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ルルーシュ・ランペルージの災難

はてさて、一体この世の中はどうしてこう、落ち着きがないんでしょうか。
私も純度100%の小学生ですから落ち着きのないものは見慣れていますけど、バトルロワイアルに巻き込まれている参加者を横取りするなんて、何かこう、うーん。
私のポキャブラリーが限界みたいなので曖昧な表現になるんですが、せめて終わるまで待って下さいよ。
せっかく準備してバトルロワイアルを始めたのに、あの人達も可哀想じゃないですか。
………確かに貫禄ならコトミネさん、でしたっけ。の方があるとは思いますけど。
なーんかこう、『私はこのバトルロワイアルに愉悦を感じているぞ存分踊れふははは』みたいなオーラが滲み出てましたし、まためんどくさい人が主催になったものです。

……え?早く十八番の一人称パートをやれ?
何か作者の方がめんどくさいとかごねてるんですが、と少しメタネタを織り混ぜますね。
もう、じゃあそろそろお決まりのパートに移行しましょうか。
―――戯言、なのかもしれないですけど。


まず私のような善良極まりない可愛らしい小学生まで巻き込んでバトルロワイアルをやろうなんて魂胆の人が、どうして複数存在するんでしょう。
常識で考えたら実行一歩手前で思い止まると思うのですが―――それを実行するごく一部が、彼ら。
前回は『共同生活』という大義名分がありました。でも今回はそれがない。今回のは正真正銘の殺し合い、原作に忠実なバトルロワイアルそのものなわけですよ。
怖いですよね。だるいので優勝目指したりする気はないですけれど。
しかし不思議なのは、『願いを叶える』なんてものを賞品にしていたら、大変なことになると思うんですよね。
もし優勝者が『主催者死ね』とか、そんな願いをかけちゃったらどうするつもりなんでしょう。
私も『非リレー型バトルロワイアル』を読んだことがあります。その時から不思議に思ってました。
普通なら主催者は断るか踏み倒すかするんでしょうが、コトミネさんに至っては笑って受け入れちゃいそうな雰囲気がありましたね。なんか似た者同士の匂いを感じます。

願いのくだりに戻りますよ。
人間は種族の性か、そういった不確かな希望にすがることが大好きな生き物です。
見えない何かに頼り、依存することがとても上手な生まれながらの他力本願な生物なんです。
まったく、情けない生き物だと笑われちゃいそうですよね。
地球上で火を使う生き物は人間だけとは言いますが、願い事をする生き物もきっと人間だけ。
まだ人生の二割も生きていないような若造もいいところの私が言うのも何ですけど、そんな人間が、こういうゲームに乗らない道理がないと思うんですよ、普通は。
ある意味人間として正しいのは、殺し合いに乗った人の方なのかもしれません。

願うことを止めて戦おうとするのが、少しひねくれた人間。
運命を受け入れて僅かな希望を求めて願うのが普通の人間。
なら私のような人間はやっぱり、異常に部類されるんでしょうか。
異常、と言っても色々あります。
殺すことに愉悦を感じて殺す人が普通だなんて言われたら、さすがの私も失笑しちゃいますよ。
殺す者に愉悦を感じて見守る、主催者さんだって無論普通じゃないと思います。
普通じゃない人がいるから、バトルロワイアルが生まれた。
普通じゃない人がいるから、戦争が始まったわけです。
某学園青春ドラマの喩えを軽く引用させてもらうと、腐った蜜柑が一つ普通のおいしい蜜柑の中に紛れていて、少しずつ腐っていく―――そんな光景に似ていますね。
当たり前の話ですが、全ての蜜柑が腐ったら、おいしい蜜柑こそが異常ということになります。
このバトルロワイアルというゲームを『クリアー』する条件として挙げられるのは、きっとそこでしょう。もっとも正攻法じゃない、いわば改造ツールを使った裏エンディングみたいなものですね。

本当のエンディングは、優勝すること。
裏エンディングは、異常を全て潰して、強引に異常と普通をチェンジしてしまうこと。
だるいのでなにもしたくないのが本音ですが、まぁ私も異常サイドに部類されるんでしょうね。
やることは一つ、正しいマーダーを殺して間違った対主催を残すことなわけです。
改心させるなんてのもありなのかもしれませんけれど、私、押し付けがましい正義は嫌いなんです。
ま、一小学生に過ぎない私の意見なんてきっと聞いてくれないでしょうから、私の好きな展開なんかには絶対にならないと思いますよ。
別にそこまで積極的になる気もないですから、いいんですけどね。なんでも。



