アットウィキロゴ

オープニングフェイズ

聖杯戦争が終わり、俺とセイバーは別れ、俺達はまた日常へと戻っていった。
新しく家族の一員となったイリヤは今日も藤ねえと馬鹿騒ぎをしている。
そんな二人に桜と俺は苦笑を浮かべながら、藤ねえに学校に遅れるぞ、と注意をしようとした。
その時、世界が歪んだ。
不意の感触に何が起こったのか理解する前に意識が反転する。

「先輩!先生!」

意識を失う前に聞いた、桜の悲鳴の『先生』という単語に、漠然とした不安を抱えながら、俺は意識を手放した。

……どれほど眠っていたのだろうか。俺は誰かに揺り動かされて目が覚めた。
目が覚めた俺の視界にいた人物は…。

「士郎! 大丈夫? 怪我とかしてない?」
「……藤ねえ?」

心配そうに俺を覗き込む藤ねえ。
意識を失う前に俺が感じた不安は的中してしまったらしい事に、俺は内心苦い顔になる。
俺が巻き込まれたのか、藤ねえが巻き込まれたのか、多分後者だろう。
藤ねえは俺みたいな魔術師じゃない、一般人だ。加えて俺は聖杯戦争の参加者で聖杯の破壊者だ。ともなればなんらかの理由で狙われてもおかしくはない。
もし、俺のせいで藤ねえが巻き込まれたのだとしたら俺がなんとしてでも守り抜かないといけない。

「大丈夫、ありがとう藤ねえ」

ひとまず、心配そうに俺を覗き込む藤ねえに笑いかけた後、俺は周囲を見回した。
そこは遠坂の屋敷の談話室を数倍も大きくしたかのような空間だった。俺達以外にも何十人もの人が倒れている。
俺や藤ねえが気づいたように回りの人間も次々と起き上がっていく。
次第に辺りが騒がしくなってきた


「ひょっとして、これって、何かのパーティー?」
「何でさ」

素っ頓狂な答えに思わず突っ込みつつ、俺は辺りの人間を見回す。仮面を被った男にピエロみたいな男。なるほど、藤ねえがパーティーと勘違いしたのも頷ける。
そんな中、俺の視界はある人物を捉え、俺は驚愕した。

「あれはライダーの……」

そこにいたのはセイバーとの戦いで死んだ筈のライダーのサーヴァントだった。
真逆――、俺は急いで、注意深く辺りを見回す。
……いた。
遠目に見えるフードを被った女性、キャスター。そして、隅の方で体を拘束され、不気味な程に黙り込んでいる大柄なんてレベルじゃない巨人、バーサーカー。
他のサーヴァントの姿は見当たらない。どこかでセイバーもいるのではと期待していたが、残念な事にそれは叶わなかった。
問題はその三体のサーヴァントがこの場にいるという事だ。全員が全員敵対していた以上こちらにいい感情はあまりもっていないだろう。セイバーもいないのにもしも襲われたら。
俺の頬を冷たい汗が流れた。

「あれ、士郎? 士郎の首についてるのって……」

藤ねえに指摘され、何事かと俺は自分の首に触れた。輪っか状の金属製の何か。これは……首輪?
ここに来る前に首輪なんか着けていた記憶の無い俺が藤ねえを見ると、藤ねえの首にも首輪がかかっていた。
まさかと思い、俺が他の参加者をもう一度見回すと、やはり俺達と同じように首輪がかかっている。

俺達以外にも首輪に気づいた人間がいるのだろうかざわめきがどんどん激しくなっていく。

「皆目が覚めたようね」

不意に聞こえた声に場が静まり、俺を含めた全員の視線が声のする方向へと向けられた。
いつからそこにいたのだろうか、談話室のソファーにその女の子は座っていた。
ウェーブのかかった銀髪に金色の瞳、そしてポンチョを羽織った少女から嫌というほど放たれるプレッシャー。


