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猫又も妖狐も一絡げに

8話 猫又も妖狐も一絡げに



「あ~も~! なんでこんな事になんのよ!」

あたしの名前は猫泉いずも。
人間がこの世に憚り出してから何百年も経ったこの地球でひっそりと生きている猫又です。
人間がまだ着物を着ている時代に生を受けた猫でした。
まあ……数十年、数百年も経てば妖力も生まれ、人間に化けられるようにはなりますが……まだまだ妖力はありません。駆け出し猫又です。
今は猫だった時憧れていた"学生"として人間に紛れて暮らしています。
……と、そんな前置きはこれぐらいにして。

「問題は、そんなあたしがなんでこんなとこで殺し合いをさせられてるのかってことよ」


……さすがに予想外すぎるわ。
まさか、こんな事が起きるなんてね……
出発前にここに来たアレって、どう見ても"鬼"よね……
まさかあんなとこで鬼に出くわすとは思わなかった……だって鬼みたいな人間嫌いが人間に従ってるとか……想像できないわよそんなの。
ディパックは確認したところ、入っていたのはルールブックに書かれていた、いわゆる基本支給品ってやつと、ゲーム機だけ……
まさかゲーム機が武器だとは思わなかったわね……しかも『PS V○ITA』。
あたしの欲しかったヤツだけど、こんな状況じゃ意味無いわよ……ご丁寧に充電コードまであるし……
こんなとこに力いれなくてもいいわよ。

っていうか、あたしこれ、生き残れんの?
あたしは一応猫又っていう妖怪だけど、巫女や陰陽師や霊媒師とかいたらヤバくね?
鬼もいたし、いるんじゃね?
あたし、本当に死ぬんじゃね?
っていうか、人間同様殺されたら死んじゃうし。あたし、実体のある妖怪だから刺されたり斬られたり撃たれたりしたら致命傷なんだけど……ちょっ、マジヤバいって……ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!

「いやぁぁぁ~っ!!」




「あらぁ、なに? 騒がしいわねぇ」


あ?
誰よこのオバサン。
あたしより美人……気に入らない。
そのバカにしたような喋りもね……

「おいオバサン! なに言っちゃってくれてんのよ!
 この猫泉いずも様をバカにしてんの!?」
「あらぁ、オバサンなんて……し・つ・れ・い・ね?」

くっ……その余裕、腹立つ……
なんで?
なんでこのオバサンこんなに余裕なの?
今、あたし達がどんな状況下にいるか分かってんの?

「うふふっ、あなた、殺し合いに乗る気?」
「乗るわけないでしょ。そんなクソゲー」
「うふふ……あなたはイイ子でよかったわぁ。ワルイ子なら殺さなきゃならなかったものぉ」

……余裕すぎでしょ、このオバサン。

「私は擂魅何那。よろしくねぇ」
「……よろしく」


「で、なんか支給品あったぁ?」
「いちいち喋りうっとおしいのよアンタは。あたしはゲーム機だけよ」
「ふぅん、運が良いのか悪いのかわかんないわね。アナタ」
「うっさい!」

……それにしても、擂魅とかいうオバサン、随分と余裕かましてるわよね。
まるでこんな状況へでも無いみたいに。
普段どんな人生送ってんのよ。人間のくせに。

「そーゆーあんたはどーなのよ。支給品」
「うふふ。私はこれ」

……なにこれ。包み紙?
いや、この紙に包んであるのが支給品ってこと?
えーっと、擂魅はその包装を解いて中の物を出した。で、その中身が支給品ね。
……丸くて黄色くて模様があってパリパリして美味しそうな……

「最中?」
「あら、美味しそうね。
 でもはずれだわこれ。私的には最中よりもいなり寿司が良かったわぁ。なんてねぇ」

……ある意味あたしよりはずれだった。
さすがにこれはちょっと同情したくなるわ。……どんまい。

「……で、どうする気?
 まさかゲーム機で戦うわけじゃないわよねぇ? ファミコマンドーじゃあるまいし」

……あんた一体いくつなのよ。

「そうね……まああたしは結構強いから武器なしでも戦えるけど」

そうよ。あたしは猫又だった。
霊力なら少しはある。人間相手ならまだ戦えるはず。
……鬼相手じゃやばいかもだけど。


「ふぅん……
 一体その霊力でどこまでいけるのかしらねぇ? 可愛い猫又さん?」
「!?」
「うふふ」

はぁ!?
なんで、なんで擂魅があたしの正体見破れたわけ!?
人間にそんな芸当できるの!?
陰陽師とか霊媒師とか妖怪退治屋とか巫女ならともかく……もしかしてその手の人なわけ?
それとも……

「私は擂魅何那。しがない妖狐よぉ」

妖狐?
ああ妖狐なのね。
そりゃあたしと同じ妖怪ならあたしの正体見破っても仕方ないわ。
あー、狼狽えて損した。

「……バレてたのね。そうあたしは猫又よ。
 今は人間の姿に化けてるけどね。正体晒したら驚かれるし」
「そ。私もよぉ。
 狐の姿に戻ってもいいんだけど、人間さんに怖がられちゃうしねぇ」
「……じゃ、とりあえず同じ妖怪同士の縁っつーことで一緒に行く?」
「えぇ。私もそれを考えていたところよぉ。よろしくねぇ」

……とりあえず、成り行きだけどあたしはこの妖狐と一緒に行くことにした。
まあ、ヤバイ奴と会わねーことを願うしかないわね……




【E-7/森/一日目/0:33】
【猫泉いずも】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、PS V○TA
[思考]基本:殺し合いなんてしない
   1:どうしようこれ……
   2:とりあえずオバサンと動向しよっと……

【擂魅何那】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、最中×26
[思考]基本:殺し合いなんて興味ないわねぇ
   1:とりあえずこの娘と一緒にいましょうか


【キャラクター紹介】
【猫泉 いずも(ネコイズミ イズモ)】
少女の姿に化けている猫又。
700年ぐらい生きている。
普段は女子高生として生活し、猫の時は近くの老夫婦に飼われている。
霊力はそれほどでもないが、結構な自信家であり、やや無謀なきらいがある。
悪戯好きのおてんば娘。

【擂魅 何那(スミ イズナ)】
妖艶な雰囲気を持つ大人の女性。
その正体は1500年異常行き続けている妖狐。
膨大な霊力を持ち、妖怪の中でも上位の実力を持つ。
基本的に大人しく、それでいて冷静であるが、一旦怒り出すと手がつけられなくなるほどであるらしい。




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最終更新:2013年12月02日 20:07
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