判定
キャラクターたちは重要な局面において、ダイス(運)によって判定をする。
あまり重要ではない行動や日常的な行動、判定の余地のないもの(1000mの崖から落ちた)については判定を省略する。
判定には「難易度ロール」と「成功度ロール」がある。
難易度ロールは、行動に適用する行動カテゴリーに対応する能力値+職業レベルの数だけダイスを振って、行動の成否を求める判定である。
成功度ロールは、それぞれに定められた数だけダイスを振って、行動の効果の度合いを求める判定である。効果がまったくなかったばあいは、行動が失敗したのと同じ扱いとなる。
ダイスの扱い方
このシステムでは6面体を使用する。
1~3の目は失敗ダイス、4~6の目は成功ダイスと呼ぶ。
例
ダイスを6個振った結果、1、2、3、4、5、6が1個ずつ出た。
1と2と3は失敗ダイスであり、合計で3個の失敗ダイス。4と5と6は成功ダイスであり、合計で3個の成功ダイスとなる。
難易度ロール
行動の難しさを「難易度」で表し、難易度を目標に判定をする。
行動の内容から判定に適用する行動カテゴリーを選択する。
行動カテゴリーにより、対応する能力値(鋭覚、俊敏、知恵、体力)と職業レベル(鋭覚、俊敏、知恵、体力のそれぞれに対応している)が決まる。能力値と職業レベルをたした数だけダイスを振り、成功ダイスの数を求める。成功ダイスの数が難易度以上であれば、判定に成功となる。
難易度は1~5程度(それを上回るばあいもある)。戦闘における難易度は「戦闘」の項を参照すること。戦闘以外の場面においては、マスターがその都度最も適当だと思われる難易度を決める。
難易度表
普通 |
1 |
少し難しい |
2 |
難しい |
3 |
かなり難しい |
4 |
まず無理 |
5 |
例
PCが敵に射出攻撃をするばあい、鋭覚+職業レベルで難易度ロールをする。
鋭覚3、職業レベル1のキャラクターのばあい、合計して4個のダイスを振って判定する。難易度は敵の鋭覚防御値。鋭覚防御値が2のばあいであれば、4個振った内の、2個が成功ダイスであれば、成功したこととなる。
難易度ロールに、鎧や盾による運動修正をうけるばあい、運動修正の-1につき、難易度が1ずつ増える。
例
崖を登るばあい、登はん(行動カテゴリー)で難易度ロールをする。対応する能力値は俊敏。俊敏が3、俊敏の職業レベルが2のキャラクターのばあい、合計して5個のダイスを振って判定をする。
マスターは難易度を2に設定したが、キャラクターが中装の鎧を身に着けていたばあい、運動修正-1により、難易度が1増えて、難易度3になる。
成功度ロール
成功度ロールは、それぞれに定められた数だけダイスを振って、行動の効果の度合いを求める判定である。効果がまったくなかったばあいは、行動が失敗したのと同じ扱いとなる。
判定ごとに決められている数だけダイスを振り、成功ダイスの数を求める。成功ダイスの数が効果の度合いとなる。
例
近接武器 軽(小)の近接攻撃が成功し、ダメージを求めるため成功度ロールをする。近接武器 軽(小)のダメージは2d。ダイスを2個振った結果、成功ダイスが1個だったので、ダメージは1となった。
分割
難易度ロールと成功度ロールのどちらのばあいも、1個しか振れないばあいを除き、大半は複数個のダイスを振って判定する。判定に十分なダイスが確保でき、いくつかのダイスが余るばあい、その余剰分のダイスを利用して、追加行動(追加効果)を処理するのが分割である。
プレイヤーは振ることのできるダイスを、ベースとオプションのグループに任意で振り分ける。 ベースは1グループしか作れないが、オプションはダイスの個数が許すかぎり何個グループを作ってもよい。
例
難易度ロールでダイスを8個振ることができる。
ベースに3個を振り分け、残りの5個でオプションを2個グループ作ることにして、3個と2個のグループに振り分けた。
ベースは行動の基礎であり、ベースが成功しないかぎり、オプションは使用できない。オプションは個々の判定であり、その成否により他のオプションが使用できなくなるようなことはない。
ベースのグループの判定をする。成功すれば、引き続きオプションのグループをひとつずつ判定する。失敗したばあいは行動すべてが失敗したことになり、オプションのグループを判定することはできない。
