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Aとの出会い/もう一つのビギンズナイト

 それは、そこにいた。
 闇に身を包み、闇を支配する男。
 男は頭に被ったパーカーの奥から、場を見詰めていた。
 冷静に、冷徹に、男は灰色の頭脳を回す。
 己の目的を達成させるための、最短のルート。
 その思考に倫理は存在しない。
 男は自覚しているから。
 自分に倫理観は必要なく、人道という概念は当てはまらない。
 何故なら、自分は他を破壊しつく病原(ウイルス)だから。
 人間社会すらも破壊する、最強のウイルス。
 それが自分。
 自分はアレックス・マーサーではない。
 その姿・人格を模倣しただけの存在。
 だから、突き進め。
 己の道を。
 破壊の道を。
 破滅の道を。
 立ちふさがるならば、全てを取り込み蹂躙するだけだ。
 止めてみろ。
 止められねば、全てを破壊する。




◇



 探偵・左翔太郎は暗闇の森林で立ち尽くしていた。
 ハードボイルド風に構えながら、思考する。
 殺し合いの目的。
 先ほどのオジマンディアスとやらは何を目的としてこのようなことを行っているのか。
 多数の人間を拉致して殺し合いを行わせるという余りに異常な事態。
 さすがの翔太郎も考えずにはいられない。
 考え、考え、考える。
 だが、その作業自体はそう長くなるものでもなかった。
 思い至ったからだ。
 考えるのは自分の役割ではない。
 自分の、左翔太郎の役割とは行動すること。
 場を歩き回り情報を集め『相棒』へと必要な情報を提供する。
 それこそが鳴海探偵事務所が誇る名探偵―――その片割れが使命だ。
 左は『相棒』を心の底から信頼している。
 だからこそ、この手段こそが正解だと微塵の疑いも持たずに行動できる。


「さて、いっちょやってやるか」


 左が行動を開始する。
 暗闇の森林に向けて足を踏み出し、殺し合いの打開をすべく歩き出す。
 その時であった。
 一陣の風が吹き抜け、左のシルクハットを掠め取った。
 左にとってその頭を飾る帽子とはとても重要な意味を占める。


「あ、おい!」


 ハードボイルドの欠片もないリアクションとともに左が帽子を追って駆け出す。
 幸い帽子は、木々などに引っかかることもなく左から少し離れたところへと落ちた。
 安堵を浮かべて走りより、帽子を掴もうと体を屈める。

 そして、その行動が―――左の命を救った。


「……あ?」


 寸前まで左の上半身があった位置にそれは飛来した。
 身を屈めた左の真上を通過したそれは、その先にあった木々を容易くへし折り、地面に転がす。
 静寂にあった場に、木々が倒れる轟音とそれにより巻き上がった砂煙が立ち込めた。
 左は何が起きたのか理解ができずに呆けている。
 ただ、自分が危機的な状況から九死に一生を得たということだけはボンヤリと把握する。
 左に殺到したそれは、黒色の塊であった。
 夜の暗闇の中でも尚分かる、闇を更に凝縮し塗り方めたかのような洗練された黒。
 黒は、まるでそれが生き物か何かのように蠢いていた。


「避けた……か」


 声が、聞こえる。
 黒が殺到していきた方角から、声が。
 低く、冷たい声だというのが左が感じた最初の印象であった。
 木々の陰から現れたのは、灰色のパーカーを深く被った男。
 左を襲った黒色は、本来男の右腕があるべき箇所から放たれていた。
 肩口から噴出したかのように伸びている黒色。
 左は男を見ながら帽子を被りなおし、大きく息を吸い、吐く。
 謎の黒色を放ち、景観をも変化させるほどの威力の攻撃を繰り出した存在。
 その声の主を前に、左は冷静に己を整えていた。
 左とてガイアメモリを巡る数多の怪事件を解決してきた熟練の戦士だ。
 これまで常人では想像もできないような事態に遭遇し、生き延びてきた経験がある。
 明確な脅威を前にして、今さら怖気づくような男ではない。


「はっ、そんな生温い攻撃なんざ俺には当たらねえぜ」


 回避できたのは完全に運であるのだが、そんなことは棚に上げて左は大言を吐いた。
 帽子の角度を直しながら、人差し指で相手を指差し、余裕ぶった表情を浮かべる。
 彼なりのハードボイルドを表したポーズで、左は謎の男と相対した。


