醒めない夢

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OP 醒めない夢



「起きろおおおおお!このヘクトパスカルどもがああああ!!」

ウルサイ声が頭に響いてきた。
俺こと八重樫太一は重い体を起こした。
周りを見る、しかし真っ暗で何も見えない。
だが、人間が複数人いるようでざわざわとしている。

「……何があった?」

あの時、≪ふうせんかずら≫による『人格入れ替わり』の実験があった。
人物は決まった人物内でアトランダム。
時間はあらゆる場面でアトランダム。
場所もあねまく場合でアトランダム。
俺達の絆は、壊れて固くなった。
その『人格入れ替わり』が終わり、普通の日々を過ごしていた。
だが、この現状は普通とは全く言えない。
≪ふうせんかずら≫がまた来たのかと思ったが、それはなさそうである。
先ほどの声、それはどう考えても≪ふうせんかずら≫の声ではなかった。
いや、喋り方がそうではないと言うべきだろう。

「そこにいるのは太一か?」
「……ああ、姫子か」

俺の横にいたのは、同じ『人格入れ替わり』を体験した仲間――――稲葉姫子だ。
姫子がいる、と言う事は他の3人もいるのかもしれない。
それは分からないが、知り合いが一人でもいると言うだけで安心できる。
いや――――安心はできない。
少し心に余裕ができるだけだ。
と、他のメンバーを探そうと立ち上がったところでだ。
一気に明りが点灯した。
目が急な光が入り、視界が超絶的に悪くなる。

「目を覚ましたなぁ、ヘクトパスカルどもぉ……」

は?ヘクトパスカル?
圧力の単位の事、だよな?
あれ、まさかヘクトパスカルって違う意味があったのか?

「……ヘクトパスカルってなんだよ」
「気圧の事でしょ、まさか青木並みに馬鹿になったか」
「いや、そうじゃないけどさ……あいつ今ヘクトパスカルどもって言ったからさ」
「それに関しては無視しておけ、どうせああいうのは馬鹿かキチガイだろうしな、それくらい気にしてたら対応しきれないぞ」

それもそうかもしれない。
こんな場所に人を集めるような奴だ。
どうせ考えている事もおかしいに決まっている。
口調だって軽くおかしいしな。

「よぉく聞け、ヘクトパスカルども……貴様らにはゲームを下す」
「ッ――――待てよ!なんで……お前が生きているんだよ!!」

と、そこで一人の男が立ちあがった。
ヘッドホンを付けた、普通とは少し離れたような少年だった。
声は震えて、何かを言おうとして唇を動かそうとしている。
だが、何もしゃべれないようである。

「ハッ、何を言ってんだかなぁ」
「ヨシュアは、あいつはどうなったって言ってるんだよ!!」
「は、ゼタ愉快だぜ……俺がここにいるのを見ればわかるだろうよぉ」
「ッ――――ふ、ざけるなあああああああああああ!!」

その少年は男のところに走っていった。
生身で、何も持たずにだ。
あまりにも、危険で愚直な行為。
男は手から何か、球みたいな何かを出す。
あれは、なんなんだ?
何もなかったところに、出現していた。
そんなマジックみたいな事があり得るのか。

「まずはテメェから4ねぇ!」

それが、男の手から離れて少年のところに飛んでいく。
とても嫌な予感がした。
あれにもし当たったらどうなるんだろう。
それを想像するだけで、気持ち悪くなってきた。
そして、その球が少年を襲う――――事はなかった。
彼の前に立っていたのは、ツンツンな黒髪の少年だった。
右手を前に構え、そこに立っていた。

「……ハッ、逆行列だぜ、テメェの存在を忘れてたぜ」
「ふざけやがって……おいお前!こんなことをやっていいとでも思って――――」
「そんじゃ、話を続ける……ここに呼んだ理由は簡単、ただ一つだ」

男は少しづつ笑い顔に変わっていった。
普通の笑みではない、歪んだ気持ち悪い笑みである。
男は拡声器を使い、言い放った。



「テメェらにしてもらうのは、殺し合いだぁ!意味は分かるなヘクトパスカルどもォ!!」



俺は今、何があったのか分からなかった。
あいつがいった意味が、わからなかった。
ころし?コロシ?殺し?
どういう、ことなんだよ。
法律的に許されるわけがないだろう。

