シャドウウォーカー

4話 シャドウウォーカー 

全裸の豚獣人は頭を抱える。
殺し合いに巻き込まれこれからどうすれば良いのか。

「くそっ……これからどうすりゃ……」
「全く困ったものですねぇ」
「誰だ!?」

豚獣人の背後にはいつの間にか黒っぽい服を着た竜が立っていた。

「何だお前は……!?」
「貴方と同じようにこの殺し合いに巻き込まれた者ですよ」
「そ、そうなのか……」
「ふぅむ……首輪をはめて殺し合わせる……実に酔狂な事を考えますね、あの連中も……。
言いなりになるのは気に入らないですが……」
「!」

ここで豚獣人は、竜の右手に持たれている物に気付く。
確か――――ソウドオフショットガンと呼ばれる代物だったと豚獣人は思う。
水平二連式散弾銃の銃床と銃身を短く切り詰め、近距離での殺傷力と携帯性を高めた銃器。
竜はその銃口を豚獣人に突き付けた。

「う、うわ……!」

顔から血の気が引いて行く豚獣人。
散弾を至近距離で発砲されれば、確実に即死する。

「どうしました? 抵抗しないのですか? その手に持っている短剣で」
「うっ」

豚獣人は右手に支給された短剣――――ミセリコルデを装備していた。
しかし、下手に動く事は出来ない。
散弾銃の銃口を目の前に突き付けられては。

「た、頼む、見逃してくれ……!」

半ば無駄だとは思ったが、豚獣人が懇願する。
だが結果は彼の予想していた通り。

「それは出来ませんね……見逃しはしませんよ」
「ひい……!」
「何も抵抗しないと言うのなら、貴方とは、ここでお別れです」

竜が引き金に指を掛けようとした。

「うわあああぁああ!!」

豚獣人は叫び声をあげながら、突き付けられたソウドオフショットガンを払い落した。
竜が少し驚いた風な表情を浮かべた。
そして、豚獣人は持っていたミセリコルデを竜の腹に向けて突き出そうとした。
だが、その腕は竜の左手ががっちりと止めてしまう。

「……!」
「そう……多少はやる気になって頂かないと」

竜は僅かに笑みを浮かべていた。
豚獣人の手からミセリコルデを奪い取り、それを豚獣人の腹に突き刺した。

「があっ……!」
「無抵抗の相手を殺しても、面白味に欠けますからね……!」

竜は牙を剥き出しにし、嗤う。
豚獣人は口から血を吐き出し、ガクガクと震え、竜がミセリコルデを彼の腹から引き抜くと、
地面にうつ伏せに倒れ、ピクピク痙攣し、二度と起き上がらなかった。
竜――――ウィンドラゴンのランシーンは、血に濡れたミセリコルデを、
近くに捨てられていたタオルで拭い、払い落とされたソウドオフショットガンを拾う。

「……なぜ、ジャバウォックと共に消えた筈の私がここにいるのかは分かりませんが」

感慨深げにランシーンが呟く。
彼自身がそう言っているように、彼は人間の負の感情が生み出した闇のレジェンズ、
ジャバウォックを道連れにして消滅した筈の存在だった。
だが、今、ランシーンは何事も無かったかのように、地上に立っていた。

(ジャバウォックが復活したような気配は無い……私だけ蘇らせたのか?
そんな事が出来るのか……あの連中に……まあ、これは今考えるべき事でも無いな。
……蘇らせてくれた事には感謝するが、あいつらは気に入らん……私に首輪をはめ、
殺し合いを強要するとは……良いだろう、今は大人しく殺し合ってやるが……)

ランシーンは自分を殺し合いに巻き込んだ主催者達を皆殺しにすると心に決めていた。

◆◆◆

「フッ……ナスハ達は、どこにいるのかな」

吟遊詩人のような格好をした青年、レルフは殺し合いに呼ばれた修業仲間を捜していた。
草むらの中を歩いているとある物を見付ける。

「これは……」

全裸の豚の獣人が腹から血を流し倒れていた。
辛うじて息はあるようだったが、もう手の施しようが無い。

「う……ぐ……誰、だ」
「僕は殺し合う気は無いよ……一体何が」
「……く……ろ」
「え?」
「黒い……翼を持った……竜に……気を……つ……」

最期まで言い切れず、豚の獣人の男は息絶えてしまった。

「……黒い翼の竜……」

恐らくこの獣人の男は「黒い翼を持った竜」に襲われ致命傷を負ったのだろう。
その竜は殺し合いに乗っていると見て間違いは無さそうだ。

「ナスハ達が襲われなければ良いんだけれど……」

豚の男が遺した言葉を心に留め置きながらレルフは仲間捜しを再開した。


【豚獣人@獣人小説サイトwoolgathering短編:敗者の定め  死亡】
【残り52人】


【早朝/C-4/???】
【ランシーン@レジェンズ~蘇る竜王伝説~】
[状態]健康
[装備]ソウドオフショットガン(2/2)
[持物]基本支給品一式、12ゲージショットシェル(10)、ミセリコルデ
[思考・行動]
基本:主催者達を始末する。そのために手っ取り早く優勝する。
1:グリードー、ウォルフィー、リーオンについては……。
[備考]
※最終話、ジャバウォックと共に「消滅」した直後からの参戦です。

【早朝/C-4/草むら】
【レルフ@他人が作ったツクールをゆっくり実況してみた】
[状態]健康
[装備]???
[持物]基本支給品一式、???
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない。ナスハ達を捜す。
1:「黒い翼の竜」を警戒。
[備考]
※本編仙人撃破ED後からの参戦です。

≪キャラ紹介≫
【豚獣人@獣人小説サイトwoolgathering短編:敗者の定め】
ネロ・コロッセオ「会員」の一人。豚の獣人。
本編ではレティアルに扱かせていた。本名不明。

【ランシーン@レジェンズ~蘇る竜王伝説~】
アニメ本編序盤~中盤にかけて黒幕のような存在だった「黒いウィンドラゴン」。
主人公のパートナー的存在である「白いウィンドラゴン」シロンと風貌が似ている。
中の人も同じだが中盤までキャストは「????」だった。
基本的に悪役だが最終話において、要点を言えばラスボスと心中した。

【レルフ@他人が作ったツクールをゆっくり実況してみた】
「フッ……」が口癖なナルシスト。回復呪文系。
誰が一番美しいかと尋ねる三姉妹に「この僕さ」と答えるぐらいのナルシスト。

≪支給品紹介≫
【ソウドオフショットガン】
ランシーンに支給。水平二連式散弾銃の銃身と銃床を短く切り詰め、
近距離での殺傷力と携帯性を高めた物。銃口からすぐに散弾が拡散するので、
室内や接近戦では絶大な威力を発揮するが、遠距離では役に立たない。
また、装弾数も単発或いは2発程度になってしまう。
この種の改造散弾銃は銃の所持に寛大なアメリカでも違法との事。

【ミセリコルデ】
豚獣人に支給。鎧の隙間や繋ぎ目から慈悲となるとどめを与える短剣。
ミセリコルデはフランス語で「慈悲」と言う意味。
剣身は長く棒状で、菱形や四角、三角等があった。


003:悪魔の曲殺人事件 目次順 005:じじいののこしたもの
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GAME START ランシーン
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最終更新:2012年12月04日 12:04
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