アットウィキロゴ

対ちょっぴり強いモンスター戦(ゴンさん視点)

◇



 痛い。暑い。苦しい。

 自分でない『ナニカ』が自分を動かす。


 ―――滅ぼせ。滅ぼせ。滅ぼせ。滅ぼせ。滅ぼせ。滅ぼせ。


 止めろ。もうそんな事はしたくない。


 ―――進化。進化。進化。進化。進化。進化。進化。進化。


 もう誰かを殺すのはまっぴらだ。


 ―――喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。


 あんな気持ちは、あんな思いはもう沢山だ。

 もう、何も望まない。

 ただ楽になりたい。だから、誰か助けてくれ。


 ―――発見。発見。発見。発見。発見。発見。発見。発見。


 誰かがいた。見憶えのある少女だ。


 ―――殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。


 そうだ、彼女は救ってくれた。助けてくれた。
 この苦しみから一度解放してくれた。


 ―――喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。喰らえ。


 助けてもらわなければ。もう一度。もう一度だけ。


 ―――進化。進化。進化。進化。進化。進化。進化。進化。


 救ってもらうには、どうするのだったか。
 あの時は何をしたのだったか。


 ―――殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。


 思い出した。そうだ、簡単なことであった。















 ―――喰らえば良いのだ。








◇



 若き魔導師、スバル・ナカジマはでこぼこだらけの地面を器用にバランスを取りながら駆けていた。
 その身体を支えるは自動にて稼働する八つの車輪。
 速度は既に車両のソレとほぼ同等。
 相棒たるデバイスの助けを借りて、スバルは駆ける。
 己の心情に則って、弱きを助けるために―――ではない。
 逃亡。
 圧倒的強者から逃げ果せる為に、スバルは全力で疾走していた。


「オ、オオオオオオオオ――――――――――!!」


 その背後から轟くは猛獣の咆哮か。
 理性の欠片も感じられない叫びに、スバルは知らずの内に顔を歪ませていた。

『攻撃、来ます』

 機械的な中に僅かな焦燥を滲ませながら、相棒が叫ぶ。
 その言葉を聞くと同時にスバルは渾身をもって地面を蹴る。
 刹那の疑いすらない、全幅の信頼からくる回避行動。
 全力疾走から、身体を空中で回転させながらの跳躍を見せた。
 スバルが地面から両脚を離したとほぼ同時に、炸裂音が暗い森林を揺らす。
 音の発生源は、つい先ほどまでスバルが立っていた地面であった。
 雑草に包まれていた茶色の地面は、外からもたらされた力に叩き割られ、めくれあがる。
 地面にあった石礫が、破壊の勢いそのままに、弾丸が如く力をもってでスバルへと迫る。
 それはまるで天然のクレイモア。
 空気を切り裂いて急迫する礫の数々に、スバルは冷静に右手を掲げた。

「盾!!」

 スバルの右手を中心に発現するは青色の魔方陣であった。
 魔方陣はそれ自体が既に盾であり、礫の弾丸からスバルを易々と守り切る。
 スバルは着地と同時に体勢を整え、攻撃があった方角へと視線を向けた。
 抉られた地面の真ん中には、人の腕程はあろうかという巨大な刃がある。
 奇妙なことに刃には持ち手もなければ鍔もない。本当にただの無骨な刃であった。
 刃の根元には銀色の紐のようなものが伸びていて、その紐は暗闇の奥へと伸びている。
 スバルは紐を辿るように視線を動かし、闇を睨むように見やる。


「オ、オオオオオ―――」


 闇の先から声が響く。
 つい先ほども聞こえた、猛獣の声。
 空気が震撼し、スバルを叩いた。
 震える世界の中で、スバルは大きく息を吸い、己の内を整える。
 恐怖はある。実力差も理解している。
 さっきそうしたように、逃げた方が利口なのも分かっている。
 だが、それは駄目だ。
 『アレ』は戦わねば、倒さねばいけぬ存在だ。
 覚悟が決まる。
 機動六課が誇る若きストライカーが、己が信念に従って拳を握った。
 左手を前に置き、半身となって、右手を引く。
 両足はスタンスを広く取り、待ち構えるように腰を落とす。
 瞳には力強い光が二つ。不純の片鱗すら見えない精錬な色であった。



