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ペテン師は含み笑う

「ーーーはぁ。どうしようかしら」

狐獣人の少女、長谷川遙はそう呟いた。
殺し合いに乗るのもいいかもしれないし、乗らずに刃向かって漫画的・アニメ的な『結束による勝利』を勝ち取ってみるのも楽しいかもしれない。
遙には、どちらでも良かった。ただ、そこら辺の誰とも知れない馬の骨に殺されて犬死にするのは御免だ。つまり、生き残っていられれば後はどうでもいい。
支給品は特殊警棒。触れると相手を気絶させるレベルの電流が流れて相手を昏倒させることができるらしい。しかし、これでは銃や爆弾に対処することはできないだろう。
後者はともかくとして、やはり銃や爆弾などの兵器が欲しかった。

「死体からでも奪い取ろうかしら」

まともな思考ではないが、それが一番確実な選択であることは確かであった。
こんな狂ったゲームに乗る奴は必ず存在する。今ごろにはもう何人かは死亡している可能性が高い。というか、間違いなく始まっている。先ほどから幾つか聞こえる銃声がそれを証明していた。
まずは武器だ。遙は不明瞭な目的のために歩きだした。彼女はいわゆるペテン師的な思考を持っている。裏切りなどは日常茶飯事に行う。

もう一人のペテン師はどう動くのか。


地下労働施設ーーー通称『地の獄』の班長である男、大槻は怒りを隠せなかった。
恐らくはこの殺し合いも帝愛グループ総帥・兵藤和尊の仕組んだ『ギャンブル』ーーーーーー、優勝者当てのトトカルチョ賭博でも奴等はワインでも飲みながら堪能しているのだろう。
自分を含む多くの人間の人生を狂わせておきながらも奴は安全な部屋でただ笑っているだけ。兵藤にギャンブルで勝つのは不可能に近い。兵藤にはイカサマ云々を抜きにして何者にも追いつけない幸運があるからだ。

「くそっ……許せんのぅ……!!」

「あんたもそう思う?」

大槻は若干ぎょっとして、声の先に視線を移すと10歳に達するかどうかくらいの少女が確認できた。水色の髪に小さな身長が特徴的などちらかといえば『幼女』である。

「君みたいな小さな子まで呼ばれたのか……」

「本当に許せないわ!殺し合わせるなんて、正気の沙汰じゃないバカよっ!」

大槻はこの少女はゲームに乗っていないのだと確信する。というか今の会話で分からない方が異常かも知れない。また、何となく地下で自分を打ち負かした『野良犬』に似ている気がした。
野良犬ーーーー伊藤カイジ。

地下において積み上げた地位・財産・信用を全て食いちぎっていった大槻の最も憎んでいる相手。正直、カイジと出会ったら殺してしまわない自信がない。

「(あいつは許さんっ……しかし……ああいう奴は真っ先に死ぬっ……焦るなっ……わし、焦ってはいかんっ…)」

「大丈夫か?あ、あたしはチルノ!妖精さ!」

妖精?そんなものはこの世には存在しない筈だ。まあこの年頃の少女は多少夢見がちなことが多い。話半分に聞き流すのが利口な選択だろう。
チルノ、という名前はどう見ても日本人の名前ではない。外国人としか思えなかったが、それにしては日本語が達者だ。偽名かとも思ったが、この少女に限ってそれは無さそうだ。

「わしの名前はーーーー」






「君に教えるほど馬鹿じゃあないさ」





ダァン!ダァン!と二発の銃声が連続した。

「ぁ……へ……?」

チルノの顎に一発は着弾して歯を吹き飛ばし、二発目は額に着弾してその頭部をぐちゃぐちゃに吹き飛ばした。違法改造銃と銘打たれただけのメーカー不明銃だからこそ危険とも感じたが、反動も大きくはないし威力はそれでいて高い。かなりの当たり武器のようだ。

