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完了 ⇔ 完成

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黒神めだかという人物を語るにあたり、まず挙げられるとするならば、
やはりその、ずば抜けた『異常性』と来るだろう。
『完成(ジエンド)』と呼ばれるそれは、物事を完成させる能力。
人の特性を、120%にして吸収する力。
都城王土の『異常』、『人心支配』からなる、「理不尽な重税」とは違い、
奪うのではなく、吸収するだけ。
勿論のこと、対象者は異常性を維持したままで、痛みも何もない訳だが。
ただし、それは必ずしも良いこととは言えない。
何故ならば、対象者は必ずしもというわけではないが、大抵は『異常』の持ち主だ。
その『異常』の持ち主は、その一点の才能だけを認められて生きてきた。
そこから生まれる、見下し。
そこから派生する、優越感。
そんな幻想を、めだかは踏みにじることとなるのだから。
イコールして、プライドなんてものはズタボロにされる事と同義である。
現に、いや過去に、めだかは書道家の師匠をその圧倒的な才能で引退まで追い込んだ。
かくいう《帝王》を土下座させるまで、屈服させるまでの才能だということだ。

ただし、彼女は教えなければ、何も知らない。
喜びも、楽しみも。
痛みも、苦しみも。
何も知らない。
だからこその、この才能。
足りないからこそ、自分で給する。
これこそまさに、自給自足。
自分で足りないものを給する。
自分で足りないものを救する。
完成するまで、成長し続け、
完了するまで、止まることはない。

その為に、その術として、

最も適したこの形。




黒神めだか(改)が再び始動する!





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鑢七花を語るにあたって、まず、というよりも。
これしか思いつきようもないのだが、虚刀流という流派の当主だ。
またの名を、完了形変体刀、虚刀『鑢』。
手足を文字通りに刀にする、その流派。
刀の重さは長所で、その分短所。
刀の長さは長所で、その分短所。
何かしらの長所は必ず短所にもつながる。
ならば、その短所を失くすために、長所は犠牲にしよう。
そんな建前の元生まれた流派。
それが虚刀流。
完成形変体刀という傑作という名の習作を経て、
この変体刀は、先日、七代目当主である鑢七花のもとにより、ようやく『完了』された。

初期は、まさしく新品の刀の様に冷たかった。
中期は、少しばかり血を浴びて少し経ったような刀の様に温くなっていた。
終期は、まるで人の様に、温かかった。
まだ辿り着けずの最終は、何も感じなかった。
この、鑢七花は、温かかった。
人の温かさを、人肌を、感じさせる成長した、完了した七花に為っている。
ただ。
守るものがいる。
守るべき者がいる。
守りたい鞘がいる。
とがめ。
白髪の姫。
肯定の天才と言われる曲者。
皇帝に天災をばら撒ける者。
そんな、彼女を守りたい。
――――――――人を殺すかは、別として。
――――――――命令ではない限り。



虚刀『鑢』は、再び物語の歯車をからませる。



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出遭いはいつだって唐突だ。
まるで、めだかが善吉に会った時の様に。
まるで、七花がとがめに会った時の様に。


舞台は、墓場。


「あら、こんばんわ」
「………あぁ、はじめまして、かな」
「はいその通りです。はじめまして、と言ったところでしょう」

一方は、包帯で身体を覆っている女子高校生、黒神めだか(改)。
一方は、上半身裸に、ボサボサ髪の長身な男、鑢七花。
まるで――――――――というよりそのまま変態二人の邂逅とも置き換えられる。

「……………あまり興味はないんですが、一応社交辞令として挨拶しておきますね。
私は、箱庭学園第98代生徒会長に所属するところの、黒神めだか(改)です。以後お見知りおきを」
「………俺は虚刀流七代目当主、鑢七花だ。あぁ、覚えておこう。ただし、その頃にはあんたは八つ裂きになっているだろうけどな」
「怖いこといいますね」

言う割に動揺どころか、声色一つ変えないのだから恐ろしい。
二人の間に開く距離は、さほど離れていない。
とはいえ、近すぎでもない。
二人揃って、その危険性を危惧して、警戒を重ねている。
それほどまでに、二人は達人であり、同時に危険人物でもあるのだ。

「というよりも、徒手空拳で八つ裂きと言うのも中々おかしな表現ですね」
「おれはこれで良いんだよ」
「なるほど、スパスパの実の能力者でしたか」

そういうと、めだかちゃん(改)は首をボキボキと鳴らしながら、まわし始める。
それをみて、七花は手足の運動を軽くする。
だれが、どこから、どうみても。
戦闘の開始を意味していた。


