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佐藤淳という少年は、殺し合いへの反逆を静かに志していた。
別に彼は特別正義感の強い少年でもなければ、主催者である楓坂秀吉に個人的に恨みがある訳でもない。
絶対に帰らなければならない理由がある訳でもないし、だが死にたいとも思わなかった。
死ぬのは怖いし、まだこれから先の長い人生が待っているのにこんな得体の知れないゲームなんぞが原因で命を落とすなど死んでも御免だった。
ならば殺し合いに乗ってもおかしくはないのだが、彼は殺し合いに乗らない。
理由などわざわざ挙げるまでもなく、佐藤淳という一人の人間が人殺しを正当化出来なかったから、だ。
人間の命の重さなんてものは生きていれば嫌でも刷り込まれるし、それが間違っているとも思えない。
どんな理由があろうとも人殺しは最低の行為だ、とまで極端にはいかないが、少なくとも自らの保身の為だけに他人を殺すという行為は正当化出来ないだろう、と思った。

「とりあえず、この胸糞悪い首輪を外さなきゃな……」

将来はエンジニア志望の彼にとって、ある程度難解な構造の首輪だろうが外せなくはないだろう。
内部の構造を大まかにでも把握できれば、後はちゃんとした道具さえあればどうにかなる。
この殺し合いを打破できるヒーローになれると考えると心が沸き起こるのを感じずにはいられなかったが、自分が行おうとしていることがどれだけ危険なことかもしっかり把握していた。
もし一歩間違えて主催に勘づかれればドカン―――全てが水の泡だ。

(首輪を手に入れられれば楽なんだけどな……だけど死体の首斬るなんてな)

だが、それで大勢の命が救えるのなら止む無しだ。
幸い支給品には大きな斧があった、これでなら淳ほどの力があれば首が斬れるだろう。

「だけど先ずは材料だな、何処かに工具なんかないものか――――」


台詞が途切れた。
いや、《途切られた》というべきか。
佐藤淳の首、それも頸動脈の付近を熱い何かが通り過ぎ、引き裂いていったのだ。
同時に上半身に熱さが嵐のように訪れ、ほぼ何も理解する間もなく佐藤淳は生命を終えた。
暫く痙攣していたその肉体を見下ろす一人の少女は、苦い顔で呟く。

「………まずは、一人」

紫色の髪をした少女は、余りにその容姿にそぐわない無骨な銃を持ったまま死体に駆け寄る。
血の海が広がっているその光景に嫌悪感を覚えなかった訳ではないが、こうして少しでも多くのアドバンテージを稼いでおかなければ生き残れないのがこのゲームだ。
少女―――二木佳奈多は、このバトルロワイアルを制すことを決めていた。
正確には違う。正確には、とある人物を優勝させる為に参加者を殺すことにしたのだ。
直枝理樹。佳奈多の妹、三枝葉留佳の恋人である――殺し合いなど到底しないような優しい人物。




(仕方ないのよ……今直枝を失えば、葉留佳は今度こそ完全に壊れてしまう)

妹の為に。
紆余曲折を経てようやく和解した最愛の妹の、支えとなってくれる少年の為に。
二人の未来の為に、二木佳奈多は、修羅を貫き通すことを決めた。

「銃声……響いたわね」

この場を去ろう。
佳奈多は淳の死体に黙祷し、小走りでその場を去った。


【佐藤淳@オリキャラ 死亡】
【残り39人】


【朝/D-2 ショッピングセンター内】

【二木佳奈多@リトルバスターズ!】
[状態]健康、精神疲労(小)
[装備]IMI マイクロウージー(32/32)
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品×1、IMI マイクロウージー予備弾薬(64/64)
[思考・行動]
0:直枝を優勝させる為に他の全てを殺す。
1:この場をひとまず離れる
※葉留佳ルートトゥルーエンド終了後からの参加です

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最終更新:2012年03月19日 19:48
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