繋がる命 ◆iK/S6sZnHA
「きゅうん……(お腹減ったよ……)」
これからは、ひもじいのも寒いのも感じないで、ネロとお空で幸せに暮らしていけると思ったのに……。
僕は悪い人間のせいで、無理矢理生き返らせられて、しかも殺し合いをしろって言われたんだ!
なんでそんなことしなきゃいけないのか僕にはわからない。
死ぬのってすごく苦しくて、悲しくて、寂しいことなんだよ?
一度死ぬことの辛さを経験した僕には、殺し合いなんて出来ないよ!!
僕は悪い人間のせいで、無理矢理生き返らせられて、しかも殺し合いをしろって言われたんだ!
なんでそんなことしなきゃいけないのか僕にはわからない。
死ぬのってすごく苦しくて、悲しくて、寂しいことなんだよ?
一度死ぬことの辛さを経験した僕には、殺し合いなんて出来ないよ!!
はぁ……それにしてもお腹が減ったな……。
また僕は、お腹が減って死んじゃうのかなぁ……?
「……おい」
誰かの声がする。でも誰も見当たらないよ。
そうか……きっと天使が僕を呼んでるんだね……。
そうか……きっと天使が僕を呼んでるんだね……。
「おい犬」
うん……平気。今、行くよ。今すぐ行って、今度こそ天国で幸せに暮らしたいな……。
「おい無視すんな犬!」
よく聞くと声は空からじゃなく、地面から聞こえてくる。
僕は地面に目を向けてみた。
僕は地面に目を向けてみた。
「やっと気付いたか犬!」
そこには……パンなのかな?
よくわからないけど、焦げて真っ黒になった手足の生えてるパンみたいなものがいて、不機嫌そうに僕を見ていた。
よくわからないけど、焦げて真っ黒になった手足の生えてるパンみたいなものがいて、不機嫌そうに僕を見ていた。
「ばうっ、あうあうっ!(ぼ、僕にはパトラッシュっていうお名前があるんだよ! 君は?)」
びくびくしながら僕はそのパンみたいな謎の人(?)に声をかけた。
びくびくしながら僕はそのパンみたいな謎の人(?)に声をかけた。
「俺は……見ての通り焦げたパンさ。こげぱんと呼んでくれ」
「あぉううん!(こげぱんくん、よろしくね!)」
「くん、なんてつけなくてもいいよ。どうせ俺は廃棄処分予定のわびしいパンなんだからさ」
そう言いながらこげぱんは悲しそうに笑ったんだ。
「あぉううん!(こげぱんくん、よろしくね!)」
「くん、なんてつけなくてもいいよ。どうせ俺は廃棄処分予定のわびしいパンなんだからさ」
そう言いながらこげぱんは悲しそうに笑ったんだ。
「……で、犬。ここで会ったのも何かの縁だ。お前に頼みがある」
「ばぅ?(な…なぁに?)」
「ばぅ?(な…なぁに?)」
「俺を……食ってくれないか」
「きゅ?(え……?)」
僕はこげぱんを見た。こげぱんはやはり寂しそうな顔で微笑んでいる。
「まず最初に言っておく。俺は戦う気がない。生き残る気もない」
「きゃうん、きゃうん!(な、なんで? なんでそんなこというの!?)」
「きゃうん、きゃうん!(な、なんで? なんでそんなこというの!?)」
「廃棄処分予定のパンが殺し合いゲームに生き残ったところで……現実に戻っても待っているのはカビるか、ゴミ箱行きかのどちらかだ。
散々生き物の命を奪っといて、そんな結末なんてあまりにも虚しいじゃねえか」
散々生き物の命を奪っといて、そんな結末なんてあまりにも虚しいじゃねえか」
「うぅー…あうううん!(そ、そんなこといわないでよ!)」
僕は悲しくなって泣いてしまった。
「優しいんだな、お前……俺、お前みたいなやつに出会えて幸せだよ」
「くうぅぅん……(こげぱん……)」
「くうぅぅん……(こげぱん……)」
「パトラッシュ、知ってるか? 俺たちパンにとっての一番の幸せは、『おいしい』って喜んで食べてもらうことなんだ」
こげぱんは、すごくきらきらした顔で言った。
「生憎俺は見ての通りの黒焦げパン。『おいしい』って言ってもらえることはないだろうけど……それでもやっぱり誰かに食べてもらって安らかに死にたいんだ」
「きゅぅぅん、くぅぅん……(こげぱん……そうか、それが君の幸せなんだね)」
「きゅぅぅん、くぅぅん……(こげぱん……そうか、それが君の幸せなんだね)」
「味の保証は出来ねえ。つーか確実に不味い。でも……お願いだ。パン助けだと思って、俺を食ってくれ!」
こげぱんは深々と頭を下げたんだ。
頭の重みで転んだけど、僕がなんとか起こしてあげた。
「きゃうぅん…(僕が食べてもいいの……?)」
「おう。お前みたいな優しい子に食ってもらって、命を繋げることが出来るならパン冥利につきるぜ……」
「おう。お前みたいな優しい子に食ってもらって、命を繋げることが出来るならパン冥利につきるぜ……」
幸せそうな笑顔のこげぱん。
ありがとう、こげぱん。
僕も、君に出会えてよかったよ。
いただきます。
こげぱん、痛くないかな?
もぐもぐもぐ……。
ああ、おいしい。
苦いけど、涙がでるぐらいおいしいよ……。
こんなにおいしいパンははじめてだ。
僕は安らかな顔のこげぱんを半分食べると、もう半分をくわえてその場を後にした。
残りの半分をネロにあげたいって思ったからだ。
ここにネロがいるかどうかわからないけど。
でもね、ネロともう一度生きたいって僕は思ったんだ。
でもね、ネロともう一度生きたいって僕は思ったんだ。
そして、こげぱんのことを……僕の新しい友達のことをネロに話したいって……そう思ったんだ。
僕の命を救ってくれた優しいこげぱんのことを……。
【A-6/一日目/深夜】
【パトラッシュ@フランダースの犬】
【服装】全裸。敢えていうなら毛皮?
【状態】少し空腹・気力十分
【装備】未確認
【所持品】支給品一式
【思考】ネロにこげぱんの半分を渡す。
※パトラッシュは一度天国に召された経験があります。
【パトラッシュ@フランダースの犬】
【服装】全裸。敢えていうなら毛皮?
【状態】少し空腹・気力十分
【装備】未確認
【所持品】支給品一式
【思考】ネロにこげぱんの半分を渡す。
※パトラッシュは一度天国に召された経験があります。
【こげぱん@こげぱん 死亡確認】
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