私はもう、このゲームをどう生きていくかを決めました。
何度も言いますが、だるいです。殺すことも楽しいかと思いましたが、何となく気が乗らないので、これはパス………いえ、保留、としておきましょうか。
私は―――なにもしません。
適当にかずみんを探して、適当に成り行きを見守っていければそれでいいと思いますから。

と、まあ。見るからにやる気のない一人称パートをしてみたんですが、なんていうか、疲れました。
かずみんを捜すにもこの気だるさじゃ捗らないかも、ってぐらい。
でもここでじっとしているのもあれですし、一応建前上動いてみましょうかね。

………はぁ。



◇ ◇


長身痩躯の少年、ルルーシュ・ランペルージは怒りを隠しきれずにいた。
端正な顔立ちを歪めて、強く、握り拳を作って吹き零れそうな怒りを抑えつけている。
しかし勘違いしてはいけないのが、彼は別にこのバトルロワイアルそのものにこれほどの怒りを燃やしている訳ではないということ。
彼は全く別の理由で、ここまで激しい憤怒に震えているのだ。

完全に、計算外だった。
全ては順調に進み、親友と打ち合わせていた計画も少しずつではあるが、準備を整えていた。
あえて我が身を擲つことで世界を一旦話し合いのテーブルに着かせ、ルルーシュ自身の望んだ方向に世界を変える最後の作戦―――『ゼロレクイエム』。
世界を破壊し、そして新たに創造し直す一世一代の計画。
作戦の成功はルルーシュ・ランペルージが死亡することを意味するが、そんな覚悟は当の昔に完了している。後は手筈を整えるのみ―――だったのだが。

言峰綺礼の下らないゲームとやらに巻き込まれたことで、全てが狂ってしまった。
『第九十九代神聖ブリタニア帝国皇帝・ルルーシュ』不在の期間を生んでしまうことがまず非常に不味いのだが、何より絶対にあってはいけないのが、ルルーシュ自身が死亡することである。
ゼロレクイエムの完遂には、悪逆の皇帝ルルーシュが、『ゼロ』の手にかかり命を落とすことが大前提だからだ。でなければ、ゼロレクイエムはその意味を失う。
ふざけるな、とルルーシュは思う。
自分はこれまで、数えきれないだけのものを犠牲にして来た。
罪人と呼ばれるに相応しい悪行もやったし、自分のせいで命を落とした人達も大勢いた。
初恋の少女、自分を好いてくれたクラスメイト、偽りの弟、そして『枢木スザク』。
ゼロレクイエムの為だけに自らの存在を捨てたあの親友に申し訳が立たない。そんなことはあってはならない。

だからこそ、ルルーシュ・ランペルージは決意した。
どんな手段を使おうとも、どんな結果になろうとも、必ず生き抜いてやると。
殺し合いのゲームなど反土が出る思いだったが、それよりも彼にはやるべきことがあるのだ。
その為ならば、バトルロワイアルを勝ち抜いてやることさえ吝かではない。
大事なのは過程ではない―――結果だ。
あんな輩の口車に乗せられてしまうことを考えると反土が出そうだったが、致し方あるまい。

すぐに納得することはさしものルルーシュでも叶わなかった。
だがそこは思考を切り替え、どんな風にして勝ち残っていくか、の一点で考えを巡らせる。
ルルーシュ・ランペルージの身体は見ての通り華奢で、真っ向からの殺し合いでは分が悪いだろう。
絶対遵守の王の力を保有する彼だが、考えなしに使っていくのは身を滅ぼすことにも繋がりかねない。
最終的に生きて帰れればいいのだ、ならば形だけでも主催の打倒を装うのも悪くない。
もしも攻略出来そうならそのまま達成してしまえばいいだろうし、危険になってきたなら裏切ってしまえ。今回ばかりは、手段を選んでいる場合ではないのだ。


(待っていろ、スザク……俺は必ず帰る)


ゼロレクイエムの完遂の為に。
決意新たに、ルルーシュは一先ず自らのスタンスを決定した。
あくまで表面上の仮面だが、殺し合いへ当分の間反逆する。



そして殺し合いに乗った邪魔者、やがては優勝を競い合う敵になるだろう因子を確実に抹消していく。
無論いつでも裏切る準備はしておいて、保険は十分にかけておくが。
ブリタニア皇帝として表舞台に立ってしまったこともあり、信用されない可能性も非常に高い。
だがそこは何とでも言い逃れが効くだろう。最悪ギアスの力に頼ってしまえば万事解決である。
「最後に笑うのは、このルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだッ!!」