例
呪術を使用するばあい、行動カテゴリーの呪術投射で難易度ロールをする。対応する能力値は知恵。知恵が4、知恵の職業レベルが4のキャラクターのばあい、合計して7個のダイスを振って判定をする。
ベースのグループに3個を振り分け、オプションのグループを2個と3個の2グループ作った。
ベース 3個
オプション① 2個
オプション② 3個
最初にベースで難易度ロールをした。成功したので、引き続きオプションで判定する。オプション①で成功度ロールをした。最後にオプション②で難易度ロールをした。オプション②の結果は失敗だった。
倍ダイス
ベースの難易度ロールをするばあいに、振ることのできるダイスが難易度に達していないために成功の余地がないことがある。
そういった時は不足している分の難易度を「倍ダイス」によりカバーする。不足している難易度1につきダイスを2個追加で振る。
判定において、追加分を含めたすべてのダイスが成功ダイスだったばあい、その判定は成功となる。
→倍ダイスによる上限を定めないものとするが、あまりに軽易に(しかも頻繁に)倍ダイスが使用されるようなばあい、「運頼みの行動が過ぎる」ものとし、マスターはバランス調整をして判定を差し支えさせてもよい。
上限をあえて設定しない理由については、TRPGの性格上、「最後は運頼み」により重要な局面を乗り切ることがいわば常識化しているためである。また、その方がよりドラマチックであることを付け加えておく。
例 傭兵ガレは近接攻撃を防御することにした。
難易度は7。判定に振ることのできるダイスは合計で6個。
ダイスがすべて成功ダイスだったばあいでも、難易度以上になることができない。
そこで、「倍ダイス」をすることにした。
難易度に対して不足しているのは1なので、追加のダイスは2個振る。合計で8個のダイスを振り、そのすべてのダイスが成功ダイスであれば判定は成功となる。
結果、成功ダイスが5個、失敗だ!
作業判定
迷路の中で追っ手から逃亡する、敵が来てしまう前に扉の鍵を解除する、機械領域に踏み込んで機械生命体に発見される前に端末から情報を引き出す、といった場面は戦闘以外でのスリルを味わうことのできる重要な演出である。これらは、作業判定として扱われる。迫りくる敵や時間といった、作業を続けられる無くなる要因のある行動を判定する。
マスターは、「難易度」「工程」「脅威」を決定する。
「難易度」は、工程ひとつずつの難易度を意味する。難易度ロールを使用する。難易度は、難易度判定と同様に扱う。
「工程」は、作業を完了するまでに必要な作業区分や段階を意味する。便宜上、「工程」と呼ぶ。1~5程度の範囲の数値となる。マスターがその作業を完了するまでに何回判定をすることが妥当であるか、ということが数値を決める上での大きな目安となる。作業自体に明確な工程区分が決められていれば、その数が工程の数値となる。呪術の書を解析するばあいのページ数や逃げ切るための距離などは数値を求めやすい。
「脅威」と、迫りくる敵や時間といった作業を続けられなくなる要因を意味する。便宜上、「脅威」と呼ぶ。脅威には、「確実に迫る脅威」と「失敗により迫る脅威」とがある。
「確実に迫る脅威」とは、時間や巡察など、PCの行動とは関係なしに迫る脅威を意味する。
「失敗により迫る脅威」とは、一定の速度で追いかけてくる敵など、PCが難易度ロールに失敗することにより迫る脅威を意味する。
脅威は1~4程度の範囲の数値となる。1はゆっくり、2は少し早い、3は早い、4はかなり早い、という区分になる。マスターは状況に応じた最も適当と思われる数値にする。
ボード上に、脅威コマとPCコマを1個ずつ配置する。
PCコマは工程の数値のマスに配置する。ボードには2列数値が並んでいるが、どちらかの列の数値だけを利用し、もう片方の列の数値は使用しない。脅威コマは、最大値のマスに配置する。
作業判定をするプレイヤーは基本ロールをする。難易度はマスターが決めた値。
成功したばあい、PCコマは1マス、ボードの数値の低い方へ移動する。「確実に迫る脅威」のばあいは、脅威コマを脅威の数値だけボードの低い数値の方へ移動する。PCコマを脅威コマが追いかけている格好となる。