「さぁ、次はどんなマジックを見せてくれるん―――うおっ!?」


 男は左のハードボイルド劇場に付き合おうとはしなかった。
 左を襲った黒色を自身へと巻き戻し、表情も変えずに飛び掛る。
 その敏捷性たるや、左ですら目を見張るほど。
 男との間にあった距離は一瞬で詰められ、その両腕が振るわれる。
 横っ飛びに地面を転がり、回避運動をとる左。
 この瞬時の判断力は流石といったところであろう。


「てめぇ! 人の台詞は最後まで聞きやがれ!」


 憤慨とともに振り返る左は、その声色とは裏腹に冷静に行動していた。
 1歩、2歩と後ろに下がり男から距離を離し様子を伺う。
 生身だというのに男の敏捷性はドーパントの域に達している。
 腕には覚えのある左であるが、正面きっての戦闘は極めて不利だと感じていた。
 とはいえ、その根底にある余裕は揺らがない。
 何故なら彼は『切り札』を有しているから。
 相棒となす最強の戦士への変身は、この場ではできなかった。
 ロストドライバーはあるのだが、何らかの細工が施されてしまっているのか、装着しても相棒と通じ合う事ができない。
 だが、オジマンディアスは気前良く、もう一つのツールを用意してくれていた。
 戦う為の、力。
 もし相棒が戦えない時、一人であってしても変身を可能とするもう一つの『切り札』。
 もう一人の『相棒』ともいえる存在―――それを所有している左は、自身の敗北など露にも思わない。


「やる気なら仕方ねえ。お前がどんなメモリを使ってるのかは知らねえが―――速攻で終わらせてもらうぜ!」


 そして、左は『切り札』を取り出す。
 赤色のベルトと、手のひらサイズの直方体。
 そう、これの二つが彼の『切り札』。
 ベルトを腰に装着し、直方体をベルトのスロットへと突き刺す。


≪―――JOKER―――≫


 同時に電子音が響き渡り、左の周囲に異変が起こった。
 宙から現れた黒色の何かが左へと集結し、一瞬の閃光を生み出す。
 閃光の後、左の姿は一変していた。
 右と左に伸びる二本の角。
 黒色に染め抜かれた全身。
 全てが黒色の中、昆虫の複眼を思わせる巨大な二つの瞳だけが赤く光っている。


「―――いくぜ」


 その黒色の異形から放たれるのは、左翔太郎のキザッたらしい声。
 左手をスナップさせ、黒色の異形が黒色の何かを操る男へと突っ込んでいく。
 それは戦士であった。
 とある街を怪異から守護するための、伝説の戦士。
 数多の事件を解決し、数多の強敵を打ち倒し、街を守ってきた戦士。
 戦士の名は―――仮面ライダージョーカー。
 それはガイアメモリの力を得て変身した、左のもう一つの姿であった。
 激突する黒と黒。
 ジョーカーの拳が男の頬を打ち抜き、数メートルの距離を吹き飛ばす。
 背後の木々に激突し、地面へと叩きつけられる男。
 その姿を見下ろしながら、仮面ライダージョーカーは小さく息をつく。

「どうだい。ちょっとは目が覚めたか?」

 黒色の異形を操る怪人。
 ジョーカーの一撃は渾身のもので手応えも十分であった。
 並みのドーパントなら撤退を視野にいれて行動を始める筈だが……。
 眼前のそれは、違った。
 再び怪人がジョーカーへと飛びかかる。
 その様子にダメージは見受けられず、先程と何ら変わらぬ敏捷性をもって襲い掛かってくる。
 ジョーカーが注目したのは、怪人の両腕であった。
 ジョーカーを殺害する為に振るわれんとしている両腕が、数瞬前までと様子が違っているのだ。
 形状が大きく変化している。
 先程までは黒色が犇めき合うだけの両腕であった。
 だが、今は黒色が腕の形から巨大な鉄球のような形へと変化している。
 ドクンと、心拍が跳ね上がるのを感じた。
 その鉄球に秘められた威力を察したからだ。

「くそっ!」

 早い、と感じながらも、上体を大きく逸らして鉄球の一撃を回避するジョーカー。
 しかし、鉄球は両腕にある。
 次いで振るわれた一撃はとても回避しきれるものではなかった。
 ジョーカーもまた両腕を掲げて防御の姿勢をとるが―――鉄球は防御の上からジョーカーの意識を揺らした。

「ぐっ……!」

 意識が飛び掛ける。
 衝撃に両腕の感覚が消える。
 異常。異常なまでの威力であった。
 ドーパントは愚か、攻撃力だけをとれば仮面ライダーのそれすらも越えている。
 もしWに変身できていたとしても、これだけの一撃を受け切れていたかどうか。
 単純なスペックではWの半分しかないジョーカーには、あまりに大きすぎる一撃であった。


(なんなんだ、こいつの力は……!)