「マッハキャリバー!!」
『Standby』


 スバルの檄に、相棒も応える。
 両足に装備されたローラーブレードから、蒼色の双翼が一対現われた。
 手加減なしの全力全開である。
 殺し合いが開始して最初の戦闘にて、スバルは一切の躊躇いもなく自身の切り札すら曝け出した。
 闇夜の奥に潜む襲撃者へと、ストライカーは限界の加速をもって疾走を開始する。
 急激に回転を始めた車輪が地面を抉り、焦げた匂いとともに土煙を巻き上げる。
 あまりの急加速に空転していた車輪であったが、数瞬の後に地面へと噛み付く。
 スバルの身体が全てを置き去りにして前進を始めた。
 半分が機械でできている筈のスバルの身体が、全力の加速に軋みを上げていた。


「ディバイン―――」


 加速と共に紡がれるは、これまたスバルの繰り出せる全開の攻撃。
 一撃必倒の砲撃魔法。
 憧れ、少しでも近付きたいという思いから特訓を続け、会得した技。


「―――バァスタァァアアアアアアアアア!!」


 最大の一撃を、襲撃者の元に辿り着くと同時に、スバルは撃ち放った。
 ほぼ零距離の地点から放出された蒼色の奔流は、襲撃者の身体を余すことなく飲み込み、その全身に強大なダメージを与えた。
 回避された様子はなく、スバルは完璧にも近い手応えを感じていた。
 一瞬で膨張した魔力の光は、収縮する時もまた同様に一瞬であった。
 術者の持てる全てを用いた砲撃は、闇中の森林に烈風を巻き起こし、木々を震わせる。
 森林に破壊はもたらされない。
 非殺傷設定にされた砲撃魔法は、いかな威力があろうと物理的な破壊はもたらさない。
 だが、それでも生身の人間が食らえば衝撃に意識を失い、魔力ダメージにより戦闘も行うことはできなくなる。
 スバルは勝利を確信する。
 油断も慢心もない。ただ全ての事実を辿った末の結論だ。
 全力全開のディバインバスター。防御された様子もなく、手応えからして回避もされていない。
 確かに先の相手は化け物じみた力を有していた。
 だが、直撃。防御も回避もない、完璧な手応え。
 これ以上ないという一撃だ。これで立っているというのなら、それはまさに悪魔か何かだ。
 少なくとも自分の手に負える相手ではない。―――そう思考して、スバルは荒く息をついた。

 全力全開の一撃は、スバルの身体に鈍い疲労感を刻み込んでいた。
 臨戦態勢にあった自身を呼吸と共に解放し、スバルは砂煙を見詰める。
 目を覚ますより早く、あの存在を拘束しなくてはいけない。
 段々と晴れてくる砂埃の中、焦燥に押されるように、スバルは一歩足を踏み出した。


「―――ウ、オオオオオオオオオオオオ!!」


 同時に、スバルは聞いた。
 闇の奥底から漏れた、闇そのものが発したのではないかと思える程の、重く暗く歪んだ声。
 油断があった。過信ではなく、慢心でもない。
 あの一撃を受けて倒せぬ訳がない、反撃などあり得ない。
 まさにその通りなのだ。通常の存在であれば、先の一撃で倒れぬ道理はない。
 かのエース・オブ・エースであろうと、防御もせずの直撃であれば、おそらく倒れ伏すであろう。
 眼前の存在は異常であった。通常の理の外に身を置く、人外にして最悪の存在。
 数多の次元世界から集結された超常の科学技術。錬金術という力を振るう、既に超常に一歩足を踏み入れていた存在。
 それらが重なり合い、溶け合い、融合を果たし、その上で死という経験を積んでしまった。
 そのなれの果てが『コレ』であった。
 ただ周囲に破壊をもたらすだけの、何処かが壊滅的なまでに壊れてしまった……いや、悪魔の細胞によって壊されてしまった人間。
 ロイ・マスタング。既に自身の名すら思い出せないだろうが、『コレ』は確かにそういう人間だった。


「あ、―――が」
『buddy!』


 スバルは身構えることすら出来なかった。
 怨念の声が聞こえた時には、既に攻撃は放たれていて、スバルにはどうする事もできなかった。
 左腕を漆黒の剣が刺し貫いていた。
 剣はロイの右腕が変形したもの。金属の鱗が何十何百と集まり形成された、禍々しい剣である。
 剣が抜かれると同時に、褐色の血液が傷口から大量に漏れ出し、左腕が宙へと舞った。
 空を舞う身体の一部に、スバルは痛みも何もかもを忘れ、無意識の内に手を伸ばそうとしていた。
 左腕。そして、左腕に装備された母の形見。
 大量の失血により意識が薄れていく中で、他のものなど忘れてしまったのかのように、ただそれだけを見詰める。
 左腕がくるくると回る光景を、何処か他人事のように見つめながら、スバルは倒れた。
 尚も噴出を続ける鮮血に塗れながら、自身の血でつくられた水たまりへと身を沈める。


