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  • 再構成2
    第一章 第六節 『十色の光を放つ者』 「ご案内しますね」 エレンがにこやかに微笑みながら先導して廊下を歩く。 居住空間の、決して広いとは言えないながらも質素な廊下には午後の日差しが窓から差し込み、暖かい空間ができあがっている。 「あ、畑があるよ~!」 春日が窓の外を覗きながら嬉しそうに報告する。 「ええ、私も育ててるんです。すごく落ち着きますし、楽しいですよ」 エレンも嬉しそうに振り返り、自分の育てている植物のことなどについて喋りだす。 歩きながら楽しそうに話す二人と何かを考え込んでいるような澪を横目に琴菜はなんとなく窓の外を眺めながらついて歩く。 「……」 ふいにぴた、と窓の外を眺めたまま立ち止まった琴菜に気づいてエレンがふりかえる。 「どうしました?」 「いや……なんだか畑を掘り返してるのがいるなと思って…というか羽はえてる...
  • Main Story Ⅱ-2
    Back to Ⅱ-1 第二章 第二節 「明日から少し、移動ペースを上げようと思う」 ぱちぱちと小さく焚き火の音が響く中、ルギネスが思案顔で言った。 「コトナは慣れていないから道中きついかもしれないが頼む」 急に片方だけの視線を向けられて、エレンと共に食事の準備をしていた琴菜が慌てて首を振った。 「あ、あぁ気にしないでくれ。湖が枯れるなんてよっぽどの事だろうし」 「ヴェルギリウス周辺は水の恩恵の街ですから心配ですね……。いくらなんでも完全に枯れてるとは思いたくないですが、水車は大丈夫でしょうか」 ゆっくりとスープをかき混ぜていたエレンも顔を曇らせる。なんとなしに剣を触っていたカサンドラが答えるように頷いた。 「雨もそれなりに降ってた。と言っても降らなくてもそんな簡単に干上がる量じゃないし……。水ありすぎるのも困るけど無いのも困るよなー」 「ええ……...
  • 再構成
    プロローグ 『収束、あるいは幕開けの』 許される介入は限られる。 既にこの手を離れた世界。 人が、人として、人の手で、選び取る一筋。 そこに介入は許されない。 許される境界は、深く、狭い。 ”今”の私は、澪標。 限りない分岐を指し示す。 さぁ、選び取れ。 選択せよ。偶然を必然に、必然を未来に。 時の針を進めよ。不確かな未来を定めよ。 未来を現実に。その手にせよ。 「”今”の私は、眺める者。分岐を示し、祈る者。 私の手を離れても、 選択され、定められ、現実になってゆく未来を、 見届け、記憶し、伝える存在」 第一章 第一節 『ココではないどこかへ』 一緒にいたいと望むことに もし、資格が必要なのだとしたら 持ってるもの、全部投げ出してでも 一緒にいられる資格が欲しい。 許して欲しく...
  • Main Story Ⅱ-5
    Back to Ⅱ-4 第二章 第五節『湖畔の狂想曲』 またしても大振りの戦斧の一撃を横に飛び退いて避ける。 固まっていては避けにくくてしょうがないので出来るだけ仲間から離れる。 最初の一撃で馬鹿力なのは承知していたので愛用の長剣で受けることは考えない。 カサンドラは不敵に笑いながら相手の隙を窺う。 どちらかというと隙は作る方なのであまり得意ではない。だが、いつものように戦っていては疲れからこちらに隙が出来てしまう。 「……俺、あんまり忍耐強くないんだよなぁ……」 訓練されているのかなかなか隙を見せない魔物兵に、焦りを軽口で誤魔化しながら強烈な一撃を右に左に避け続ける。 交錯する一瞬に斬りつけてみるが分厚い装甲の鎧に阻まれて思うようにダメージを与えられない。 「ムダだ、スナオにシぬの、イチバンラク」 笑いを含んだ獣の声と共に薙ぎ払ってくるのをし...
  • Main Story Ⅱ-1
    Back to Ⅰ-15 第二章 第一節 見えていること、見えていないこと。 気付く、新しい世界。 何も変わってはいないのに。 今すぐ君に、会いたくなった。 それでも、今は。 あそこではないどこかへ。 大事なものの無いどこかへ。 せめて、何かが変わるまで。 『閉ざされた水の街』 穏やかな気候の中、軽やかな足取りで馬は進む。緑の多い景色と暖かな日差しに包まれていれば自然と心も弾んだ。 特に春日は何を見ても興味をもつらしくいちいち馬車を降りたがり、エレンを少々困らせていた。 「ねぇ今何かそこで動いたよー!」 「あら、本当ですね。一体なんでしょう?って……あぁっあまり乗り出したら危ないです!」 「あっあっちも!」 騒がしい馬車を微笑ましさ半分、呆れ半分で見やりながら琴菜が笑う。 「こら春日、あんまり迷惑かけるな……子供じゃあるまいし」 ...
  • Main Story Ⅱ-10
    Back to Ⅱ-9 第二章 第十節 結局、カムフラージュになるかと身を覆っていた深い緑色のマントを湿った地面に敷いて一晩を明かした。 すぐそばに魔物兵がいるということもあって春日以外一睡も出来なかった。 しかし、物陰に隠れているとはいえすぐそばにあるはずの陣からは物音一つしていない。 朝日がようやく一条の光を放った頃、大胆にもテントに近づいていったカサンドラは昨日とは打って変わって足音一つ立てずに戻ってきた。 「本隊にしては数が少なかった。町に出払ってんのかな?」 「……いや、奴らの目当てが石精霊なら、わざわざ多数が町にいる必要は無いだろう。何かあったのか?」 「人数は少なかった、って町の人は言ってたよな」 琴菜が呟くとカサンドラはそうだっけ?と惚けてみせる。 「昨日街にいた魔物兵、随分訓練されていた。なぜかはわからないがいるとしたら精鋭だろう...
  • 再構成3
    第一章 第十一節 『願うこと、祈ること。信じること、諦めること。』 澪が眺めているのは、この世界では極々当たり前の日常らしい。 どこにいたのかというくらい多くの人々が、それぞれ自分に出来ることをやっている。 穏やかな春の日差しの下、血生臭い狂宴の後片付けが着々と進んでいく。 破壊された家の残骸を片付け始める少年達。鋭い爪に抉られた若い兵士の傷に涙を浮かべながら、それでもその出血を止めようとする少女。 夫婦なのだろう、互いの無事を喜び合う男女。幼い我が子の怪我に狼狽する両親。 瓦礫の下から助け出された老夫婦。放心したように座り込む女性の目の前で瓦礫を掘り返す青年。 それでもあちこちで歓声が上がる。 石畳の道から血の跡が流されていく。空気に残る錆びついた血の匂いは薄まらない。 雑踏の隅にしゃがみ込んで、目の前を流れる人並みを眺める。 何をしたら...
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