲物を探す]
[思考3:使える防具が欲しい]
[現在位置:平瀬村]
[備考]:デコッパゲ(チェスター)は死んだと思っています。
【残り36人】
最終更新:2007年11月21日 13:56