世界を壊し世界を創る魔王、ルルーシュ。
未だ消えぬ闘志を胸に、反逆の皇子はバトルロワイアルに君臨した。


「――分かっているよ、病理おばさん。『木原』ならこういう時は、本当に心苦しいけど、容赦なく刺すべきなんだよね……っ!!」


その瞬間、彼の耳が捉えたのは幼さの抜け切っていない少女の声だった。
ほぼ反射的に身を翻したことは幸運だった。ルルーシュの顔面があった位置を、鋭い刃が通過していったのだ。黒い刃――短刀だろうか。
ルルーシュが攻撃を避けるとは思わなかったのか、そこにいたお団子ヘアの少女は少し驚いたようだ。
首から提げている幾つものデバイス。スマートフォン、ワンセグ、エトセトラ。電波を用いるものは使用不能になってこそあれど、彼女にとっては十分な備えであった。

敵意を込めた視線でルルーシュは少女の目を直視する。
そして、その瞳が紅く輝いた。
鳥のような紋様が浮かび上がり、今までやってきたように彼は一言の命令を無慈悲に告げる。


「死ね」


王の力――――ギアス。
魔女と呼ばれる少女から授かったルルーシュ・ランペルージのそれは、絶対遵守の力。
簡単に言うならば、この力を以て命じられればたとえどんな強者だろうと逃れられない。
この力を使って、成功もあれば失敗もあった。
しかしながら結局のところ、ルルーシュの剣となってくれるのはこの超常の力である。
人心の掌握、奇策謀術――彼が得意とすることは数あれど、ブリタニアに一矢報い、そして自らを皇帝の座まで上り詰めさせたのは、やはりこの力の恩恵あってこそだ。
意志も決意も、或いは失意さえもねじ曲げ、従わせる呪い。
だが―――ここに来て、少年に一つの大きな計算外が生じる。


「何ッ!?」
「うん、うん。分かっているよ、数多おじさん。こういう時は、はったりを疑うべきなんだよね」


確かにルルーシュは少女に『死ね』と命じた。
間違いなくその瞳を見据えて、ギアスを施すことには成功した筈である。
だというのに、少女は自害するどころか、何ら異常はない様子で何かを呟いている始末。
予想もしていなかったイレギュラー事項が、彼の計算を狂わせた。


(くっ、どういう事だ? 何故、奴にはギアスが通じない!?)


ギアスが通じない相手の条件はたった一つ、『既にギアスをかけたことがある』ことだ。
他にも例外的なものはいくらかあるが、そのどれにも目の前の少女は当て嵌まらないだろう。
そして、ルルーシュが記憶している限りこの少女にギアスをかけた覚えなどない。
こんな風に躊躇なく他人を抹殺しにかかってくるような人物、忘れようもない筈だが、ルルーシュの記憶に彼女の姿はなく、それを嘲笑うかのようにギアスは通じていない。
これは不味い。窮地と言う他ない。


「……がっ!!」
「やっと、捕まえた」


半ば体当たりにも等しい攻撃を受け、ルルーシュは無様に押し倒される。
予期せぬ、殺し合いの定石から明らかに逸脱した攻撃。
この少女の行動が、読めない。まるで彼女の幼い肉体にいくつもの人間の思考回路がインプットされているかのように、ことごとく予測を裏切ってくるのだ。
見た目に反して、一対一で戦うには手に余る難敵。そんな判断を下すより他になかった。
しかもその手にはいつの間にやら拾ったと思われる先の黒い短刀。これまで幾度となく窮地を潜り抜けてきた彼とて、この状況は不味いと言わざるを得ない。
今ここで彼女の首輪を引き千切らん勢いで引っ張れば、彼女はあっさりと屍を晒すことだろう。だが、当然破片は殺意の嵐となってルルーシュの全身を撃ち抜く。
万事休すか――そこで、彼の頭に天啓が走った。

しかし、間に合わない。
少女はもう刃を振りかぶっている。あれを降り下ろされれば、ギアスの呪言を紡ぐことさえ難しい。
仮に思惑通りのギアスをかけられたとしても、背負う代償はあまりに大きすぎる。


「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる――――」


駄目元で紡ぐ精一杯の言葉。
ゼロレクイエムを完遂できないかもしれない、そんな恐怖が込み上げたが振り切る。
キングが何もしないで、事態が好転するわけがない。
そして、運命の女神は反逆の皇子に微笑んで見せた。