 痺れる腕を引きずって、返しの右脚を振るう。
 だが、今度の一撃は空を切るに終わった。
 怪物が消えたのだ。
 確かに眼前にいた筈だったのに、ほんの一瞬で影も形もなく消えてしまった。
 慌てて周囲に視線を送るも、人の姿は見られない。
 逃げた? あの有利な状況で? そんな訳がない。
 なら、何処だ―――と、そこまで考えたと同時にジョーカーは本能的なところで察知した。
 真上に顔を向ける。
 上空三十メートルほどの直上に、怪物はいた。
 驚異的な敏捷性で垂直に飛んで、まるで消え失せたかのようにジョーカーの視界外へと移動したのだ。
 怪物は、どのような原理か上空で静止していた。
 鉄槌の両腕を振りかぶって、まるで力を溜めこむかのように身体を震わせている。
 次の瞬間だ。
 怪物の身体が加速する。
 単純に重力に引かれたものでは有り得ぬ程の急加速でもって、怪物が落下してくる。
 ジョーカーの動きは殆ど反射的なものであった。
 受け身も何も考えずに、横っ飛びに跳び退る。
 直後、寸前までジョーカーの身体があった地点に怪物が鉄槌を振り下ろした。
 急加速と全体重と、渾身の力が込められていた一撃は、地面を十数メートルに渡って捲りあげ破壊する。

「ぐあっ!」

 まるで、それは爆発のようであった。
 捲れ上がった地面は礫となって、まるで散弾のような勢いと範囲とでもって周囲を蹂躙する。
 直撃を避けたジョーカーも、衝撃の余波と弾け飛んできた瓦礫とに巻き込まれて、宙に浮いた。
 ジョーカーとなることで防御力も遥かに向上している左であるが、これには一たまりもなかった。
 身体中に突き刺さる礫に今度こそ身体の芯が揺さぶられる。 
 先程のお返しとばかりに吹き飛ばされる仮面ライダージョーカー。
 地面を数回バウンドし、木々に激突して倒れる。
 マズい、と思いながら足掻くも、脳を揺らされたジョーカーは立つことすらできない。
 持ち前の負けん気で意識を保っているが、それでも眼前の存在にその隙は致命的であった。
 一歩、また一歩とゆっくりと近づいてくる黒色の怪人。
 怪人の腕は再び変化を見せていた。
 鉄槌から、今度は刀剣のような形状へと。
 闇夜の中でいて歪に煌くそれは、一層の危機感を左へと植え付ける。
 だが、動けない。
 全身に纏うダメージからの回復にはいまだ至らない。
 そして、遂には刀が届く間合いに怪人が踏み込む。
 振り上げられる刀。
 その時、左の胸中に宿ったのは己への怒りであった。
 殺し合いの場において、何も出来ずに退場しようとしている自分。
 『帽子』を受けついだ男としても、仮面ライダーとしても、何も出来ていない。
 こんな所で、『相棒』に全てを押し付けて死ぬのか。
 そんなのは―――許せない。


「う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 刀が振り下ろされる寸前、振り切れた左の激情が身体を動かした。
 四肢を無茶苦茶に動かして、怪人の両足へとタックルをかます。
 バランスを崩す怪人に、左はただ思い切り拳を振り下ろした。
 が、その拳が届くより先に怪人の前蹴りが鳩尾へと炸裂する。
 カウンターの要領で入った蹴りには、上体と下半身とか千切れたのではないかと錯覚する程の衝撃があった。
 息が止まり、宙に浮く。
 弓矢の如く直線的な軌道を描いて、ジョーカーは後方の木々へと激突した。
 ドーパントの域すら超えた身体能力。
 変幻自在に黒色の何かを操る力。
 強い。
 少なくとも仮面ライダージョーカーには荷の重い相手だ。
 甚大なダメージにジョーカーの鎧が霧散し、変身が解除されてしまう。