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」


 霞がかった思考の中で、スバルが聞いたのはロイの獣じみた叫び。
 何故だかスバルには、その咆哮がとても悲しんでいるように聞こえた。
 絶叫を張り上げながら、ロイは一歩一歩とスバルへと近付いていく。
 スバルはそれを見すえる事しか出来なかった。
 身体に力が入らない。思考は鈍り、異常なまでの眠気を誘う。
 ロイはスバルの眼前で立ち止まり、しゃがみ込む。
 銀色の鱗に包まれた顔でスバルを見詰め、狂気に染まった瞳をまっすぐに向けた。
 口が開く。鱗の顔が横に避け、顎の稼働域を越えて口が開かれる。
 口腔内には、顔面同様に金属の鱗が。
 ロイは己の欲求にただ従って、活動していた。
 ただ進化を求めて、ただ強さを求めて、ロイ・マスタングであった存在は動く。
 食らう。人が持つ原始の感情。
 それがさも当然のようにロイはスバルを食らおうとしていた。
 スバルはその行為をただ黙って見ていることしかできなかった。
 恐怖はある。後悔もある。
 生きたいとも思う。この存在を止めたいとも思う。
 だが、動けない。
 身体は動かず、ただぼやけた思考だけが壊れたように溢れ出す。
 苦しみを、怒りを、喜びを、共に共有してきた仲間達。
 憧れ、追い続けてきた師の姿。
 これまで自分を支え続けてくれた家族の姿。
 様々な人々が思い浮かんでは消えていく。
 視界の中では、人外の様相が段々と自分の方へと近付いてきている。
 これが閉じれば、もう何もかもが終わりなのだろう。
 スバルは静かに瞼を閉じ、意識を闇へと向けた。


 そして、閉眼から数秒の後、大きな衝撃がスバルを揺らした。
 それと同時にスバルの意識は更なる闇へと沈んで行き―――完全に意識を失った。
 最後に聞こえたのは、とてもとても悲しそうな沈んだ男の声であった。




◇



 ロイ・マスタングは―――いや、ロイ・マスタングを動かす『ソレ』は、この殺し合いに於いて初めて人間らしい感情を覚えた。
 獲物を確保し、更なる進化の為に食らおうとした瞬間、衝撃がロイの顔面を貫いた。
 その一撃は、『ソレ』が記憶するあらゆる打撃の中でも段違いに強烈なものであった。
 ロイの身体が重力から離れ、地面と平行を描くように真横へ吹き飛ぶ。
 数度地面をバウンドし、何本もの木々を薙ぎ倒すことで、ようやく勢いも弱まった。
 ロイは顔を上げ、新たに現れた敵の姿を目に留める。
 だが、ロイの視線の先には誰もいなかった。
 ただ、気絶したスバルが横たわっているだけ。襲撃者など、影も形も見当たらない。


「THIS WAY」


 声が聞こえた。
 威圧に満ちた声。
 ロイは大きく跳び退りながら、声の主を見た。


「来いよ……あの子を巻き込みたくない」


 そこには男がいた。
 鋼のような筋肉に身を包んだ男が、何故だかピチピチの服を着て、立っていた。
 その身体から溢れ出るオーラは圧倒的であり、ロイ・マスタングを、ロイ・マスタングを操る『ソレ』さえも戦慄させた。
 男は指示と共にロイへと背中を向け、その場から離れようとする。
 その隙にロイは動きだしていた。
 全力の跳躍とともに、隙だらけの男の背中へ硬質化した右腕を振り下ろす。
 『ソレ』は獣めいた本能で察知していたのだろう。
 今しか、今この瞬間しか、自分に勝機はない。
 正面からの戦闘では、どうあがいてもこの存在には勝てない。殺される。
 だからこその不意打ちなのだろうが―――それは殆ど無駄な抵抗といえる行為であった。
 男は背後から迫る不意打ちに対して、振り返ることすらなく対応せしめた。
 消えた、とロイに錯覚させる程の速度で移動。ロイの一撃を避け、その真横を取る。

