電話ボックスほどの小さな部屋の中で、少女は目を覚ました。
ここはどこなの、何故私はこんな場所に居るの。
この部屋は少女にとって見覚えの無い未知の場所だった。
気がついたらこの部屋に居た。
誘拐されたのだろうか、そんな不安が頭をよぎる。
とりあえず身の回りを確かめよう。
この人一人分のスペースしか無い部屋は壁は金属製のようだ。
自分は地面に取り付けられた椅子に座っている。
正面にはモニターらしきものがある。真っ暗でなにも映されていない。
後ろを振り返ると扉があった。壁と同じく金属製のようだ。
ノブを回してみるがびくともしない。鍵がかかっているのか。
これからどうしたらいいのか。
『ザァーーーザザッザーーーーッザ』
不意にノイズ音が聞こえた。モニターからだ。
何も映していなかった画面には砂嵐が映っている。
しばらくするとモニターに真っ白なマネキン人形が映っていた。
「マネキン・・・・?」
思わず呟く。
モニターには等身大の無機質な白いマネキンが一体映し出されていた。
服屋などで見かける普通のマネキンだったが、ひとつだけ違和感を感じた。
「これは・・・首輪?」
マネキンの首には銀色に輝く首輪のようなものがぴったりと嵌められていた。
首輪・・・首・・・。
そこでようやく少女は自分の首の違和感に気がついた。
首元に手をやる。ひんやりとした感触を確かに感じ取った。
私の首にも、あのマネキンと同じものが・・・?
そこまで思考したとき、モニターに字幕が表示された。
『16名のお客様方、お集まりいただき感謝いたします。
私たちの余興につきあっていただくべく、皆様にお越し頂きました。
お客樣方16名に命をかけたゲーム、つまり
殺し合いをしていただきたいのです。』
目を疑った。殺し合い?何の冗談・・・。
『最後の1人が決まるまで殺し合っていただきます。優勝者のみに生きて帰れる権利が
ございます。詳しいルールはデイパックの中の説明書に目を通してください。
デイパックはモニターの台の中に有ります。ゲーム開始とともに台の扉とドアが開きます。
16名のお客樣方、思う存分お楽しみください。』
ふざけているの、こんなこと、あるわけない・・・。
『最後に、これはおふざけでもなんでもないということを確認してもらうべく、
モニターに映し出されたマネキンをご覧になってください。
皆様の健闘を願っております。』
『ビーッビーッビーッビーッ』
モニターの向こうのマネキンの首輪が赤く点滅しながらアラーム音を鳴らした。
『ビーッビーッビーッビーッ』
けたたましい音を鳴らしながら点滅を繰り返す首輪。
何故だか、あのマネキンの首輪がどうなるのか・・・・予想が出来てしまった。
でも、もしそうだとしたら
『ビービービービービー』
私の首も
『ビビビビビビビビ』
わけの分からない誘拐犯の意思一つで
『ビーーーーーーーーーー』
『ボンッ』
「・・・・・こうなってしまう、というの・・・?」
首輪が爆発した。
マネキン人形の頭の上が綺麗さっぱり吹き飛び、破片が飛び散った。
画面越しにも関わらず、まるで目の前で爆発を体感したかのようなショックを味わった。
私の首にも、恐らく同じものが着けられている。
これが爆発したのなら、生きてはいられないだろう。
「こんな、こんなことってッ・・・」
悪夢のようだ。
認めたくない、これが現実の出来事だと。
自分が、本当の殺し合いに巻き込まれたのだと。
ガチャリ、唖然と立ち尽くす私の背後で音が鳴る。
扉のロックが解除された音だろうか。
ノブを回してみる。扉はゆっくりと開いた。
ゲームが、始まってしまったのだ。
「どうにかしなくちゃ、こんないかれた場所から逃げないと」
少女、福永雪枝は決意した。
こんなふざけたことに乗ってたまるか。
殺し合いなんかしない、絶対に逃げ延びてやる。
福永はモニターの台の扉からデイパックを取り出すと抱きかかえるように持ち、
ゲームの舞台へと足を踏み入れた。
ゲームスタート
残り16名
最終更新:2014年05月14日 23:14