とある崖の上。目の前に広がる漆黒の海を見つめながら、その男は一人佇んでいた。
伸ばした髪とひげ、そして決して清潔とは言えない服装。どこか世捨て人を思わせるような外見だ。
彼の名は、
腑破十臓。人として生を受けながら、人斬りの魔力に取り憑かれ化け物に身を落とした「外道」である。
「俺は……生きているのか」
十臓はふいに、虚空に向かって呟く。
彼が持つ最後の記憶。それは自らが認めた強者・シンケンレッドに切り捨てられ、海に落ちていくというものだった。
彼は、自分の死を覚悟していた。しかし、十臓は死んではいなかった。
負った傷も完全に癒された状態で、こうして殺人遊戯の参加者としてこの無人島に送り込まれているのだ。
正直に言えば、十臓は自分が生きていたことに戸惑っていた。だがその戸惑いは、程なくして喜びに変わる。
あることに気づいたからだ。
「生きているということは……。もう一度味わえるかもしれないのか。
あの、骨の髄までバラバラになるような斬り合いを……」
シンケンレッドとの決闘は、彼が生きてきた中でもっとも素晴らしい体験だった。
自分に匹敵する強者との、お互いの命を賭けた死闘。なんと楽しいことか。
その快楽を思い出し、十臓の体が震える。あれをもう一度味わえるとしたら、こんなにも嬉しいことはない。
いてもたってもいられず、十臓はカバンを乱暴に開いて名簿を取り出す。
そこにシンケンレッド・志葉丈瑠の名前が記されていることを期待して。
だが彼の希望は、あっさりと打ち砕かれた。丈瑠の名は、名簿のどこにも記されてはいなかったのだ。
十臓が知っている名前は、「
骨のシタリ」の一つだけ。
さほど仲がよいわけではないが、いちおうは同じ外道衆の仲間だ。勝負を挑む気にはなれない。
そもそもあの老いぼれに、自分を満足させてくれるほどの力があるとも思えない。
「まあいい。これだけの人数がいれば、一人ぐらいは俺に快楽を与えてくれるやつがいるだろう。
それに期待するか」
若干の失望を胸に抱きつつ、十臓は名簿をカバンの中に戻す。代わりに、彼はランダム支給品を取り出した。
彼に支給されたのは、二振りの刃。十臓はそのうち禍々しい装飾が施された大剣の方を手に取り、もう一本をカバンにしまう。
「裏正とはまったく違う感触だが……。なかなか俺の手になじむ。当面はこの剣を使わせてもらうか」
二、三度素振りを行うと、十臓は満足げに口元を歪めた。
「そうだな、まずは……。試し斬りの相手を捜すか。この剣になじむためにも、実戦をこなしておいた方がいいからな。
最初は弱いやつでもかまわん。とにかく斬ることさえ出来れば……」
魔剣を手に、血の雨を降らせるべく動き出す十臓。
果たして、彼を止められる者は現れるのか。
第八幕、まずはこれまで。
【一日目・深夜/C-4・崖】
【腑破十臓@侍戦隊シンケンジャー】
【状態】健康
【装備】破壊の剣@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場
【道具】支給品一式、鋼の日本刀@パワプロクンポケット外伝カオスフルswing編
【思考】
基本:骨の髄までバラバラになるような戦いをする
1:シンケンレッドに匹敵する強者を捜す
2:試し斬りのため、誰でもいいので他の参加者を襲う
※第二十六幕、シンケンレッドに敗れた直後からの参戦です
※花織ことは=シンケンイエローであることには気づいていません。気づいたとしても、おそらく何とも思いません
※破壊の剣の呪いが、どこまで十臓に影響するのかは不明です
最終更新:2009年12月06日 11:44