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希望の翼-despair-

1 希望の翼-despair-


少なくとも、ある時点までの日向創と言う男の人生は平凡であった。
希望に対し希望や憧れを抱くまでは。
成績はそこそこ優秀だった。
運動だってそこそこできた。
そのまま普通に、そこそこの希望を持ちながら過ごせば良かったのだ。

『希望ヶ峰学園』

その言葉に出会い、日向創の人生は壊れて行った。
自分も希望になりたいと思った。
だからこそ彼は――――希望ヶ峰学園に憧れた。
その憧れはもはや狂信と言ってもいい状態にはなっていた。
だからこそ彼は希望ヶ峰学園に入学したかった。

しかし、彼は優秀であっても超高校級の才能などない。
そんな彼に一筋の希望の光が射した。
希望ヶ峰学園に予備学科という物ができた。
そして、そこで認められれば本科に転入できると。
日向はその希望に縋り付いた。
周りからの視線、軽蔑の声、すべてを振り払い彼は入学した。

だが、そこで彼が待っていたものは希望などではなかった。
そこで彼は、さまざまなものを失うことになる。
僅かな希望も彼自身も、消えてなくなってしまうのだ。


    ◆                    ◆


「――――ふざけるなよ」

拳を握りながら、日向創は呟く。
殺し合いなどと言われて、今の彼にどうしようという気は起きなかった。
予備学科だと知らされ、狛枝の策略の結果七海が殺された。
もう彼の心には希望はなかった。

「俺に……こんな俺に何をしろっていうんだよ」

七海のあの最後の場面を見てから俺は部屋に閉じこもっていた。
すべてが終わる日まで、あの数字0になるまで。
だがいつの間にか、俺はここに立っていた。
殺し合いが終われば、また違う殺し合いなど、希望もクソもない。
絶望――――まさにその言葉が似合っていた。

「皆も……ここに来てるのか?」

あの自分以外に残っていた4人、順当に考えれば全員ここに呼ばれているということになる。
全員、この殺し合いに乗るとは考えづらい。
早いところ合流して脱出できるようにしたい。
そう思いながら名簿を開く。 だが、予想は大きく外れた。
と言うより予想しようのない結果であった。

「――――なんで、狛枝に弐大に罪木が……!?」

少なくとも、彼自身予想ができないのは当然だ。
狛枝も、弐大も、罪木も全員目の前で死んだのを確認したから。
特に狛枝の死は今でも鮮明に頭の中に焼き付いている。
俺から希望をすべて奪った、あの男の死を。

「駄目だ、考えても理由が浮かんでこない……でも、全員本物……なのか?」

少なくともこんな珍しい名前の奴が全国に何人もいるとは思えない。
一応本物と仮定するとしておいて……そうなった場合、一番面倒なのは狛枝だ。
もしアイツが、あのまま生き返ったとするならば。
間違いなく俺達に対し何らかの行動を仕掛けてくるのは明白だ。

「とりあえず、早く誰かを探さないと……」

支給品を持ち、立ち上がる。
少なくとも弐大や終里とは合流するべきだ。
アイツらは絶対にこの殺し合いには賛同はしない。
終里の方は戦ってはいそうだけれども、殺し合いはしていないはずだ。
問題は、罪木と狛枝だ。
もし罪木が絶望病に罹っていないのならば、最高の味方となる。
だが罹っている場合は別だ。
人をどんどん殺して回るのは目に見えている。
そして狛枝――――絶対的な希望を掴むために何でもする男だ。
殺し合いで人を殺すことに躊躇はしないだろう。
だからこそいち早く見つけて、止めるなりしないといけないのだろうが……。

(狛枝を止めるなんて、できそうにない)

絶望を消すためには、自分を拷問したように見せかけてまで自殺するアイツだ。
普通に考えれば止めるなんてできない。
だったらどうするべきだ……?

「――――――――殺してしまえばいい」

ふと、口に出した瞬間、背中に寒気を感じた。
一体自分は何と言ったのかと。
殺してしまえばいい? 何故そんなことを考えた。
あの時と違ってオシオキをされないから、か?

