それぞれの思い

ライトアップされた遊園地。
エリアE-2の中央部に設けられた休憩所には、椅子に腰を掛ける青年の姿があった。

(うーん、これからどうしようかなぁ)

名を、瀬田宗次郎。
明治政府の打倒、そして国盗りを野望とする志々雄真実率いる反政府組織『十本刀』
宗次郎は志々雄より教えられた『弱肉強食』こそがこの世の全てであることを信じ、志々雄の側近を勤めてきた。
が、現在は一人の男…緋村剣心の手によって組織も壊滅。宗次郎は自分だけの真実を求めて旅に出た。

……はずだったのだが、今は。

(いくら考えても分からないや)

バトルロワイアルという殺戮を目的とするゲームに巻き込まれていた。
名簿の中に見た死んだはずの志々雄の名。二回もの空間移動。
明治を生きる宗次郎は爆発機能付きの首輪や、遠くに見える空中で回転する車輪のようなカラクリや
轟音を響かせ頭上を走り去る得体の知れない座席のようなものにも面を喰らった。
これらのような普通では有り得ないことばかりを目撃して、ただでさえ元々考えることを苦手とする宗次郎にはどれだけ苦慮したところでこの遊戯に対する答を見出だせやしなかった。

「こんな時でも緋村さんは緋村さんなりに、志々雄さんは志々雄さんなりに、それぞれの信念の中で闘うんだろうなぁ。
 …あなたは何の為に剣を抜いたんですか?誰かを守るため?それとも」
「やらねばならんことがある。ただそれだけのことだよ」

後方頭上から降り注ぐ声と殺気。
ゆっくりと立ち上がる宗次郎は腰に構えた刀を素早く引き抜き、空に翳した。
──刹那、鼓膜を引き裂くような鋭い音。重なり合った刃がギリギリと歯軋りをし、膝をバネにして敵を身体ごと弾き返す。
相手は空中をひらりと舞って円形の台の上に片膝を立て着地すると斬りかかってくるわけでもなく、ただ宗次郎の動きに称賛を与えた。

「ふむ、なかなかやりおるな青年。貴様、名を何という」
「瀬田宗次郎です。あなたは?」
「キング・ブラッドレイ。一つの国をまとめる王だ」
「王様かぁ、そりゃあ面白いや」

刀を鞘へとしまって、志々雄が欲した位置に立つ男の顔をじっと目つめる。
歳は推定60歳前後といったところか。しかし先ほど相殺した一撃を見るに、老いを感じさせない程の実力を持っているのは確か。
肉体もかなり鍛え上げられていることが軍服の上からでも充分に分かる。
ちょっとやそっとでは倒すことはできないだろう。

「……」

睨み合う二人の間を、一陣の風が吹き抜けていく。
今度は宗次郎が先に強く地を蹴った。
まるで空間移動したかのように次の瞬間ブラッドレイの背後に回り込み、居合い術を見舞わんと刀を抜き放つ。
だが、やはりブラッドレイもかなりのやり手。振り向き様に抜刀術をいとも簡単にあしらわれ、その終わりに刺突を上乗せして返される。
喉という急所部分を確実に狙っての一撃を刀身で受け止め、弾きながら足場にしていた台から他のテーブルへと跳ぶ間の更なる追撃。
速くて重いその一突き。
腕力だけでは対処できないような強い力が添えられた攻撃を受け流す際には、身体が吹き飛ばないよう支える為に両脚に全体重を掛けるわけだが
足場が存在しない空中では刀に力を受けた瞬間に体勢が崩れてしまう。つまり隙を作るだけになるのでかわすしかない。
宗次郎は持ち前の脚力で宙すらも蹴って一段と高く跳躍し、何とか回避し着陸体勢に入る。その間僅か0.1秒。
……しかしブラッドレイの動きは宗次郎の予想を遥かに上回るもので、ブラッドレイはいち早く宗次郎の着地点を計算して先回りしていた。
振り上げられた刀身に咄嗟に刃を打ち返すが、刀を振るう勢いが相手に押し負けて、地に降り立った宗次郎の身体がかすかによろめく。
それが仇となり、急所は何とか守れたものの、ブラッドレイより放たれた鋭い突きを肩に受ける。
肉が抉られる感覚に表情を歪め、剣が引き抜かれた瞬間、何年ぶりだろうか。宗次郎は自分の身体から舞う鮮血を久しぶりに目にした。

(死ぬ、のかな…?)

