「ぐすっ、うぅ~……」
廃ビルの一室で緑色の生き物が蹲り泣いていた。
全体的にガチャ○ンに似たこの生物、名をカントクと言い、れっきとした妖怪である。
その名の通り彼は映画監督であり、自主制作映画を自らが館長を勤めるシネマ淵ヶ関で上映している。
自分の映画を敬わない者へ苛烈な私刑を行う以外は、人畜無害で臆病な妖怪。
それがカントクである。
「うぅ…。委員長くん…」
見せしめで殺された委員長こと平川和彦はカントクの友人だった。
その友人を惨たらしく殺された事に、カントクは涙を流している。
委員長が理不尽に死んだ事への悲しみ。
笑いながら彼を殺した、ロロという青年への怒り。
友の危機に慌てふためくだけで何もできなかった悔しさ。
カントクの中では様々な感情がごちゃ混ぜになっていた。
(私はどうしたらいいんだ……?)
このまま泣いていたって何も解決しないのは分かってる。
こんな恐い場所で殺されたくない。
できる事なら、委員長の仇を取りたい。
けどその為にどう動けばいいのか、何をすればいいのかが分からない。
自分には耳雄のような戦闘力も無く、留渦のような常に冷静な行動もできない。
己の命すら守り抜けるか怪しいのに、委員長の無念を晴らす事など可能なのだろうか。
それにロロを倒そうにも、反抗すれば首輪を爆発させられ委員長と同じ目に遭う。
(カントクの場合、首が無いので胴体に巻きつけられているようなものだが)
当然首輪を解除できる知識も技術も持っていない。
こんな様で何ができるというのか。
(私は、無力だ…)
己の力の無さを責め続けるカントク。
と、その背後へゆっくりと近付く影が一つ。
「はっ!」
気配に気付いたカントクが振り返ると、そこには金髪の女性が居た。
年の頃は20代前半といった所、顔立ちから日本人では無いことが分かる。
女は驚きと警戒が混じった目でカントクを見ていた。
現れた自分以外の参加者に驚き固まるカントクだが、女がバールのようなものを握り締めているのが視界に入ると一変、
殺されるかもしれない恐怖に堪らず飛びずさる。
「うおおぉぉォォン!?」
「っ!」
「ききききき君は、なな何だ!?わ、私を、ここここ、殺すつもりか?」
「えっ、あの」
「わわ私はまだ、し、死ぬわけにはいかん!や、やるならやるぞ!映画監督の底力見せたらぁ!」
必死に虚勢を張り構えてみせるが、ガクガクと全身が震え涙目になっているので、あまり意味は無い。
そのどこかコミカルな姿を見た女は、戸惑いながら話しかける。
「あなたは…何?B.O.W.じゃないの?」
「は、は?」
◇
その後、女は自分が
殺し合いには乗っていない事を伝え、怯えるカントクをどうにか落ち着かせた。
現在二人は廃ビル内にあった所々が錆付いたパイプ椅子に腰掛け、情報交換を行っている。
「じゃあカントクは妖怪…ジャパニーズ・モンスターっていう生き物なの?」
「は、はい。あの…、シェリーさんは本当に見覚え無いですか?一応ハリウッドで映画を撮らせていただいたことも…」
「そ、そうなの。でもごめんなさい。分からないわ」
「あ、そ、そうですか」
ションボリするカントクを尻目に女――シェリー・バーキンは考える。
この状況は何なのだろうかと。
中国でのバイオテロを食い止めた矢先、新たな事件に巻き込まれている。
何度記憶を巡らせてみても、拉致された、或いはガスなどで眠らせた覚えはない。
本当に何時の間にか首輪を嵌められ、あのロロという青年の前に、そしてこの会場に居た。
これだけでも十分不可解なのに、更に奇妙な事が二つ。
一つは名簿にあったアルバート・ウェスカーの名前。
クリスやジェイクといった頼れる仲間に混じり、その名が記されているのを見つけた時は首を傾げた。
直接会った事は無いがウェスカーは既に死んでいるはず。
重症を負いながらも、密かに生き延びていたのだろうか。
いずれにせよこれは実際に本人に会ってみなければ分からない。
そして二つ目は今シェリーの目の前にいるカントク。
最初カントクを発見した時その異様な見た目から、シェリーは彼を新手の生物兵器か何かだと思った。
だが驚いた事に彼はB.O.W.と違い、知性を持ち言語を話す妖怪という種族であるという。
彼が言うには日本で映画監督の職に就いているとのこと。
更にカントクの住む町では彼以外にも大勢の妖怪が暮らしており、人間との交流もそれなりにあると言うのだ。
俄かには信じがたいが、こうして実在する以上信じるしかない。
考え込むシェリーを余所に、カントクは自身のデイバッグの中を確認していた。
委員長の死にショックを受けそれどころでは無かったが、シェリーとの会話で少し落ち着いたので、