本能が理解した。目の前の女の子は危険すぎる。

「おい、ベール=ゼファー! こんなところに俺達を呼び寄せて何をするつもりだ!」

ブレザーを羽織った俺と同い年くらいの学生が、彼がベール=ゼファーと呼んだソファーに座っている女の子に吼えた。
それに対して、ベールというらしい女の子は余裕の笑みを浮かべているだけだ。
ふと俺はその笑みをどこかで見た感じがして自分の記憶を掘り起こす。

「熱くならない方がいいわよ? 柊蓮司。今から説明するんだから黙って聞いていなさい」

そういうと彼女は俺達に向き直り、笑顔のまま口を開いた。
その時、俺はその笑みをどこで見たのか思い出した。
聖杯戦争で、言峰のサーヴァントであったギルガメッシュが俺と会ったときの笑み。

「申し遅れました。私は『魔界の大公』ベール=ゼファー。皆さんに集まっていただいたのは訳があります」

――つまり奴が俺達に向けた笑みは。

「今から皆さんには、殺し合いをしてもらいます」

――俺達の命なんか毛ほども思ってない人間の笑みだ。
笑顔と共に告げられた言葉に場が凍りついた。
殺し合え? 俺や藤ねえ達に殺しあえっていったのか

「何故我々がそのような事をしなければならないのか、説明を願おうか。ベル嬢」

凍りついた場を破ったのは黒いスーツを着たガタイのいい男だった。
その人は挑戦的な目で彼女を睨んでいる。

「あら、交渉するつもりかしらMrネゴシエーター。だけれども私は貴方達と交渉する気は何一つないの。私のすることは請願でも提案でも無い、命令なの。おわかりかしら?」

何て女だろうか、俺の脳裏にこいつはギルガメッシュの少女バージョンでは、などと突拍子もない考えが浮かんできた。
ネゴシエーターと呼ばれた人が苦虫を噛み潰したような顔している。周りの人間も彼女の言い回しが気に食わなかった殺気だっている。


そんな中、一人の男が飛び出した、仮面を付け薄笑いを浮かべた男は、瞬時に彼女との距離を詰める。
よく目を凝らしてみると、そいつの腕は鋭い針のように変形していた。
その腕が彼女の眉間へと迫り、寸前で止まった。
何故止まったのか、その理由はすぐわかった。
彼女の手にはいつのまにか鋭い槍が握られ、その穂先は狙い違えずに今自分を刺そうとしている男の心臓へと向けられていた。

「アラン・ゲイブリエル!」

さっきの黒服の人が叫ぶ。アラン・ゲイブリエルというのが仮面の男の名前らしい。
黒服の人に名前を呼ばれてもアランという男は笑顔を浮かべ彼女から視線を外さない。

「気に入らないな、その態度は。何もここにいる全員で殺しあう事もない。お前を殺せばこの場は終わりだ」
「あら、随分と血の気の多い事ね、半機械人間のブーギー(お化け)さんは」

半機械人間、テレビやアニメの中の存在がぽんと出てきた事に俺は驚いた。
対するアランは特に否定するでもなく、にいっと笑みを濃くした。多分当たっているんだろう。

「ふん、どこまで知っているのかは知らないが、まあいい。このままお互いの血を確かめ合おうじゃないか、お嬢さん」
「ふふ、それは遠慮するわ」

瞬間、俺は彼女から魔力が膨れ上がるのを感じた。他にも何人かは気づき始めたようだ。
このままではまずい。気づいたら俺は叫んでいた。

「アランとかいう人! 逃げ――」
「ヴォーティカルショット」

遅かった。突如として彼女の目前の空間が歪み。それが遠坂の使うガンドのように、闇の礫となって、アランの腹部に直撃し、彼を吹っ飛ばした。
それに合わせて、何人かが動こうとしたが、それはベールが手に持ったリモコンを掲げた事で停止した。
「全く、無粋な人ね。……まぁいいわ。もともと貴方を呼んだのはこの為だったし」

地べたに転がったアランを見やり、ベールはリモコンのスイッチを押した。
その瞬間、アランの首輪からピピピピと警報音が鳴り響いた。
ヤバイ、とてつもなくヤバイ気がする。