だから、めだかちゃん(改)は当たり前のようにそう言った。


「それでは、あなたの『異常』を『完成』させます」
「はっ、『完成』だなんて随分と時代遅れな事言ってるんだな」
「――――まさかあなたにそんな事を言われるとは思いませんでした」

めだかちゃん(改)は、七花の体やら、衣服やらをみてそう返す。
しかしながら、七花は特に意を返すようなことはなく、ただこう言った。


「生憎ながら、『これ』は既に『完了』しているんだよ!」


そして、叫ぶ。



そして、動く。



そして、始まる。


一瞬の静けさの後、堂々と七花は宣戦布告を発する。



「虚刀流七代目当主、鑢七花。――――今、推して参る!」


走る。
一言でそうは言うが、常人のそれとはわけが違う。
変幻自在の足運び。
虚刀流の七の構え『杜若』。
常人には、目で追うことすら困難であろう、その速さ。
それもただ速いというわけではない。
牽制を交えて、意識の拡散を交えて、この速さを誇っている。
まさしく『異常』の名に相応しいだろう。
ありあえない。
考えられない。
無茶苦茶だ。
人間業じゃない。
凄い。
凄まじい。
見事だ。
素晴らしい。
言葉を、重ねても、その速さは表しきれない。

その速さが相極まり、既に七花はめだかちゃん(改)の懐に潜り込んでいた。


七花が繰り出すのは、落花狼藉。
前後方向自在の足の運びから、足を斧刀に見立てた踵落とし。

――――から繰りだす無印七花八裂。
相手に七つの奥義を叩きこむ、思いつきの最終奥義。
思いつきということもあり弱点こそあるが、それでも即応性が効くと言う長点はある。

そして繰り出された落花狼藉。
めだかちゃん(改)の頭上から振り下ろされる長い脚。

それはやはり一瞬という言葉にしても差支えなく、
まるで風の様に、突風の様に、一瞬にして、全てを破壊する台風の様に。
鑢七花は、黒神めだか(改)に向けて放った。


しかし、めだかちゃん(改)はこの程度で敗退を喫するほど、弱くはない。


「………………? あぁ、はい。黒神めだかちゃん(改)を始めます」


そういうと、上から振ってくる足を軽く右に往なす。
ただ、七花八裂はそれだけの技では無い。


飛花落葉。
一度合掌した手を開きながら、めだかちゃん(改)に掌底をぶつける。
――――が、身を翻し避けられる。
反射神経などではない、ただの異常な動体視力で見極めての行動。


錦上添花。
両手で、水平手刀を行い、めだかちゃん(改)の両脇を目掛けて放つ。
――――が、やはりこれも避けられて、
しかし、めだかちゃん(改)の顔に、余裕の色が褪せていく。


花鳥風月。
強烈、ただそれだけの掌低にして奥義を誇るだけあり、
今まで無傷のめだかちゃん(改)はよけきれず、七花の手が顔を掠る。
頬を斬る、すると当然ながら微かながらに血が舞い始める。


鏡花水月。
先ほどの花鳥風月とは反対の手で繰り出される掌低。
ただ、先のものとは違い、見事に腹に命中する。
貫通することがなかったのは、やはり元がめだかだからと言わざる負えないが、
命中したのは、現段階における二人の実力の差。
否。片や、本気を出せず。片や、成長段階。
これを実力差と言うには、あまりに二人揃って実力を出していなかった、ともいえる。


百花繚乱。
下から打ちあげる膝蹴りをふらつき始めるめだかちゃん(改)の同じく腹に叩きつける。
これもまた、命中して決定打を与える。
口から吐き出されるは、鮮血。鮮やかな血色。
腹には、いい加減青紫に痣もでき、身体はボロボロになってきている。


柳緑花紅
最後の締めにして、最大の弱点。
―――――ただ、今はもうあまり関係が何のかもしれないが。
七花は身体を捻り、拳に力を溜める。


「――――――――――ぐぅ……!」

めだかちゃん(改)は呻るが、もはや関係がない。


「―――――――――はあああぁぁぁ」



そして放つ。



次の瞬間に聞こえたのは、複数の墓が崩れる音だった。




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「ふぅ――――――」


一息つくのは、鑢七花。
めだかちゃん(改)はというと、墓の向こうに飛んでいった。


今なら相手の元に駆けて追い討ちを掛ける。
そんな事もできるだろう。
というよりも、不承島にいた頃の彼ならば、迷うこともなく、
突進し、殺そうと図ったのであろう。


ただ、彼は成長していた。


人を殺すという行為に抵抗を覚える程度には。


成長とは甘え。

だからなのだろうか。
ただ油断しただけなのだろうか。


彼女が起き上がってきたことに対して、一瞬反応が遅れた。


「―――――――なるほど」


そういって、立ちあがった。
いや、それは分からない。
(この場合付け方が分からないだけだが)懐中電灯すらつけていないこともあり、暗闇の向こう側から、声が響いただけである。
しかし、直感でも、勘でも、分かる。
あいつは立ちあがったんだ、と。


