きらめく涙は虚無に ◆quk2SNagNM



ユーフェミアとアーニャの二人はボートで小島に来た後、G2エリア一帯の陸地を占める太陽光発電所に訪れた。
屋根に敷き詰められたソーラーパネルと「発電所」と冠された施設名を持つ。
ならば、なんらかの通信装置もあるのではないかと思ったユーフェミアの提案により、二人の少女たちはその地に訪れたのだ。

発電所の中央部分に位置する扉から内部へ入った二人。
彼女たちはあまりに大きいこの施設を隅々まで調べるのは不可能だと思い、二手に分かれて探索にあたることにした。
アーニャが中央から時計回りに施設の北部を探索。
対してユーフェミアが反時計回りに南部を探索。
放送前に、入口付近で合流という計画で二人は工場のような発電所を探索することにした。


◇ ◇ ◇


連絡装置を探してめぼしい場所を探索するユーフェミア。
ゴウゴウと重低音を響かせる場所へ向かい歩いて行く。
その先にあったものは円型の部屋の中央部に置かれた、円錐の先に三角錐にとがったデザインをしたものだった。
彼女が知る由もないが、それはGNドライブと言う、とある世界にて無限に近しいエネルギーを生み出す装置であった。
それも、このバトル・ロワイアルが始まったばかりの時、刹那・F・セイエイが発見したものとは別の――
すなわち、0ガンダムに搭載されているものであった。
だが、そんな事実を知らないユーフェミアにはそれはなんの興味の対象ともなりえない。
彼女は太陽炉の周りを歩く形で、入口と反対方向へとある扉へと向かって行った。


◇ ◇ ◇


一方、北部を探索するアーニャは通信施設に加え、他にもとある物の存在を期待していた。
すなわち、KMFである。
この工場並みともいえる発電所の規模ならば、あるいはKMFも存在するかもしれない。
そう、思ってこの地の探索というプランに乗り切ったのである。
だが、通路や訪れる部屋は発電に関している機械と思しきものばかりで、KMFのある気配は一切なかった。

「もう一時間ね」

ふと、時計を確認したアーニャはそう呟く。
ここまで探索して目的のものは何もなかったのだ。
それが見つかる可能性も低く、これ以上の探索はユーフェミアとの合流にも遅れる可能性を考慮して、元いた場所へと歩み始めた。


◇ ◇ ◇


ユーフェミアが訪れたある部屋。
それは鮮烈な既視感を彼女にもたらした。
一瞬の思考の後、その正体を確信する。
それは、この会場に来た際に自分がいた小部屋。
この忌まわしき殺しあいのルールを告げる少女と男、そして見せしめに殺された少女の姿を思い出す。

「でもどうしてこの部屋が――」

今思い返すと妙な話だが、あの部屋を出た瞬間、自分は見知らぬ地に立っていた。
後ろを振り返るも、その部屋はなんの痕跡もないまま消えていた。
あるいは、何かこの殺し合いの謎に迫る鍵ではないかと考え、ユーフェミアはこの部屋の存在を記憶した。


◇ ◇ ◇


行き先と同じ道を辿りながら、発電所の入り口を目指すアーニャ。
見飽きた無機質な機械たちに見向きもせずに、その足を進める。
――瞬間、彼女の意識は途絶えた。

アーニャの表層へと現れた、マリアンヌの意識。
微かな頭痛と時計の示す時間を確認し、彼女は内心でほくそ笑む。
ユーフェミアと離れた今、ギアスの能力も好調である。
ギアスにかけられ、今後厄介となりかねないユーフェミアと完全に離れるためには絶好の機会だ。
彼女よりも早くボートに乗り込み、陸地から離れてしまえばこっちのものだ。
そう思い、彼女は駆けていく。


◇ ◇ ◇



一通り発電所を探索し終えたユーフェミアは、さきほどのこの会場に来た時にいた部屋に酷似した部屋にいた
彼女は突如の轟音に気づき、扉を開けた。
そこには光輝く先ほど見た装置に類似したもの――すなわちガンダムエクシアのGNドライブがある。
その上空には薄黒い巨体を捉える紅い光を散らす機体と鹿の角を思わせるシルエットの機体があった。

――声が出なかった。

圧倒的すぎるその存在に、ユーフェミアはただ立ちすくむだけだった。
薄黒い巨体はこちらに気づく素振りも見せず、二つの機体を睨みつけている。
二つの機体も目の前の巨体を拘束し続け、こちらの存在など知る由もないだろう。
この戦いを止める力など一国の世間知らずの皇女にはない。
同行者の安否すら気にする間も与えぬほど、ユーフェミアは目の前の光景に見入っていた。

気づくと、緑色に輝く閃光が目前の装置が溢れ出し、粉雪の如く舞っていた。

「―――なんて綺麗なのかしら」

この状況にも関わらず、ユーフェミアはGN粒子の鮮麗なり輝きにそう呟いた。
そして、その輝きに包まれた彼女はトランザム・バーストにて広がる、刹那・F・セイエイと本多忠勝の想いを見た。

戦争根絶のために武力介入する者たちを――
戦国乱世を絆の力で収めんと槍をとる武士たちの姿を――
圧倒的な暴力の嵐にも臆さずに完全平和主義を掲げる少女の意志を――





――――――――――――――――――――――――未来を切り拓く!





