オープニング 地獄の門の入り口 ◆7jHdbxmvfI
「ハギヨシ。ここは何処だ?」
「申し訳ございません衣様。私でもこの場所は流石に……」
さて、私ハギヨシはどこにいるか。
それについて説明しましょう。
気が付いたら、私は衣さまと一緒にこの不思議なホールのような場所に連れてこられていました。
誘拐かと思いましたが、透華様の姿は確認出来ないため、その線は薄いでしょう。
何よりここには私以外には明らかに異様な姿の者たちが大勢居ます。
やたら大きな身体の人間もおり、正直『本当に人間なのか?』疑問を覚えてしまいます。
ですが、衣様が不安にならないよう、私は決して平静さを欠きはしません。
最も衣様であれば私が居なくても大丈夫ではあったでしょうが。
「ん?おいハギヨシ、あそこ。何やら面妖な気配を感ずるぞ」
「気配……ですか?」
私があたりを見渡していると、衣様がある一方を指差したので、私もそれに従い視線を向けます。
すると、そこには少々外見が不自由で目つきから少し……いえかなり性根が腐敗しつつある様子の小太りな男性が現れます。
「おっ、おいお前ら。静かにしろ。俺の話を聞け!」
その小太りな男は壇上に立つとやけに偉そうに命令をします。
その仕草がまるで似合っていなくて、不愉快を通り越して呆れてしまいます。
最も、事件の犯人の可能性も有るので一応言葉を聴いてみますが。
「お前達には今からバトルロワイアルをしてもらうぞ。最後の一人になるまで殺し合うんだ。もちろん、素手とは言わない。
全員に武器を配る。後、他に食料とか地図とかコンパスとかそういうサバイバルグッズも一緒に配る。
後簡易のルールブックも配る。名簿も配るが、これは細工があって全員の名前が出るのに少し時間がかかる。
大体開始して二時間ぐらいしたら全部出るようになっている。
それと、他に……全員にお金を二百万円と麻雀用の点棒を二万五千点分配る。
これは殺し合い以外での脱出にも使用出来るようになっている。詳しくはマニュアルブックを読んでくれ。
そして、これは一番大事だけど………もし反抗するようなら……」
「おい安藤!お前ふざけんなよ。こんなこと今すぐ止めろよ、悪ふざけにも程があるぞ!」
?
どうやら小太り男の拙い演説に業を煮やしたのか一人の逞しい雰囲気の男性が詰め寄っています。
いや、様子から察するに二人は知り合いでしょうか。
「カッカイジさん。邪魔しないでくださいよ」
「うるせえっ!お前俺を裏切っただけじゃ飽き足らず今度はこんなくだらねえ事かよ。いいからさっさと止めろ。
今なら一発殴るだけで済ませてやる」
どうやら二人は安藤とカイジという名前のようです。
ですが、あの安藤という男の演説をする壇上は高い位置に有り、どうやらカイジという男性ではよじ登るのは難しいようです。
やがてあの安藤という男はカイジが実際に昇ってこないことを感じ取ったのか、ただでさえ醜い顔をより醜くゆがめて
笑顔をこぼしました。
「どうしたんですか。カイジさん。上がって来れないようですね。じゃあさっさと行ってくださいよ。
今から大事な最後の説明があるんですから」
「ぐっ、安藤ぅぅぅ!!!!」
カイジという男性はかなり怒りの篭った言葉を安藤にぶつけています。
ですが、あの段差。私なら容易に飛び越えれそうですね。
「……ハギヨシ。さっさとあの男を取り押さえろ。不愉快だ」
「御意」
そんな私の考えを察したのか、衣様が指示を与えてくれます。
私はすぐさまあの醜い男の元へと走り出します。
「貴方。失礼ですが一言申し上げます。とても醜いです。衣様が不愉快な思いをなさっているので、さっさと消えてください」
私は安藤の居る壇上まで飛び上がり、近づきながら言います。
ですが、そこで違和感を感じます。
壁?何やら透明な壁のような物があり、近づけないようになっています。
「あっ、なっ、何だお前…………そうだ。近づけるわけが無い。分かったらさっさと消え……いや。そうだお前……
俺を醜いとか………お前、死ね」