ぼぅっとする思考。
他人事のように宗次郎が血を眺める片側で、トドメをささんとブラッドレイが剣を後ろへ引くと。

「ミャッハー!正義の魔女っ子ハナちゃんの登場だよぉ~。ミラクルチェーンジ!」

頭痛を誘うようなキンキンと甲高い声と、起こったのはどうしてか、爆発だった。
気を緩めていた宗次郎は見事烈風に呑まれ、意識を手放す。


「む?」

最強の眼を持つ男、キング・ブラッドレイが巻き上がる爆風の向こうに見たのは幼い少女の姿だった。
敵襲に身を構えるものの、気付けば手にしていた剣が肌色が多い、プリっプリのお尻がチャームポイントの女の子の人形にすり変わっていて、
考えられない超常現象にさすがのブラッドレイも注意がそちらに奪われる。

「けしからん…!」

そうこうしている間に去っていく敵。
当然追いかけることも出来たが、獲物がこれだし、何となく戦闘欲が削がれた。

「……今回は見逃してやろう。
 しかし、なかなか面白い人間が居るようだな。
 これは期待してもいいのかもしれん」

決められたレールの上を、ただなぞるだけのつまらない人生。
人柱の兄弟といい、このゲームといい、良い退屈しのぎをさせてくれる。


口角を吊り上げ、人形の尻をちらりと見やると、ブラッドレイはディパックにそっとしまって少女たちとは反対方向に歩き始めた。


【一日目深夜/E-2、遊園地】
【キング・ブラッドレイ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品、アイテム1~2所持、千石撫子のスク水フィギュア@2ちゃんねる
[思考・行動] 基本:目的を果たすため、生還する。
1:殺し合いを楽しむ。


『おい小娘、そいつをどうするつもりだ?喰っていいのか?』
「ダメだよぉ~!狸は人間が餌なのぉー?そんなんじゃ太っちゃうよぉ、近所のヒッキーおじさんみたいに」(*´艸`)プププ

一方、気を失った青年と二つのディパックを抱え遊園地の中を颯爽と駆け抜ける女、電波と、その頭にしがみつく支給品の一つである不細工な猫、斑。

『狸じゃないわ!』
「ギャー!何てことすんのこのブタヌキー!」\(>_<)/ワーワー
『わー!』

顎下の白い頬を引っ掻こうと短い手をばたつかせる斑を落とそうと電波が頭を振り乱す。
地面に落下した斑を余所に電波は赤いフリルのワンピースをひらひらと風に遊ばせながら、軽々と跳躍し遊園地のフェンスを跳び越える。

「んん~、でもどうしよーおかなー?わたしは正義感に従ってこの子を助けただけだし…。
 厨二臭くてここじゃあ何するか分かんないおにぃや自意識過剰なビヨーちゃんが居るから
 なるだけ早く探しだしたいんだよねぇ~?みんなほぉぉんとぉーに世話が焼けちゃうよー」ι(`ロ´)ノプリプリ
『そいつらはお前に対して同じことを思っとるかもしれんな…。というか、夏目捜しも忘れるんじゃないぞ!』
「あー、そういえばそうだったねえ」(^∀^;)))アブネーアブネー

少し腰を沈めることで遅れてフェンスを越え隣に降り立つ斑を肩に誘導し、
確かに肩の上に豚一匹分ほどの体重を感じると、電波は奥に見えた従業員専用の休憩室へと歩を進める。

「まぁとりあえず男の子と豚抱えてるのはキツイからー、ちょっと休もうかな?
 この子もベッドで寝たほうが楽だろうし、何か血出てるから手当てもしたほうがいいよねぇ」
『儂は腹が減ったぞ!』
「うーん、この子の非常食もらっていいんじゃない?この子痩せてるから少食だと思うし。いや知らないけど」(^∀^;)))ニャハハ

室内に入ると、周囲を気にして明かりは点けぬままに奥へと進み、青年を寝台に横たわらせた。
青年の足元でディパックから食料を漁る斑の隣に座り救急箱を探しながら、魔女っ子ハナちゃん大活躍の巻の妄想に浸り始める。


正義に燃える女。
正義を知らない青年。
正義を嘲笑う妖。

二人と一匹の物語は果たしてどう交差するのか…?

【一日目深夜/E-1、遊園地休憩室】
【瀬田宗次郎@るろうに剣心】
[状態]:肩に刺傷、気絶
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品、アイテム1~2所持
[思考・行動] 基本:分からない。
1:───

【電波@2ちゃんねる】
[状態]:健康(疲労小)
[装備]:斑@夏目友人帳
[所持品]:基本支給品、アイテム1~2所持
[思考・行動] 基本:正義を貫く。
1:おにぃとビヨーちゃん、ブタヌキ(斑)の知り合いを捜す。


【斑@夏目友人帳】
[状態]:健康、空腹
[思考・行動]
1:夏目捜し。
2:電波についていく。



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最終更新:2011年08月10日 12:22
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