頭の中に木霊したその声を最後に、太陽光発電所は狂戦士の担う約束された勝利の閃光に飲み込まれた。
それはその場にいた、皇女も例外なく―――





【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2 消滅】




◇ ◇ ◇


「ふふ、やっと着いたわ」


アーニャの意識を乗っ取るマリアンヌは、ユーフェミアと離れた地点まで戻っていた。
ユーフェミアに対しなんの感慨を抱くこともなく扉を開けて、彼女はボートへ向かわんとする。
しかし、扉を開けた瞬間彼女が見たものは降り注ぐ緑の光の粉――すなわち、GN粒子である。

そして、彼女にも刹那の意識は届いた。
その中には自分の知った光景、それどころか自分の姿もあった。


「これは…!?ギアスの力…なの!?」


そう思案したマリアンヌだが、ギアスの効果が表れているユーフェミアと出会った際の頭痛がないことに気づく。
上空には、先に遭遇した黒い巨人と本多忠勝の姿があった。
そして、そこから眩いほどの光が発せられる。


「―――え!?」


約束された勝利の剣が放つ必勝の閃光は、発電所もろともマリアンヌの意識を持ったアーニャの肉体を消し去った。



◇ ◇ ◇



人々の“こうであって欲しい”という想念が込められて星に生み出されたその宝具、エクス・カリバー。
それが生み出した、何も残らない蹂躙の跡。
そこに残る虚無こそ、“こうであって欲しい”と人々が望んだ結果ではなかろうか?
そうであれば、実に愉快なのだがな―――

さて、アーニャ・アールストレイム――いや、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの死と言うべきだろうか。
あれは言うなれば、ただの事故――あるいは災害に巻き込まれたとでも言えようか。
まるで無自覚のうちに人間に潰される蟻のように――
あるいは突然の奇襲の爆撃にさらされ消えてしまう戦場の人間のように――

この場合は、彼女を消し去った狂戦士も、その狂戦士を彼方へと突き放さんと高速で狂戦士を追いやったイノベイターと戦国最強もこの事実を知らない。
そう、これは殺人ではなく、ただ災害に巻き込まれた、と言うべき話なのであろう。

ただ、そこにひとつだけ救いを見出すのならば―――
その身体を散らしたアーニャ・アールストレイムの意識を奪っていたマリアンヌがその死を受け、
本来の人格であるアーニャ・アールストレイム自身がその死を体験することはなかったこと――だろうか。


――だがそれも考えようだ。


とある対極の名を持つ家系の、複合二重人格者は言った。
”人は一生にかならず一度は人を殺す。自分自身を最後に死なせるために、私たちには一度だけ、その権利がある”
彼女は人間として、自らの死をも迎えることができなかった。
それは果たして幸福であるのであろうか?
人間が与えられた、自らの死を迎えられるという権利まで彼女は剥奪されたのだ。


ならば、その生にいったいなんの意味があったのだろうか?


彼は言った。
”人間は救われない。世界に救いなどない”
しかし、その魔術師はそれに意味を見出すためにこの殺し合いを行っている――とも言った。
――ならば、この報いのない死も意味が在るというのだろうか?
それを見届けるためにも、このバトル・ロワイアルを検分させてもらうとしようか。





魔術師、荒耶宗蓮よ―――







【アーニャ・アールストレイム@コードギアス 反逆のルルーシュR2 死亡】








































◇ ◇ ◇

真のイノベイターとして覚醒した刹那はエクシアのGNドライブを覚醒させた。
それは彼が発電所に、エクシアのGNドライブがあると知っていたからこそ行えた行為である。
時間を惜しんで発電所を去った彼は、その地にもうひとつある0ガンダムのGNドライブを発見することはなかった。
よって、それを意図して発動することもなかった。

だが、彼がトランザム・バーストを行おうとした時に、0ガンダムのGNドライブも本人の知らぬ間に起動していた。
それにより、本来はツイン・ドライブ機能を持ち合わせた00ガンダムでないと行えない、トランザム・バーストが行えたのだ。

一瞬だが、その効果があって太陽光発電所は疑似的ではあるが00ガンダムと同じ様に機能した。
刹那が行った、意識の拡散もその効果によるものなのである。

それは、初めに参加者を隔離していた部屋に類似した部屋にも現れた。
その部屋にいた当人は知る由もないがあの部屋にも、とある仕掛けがあり、トランザム・バーストにより機能した。

それはユーフェミア・リ・ブリタニア、彼女がエクス・カリバーの光に飲みこまれる寸前の話である。
あの部屋は、”量子化による転送装置”であった。
彼女は量子化して、エクス・カリバーにより消える前にあの場から脱出。
光速であの場から離れ、ワープしたのだ。

先ほどまでとは違う目の前の光景に、混乱する彼女のもとに二回目の無情な放送が響かんとしていた。



【???/一日目/昼、放送直前】


【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
[状態]:健康、決意、唖然
[服装]:さわ子のスーツ@けいおん!、
[装備]:アゾット剣@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、H&K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実、H&K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数2/12発/予備12x2発)@現実、豪華なドレス
[思考]
基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する。自分にできる事をする
特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する
0:トランザム・バーストによる一連の現象に混乱
1:偽ゼロの存在を全参加者に知らせる
2:政庁で放送施設や通信施設を探し、全参加者に呼びかける
3:殺し合いには絶対に乗らない
4:アーニャ安否が気がかり
[備考]
※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。
※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。
 現在は弱体化しているため、ある程度の意識レベルで抵抗すれば解除可能。
 今後も発動中に他の発動しているギアスと接近すれば弱体化、あるいは相殺されます。時間経過により回復。
 会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。
※ギアスの作用により、ヒイロのことは忘れています。
※トランザム・バーストの作用で彼女のいた”量子化による転送装置”が作動し、ワープしました。
 現在地は次の書き手に任せます。

※アーニャの死体および持ち物はすべて消滅しました。


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113:皇女 と 考察 アーニャ・アールストレイム GAME END
113:皇女 と 考察 ユーフェミア・リ・ブリタニア 179:その日本人をぶち殺す


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最終更新:2010年01月17日 12:30