大槻は俗に言うペテン師だ。

地下ではシゴロサイコロを用いて部下の石和たちと共謀して姑息なイカサマを働き、チンチロリンで多額のペリカを荒稼ぎしていた。勿論、外に難病の娘が居るだの、上から脅迫されているだのといった理由はない。私利私欲のために行っていた。
その結果、策を見破った伊藤カイジにサイコロを掴むという逆転の発想で秘策のシゴロサイコロを破られ、敗北しただけでなく貯めてきたペリカと信用を一気に失ってしまった。
だからこそ彼はカイジを憎悪していたのだ。
大槻に何故人々は騙され、堕落してしまうのか。それは彼の心理に訴える言動だ。笑顔と怒り顔を使い分け、ごくごく自然に騙し所へと持っていき、一気に畳み掛ける。
それが、姑息に生きる外道・大槻の生き残る手段であった。

「確かにあのジジイに怒りはあるが、それとこれは話が別だっ……カカカッ…」

「そうかい。じゃあこんなのはどうだ」

バッ!と振り返ると、金髪に制服、『庶務』という腕章をつけた少年が立っていた。
言葉だけなら立派な対主催の人間に聞こえるのだが、様子は明らかにおかしい。まず目が、明らかに狂った者の目付きにしか見えなかった。

ダァン!

今度は言葉も無く違法改造銃を少年に向けて発砲。

大槻は想像する。あの狂った少年の頭が弾け飛び、自分がどうなったかも理解できずに死んでいく様を。死体を見おろしながらほくそ笑む自分の姿を、想像するーーーーーが。

大槻の思い通りに事は運ばなかった。少年は横に跳ねるようにして、銃弾をかわして見せたのだ。あり得ない、と大槻は思う。銃の弾速はまさに瞬速だ。この改造銃なら更に速い。それを、いとも簡単に避けてみせた。
こいつは、化け物かーーーーーーーー!?
闇雲に発砲するが、超高速の弾は一発も当たらない。少年が近付いてくる。くそっ、当てなければ。当てなければーーーーー!!

少年の肩を、至近距離から発砲した一発がかすめていった。至近距離からでさえ、少年の命を奪うには至らなかった。そして、多くを騙した大槻に罰が下る時が来た。
ドスッ!と、大槻の額に少年は何かを『蹴りで』打ち込んだ。

「が……ぎぃっ…」

大槻は少し痙攣した後、やがて絶命した。額に突き刺さっていたのは一本のごく普通のアイスピック。堅い頭蓋骨をも貫けたのには一つ理由があった。
少年ーーーー人吉善吉は、『普通(ノーマル)』に属する人間である。13組のような生まれ持った『才能(アブノーマル)』は無い。

勿論、-13組のような生まれ持った『過負荷(マイナス)』も持たない。
しかし彼は、幼なじみであり見せしめとされた少女、黒神めだかと共にそれらと熾烈な戦いを繰り広げてきた。その度に、彼もまた異常な身体能力に進化していったのだ。
彼は自分が殴るより蹴る方が威力が高いことを理解していた。例えば、刀を蹴り上げて天井に突き刺したりできるのだから。それを踏まえた上で、蹴りを応用してアイスピックで堅い頭蓋骨を貫くことに成功したのだ。

「最後の弾を当てられなかったのはあんたのミスだ。その気になれば俺は今逆に倒れていただろうさ………くそっ、まだ足りねえ…!!」

黒神めだかを生き返らせる。それが善吉の望みであった。
たとえそれを本人が望まず、それを行った善吉に強い拒絶を示したとしても。人吉善吉は100%後悔しない。世界にはあの少女が必要なのだから。

「………待っててくれ、めだかちゃん」

【チルノ@東方project】
【大槻@賭博破戒録カイジ】   死亡
【残り40/45人】

【深夜/a-2】
【人吉善吉】
基本:優勝して黒神めだかを生き返らせる。
1:知り合いは騙し討ちで殺す。
2:全てが終わったなら主催者も殺す。
※球磨川が候補生を撃破した後からの参加です
※『欲視力』は封印されています



【長谷川遙】
17歳の狐獣人。
常に冷静な考えができ、人を陥れることに抵抗のないペテン師気質。

今宵狂いし道化 投下順 金融幹部の憂鬱/作曲家の退屈/処刑人の悲壮=+α
$color(cyan){GAME START チルノ GAME OVER
$color(cyan){GAME START 大槻 GAME OVER
GAME START 人吉善吉 [[]]
GAME START 長谷川遙 [[]]

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最終更新:2011年07月10日 23:50
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