(落ち着け……人を殺すのは駄目だ……! 何とかして、ここを脱出しないといけない、誰一人として殺さずに!)

少し時間を置き、落ち着く。
今度こそ移動をしよう――――そう考えた瞬間だった。
パァン、という乾いた音が耳に響く。
直に聞いたことはないが、何かで聞いたような音。

「ッ――――!!」

全力で走りだす、後ろを振り向くことなく。
間違いなく今自分は狙われている。
誰が狙っているかはわからないが、今は逃げるしかない。
ただただ、俺は走り続けた。


    ◆                    ◆


「はぁ……はぁ……!」

疲れを感じて始めたころ、後ろから銃声が聞こえなくなっていた。
そこで後ろを振り向くが誰もいなかった。
逃げ切れた――――とりあえず一安心ではあった。
だが、日向の中には悲しみが生まれる。

(……この殺し合いに乗る人は、いるんだな)

ショックはあるが、仕方のない事だろう。
このような極限状態で落ち着いていられる方が少ない。
俺は一応ではあるが、似た状況にいたから比較的問題はないが。
友達が死ぬかもしれない、誰かに殺されるかもしれない。
そういう精神状況は自分を壊していく。
下手をすると、かなりの人間が殺し合いに乗っているかもしれない。
味方がいない状況かもしれない。

「――――それでも」

諦めてはいけない、七海ならきっと俺にそういうだろう。
最後まで頑張ってみる、絶望な状況に屈せず最後まで戦えと。
きっと七海なら、アイツならそう言う。
辺古山が言ったように、これ以上殺し合いを起こさないようにしてほしいという言葉も。
田中が遺した、生きることを捨てるなと言う言葉も。
すべて俺は引き継いで、この殺し合いを止める。
何の才能がない俺でもきっと何かができるはずだ、と。

「よし……とりあえず、誰かを探そう」

休憩を終了し、日向は歩き始めた。
生まれた僅かな希望を胸に
最後まで戦い抜くと彼は誓った。

【D-2/朝】
【日向創@スーパーダンガンロンパ2-さよなら絶望学園-】
[状態]身体的疲労(小)
[所持品]基本支給品、ランダム支給品
[思考]この殺し合いを止める
[備考]5章終了後からの参戦


    ◆                    ◆


上を向けば、綺麗な空が見えた。
ここが地上なのだろう――――そうミキは思う。
あの女が追っていたものはこんな綺麗な物だったのか。
どんどんと空に昇って行けそうなほどに、綺麗だった。
だが、私が今いるのは、殺し合いと言う状況だった。

「人がいたと思えば殺し合い、そして……皆が生き返っているなんてね」

彼女が言った皆は、全員死んでいったはずだった。
オルガは私たちを助けるために犠牲になった。
イトカは朝起きたとき死んでいた。
アスナは酸欠寸前のところで酸素を確保するため殺した。
クロエは梯子が重量オーバーで壊れそうになったから殺した。
全員間違いなく死んだはずだった。
だが全員の名前がここにはある。
その意味はなんなのだろうか。

「どちらにしろ同じね……皆、私が殺せばいい」

彼女はもうこの殺し合いでの動向を決めていた。
彼女の目的――――ある女を殺すためにこの殺し合いに優勝する。
そのためには手段を選ぶつもりはない。

「私は飛べるだんだ……! こんなところで死ぬわけにはいかない」

拳銃にマガジンをこめて再び歩き始めた。

【D-2/朝】
【ミキ@密室のサクリファイス】
[状態]健康
[所持品]基本支給品、スミス&ウェッソンM39(9/9)、9mm×19弾マガジン(2)
[思考]殺し合いに優勝しあの女を殺す
[備考]ミキルート「羽」にてクロエを殺し地上に向かっている途中からの参戦


オープニングというような概念のような 投下順 その面影を

START 日向創 [[]]
START ミキ [[]]

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最終更新:2013年04月02日 19:04
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