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窮犬ハチ公

1話 窮犬ハチ公



「ワン! ……ワン!」

伊佐坂家の飼い犬ハチは道路上で吠えていた。
状況がよく分からないまま、自分が元いた世界の飼い主達を探していた。

「ワンッ! ワゥーンッ!」

いくら探しても見つからず、途方に暮れるハチの前に、一匹の動物が現れた。

「こんにちは。君は誰?」
「?」

ハチの目の前には緑色のやや小柄な鳥が立っていた。それでもハチから見れば結構大きいが。

「これ、君のディバッグでしょ。近くに落ちてたんだ」

そう言うと、彼はハチのディバッグを放り投げた。

「とりっぴぃの名前はとりっぴぃっていうんだけど、君の名前は?」
「ワン!」
「そう、「ワン」君って言うんだね」
「?」




「……ワン君は何をしていたの? とりっぴぃはとりあえず友達のしまじろう達を探してたんだけど」
「ワン!」
「ワンじゃ分からないよ。他にないかな?」
「アン!」
「う~ん。じゃあしばらく遊ぼっか」
「?」

しばらくハチととりっぴぃは遊んでいた。
とりっぴぃから言い出したにも関わらず、彼自身はあまり楽しんでいないように見えたが、ハチは心の底から楽しんでいるようだった。




「楽しかったねワン君」
「ワン!」

「ところでワン君、あの蛙が言ってた、殺し合いのことなんだけど――」

その瞬間、ハチが見たものは、銀色の何かを振りかざすとりっぴぃの姿だった――。

「―――――」




ハチの背中には、細身の包丁が刺さっていた。
ハチは自分になにが起こったのかも分からずに、そのままその生涯を終えた。

「はー。何とか上手くいったよ。
要するに、みんなころ、ころ……殺せば、いいんでしょっ! か、か、か簡単じゃないかぁ。
やってやりますよっ! こわいけど、やりたくないけど、お家に帰れないから、お父ちゃんに、お母ちゃんに、きょうだいにまた会いたいっ、からっ!」

とりっぴぃは残ったハチのディバッグを拾い、歩きだした。
顔を涙で濡らしながら、恐怖と自責に顔をひきつらせながら。


【B-4/道路/一日目/深夜】
【空野とりっぴぃ@しましまとらのしまじろう】
[状態]健康、精神崩壊寸前、返り血
[装備]刺身包丁(血が付着)
[持ち物]基本支給品×2、刺身包丁、不明支給品2~5
[思考]0:殺し合いに乗る
1:しまじろう達に会いたい
2:殺さなくちゃ、帰れないの?

【ハチ@サザエさん 死亡】
[残り57匹]


【支給品解説】
【刺身包丁@現実】
刺身用の魚を捌く際に役立つ、細身の包丁。
板前の必需品?


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最終更新:2012年08月29日 22:01
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