何やら安藤という男は私が近づけないことに安心し、更に顔を醜くゆがめて笑みを浮かべながら私を殺すとおっしゃっています。
流石にこれ以上この顔を見るのは生理的に辛い上に、衣様の目にも悪いので何か対策は必要なのでしょうが……
『首輪が作動しました。今から三十秒後に爆発します』
「?」
何やら不穏な電子音が私の耳に届いています。
一応安藤のほうを見ると、何やらスイッチのような物を握っていました。
「そっ、そうだ。みんなも見ろ。これが反抗した物を末路だ!これから三十秒後にこの男は首輪が爆発して死ぬ。他の奴も全員
同じのがついてるから、反抗した奴はみんなこいつのように首が吹っ飛んで死ぬぞ」
………なるほど。
これが見せしめですか。
一応私も何度か力付くで首輪を外そうと試みますが、少し難しそうですね。
「ハッ、ハギヨシっ!!!」
「衣様」
「ハギヨシ大丈夫か。今衣が」
「いいえ、下がってください衣様。爆発の威力が分からない以上、近づいていては危険です」
「だが!」
「衣様!!」
こうなってしまっては、衣様から遠ざかるべきでしょう。
衣様が爆破に巻き込まれては危険ですし、そうでなくとも私の凄惨になるであろう遺体を衣様に晒すなどもってのほかです。
『残り十秒です。九、八、七」
……時間がありませんね。
「衣様。申し訳有りません!!」
「なっ、ハギヨシっ!?」
私はジャケットを脱ぐとすぐに衣様の顔を覆うように投げ、そのまま壇上に端まで走りそのまま倒れこみます。
こうすることで、爆破の瞬間はもちろん、私の遺体も衣様に死角になって見えないでしょう。
残念なのは、衣様を最後まで守りきれなかったことでしょうか。
透華様。別れの言葉一つ言えず残念です。
ハギヨシがそう感じたのと同時、爆音は壇上に響き渡った。
後に残るは、参加者64人とディーラーの安藤。
「分かったか。お前達も逆らえば死ぬぞ。じゃあさっさと殺し合いの会場に行けよ、分かったな」
安藤は最後まで醜くがなりたて、参加者64人は瞬間移動のように姿が消え、安藤が一人残る。
こうして身の丈に似合わぬ権力を手にした男がディーラーを務める最悪のバトルロワイアルが始まった。
【ハギヨシ@咲-Saki- 死亡】
【残り六十四人】
【主催グループ】
【ゲームディーラー】
【
安藤守@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】
【ゲームスポンサー兼プロデューサー】
【???】
【マニュアルブック】
以下の事が書かれています。
【
基本ルール】
三日間以内にゲーム参加者を自分以外全て死亡させなくてはいけない
三日経過時に生存者が二名以上居た場合全ての参加者の首輪が爆発する。
【支給品】
全員に三日分の食料、地図、筆記用具、照明器具、メモ帳、名簿、麻雀点棒二万五千点分、ギャンブル資金二百万、
ランダムアイテム1~3が支給される。
【放送】
00時、06時、12時、18時と一日に四回放送が行われる。
放送では前の放送までの間に死亡した人間の氏名。そして進入禁止エリアが発表される。
この進入禁止エリアに立ち入った場合30秒の警告の後に首輪が爆発する。
【名簿】
名簿は特殊な細工が施して有り、名前が浮き出るのに個人差がある。
大体ゲームが開始して2時間~4時間で全ての名前が浮き出るようになっている。
【麻雀点棒とギャンブル資金について】
参加者は地図に指定されたエリアで麻雀やギャンブルを行う事が出来る。
そして麻雀の点棒を十万点。またはギャンブル資金を八百万にした場合ゲームから離脱が可能となる。
ただし麻雀では半荘一回が終了時、ギャンブルでは一回の勝負がついた時点で収支が点棒では二万五千点以下、現金では二百万以下
となった場合点棒ではマイナス千点につき100CC 、現金ではマイナス十万につき100CCの血液が抜かれる。
この抜かれた血液は収支をプラスに戻した場合返還される。
またこの点棒や現金はそれぞれの勝負以外での譲渡や強奪は禁止されている。
最終更新:2009年10月22日 15:27