失敗したばあい、PCコマは移動しない。「確実に迫る脅威」「失敗により迫る脅威」のどちらであっても、脅威コマを脅威の数値だけボードの低い数値の方へ移動する。
PCコマと脅威コマの両方の移動が完了した時点で、もし脅威コマがPCコマと同じか、それよりも数値の低いマスへ移動したばあい、作業判定は失敗となる。脅威コマがPCコマに追いついてしまったためだ。
例
傭兵ウェルドは機械人間が来る前にドアのカギを開けて中に入りたい。
マスターは「難易度」「工程」「脅威」を決める。
難易度は、一般的な造りの鍵であるため難易度2。
工程は、3回は判定に成功する必要があると判断し、工程3。
脅威は、「もうすぐ機械人間が来る」とプレイヤーに状況説明をしたので、脅威は少し早い2。「確実に迫る脅威」とした。
下図のように配置する。
プレイヤーは難易度2で基本ロールをする。鋭覚+職業レベルの数だけダイスを振る。
成功したばあい、次のようになる。
PCコマは1マス移動する。脅威コマは2なので2マス移動する。
失敗したばあい、プレイヤーはコマを動かさずに、脅威コマだけを移動させる。
例
下図のように、PCコマが①のマスからボードの外へ移動した時点で作業判定は成功となる。
例
下図のように、脅威コマがPCコマのいるマスに到達したばあい、作業判定は失敗となる。
行動カテゴリー
このシステムでは、一般的なシステムでいう「技能」による成功率の上昇はない。技能はあくまでも行動のカテゴリーであり、対応する能力値(職業レベル)と難易度の基準を設定するためにある。( )の中の数字は難易度である。難易度は累積する。
鋭覚
射出攻撃
射出武器による攻撃。
詳細は、「戦闘」を参照。
警戒
音、声、物の動き、温度の変化、といった微細であっても敏感に周囲の異変に気付く。
雑音がある(1~3)、集中できない環境(1)、別なことに集中している(2)、気づきにくい変化(1~3)。
鍵開け
針金や適した道具を利用しての鍵を開ける。
技能がないばあい、判定することはできない。
単純な鍵(1)、複雑な鍵(3)。
罠発見
物の配置や地形の不自然さ、罠を配置するのに適した条件を経験と直感から判断して、罠の設置されている場所を発見する。
罠は作動する前に発見して対策をとることが重要となるため、捜索とは別な技能として罠発見がある。
誰かが仕掛けた罠であれば、対抗ロールとなる。
追跡
獲物の向かった方向を臭いや足跡、霊感も含めて察知する。
形跡の残らない地形(1~3)、時間が経過している(1~3)。
芸能
演奏、演劇、歌唱、語り、舞い、といった芸を人に見せる。
隠密
音を立てずに移動する。壁の隙間やカーテンの中に潜んで相手をやり過ごす。
細心の注意を払って動き、時には固い意志によって動きを止め息を殺す。
この技能は、鎧による運動修正を受ける。
隠密に対して、相手は警戒による対抗ロールをする。
隠密する側は能動行動、警戒する側は反応側となる。
俊敏
防御
戦闘における防御行動。詳細は「戦闘」を参照。
手技
ジャグリングや簡単な手品、スリといった手を使っての巧みな行動をする。
スリをするばあいは、手技に対して、相手は警戒による対抗ロールをする。
手技をする側は能動行動、警戒する側は反応側となる。
ジャグリングや手品をするばあい、より高度な技ほど難しい(1~3)。
乗馬
馬を乗りこなす。ゆっくりと移動するだけであれば、判定の必要はない。
早駆け(1)、悪所を乗り越える(1~3)、川を渡る(1~3)。
体術
能動的な体を使った行動。バック転、側転、ジャンプ、など。
戦闘においては、敵の脇を擦り抜けるといった判定に使う(「戦闘」を参照)。
壁登り
壁を登る。
60度程度の岩場(1)、垂直な壁(3)、掴むところや足を掛けるところがほとんどない(3)。
水泳
泳ぐ。流れのない池や湖などで、衣服を身に着けずに泳ぐばあいは判定を必要としない。
鎧を身につけているばあいは、泳ぐことができない。
武器は、近接武器 軽であれば所持して泳ぐことができる(2)。それ以外の武器を所持して泳ぐことはできない。
服を着ている(2)、川を泳ぐ(1~3)。
知恵
呪術知識