「うわ。逆×××(自主規制)じゃないですか。ひとみんこれにはドン引きを隠せません」
「………え?」


少女は、ルルーシュが睨んだ通り、決して生半可な一般人などではない。
科学が有る限りいつの時代も生まれ落ちる科学の魔性、『木原』の血を引く戦闘要員。
もしもここに居るのが『猟犬部隊』を率いていた今は亡き『木原』だったなら、ルルーシュが何かしらの能力を持っていると早々に断じて、まず彼の目を潰しにかかったろう。
もしも『諦め』に特化した病理の『木原』なら、優先順位をきちんと分析して、未知の力を有する可能性の高いルルーシュを仕留めた後で、乱入者の少女を仕留めたろう。
だが―――彼女は違う。
とある事情で外の世界から隔離されてきた彼女は、他の『木原』に比べて随分と落ちこぼれている。
故に、異常なる木原の冷酷さを、冷徹さを、冷静さを、ここで発揮することが出来なかった。
それが、木原円周の敗因だった。


「――――俺に従え!」


今度こそ、ルルーシュ・ランペルージの相牟から放たれた紅い光が、円周にギアスを施行する。
『木原』らしく、ナチュラルセレクターに戻るために、『木原』以外を抹殺しようとしていた彼女の目論みは呆気なく潰え、ルルーシュの意のままに思想は侵略された。
とはいえ、本人の考えや人間性までも支配する類いの命令ではない。
ルルーシュはこの少女を切り捨てるのではなく、自らの手駒として利用する作戦を考え出したのだ。
木原円周が果たして使える駒か否かは別として、とりあえず軍勢を拡大するところから始めなくては。
建前上の対主催を装うのだ、事態がどちらに転んでもいいように保険はかけておく必要があった。
ふぅ、と安堵の息をつくルルーシュ。しかし彼は完全に、彼の身を救った少女を視界から外していた。

「うわ、うわわわ。幼女相手に『俺に従え(キリッ』とか、ちょっと痛すぎますよ。通報しますね」
「勘違いするな! どう考えても殺されかけてただろ!」
「ありゃ、そうでしたっけ。えっと、それはすいませんでしたロリーシュさん」
「……その訳の分からん呼称を今すぐ止めろ」

一見すると微笑ましいやり取りだったが、ルルーシュは一抹の違和感を感じ取った。
自分は、あの激戦の末にブリタニア皇帝の座を手にした筈だ。
衣服も皇帝ルルーシュのそれだし、幼い子供であったとしてもこの顔に覚えくらいあってもいい。
しかし――二人の少女は明らかに皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアのことを知らない様子だった。


「おい、貴様。貴様は神聖ブリタニア帝国を知っているか?」
「はい? そんな厨二チックな国名、一度聞いたら忘れないと思うんですけどね。知らないです。あと私の名前は榎本瞳です、通称ひとみんですね」


惚けているようには見えない。
どうも、この少女とは世界の共通認識自体が違うようだった。


「そこのお前もだ。答えろ」
「……私は木原円周だよ。神聖ブリタニア帝国なんて国は聞いたことない――というより、そんな国は存在しないよ」


これで疑念は確信に変わり、ルルーシュに新たな真実をもたらした。
間違いない。木原円周ともう一人の少女は、ルルーシュの知っている世界とは違う世界の人間だ。
普段ならば笑い飛ばすレベルの下らない話だが、思えば最初から不可解だった。
皇帝としてブリタニア帝国最大の地位を獲得している自分が、何故言峰綺礼などという何処の馬の骨とも知れぬ輩にまんまと拉致されたのか――それも今なら説明がつく。
ギアス。
それがルルーシュ・ランペルージにとって最も身近な異能であるが、もはや認めざるを得まい、ギアス以外の異能力の存在を。そしてそれを裏付ける根拠も揃っている。
それら全てを踏まえた上で結論を出すと――

(パラレル・ワールド)


トンデモ科学御用達の理論だが、そう考えるより他ない。
例えばルルーシュのいた『神聖ブリタニア帝国の存在する世界』。
ブリタニアに日本は敗戦してエリア11とされ、そして他ならぬルルーシュ自身の手で改革された。その終焉としてゼロレクイエムがあったわけだ。
しかし木原円周と榎本瞳の居た世界では、そもそもブリタニア帝国自体が存在していない。
人型機動兵器――ナイトメアフレームも、あの忌まわしき実父も、もしかするとギアスさえも存在しない、そんな世界。羨むことはなかったが、僅かな好奇心は確かにあった。
だが冷静に分析するまでもなく、事態は悪化の一途。
どんな手段を以て平行世界から人間を集めたのか、そんなことは分からない。それでも、そういった技術がある時点で、ルルーシュの常識の範疇を大きく超えてしまっている。
今ならば言える。間違いない、ルルーシュ・ランペルージのギアスを遮っていたものは―――


(言峰綺礼……何か細工をしたのか)