「く、そ……フィリップ、頼む……」


 左は縋るように胸ポケットからそれを取り出す。
 今現在腰に巻かれているベルトと酷似した形状のそれ。
 だが、それはスロットの数が二つ付いている。
 そう、これこそが左の真なる力。
 『相棒』と共に変身する二人で一人の戦士―――仮面ライダーW。
 その力たるやジョーカーを凌駕し、更に数多の形態をも携えあらゆる状況に対応可能な、まさに一騎当千の戦士。
 今は機能せず結局のところは単身での変身となったが、やはり最後に頼るものは『相棒』であった。

(……返事を、してくれ……頼む……)

 ベルトを付け替え、念じるように呼び掛ける左。
 通常であれば、どれだけ離れた場所にいようとロストドライバーを装着するだけで『相棒』との会話は可能になる。
 しかし今は、その機能が封じられている。
 通信機能だけが停止させられているのか、変身機能すらも停止させられているのか。
 ともかく、Wのロストドライバーは現状に光明を射し込むには至らない。

(フィリップ……!)

 それでも左は語り掛ける。
 届いてくれと、祈るように心の中で声を上げる。
 怪人はそんな左を無感情に見詰めるだけであった。
 掲げられるは、その右腕。
 右腕に黒色が集中し、蠢き始める。
 瞬後、まるで鉄砲水のように黒色が右腕から噴出する。
 標的は左翔太郎。
 その命を踏みつぶさんと殺到する黒色に、左は目を見張った。
 届かぬ『相棒』への言葉に、死を覚悟する。


 そして、左は見た。


 何処からともなく左の前へと躍り出た男の姿を。
 襲い来る漆黒の奔流が前に、まるで臆することなく飛び出た男を。
 男は、腰を落とし、自らの腕に装備した『何か』を前方へと突き出す。
 それは、盾だ。
 迫る黒い奔流と比較すれば余りに小さく、頼りなげな盾。
 だが、その盾こそはどんな攻撃すらも防ぎきる最硬の盾。
 まるで、それは装備者の信念をそのまま体現したかのような。
 どんな敵であろうと引かず、揺るがず、砕けない、盾であった。
 盾と、漆黒とが、激突する。
 激突した瞬間、男は器用に身体を丸めてその殆どを盾に隠れるようにした。
 同時に足を地から離し、宙に浮かせる。
 漆黒の本流に押される男。だが、決して砕けぬ盾によって漆黒は男の身体へは届かない。
 男は、まるで大波に乗るサーファーのように漆黒の奔流に身を任せていた。
 奔流に流され、真後ろへ吹き飛ばされる男。
 真後ろへ、つまりは左の方へと男は飛んできた。
 そして激突しようかという寸前で、男は左の首根っこを掴み、盾の内側へと引き寄せる。
 二人仲良く漆黒の波に乗る。
 漆黒が噴出すればするだけ、左達と漆黒の怪人との距離は離れていった。
 怪人が異変に気付いたのは、既に数十メートルほどの距離を吹き飛ばした後であった。
 漆黒の噴出を止める怪人。
 怪人は殺気の灯った瞳で見やる。
 左と、もう一人の男。
 男は威風堂々と其処に立っていた。
 青いタイツとマスクに全身を包んだ男。
 その右手に備わるは、中央に白色の星が彩られた円状の盾。
 怪人の一撃を易々と防いだ盾だ。
 怪人は、男を冷徹に見詰める。
 男も、射竦めるような視線に決して引かず、怪人を睨んだ。
 ぶつかり合う二つの視線。
 引いたのは、怪人の方であった。
 怪人は、男と左とに背を向け、その場から跳び去る。
 一足飛びに闇夜へと跳ねていき、彼方の方角へと去っていく。
 怪人は素直に興味を抱いていた。
 仮面ライダージョーカー。そして自身の攻撃を容易く防いだ男。
 そのどちらもが、怪人には遥か及ばないとはいえ、驚異的な力を有していた。
 それは怪人の知らぬ『力』であった。
 怪人は、本能的に『力』を、『進化』を求める。
 全てを滅ぼす『ウイルス』として。
 人間ですらない『科学の化け物』として。
 『進化』を。
 その為に、怪人は二人を見逃した。

