命題「シークレットゲーム」

「まず最初に自己紹介をしておこう。
 俺の名前は天童世死見、天使バイ!」

突然そう名乗った黒服の男。
その言葉にフーリエが初めに感じたのは歓喜であった。

フーリエは敬虚な教徒である。
主の教えを信じ、御心のままに愛を説いていた。
例え殺し合いを強いられようと。
例えその言葉を否定されようと。
ただひたすらに、全てを救おうとしていた。

その道は苦難の道だった。
茨の上を歩くようなものであった。
年端も行かぬ少年の命を助けることも出来ず。
殺人を望む罪人の心を救うことも出来ず。
侍の履き違えた正義を治すことも出来なかった。
出来たことと言えば、一人の老婆を刃から庇う事だけ。
ただそれだけしか出来ずに命を落としてしまった。

凶刃から老婆を守れたのだからそれでいい。
無駄な死ではなかった。
確かにその通りではあった。
しかし。
あの罪人はこれからも罪を犯し続けるだろう。
あの侍はこれからも改心の余地ある者をも斬るだろう。
それだけがフーリエの心残りであった。

だから。
目の前に天使を名乗る人物がいて。
今ここに、傷一つ無くなっている自分の身体があって。
思いは報われたのだと。
自分は正しかったのだと。
ただただ神に感謝をするばかりであった。

しかし。
しかしであった。
フーリエのその思いは、次の瞬間脆くも崩れ去っていた。
天使が告げた言葉。
言わば神託。

「突然だが、お前たちにはゲームをしてもらうバイ!
 と言ってもただのゲームではないぞ。
 お前たちには神様からそれぞれ違う命題が課せられているバイ。
 『全てのプレイヤーの皆殺し』とか『首輪を3つ集める』とか。
 それを達成できなかったら即死亡!
 名付けてシークレットゲームバイ!」

呆然。
その言葉に尽きた。
理解が追いつかなかった。
何を言われたのか分からなかった。
皆殺し。
およそ天使の口から出るような言葉ではなかった。

天使らしからぬ格好。
そして発言。
堕天使。
一瞬、その言葉がフーリエの脳内に浮かんでいた。
それでも。
フーリエはその言葉をすぐに脳裏から消し去った。
背信を行なうところだったと。
主の教えを説く者が天使を疑ってどうするのだと。
無理矢理その思いを押さえつけた。
その時。

「くだらん」

一人の男が前へと進み出た。
金色。
男を表現するなら、まさにその一言であった。
その場の誰よりも力強く。
その場の誰よりも神々しい。

英雄王ギルガメッシュ。
それがその男の名前である。

フーリエは英雄王の姿に目を奪われていた。
王。
それは天使と比べると格下の称号。
であるのに。
にもかかわらず。
フーリエは一瞬にして男に敬服していた。
しかし天使への畏れも失われたわけではない。

黒色の天使。
金色の王。
フーリエは両者の対峙を固唾を飲んで見守る。

「よもや貴様、この我」
「―――待て、それ以上反抗するな!」

進む王。
慌てる天使。
これだけを見れば決着はついたようなものであった。
事実。
英雄王と天使の実力には天と地程の差があった。
天使に勝ち目はないはずであった。
普通であれば。
しかし。

「破アアアアアアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
「―――ガッ!」

遥か遠くから衝撃波のようなものが飛来して。
英雄王の首輪へと衝撃波が吸い込まれ。
爆音と共に英雄王の首が空を舞っていた。

驚愕。
その結果にフーリエは愕然とするしかなかった。
遠方からの衝撃波。
示し合わせたものでない事は確かだった。
偶然。
そうとしか呼べないものだった。
何しろここは室内。
外から一参加者の首輪を狙うなど普通は無理な話である。
実際。
それは、どこかで戦闘中だったTさんの攻撃の流れ弾であった。
英雄王をも一撃で倒すなんて、【寺生まれってスゴイと改めて思った。】

だが。
天使はさして驚いた様子は無かった。
その事で、フーリエは一つの可能性を思いついた。
この天使は偶然を操るのだと。
天使。
神に使えるもの。
なればその程度出来たとしてもおかしくは無いと。
事実は違ったが、全くの見当ハズレでもなかった。

「あいたーっ、お前に下された命題は俺に反抗をしない事だったバイ!
 だから警告したバイよ!」

命題。
為さねば命が無いもの。
例えどれだけ強くとも。
例えどれだけ頑丈であっても。
神の見えざる手により必ず死んでしまう強制力。
もはやフーリエに天使を疑う余地はなかった。

「詳しいルールは全員に配るこのPDAに記してあるバイ。
 あの男のようになりたくなかったら、キチンとルールを熟読しろよ」

そしてその場にいた者はみな、次々と会場へとワープをしていった。
天使、天童世死見を残して。

「まぁったく、神様もとんだ命題を下してくれたもんバイ」

憂鬱そうにした天童の手元。
そこには。
『20XX年XX月XX日XX時までに殺し合いを開き成功させないと即死亡』
と書かれた紙が握られていた。



【一日目/深夜/不明@不明】
【天童世死見@オールジャンルバトルロワイアル】
[時期]:103話『命題に翻弄される者たち』でユーフェミア・リ・ブリタニアに殺された後
[状態]:普通
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:シークレットゲームを成功させる。

【フーリエ@オリジナルキャラ・バトルロワイアル】
[時期]:112話『瞼の裏には母の姿』で鍵谷美和子に看取られた後
[状態]:不明
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:不明。

【一日目/深夜/不明@不明】
【寺生まれのTさん@ドキッ☆男だらけのバトルロワイアル ~ポロリもあるよ~
[時期]:0話『OP』で脱出した後
[状態]:不明
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:不明。

【ギルガメッシュ@ミニリピーターバトルロワイアル 死亡確認】



★パロロワ一口メモ★
【寺生まれってスゴイと改めて思った。】

元ネタは寺生まれのTさん。
初めてパロロワに登場した『ドキッ☆男だらけのバトルロワイアル ~ポロリもあるよ~』で
見せしめとして選ばれた男の首輪を止めて脱出するという偉業を行なった。
今ロワでは外部から首輪を破壊して見せしめを作ると言う全く逆の行為を行なっている。


008:『俺リピーターロワ最終回』 投下順 次話
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GAME START 寺生まれのTさん@ドキ男 次話
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最終更新:2011年07月18日 22:00
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