確かに「死ね」なんてギアスを多用されては、バトルロワイアルなどすぐに破綻してしまう。
ならば何かしらの対策を講じておくのは当然だが――ギアスにさえ干渉し得る力というものに、末恐ろしさを感じずにはいられなかった。
井の中の蛙とは、こういうことを言うのかもしれない。

「……ところで、瞳ちゃんって子どっか行っちゃったよ」
「何ぃ!? くっ、全く気が付かなかった」
「どうするの? 追いかけて探してみる?」
「いや……いいだろう。わざわざ探すこともない」

ちょっと思案に耽っている間に逃走されたのは計算外ではあるが、榎本瞳は戦力にはならないだろう。
ルルーシュが今重視すべきは温い仲間意識などではなく、より確実な戦力と人員の確保である。
円周が実際どれくらい戦えるのかも未知数の部分が大きい現在、こう言っちゃ悪いが足手まといになりうる人間を好き好んで連れ回したいとはとても思えない。
故にルルーシュは、榎本瞳を追うことをしなかった。

「俺はルルーシュ・ランペルージだ。言峰達の計画を頓挫させようと考えている」
「私はどっちでもいいんだけどねー……ま、いいや。ルルーシュお兄ちゃんに付き合うよ」

お兄ちゃん、というその呼び方に、ルルーシュの眉がぴくりと動く。
正確には「兄」の部分で、どうしても最愛の妹の姿が脳裏をよぎってしまう。
運命に翻弄され続け、それでも折れることなく生きている彼女のことを思うと胸が痛い。
自分が彼女の意志を必要だったとはいえねじ曲げた、それは紛れもない事実なのだ。


ならば尚のこと、ゼロレクイエムを完遂しなければならない。
そんなルルーシュの心中など知るよしもない円周だが、ルルーシュもまた彼女のことなど何も知りはしなかった。木原の名が何を意味するかを、計り損ねていた。
策士ルルーシュのやり方を、『木原』の遺伝子は着々と吸収しつつあることにも、ルルーシュはこの時点では気付くことさえ出来てはいなかった。
パートナーのことを何も知らない前途多難の二人が、ここに誕生した。



【一日目/深夜/A-3/森】

【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]健康
[装備]なし
[支給品]基本支給品一式、ランダム支給品0~3
[思考・行動]
基本:何としてでも生きて帰り、ゼロレクイエムを完遂する。
1:しばらくは対主催として行動する。
※ゼロレクイエム前日からの参加です
※ギアスは『死ね』など、直接的に生命を奪うものは制限されています
※名簿を確認していません

【木原円周@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康、ギアス『俺に従え』
[装備]ダーク@Fate/stay night、スマートフォンなど端末
[支給品]基本支給品一式、ランダム支給品0~2(確認済)
[思考・行動]
基本:生き残る。
1:ルルーシュお兄ちゃんと行動。従う。
2:病理おばさん達と合流したいけど、殺されそうになったら容赦なく殺しておく
※雲川鞠亜に撃破された後からの参加です

◆ ◆

さて、首尾よく逃走に成功したわけなんですが。いえーい。
我ながらあそこまで見事に逃げられるとは思いませんでしたよ。何でもやってみるものですね、世の中。あんな変人二人から、私みたいな超★小学生でも逃げ切れるんですから。
しかし、何故私が逃げたのか、と疑問に思われる読者の皆様もいるでしょう。

そこでこのひとみんが種明かしというわけです。……ま、単にヤバそうだったからなんですが。
あのルルーシュさんという人と、お団子ヘアの方のやり取りを私は最初から見ていました。
だからこそ言わせてもらうと、あれ、どっちもどっちで異常ですよ。
お団子さんはまるで自分の意志がないかのようでしたし、最初は間違いなく殺す気だったみたいですし。
ルルーシュさんは実を言うと最初、服装から見て厨二をこじらせた人かと思ってたんですけどね。
「俺に従え」でしたっけ、そんな風に命令した瞬間にお団子さんの攻撃が止んだ。どういうトリックなのか、催眠術みたいなものなのか、いたいけなひとみんには分かりませんけど、少なくともいつ利用されるか分からない危険な状況はごめんです。
べつに同行者がいて悪いってことじゃないですよ? でも人は選びたい、ってことですね。

「今頃どこかで誰か死んでるんでしょうか」

呟いてみた。
その小さな声は誰の耳にも入ることなく夜の闇に溶けて消える。
もちろん、私の耳には入りましたけど。


【榎本瞳@非リレーのオリキャラ】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、ランダム支給品0~3
[思考・行動]
基本:だるい。
1:ぶらぶらしてみますか
数だけロワ参加前からの参加です

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最終更新:2012年06月11日 11:09
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