「あの」
その一言で現状把握に夢中になっていたオレ…枸雅匡平の意識は現実に引き戻された。
振り向けば特徴的な空色をしたショートカットの、中学生ぐらいの女の子。
首には灰色の、金属製の首輪が巻き付いている。
きっとオレの喉元にある違和感の正体もこれだろう。
「ここ、どこだか分かります?それにこの首輪…」
彼女もまたオレと同じくこの異常事態に対し困惑しているらしい。
「…いや、オレも分からないんだ。
実家に帰る途中、気付いたらここに」
「私は学校に行く途中……」
状況は違えど、結果的にここに辿り着いていたという事実は同じ。
やはりお互いに何が何だか分からない。
改めて周囲を見渡してみると、ただただ暗闇がオレ達を守っているだけ。
そしてオレ『達』 の中には、学生服を着た人、時代錯誤な格好をした人。
コスプレ…というのだろうか、あれは。妙な衣装の人もちらほら。まったくもって統一感がない。
「あ」
「どうした?」
「あそこにあたしの友達が…」
どうやら知り合いが居たらしい。
女の子が指をさす方向を見てみると、そこには彼女とは相対して
曇り空を思わす髪色の男子中学生が佇んでいた。あちらはこちらに気付いていない。
女の子は友達とコンタクトが取りたいようだけど、この人混みの中では上手く動くことはかなわない。
彼女が口元に手を当てて友人に大きく呼び掛けるが、周りの雑踏によって
届くことはなく。仕方がないので無理にでも人の群れを掻き分けて進もうとしたその時。
「こちらを見て下さい、とミサカは皆さんに注目を促します」
声のする方角。空間の中心に額にゴーグルをつけた『ミサカ』を名乗る少女の姿が浮かび上がっている。
用件も方法も推測すらできないが、ミサカがオレ達をここへ集めたのだろうか?それとも…。
「ぃ……と…!」
近くからミサカへの呼び掛けと取れる言葉が聞こえたような気がしたが、
継続されたままの騒がしさに呑まれてしっかりとは認識できなかった。
ミサカもそれに気付かない。あるいは、無視をしているだけかこちらを見ない。
「皆さんにはこれよりゲームをしてもらいます、とミサカは皆さんをここに収集した目的を告げます。
優勝した一名には元の世界への帰還と、一つだけ何でも願いを叶えることを約束します。
ルールは簡単です。
スタートから72時間以内に自分以外の参加者全てを
殺すだけ、つまり
殺し合いのゲームです、とミサカは分かりやさすくまとめます」
……はぁ?
呆気に取られているのはオレだけではない。
先程話した女の子もその友達も、そして他のみんなも。
突拍子のないミサカの要求に唖然とするばかり。
その言葉の意味を充分に吟味したあと、反発の声を上げる人も多かった。
「抵抗はしないほうがいいかと、でなければ…」
ピ、ピ、ピ、と鼓膜を突き破るみたいな甲高く、耳障りの悪い電子音が鳴き声を上げ始めた。
…――音は隣に居る女の子の、友人の首輪によるものだった。
喧騒が完全に止み、少年はみんなの注目の的となる。
「何だ…これ?」
「……き、恭介?!」
どうしようもない不安がオレ達を襲う。それ以上に動揺していたのは女の子だ。
女の子は群衆を強引に潜り抜けて、ひたすら首輪を撫でる少年の方へ走る。
一方で少年の首輪が奏でるそれは、音と音との間隔を狭めていった。
「恭介、恭介!」
「さや――――」
人混みから顔を出した女の子に気付いた瞬間、少年は胴だけの姿になり、
頭が生えていたはずの首の天辺からは血肉が飛び出していた。
天高く跳ねた頭部は、鼻より下がぐちゃぐちゃに
潰れていて、残った半円だけが女の子の足元に落下した。
…女の子の表情は見えない。ただ震えているのが見えるだけ。
「皆さんの首についたそれには、爆発機能がついています。
無理に外そうとした場合、三日が経過しても二人以上が生存していた場合、
六時間毎に死者の名前と一緒に発表される禁止エリアに入った場合は
この機能が作動し、例え不死であろうが何だろうが必ず死にますと、ミサカは強く忠告します」
くそ、何が何でも殺し合いをさせたいのか!
「その他にも便利な力があります、とミサカは親切に説明を開始します。
この中には錬金術や超能力といった類を使える者から何の力も持たないただの人間まで幅広く揃っています。
だからなるべく公平にするため、特殊な力を持つ者に何らかの制限を発動するようになっているのです」
…超能力?錬金術?
よく分からないけど例えば……隻が案山子を操る能力のようなものが対象になるのだろうか。
「もちろんそれだけではあまり差が縮まらないでしょうから、
支給品が一つ~三つまで入ったデイパックを用意してあります。
他には日用品、地図、コンパス、飲み物や食べ物、寝袋、救急セット、懐中電灯、
参加者名簿にペン、時計など…。生活する上で必要なものは大体揃えているので安心して下さい」
無表情を隠すみたいに額のゴーグルを装着して、首をわずかに
オレの方に…オレの近くに居る誰かに向けて揺らしたように見えた。
まるで、その誰かに何かを伝えたいかのように。
「……それでは、ゲームを開始します」
どういうわけか、オレは足先から光の粒へと化していく。
(一つだけ、何でも願いを叶える…か)
さっき言葉を交わしただけの…たったそれだけでも接点を持った女の子の、まだ震えが止まない背中を見つめながら。
ただ彼女がこの先、オレの幼馴染のように人間としての道を踏み外さないようにと祈った。
【枸雅匡平@神様ドォルズ】
【美樹さやか@
魔法少女まどか☆マギカ】
【御坂妹10032号@とある科学の超電磁砲】
【上条恭介@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】
【バトルロワイアル スタート】
| GAME START |
枸雅匡平 |
[[]] |
| GAME START |
美樹さやか |
人魚姫の涙 |
最終更新:2011年07月31日 17:46