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これは殺人鬼ですか? ――――いえ、COOLな芸術家です

室内。活気溢れるアミューズメントスポットの面影は何処にも無く、全ての遊具が停止して、娯楽の欠片も見当たらない。ここはD-7エリアだ。
ふらふらと、まるで浮浪者のような足取りで歩く少女。
目は正気を保ってこそいるが焦燥した様子が見て取れ、表情も不安と焦りに駆られた恐怖心を出していた。一言で言えば、とても不安定な風に見える。

彼女はどうしようもなく平和な日々を生きていた。
変態の従兄とその妹と暮らし、普通に恋をして、生きていた。
何一つ特別な能力など持たず、荒事にも関わりはない。

本来彼女がこんな悪夢に招かれること自体ありえなかったのだ。
そんなことが起きたのは、『彼ら』の気まぐれに過ぎない。
ただの遊び、ただの暇潰し。
彼女―――――――――高村橘花は、日常を粉々に破壊された。

脈絡も伏線も無く、あまりにも唐突に招かれたデスゲーム。
今まで平和に青春を謳歌してきた橘花には、耐えられるものではない。
更に最愛の恋人である従兄・深町徹生はこの場には居ないのだ。
心の支えを失くした彼女は、許容量を遙かに越えるストレスに押し潰された。

ふらふら、ふらふら、ふらふら。

ゆらゆら、ふらふらと歩いていく。


何も目指さず、何も求めず。
ただ―――――――――――――――ふらふらと。


殺人鬼。

どの時代にも世に蔓延る異常な嗜好を持つ人間、例に出すなら《零崎一賊》。理由無く殺す殺人鬼。
裏の世界に生きる者たちにさえ敬遠されるほどの危険集団。
まあ彼らは例に出すにしてはかなり極端な例かもしれない。
このバトルロワイアルにも《零崎》が一人参加しているのだが、ここはもう一人の殺人鬼の話をしよう。より『COOL』な殺しを求めた青年の話を――――。

雨生龍之介。《冬木の悪魔》《冬木の連続殺人鬼》の正体だ。
整った若者受けしそうな顔立ちは多くの女性を惹きつけ、気に入った相手は美しく×してやる―――そんな血塗れの日々を生きていた。
彼の憧れたのは豹。冷静沈着な殺しは彼を魅せた。
紆余曲折あって――――龍之介はとある儀式に辿り着く。
英霊召喚の儀式に。そこから始まる戦乱に。


聖杯戦争。
彼は何も望まないまま、ただ血を求めて殺し続けていった。
彼の英霊は青髭公・ジル・ド・レェ伯。

二倍の狂気を加速させ、ただ血と血と血と血と血と血と血を生む。
監督役からも疎まれるが、ただただただ殺して解す。
未だ見ぬ紅を求めて。


そんな彼に、このバトルロワイアルは願ってもいない好機だった。
より多くの死が見られる! より多くの嘆きを聴ける!
より多くの命で遊べる! より多くの芸術品を作れる!

雨生龍之介は、警戒も何も気にせず、欲望のままに叫んだ。
かつて彼が殺人の師・『青髭』と出会ったときのように。


「ぅ―――――――っ、COOL!!」


148の参加者たちは殺し合いでの立場を定めると共に、皆一様に主催者・古戸ヱリカに対しても何かを思う。敵意だったり哀憐だったり、或いは共感か。

龍之介は明確に、後者だ。
ヱリカの執り行うこの宴に、共感どころか尊敬さえ抱いている。
恐らく彼以上に、ヱリカに対して好意を向ける者は居ないだろう。

正気の沙汰ではない。これほどの人数の参加者を集めて殺し合いを行わせるなど、悪魔とまで称された彼にも思いつかなかった。思いついたとして、実行することは現実的に不可能だったろう。
それを難なくこなし、ここまで徹底したルールを定める。
絶妙だ。
絶望させながらも、願望の成就と云う『希望』を持たせる。

希望が絶望を加速させる。実に素晴らしい!
その賞品が架空だとしても、これまた素晴らしい!

恐怖の鮮度。

彼にとっての偉大なる師・『青髭』ジル・ド・レェの言葉だ。
『青髭』の言葉が彼の殺しにどれほど影響を与えたか分からない。


『青髭』の教えをふまえている主催者は、紛れもなく同志だ。
だから龍之介は感嘆し、彼女の示した殺し合いを喜々として遂行する。

「(最ッ高だ……この快感、青髭の旦那にも分けてやりてえ……)」

しかし遠慮などしない。『青髭』は、遠慮されて喜ぶような小物ではないと龍之介は異常者ながらに信じていた。彼を想うなら、彼の血潮さえ沸き立たせるほどに美しい、雨生龍之介の最高傑作を作るのが弟子として一番の行為だ。
それに、殺意を抑えるなど彼の殺人の流儀にも反する。

殺し、殺し、殺し、殺す。
弄る、弄る、弄る、弄る。

殺人は芸術だ、芸術は殺人だ。血は絵の具でナイフは筆だ。
支給された大仰なナイフを片手に、獣の瞳をぎらつかせる。
最初に『豹』に喰らわれるのは誰かな、と彼はげらげら笑う。


そして、一匹の豹は怯えきった小動物をその双貌に捉える。





【深夜/D-7】
【高村橘花@夏めろ】
[状態]健康、精神不安定
[所持品]不明支給品
[思考・行動]
0:殺し合いはしたくない。
1:徹ちゃん……
2:つぐみちゃんは死なせない。
※橘花ルート後からの参加です

【雨生龍之介@Fate/Zero】
[状態]健康、高揚感
[所持品]拷問部屋のナイフ@ひぐらしのなく頃に
[思考・行動]
0:美しく、芸術的に殺人する。
1:あの女の子(橘花)を狩る。
2:もし志を同じくする者が居たら……?
※衛宮切嗣に射殺される直前からの参加です
※キャスターの令呪は消えています


過程上のバッドエンド 投下順 [[]]
GAME START 雨生龍之介 [[]]
GAME START 高村橘花 [[]]

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最終更新:2011年11月03日 09:07
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