 そして―――、




 ボ



 ロイの内から、音が消える。
 気付いた時にはロイの身体を空にあり、胸部が深刻なダメージを訴えていた。


「グあっはあ―――」


 無理やりに押し出された空気が、声にも至らぬ音を出す。
 同時に血液が口から漏れ、鱗の身体を汚す。
 真上に飛んだロイの身体が、重力に従って真下へと落下していく。


「FIRST……COMES……ROCK……」


 そう、男が待ち構える真下へと。
 『ソレ』は、生を掴もうと必死にもがく。
 機能を果たさない身体を何とか動かそうともがき、だが全ては無駄であった。


「ジャン」


 身体はただ直下していく。
 男とロイとの距離が縮まる。


「ケン」


 十メートル。
 五メートル。
 一メートル。

 そして、


「―――――――――」



 ロイ・マスタングの頭部が、砕け散った。



◇



 ゴン=フリークスは僅かな疑問を感じながら、暗闇を進んでいた。
 二度と念能力が使えなくなっても良い。
 それ程の決意と覚悟で執行された能力が、何故か持続している。
 ピトーを殺害し、その死体を消滅させ、謎の怪物を殺害した。
 それだけの戦闘を繰り広げ、それでも身体に変化はない。
 変わらぬオーラと変わらぬ身体能力を行使できる。
 切断された筈の右腕も完全に修復されている。
 何がどうなっているのか、ゴン自身が最も疑問に感じていた。
 ただ元通りになった右腕を見詰め、ゴンは思う。
 何故、自分なのかと。
 何故、元通りになるのがカイトではないのかと。
 ただそう、思うだけであった。
 ゴンはスバルの腕を止血し、その身体を担ぎあげる。
 そして、治療を行うべく走り出す。
 その心には何もない。
 スバルを治療し、その後の事は何も考えていない。
 ピトーを殺害した時点で目的は消失している。
 ゴンの内には、もう何も無かった。

 空っぽの少年は、ただ走る。
 その瞳には何も映さず、ただ虚だけをもって進んでいく。


【一日目/深夜/B-5・森林】
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]左腕喪失、失血(大)、疲労(大)、止血済み
[装備]マッハキャリバー(右腕)@魔法少女リリカルなのは
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
基本:殺し合いを止め、主催者を逮捕する
0:気絶中
[備考]
※原作終了後からの参戦です



【ゴンさん@HUNTER×HUNTER】
[状態]健康、疲労(小)
[装備]なし
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考]
基本:………
1:この少女(スバル)を治療する




◇



 危険であった、と『ソレ』は言葉もなく感じていた。
 全てが消えさるかのような、まるで『あの時』くらった赤色の極光にも似た衝撃であった。
 いや、『あの時』の経験がなければ、おそらく『ソレ』は死んでいただろう。
 『あの時』の―――死の経験。身体が分子レベルに分解されていく記憶。
 その『死』の記憶があったからこそ、『ソレ』はゴンさんの一撃に耐えきった。
 顔面部を喪失しながらも、喪失と同時に修復を行い、何とか蘇生へ至った。
 そう、『ソレ』は進化していたのだ。
 一度目の『死』を、前回のバトルワイアルにて経験することで、飛躍的な進化を遂げた。
 『死』をも克服した、不死なる存在へと。
 『デビル細胞』は、まさに悪魔の進化を遂げた。
 『デビル細胞』は思考する。



「まダダ……」



 先の存在に勝つ為の進化。
 それだけを理念に抱き、活動を始める。



「しんカ、を……シンかヲ―――!!」




 その内にロイ・マスタングという人格は既にない。
 進化を求め、他を滅ぼすだけの悪魔。
 『デビルガンダム細胞』という名の人造悪魔が、動きだす。





【一日目/深夜/B-5・森林】
【ロイ・マスタング@パロロワMAD(アニロワ2nd)】
[状態]デビルマスタング状態、以前よりも身体能力が向上。
    健康、DG細胞の意識支配率…100%
[装備]リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:6/6)@魔法少女リリカルなのは
    アルの鎧(DG細胞寄生、黒い色)、制服(DG細胞寄生、赤い色)、
     ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師
[道具]基本支給品一式
[思考]
基本:人類滅亡、更なる進化
1:先の男(ゴンさん)に勝ちうるだけの進化を
[備考]
※アニロワ2nd、死亡後からの参戦です



俺たちはガンダムか!? ~ガンダム馬鹿とAO勢長兄がバトルロワイアルに武力介入……できるのか!?~ 投下順 救われぬ者に救いの手を
GAME START ロイ・マスタング [[]]
GAME START スバル・ナカジマ [[]]
GAME START ゴンさん [[]]

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年02月01日 22:53
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。