 怪人にとって、二人を『喰らう』のは容易い事であった。
 ただ己の力を存分に振るえば、多少『力』を有した存在であろうと『喰らう』事はできる。
 だが、片方の男はまだ『喰う』時期には至っていない。
 最初に出会った男は、まだ切り札を有しているように感じたからだ。
 満身創痍で男が縋ったもう一つのアイテム。
 あれが作動すれば、男は更なる『力』でもって立ち向かってくるのであろう。
 『喰う』ならば、その時だ。
 完全となった男を『喰う』ことで自分はその全てを理解することができる。

 そして、もう片方の男。
 後からやってきた男―――あれは、おそらく『喰って』はいけない人種だ。
 怪人は他者を『喰らう』事で、その記憶や人格、その者を形成する全てを取り込むことができる。
 そう、全てだ。
 後の男を『喰えば』、自身の何かが狂う……怪人は、本能でその事態を察知していた。
 既に何百という人間を『喰らって』きた怪人をして、そう思わせた人物は初めてであった。
 あの男は、危険だ。
 だから、見逃す。
 合理的な考えだ。何らおかしなことはない。


 怪人は、重力から解放されたかのように幾度と跳ね続けながら、思考する。
 『力』に溢れた場。
 『進化』を望むのならば、これ以上はない。
 さあ、俺は止めてみろ。
 止められないのならば、全てを滅ぼす―――。




【E-3・森林・深夜】


【アレックス・マーサー@PROTOTYPE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式
[『色』]青色
[思考]
1:『力』を持つ者と戦い、『喰らう』




◇





「逃げた……いや、違うか」


 怪人が去った場。
 全身タイツの男は小さな溜息とともに呟いた。
 マスクの奥の素顔には冷たい汗が流れている。
 男もまた察知したのだ。
 数多のヴィランと戦い、あらゆる戦闘を潜り抜けてきた第六感が、先の怪物の異常性を告げていた。
 正面から戦えば、確実に勝機はなかっただろう。
 険しい表情で怪物の消えて行った方角を見る。
 あの存在は止めねばならない。そう胸に決意する男であった。

「無事か?」 

 そうして男は、視線を地面へへたり込んでいる左へと向けて、声を掛ける。
 左も身体の至る所が擦り切れているが、ダメージそのものは深刻なものではないようだ。
 その表情は死の淵から生還した安堵と、唐突に現れた男に対する困惑とが入り混じっていた。


「あんたは……?」


 問い掛けは自然と口から漏れたものであった。
 あの絶望的な状況に躊躇いなく乱入し、自身を救出した男。
 仮面ライダージョーカーですら敵わなかった敵を前に、小さな盾一つで飛び出してきた男。
 ドーパントでも、もちろん仮面ライダーでもない。
 だが、その背中がどれだけ力強く、そして大きく見えるものか。
 左は、疑問を感じずにはいられなかった。
 眼前の男は何者なのか―――問わずにはいられなかった


「私はキャプテン・アメリカ―――」


 左の問い掛けに、男は、自身の名を語った。
 自信と誇りに満ちた声。
 それは小さな声であったが、何故か不思議と胸に届く。


「―――自由を愛する者の、味方だ」


 そう言い切る男は、そう、まさに威風堂々であった。
 左の脳裏に、思わずある人物が思い描かれる程に―――。



 それは出会いであった。
 日本の『ヒーロー』とアメリカの『ヒーロー』。
 互いの理念は違い、志もまるで違う。
 だが、こうして出会ってしまった二人の『ヒーロー』。
 二人が織り成すは勧善懲悪を貫く物語か、それとも悪鬼非道に敗北する物語か、もしくはまたまるで別の物語なのか―――それはまだ誰にも分からない。





【E-4・森林・深夜】


【左翔太郎@仮面ライダーW】
[状態]全身に擦り傷、腹部にダメージ(中)
[装備]ロストドライバー(W)@仮面ライダーW、ロストドライバー(ジョーカー)@仮面ライダーW、ジョーカーメモリ@仮面ライダーW
[道具]支給品一式
[『色』]赤色
[思考]
1:殺し合いを止める
2:そのために情報を集め、フィリップと合流する
3:キャプテン・アメリカに対して―――



【スティ-ブ・ロジャース@アベンジャーズ】
[状態]健康
[装備]キャプテン・アメリカの盾@アベンジャーズ、キャプテン・アメリカのコスチューム@アベンジャーズ
[道具]支給品一式
[『色』]青色
[思考]
1:殺し合いを止める

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最終更新:2013年02月13日 21:50
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