当のアラン自身もいきなり何が起きたのかわからず、その顔を怒りにゆがめ、ベルへと視線を向けた

「き、貴様!何をしt」

その時、俺達の目の前でアラン・ゲイブリエルと呼ばれた男の首が爆ぜ、宙を舞った。
銅線や機械部品などが見える生首が血とオイルを撒き散らしながら床に落ちると同時に、首を失くした胴体がそれを追うように絨毯の敷かれた床に倒れ伏した。

「きゃあああああああああ!」

俺のすぐ横から、いや、すぐ横からも悲鳴が聞こえた。
突然の光景に呆けていた俺は、藤ねえの悲鳴で我を取り戻した。
藤ねえにこの光景はショッキングすぎる。

「藤ねえ!見ちゃ駄目だ!」

慌てて俺は藤ねえの視界から死体を隠すように動く。藤ねえは顔を青くし、俺の服を握り締めながら震えている。
殺した。何の躊躇もなく、何の感傷もなく、アランという人はあのベールと名乗った女の子に殺されてしまった。

「ベールゥゥゥゥゥゥゥッッッ!! テメェェェェェッッッ!!!!」

怒号が響いた。
見ると、巫女服を着た女の子達の静止を振り切り、先ほど柊蓮司と呼ばれた男が殴りかかろうとしていた。
その柊に向け、ベールがリモコンを向けた。
場が、再度凍りついた。
沈黙。それはベールによって破られた。

「そんなに緊張しないで柊蓮司、これ以上私自身から手を下す気は無いわ。それに剣を持たない貴方と戦う気はないの。貴方だって剣無しで私を倒せるとは思ってないでしょう? 大人しく説明を聞いていなさい」

悔しそうにベールを睨んだ後、柊は大人しく引き下がった。
ベールはそれを満足そうに見やると俺達に説明を開始した。

「さっきのでわかると思うけど、貴方達の首にかけられている首輪には爆弾が仕掛けられているわ。爆発する方法は主に3つ。
12時間以内に誰も死亡しなかった時・首輪を無理に外そうとしたり強烈な衝撃を与えた時。そして禁止エリアに抵触した時。禁止エリアに関しては今から説明するわね」

人通り説明してからベールが指を鳴らすと、俺達の目の前に巨大なテーマパークのような映像が浮かんだ。その中心部には城がふよふよと浮かんでいる。

「これがこの殺し合いの会場、ベールパークよ。私達が今いるのはこのお城」

そういってベールが城を指差すと赤い光点が何個も浮かんでいる。つまりこれが俺達を表しているのだろう。

「毎日6時間毎に放送を入れ、その都度このパーク内で通行禁止エリアを定めるわ、数分間の猶予があるから、運悪く禁止エリアとかち合っちゃったら全速力で逃げる事ね。
それとこの城のあるエリアは貴方達が会場に飛ばされた後、自動的に禁止エリアになるからまがり間違っても私を倒そうなんて馬鹿な真似は考えないように。」

そこまで言うとベールは何もない空間に手を突っ込みそこからデイパックを取り出した。
いきなりでてきたそれに俺は思わず目を見張ったがそれは他の皆も同じだったようだ。

「驚いたかしら? これは月衣といって簡単にいうと、一部の人間が使用できる、色んな物品を収納できる結界みたいな物よ。
貴方達に配られるこのデイパックには貴方達が使えるように、ちょっといじった月衣を装備させてもらっているわ。
デイパックの中には水やコンパスの他に、貴方達が生き残る為の支給品が何個か入っているわ。詳細と使い方は取扱説明書を添付しておくからよく読むことね。
最後に、優勝者には何でも願いを叶える権利を上げる。死者を生き返らせる、富と名声、何でもありだから良く考える事ね。
それじゃあルール説明はおしまい。せいぜい頑張りなさい」

その言葉と同時に、俺は本日二度目の意識を失う感覚を味わった。


【アラン・ゲイブリエル@THE ビッグオー:死亡確認】
【残り50名】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年09月22日 16:58
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。