「こんなことを聞くのは、些か憚られますが、あなたは本当に人間ですか?」


その問いをするのは、このめだかちゃん(改)にとっては初めてのものだ。
都城王土にした時系列とは歯車がかみ合わない。
そんなある意味でくだらない質問に、嘘偽りなく七花は答えた。


「違うね。俺は、刀だ」


とがめを守る、どこか折れている真剣。


「そうでしたか、ならば私は人間の位に立っていても良さそうですね」


そんなくだらない質問にあり得ない答えが返ってきても、そんな風に答える辺りは、威厳を感じられる。


「………せめて気絶させるぐらいのやったんだがな」
「ええ、御蔭さまで鼻の骨とか肋骨あたりですか。その辺りが折れてます。立っているのも結構つらいです」
「じゃあ立つなよ」
「いえ、その心配には及びません」

こんな序盤にここまでやられるとは……。と七花には聞こえなかったが、そう呟いた。
そんな七花はというと、再び構え始めた。確かに目も馴れたころだ。
しかしだからといって、限界というものは存在する。
何も彼は猫と言う訳ではないのだから。

されど、その用心は不要に終わった。


「分かりました。あなたの『異常』は大体分かりました」
「―――――は?」
「ですから、もういいです」


と、
言うとさっさとめだかちゃん(改)は踵を返して、スタスタと裸足の足を動かして七花から遠のいていく。
そして、七花からは歩く音がきれいすっぱり無くなった頃になって、ただ、一言、七花の口から零れた言葉は。

「―――――――――へ?」

構えた姿勢が、いやに悲しげに映っている。
こうして、一瞬のやり取りは、終わった。


この間、1分。


短すぎる決闘だった。


【一日目/早朝/A-Ⅳ 墓】
【鑢七花@刀語】
[状態]健康
[装備]
[道具]KS×1、 RS(1~3)
[思考]
基本:とがめを守る
1:―――――――――へ?
2:とがめを探すか
3:そういえばまにわにがいるけどどうしてだ?
[備考]
※「毒刀・鍍」の、鳳凰撃破から、とがめ死亡までの間の参戦です




さて、一方黒神めだかちゃん(改)はというと、地下の病院とやらを目指して歩いている。
勿論のこと、鼻の骨が折れたからだ。
勿論のこと、肋骨が折れたからだ。
今もダラダラと情けなく惨めに血が流れている。

「まさか、ここまでの『異常』が集められるとは…………。さすがは『フラスコ計画』と言ったところでしょうか」

スタスタと病院をめがけ歩きだす。


ちなみに、一つ言っておこう。
鑢七花の『異常』をめだかちゃん(改)はまだ取り込めていない。
あんな一瞬で終わったのだ。
さすがに無理がある。


ではなぜあんなことを言ったのか。
それは極めて簡単。
逃げるためである。

そもそもの話。
今のこの身体の状態で勝てる相手では無かったのだ。
だからこそ逃げる。
今は勝てなくても、この場における他の参加者たちの『異常』を見取れば、勝てるぐらいにもなる。
逃げるにあたり、追ってくるという可能性も懸念されたが、それは先ほど取り消された。
何しろ止めを刺しに来なかった。これで追ってこないと十二分考えられる。


「では、引き続き私の『完成』を目指し頑張りましょう」


いえ、もしくは『完了』ですか。


そうめだかちゃん(改)は呟いた。



【一日目/深夜/A-Ⅳ 墓】
【黒神めだか@めだかボックス】
[状態]めだかちゃん(改)、鼻の骨及び肋骨一本の骨折
[装備]
[道具]KS×1、RS(1~3)
[思考]
基本:『フラスコ計画』として、黒神めだかと言う存在を完成させる
1:とりあえず病院を目指す
2:『異常』を見つければ、『完成』に近づくべく戦う
3:無理はしない
4:鑢七花とまた戦いたい
[備考]
※めだかちゃん(改)になっているときからの参戦です
※ただし、最初から使える『異常』は『完成』のみです

[A-Ⅳ 墓]
※多少荒されました



寡黙(課目) 投下順 青髪の少年と黒髪の侍
GAME START 鑢七花
GAME START 黒神めだか

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最終更新:2011年09月01日 21:38
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