支給品と名簿を確認する程度の余裕は取り戻せていた。
「何てことだ…。彼らまで…」
「知っている名前があったの?」
「はい…。日野耳雄くんに妹の留渦ちゃん。それにペットのサイトーさん。委員長くんと同じ、私の友人達です…」
またしても友を傷つけようとするロロに怒りが湧くカントク。
シェリーもまた何の罪も無い少年を殺し、その友人たちまで殺し合いに巻き込む非道なロロに怒りを覚えていた。
湧き上がる怒りを抑えつつ、続いてランダムに配られた支給品を取り出す。
取り出したのはオートマチックの銃とその予備の弾倉。
シェリーにはその銃に見覚えがあった。
東欧と中国で共に戦ったジェイクが使用していたものだ。
「あ、シェリーさんの支給品はそのバールみたいなものですか?」
「ええ。あとは…」
そう言ってシェリーがバッグから取り出したのはビデオカメラ。
殺し合いの場には必要ない、外れ支給品というやつだろう。
しかし、カメラを見たカントクはハッとした表情で、何かを呟く。
「そうだ。私にできることは…」
「カントク?」
怪訝に思ったシェリーが話しかけると、カントクは真剣な眼差しで彼女に向き合う。
「シェリーさん。私の銃とそのカメラを交換していただけないでしょうか」
「えっ?」
「お願いです!今の私には、どうしてもそれが必要だ!」
頭を下げて頼むカントクに、シェリーは困惑する。
「銃が手に入るなら助かるけど…。いいの?」
「はい。私は映画監督としてカメラで戦いますから!」
「どういう事?」
「ロロの悪事をカメラに記録し、ドキュメンタリー映画を作る。
そうして奴の悪事を白日の下に晒して、委員長くんの無念を晴らすんです!」
戦う力が無くても、やれることはある。
映画監督として、そして委員長の友人として、それがカントクの決意だった。
「分かったわ。このカメラはあなたに」
「あ、ありがとうございます!」
「この事件の証拠を記録する為にも必要だし、ね」
微笑みカメラを渡すシェリー。
「そろそろ出発するわよ。まずはカントクの友達を探しましょう」
「は、はい!」
カントクから譲り受けた銃を手に、シェリーが先頭で廃ビルを出る。
その後ろを付いて行きながらカントクは思う。
(天国で見ていてくれ委員長くん。私は私なりのやり方で、きっと君の仇を取ってみせる!)
【カントク@でろでろ】
[状態]:健康
[装備]:GOのビデオカメラ@真夏の夜の淫夢
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:ロロの悪事をカメラに記録する
1:シェリーさんと行動
2:耳雄くん達を探す
[備考]
※原作終了後からの参戦
【シェリー・バーキン@バイオハザードシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:ハンドガン909(15/15)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式、予備弾倉×6、名状し難いバールのようなもの@這いよれ!ニャル子さん
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:カントクと行動し彼の友人を探す
2:ジェイク、クリスとの合流
3:ウェスカーは生きていた…?
[備考]
※参戦時期はバイオハザード6終了後
支給品紹介
【GOのビデオカメラ@真夏の夜の淫夢】
シェリー・バーキンに支給。
皆さんご存知、絶対唯一神GO様がかつて使用した神器。
正式名称はDCR-VX1000 Handycam。
GO is GOD
【名状し難いバールのようなもの@這いよれ!ニャル子さん】
シェリー・バーキンに支給。
ニャル子のメインウェポンで、その名の通りバールのようなもの。
というかまんまバール。
敵を滅多打ちにしたり、投合して攻撃したりする。
【ハンドガン909@バイオハザードシリーズ】
カントクに支給。
バイオハザード6においてのクリスとジェイクの初期装備。
予備のマガジンが6つ付属している。
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カントク |
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シェリー・バーキン |
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最終更新:2016年03月30日 01:01