シンボルに関する、論理、言語、歴史、等についての知識。
1000年近く前に呪術は全盛期を迎え、機械人間との大戦により大きく衰退したが、それ以降は平行線の状態が続いている。多くの研究者によって、莫大な文献(古文書、魔道書)が残されている。王家や貴族、秘密結社、一部の部族、などによって厳重に保管されている。現在でも研究者たち(魔術師と呼ばれる)による研究が進められている。
捜索
物が散乱している部屋から特定の物を探す、図書館で特定の本を探す、隠し扉を見つける、等ができる。
警戒や罠発見がより感覚的なものであるのに対して、捜索は時間をかけて探す行為を処理する。
隠されている物を探すばあいは、相手の隠蔽に対して、捜索による対抗ロールをする。
隠蔽をする側は能動行動、捜索をする側は反応側となる。
散乱した部屋(1)、隠された物を探す(1~3)。
心読み
所作や目の動きから、相手の心を見抜く。嘘を言っているのか、それとも本当のことを話しているのか、など。
話術や芸能で演技を使って相手が心を見抜かれないにしているばあい、対抗ロールとなる。
話術や芸能をする側が能動側、心読みをする側は反応側となる。
初対面の相手で性格も癖もわからない(1~3)。
応急手当
意識を失っている者の意識を回復させる。傷を治療する。
詳細は、「戦闘/ダメージ」を参照。
食料探し
森や荒野において、食料を探し出すことができる。
動物の居場所や木の実やキノコの生えている場所などに関しての知識がある。
また、食べられるものとそうでない物を見分けることができる。
隠蔽
大きい物から小さな物まで、大きさにかかわらず隠すことができる。咄嗟の判断によって隠す行動もこれに含まれる。
隠蔽に対して、相手は捜索による対抗ロールをする。
隠蔽をする側は能動行動、捜索をする側は反応側となる。
隠すものが大きい(1~3)、隠す場所が制限されている(1~3)。
修理
武器、防具、馬具、といった冒険者が日常使用する物の修理をする。
伝承知識
雑学的な伝承に関しての知識。
一般的ではない(1~3)、地域限定の知識(1~3)。
変装
服装、化粧、声色などを変えて別人になりすますことができる。
〈心読み〉や〈捜索〉で対抗ロールをすることで、変装を見破ることができる。
体格の違い(1~3)、年齢の違い(1~3)、性別の違い(3)、明るい場所(1)。
暗い場所では、変装が見破られにくいため難易度が低下する(-1~-2)。
呪術抵抗
呪文への抵抗判定。
詳細は「呪術」を参照。
呪術発動
呪術の発動を判定する。
詳細は「呪術」を参照。
話術
巧みな話術により場を盛り上げる。雄弁とは異なり、「話のうまい人」の印象を与えるため、場合によっては信用されないこともある。
道具等作成
木工、鍛冶、縄使い、等の作業をこなす。
体力
穴掘り
肉体労働者に限らず、戦士や傭兵であっても、地面に穴を掘ることはたびたびある。
身を隠す場所すらない平野で野営するばあいに、寝るための穴を掘って風をしのぐであるとか、死んだ仲間を埋めるための穴を掘る、落とし穴を仕掛ける、など。
硬い土(1)、石の多い(1~3)、粘土質(1)、木の根が生えている(1~3)。
近接攻撃
近接戦闘における攻撃。
詳細は「戦闘」を参照。
行軍
兵士の大半は歩兵である。彼らは何日にも亘って行軍し、目的の戦場へと向かう。途中、疲労、足の裏の皮が剥ける、膝の痛み、筋肉の痛みなど、行軍を遅らせる様々な要因がある。基本的な体力や精神力はもとより、行軍で大事なのは経験を重ねることである。歴戦の兵隊であれば、重い荷物を背負っていても、非常に長い距離を移動することが可能だ。
重い荷物(1~3)、移動速度が速い(1~3)。
剛術
相手を倒す、押さえ込むといった行動に使う。リューマとの戦いでは破壊を目的とするため、〈剛術〉を使うことはおそらくほとんどないが、人間との戦いも決して少なくはない。
剛術に対して、相手は剛術による対抗ロールをする。
隠蔽を仕掛けた側は能動行動、剛術を仕掛けられた側は反応側となる。
投げ
物を遠くへ、正確に投げる技。
足場が悪い(1~2)、フォームがとれない態勢(1~3)、投げる物が重い(1~3)、投げにくい形(1~3)。
コメント
最終更新:2009年11月29日 13:22