「ふざけるな!そんな事が許されると思っているのか!」
「ちょ、殺し合いとかマジキチすぎるおwwキチガイにもほどがあるだろ常考」
「そんなものを認めるわけがない!」
「警察が来るかもしれないぞ!そんなもの諦めろ!」

それぞれが反論の声を上げる。
当然だ、殺し合いなんて認めるわけがない。
それ以前に、人を殺す人間なんているわけがない。
それこそいたとしても精神的に異常をきたしている人間くらいだろう。
周りの反応を見る限り、そんな人間はほとんどいないだろう。
圧倒的に状況があの前にいる男の方が不利になった。
顔を怒りに歪ませ、これ以上ないほど恐ろしい事になっていた。

「このヘクトパスガルどもが……まずは力を見せつけなければ無意味なようだなぁ……!虚数にしてやる!」

再び手に球を作りだす。
先ほどそれを打ち消した少年も身構える。
再びその球を放つ、それはこちらに向かってきていた。

「……なっ!?」

ツンツン髪の少年はこっちに走ってきている。
間に合うか間に合わないかとか言う問題ではない。
避けなければならない、だけれども……動けない。
怖いのだ、あの男が。
そして、この現状が。
腰を抜かしてしまって、完全に動けない。
隣で姫子が俺の手をひて行こうとしている。
だが、それでも動かない。
もうすぐ死んでしまう。
そう思ったころに、ツンツン髪の少年が飛び込んできた。
右手で光の球を『打ち消した』。
先ほどは近くで見ていなかったが、今度は見えた。
本当に消えて行ったのだ。

「くっ……これでどうだ……止めれたぞ!」

隣で少年が体を起こしながら言い放った。
だが、前にいた男は見向きもしていなかった。
見ている物は、手に持たれている箱みたいなものだった。
それが何なのか、わからなかった。
男がそのうちの一つを押した。
その瞬間、単調な音が聞こえた。





ぐちゃっ






「っきゃああああああああああああああああ!!」
「うわあああああああああああああ!!」
「ひ、人が死んだだと……」

俺から最も遠い位置。
そこに何があったかは分からない。
いや、わかるにはわかる。
人が死んだのだ。

「佐天さん!佐天さん!!」
「落ち着きなさい初春、ここで叫ぼうがもう佐天さんは……」
「いやああああああああああああああああ!!」

佐天と言う人が死んだのだろう。
その人が男なのか女なのかわからない。
どんな感じの人かなんてわからない。
わかりたくもない。
だって、見てしまえば……わかってしまえば……死体を見ることになる。
そこまで、俺は弱かったのだろうか。

「く、そおおおおおおおおおおおお!!助ける事ができなかった……!」

隣でツンツン髪の少年が叫んでいた。
彼が悲しむ理由なんてないだろう。
いや、それどころかさっきのヘッドホンの少年と俺を救ってくれたんだ。
十分すぎるほどじゃないか。
俺なんか、ただ驚いてる事しかできないのに。

「わかったか、テメェらにはこれとさっきのと同じものが付いている。
 ある条件とともに発動してテメェらは4ぬんだよぉ!」

もう誰も話さなくなっていた。
恐怖とか、驚愕とか、そういった感情を超えていた。
絶望――――まさにそのままだった。

「4にたくなければ最後の1人まで殺せぇ!わかったな!ヘクトパスカルどもぉ!!」

もう、誰も反論の声を出さなかった。
言おうとしているのかもしれないが、先ほどの人みたいな事になるかもしれない。
だから言えないのかもしれない。
姫子も、あの姫子ですら顔を真っ青にしている。
どうして、こうなったんだろう。
≪ふうせんかずら≫に目をつけられたのがいけなかったのか。
それとも、平和に過ごしていた事がいけなかったのか。
いや、ただ運が悪かっただけなのか。
そんな事は分からないし、わかるとは思わない。

「さぁ、始めるぞ!サイン、コサイン、タンジェントォ!」

再び意味不明な言葉とともに、意識が消えて行った。
きっとこれは夢であろう。
起きればまた皆で部室でバカやれるんだろうな。






そうやって、その時は信じていた。






【佐天涙子@とある科学の超電磁砲 死亡】
【残り 38人】

【主催 南師猩@すばらしきこのせかい】

【他人に感化された作品でバトルロワイアル 開幕】



START SS投下順 ココロコネクト-ジコランダム-
最終更新:2012年04月04日 16:33
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