街路樹の並ぶ道を歩く影が1人。猫の様なマスクと、豊かな体のラインを強調させるピッタリとした灰色のボディスーツに身を包んだ妖艶な女性の名はキャットウーマン。ゴッサムにその名を轟かす怪盗である。
殺人を犯さない事を信条としている彼女は、この
殺し合いに乗ることを当然のように拒否していた。
だがそんな彼女の枷となっているのが、彼女の首にもつけられている首輪だ。
この首輪が存在する以上、自分の命は主催者の意のままである。彼女は猫でもあっても飼い猫ではないのだ、自分の首輪を指でなぞり、その端正な顔を怒りに歪ませる。
(リドラーがここに呼ばれている以上、彼がこの首輪を外すことに興味を持つ可能性が高い、接触する価値はある。バットマンは人殺しはしないから信用できる。
トゥーフェイスはコイントスっていう不確定要素がある以上あまり信用はできない。ジョーカーはこの場でもバットマンを殺す準備をしているわね、当然信用は絶望的)
ふと、彼女は歩みを止める。
このような不愉快極まる物をどうやって外すか、自分以外に名簿に載っていた知り合いはどう動くかを考えていた彼女の目の前に、一人の男が立ちはだかるように立っていた。
不気味な男だ。くたびれた服を来た、顔の半分が長髪で隠れ、その目には危険な光を宿し、口を三日月のように開いた歪な笑顔。そして異形の左腕と両手に構えられたバヨネット。
男の名は永井木蓮。自らの体に植物を飼い武器として扱う魔導具『木霊』を使う、暗殺集団である麗の一員にしてサイコな外道である。
(どうみてもフレンドリーな接触はできそうにないわね……)
「何か用かしら? 生憎とやることが多くて忙しいのだけど」
「それなら心配しなくていいぜ、俺がテメェをぶち殺せばその必要も無くなるだろ?」
デイパックから支給品の桜蘭舞踏鞭を取り出しながら、油断なく構えるキャットウーマン。
それに対してクツクツと笑いながら、木蓮は腰を落とした。
やはりか、とキャットウーマンは溜め息を一つついた。
「聞いても無駄でしょうけど、何故?」
「どうってこたぁねえよ。女の柔らかぁい肉を刺すのがたまらなく好きなだけだ」
「そう、期待はして無かったけど最低の理由ね」
「そうかい? 極めてシンプルで最高にイかしてる理由だと思うが、な!!」
その言葉を言い終える前に、木蓮は両腕をクロスさせながら飛びかかった。
何度目かの溜め息をつきながら、キャットウーマンの鞭が跳ね、風切り音と共に木蓮の左腕に鋭い一撃を与える。
しかし、木蓮は特に痛がる素振りを見せず、その動きは止まらない。
危機を察したキャットウーマンは瞬時に後方へと飛び退ると彼女が先ほどまでいた空間に二本のバヨネットの刃が閃いた。
「まだだぜェッ!!」
木蓮の異形の左腕から鋭く尖った木の根が何本も飛び出し、キャットウーマンの体を貫こうと飛び出す。
着地すると同時に彼女は横に転がりながらその根を避け、街路樹の影へと飛び込んだ。
「ちょこまか動くんじゃねえよ!おとなしく殺されなァ!!」
木蓮が駆け出しながら、左腕から飛び出た根を街路樹に向けて動かす。
対するキャットウーマンは猫そのものの俊敏性を生かして次々と避けていく。
彼女は考える、あの腕から出ている根は自身の鞭より射程が長い上に自在に動く。よしんば鞭を打てたとしてもあの腕から新たな根が現れ防がれる可能性もある。
かといって目の前の男が首輪を解除できる人物を殺害する可能性もある以上、野放しにはできない。なら――。
デイパックに入っているある物を取り出しながら、キャットウーマンは目の前の男を倒す為に動き出した。
何度目かの攻防の末、キャットウーマンが木蓮の元へと駆け出した。その手に持つのは痺れ薬の塗られた忍者刀、一太刀でも浴びせれば斬られた物はまともに動けなくなる。
「そっちから来てくれるとはなぁ、いただきだぜぇ!!」
左腕から無数の根がキャットウーマンを貫こうと繰り出される。
それを彼女は類い希なる動体視力であるものはかわし、あるものはいなし、あるものはかすりながら前進していく。
その身を纏うスーツは所々避け、血に塗れている。だが彼女の動きは鈍るどころか更に鋭い物となっていく。
狙った獲物は逃さない、それがゴッサムを騒がせる怪盗キャットウーマンなのだから。
「ナーオ」
薙払いにきた最後の根をしゃがんでよけた彼女の口から猫の鳴き声が発せられる。
既に忍者刀で切りつけられる間合い、無力化が狙いなので切りつける場所は問われない。
すれ違いざまに忍者刀が閃き木蓮の右腕を捉えようとする。
――その瞬間、木蓮の右腕から現れた無数の根がキャットウーマンの体を貫いた。
「あ……?」
何が起こったのかを理解する間も無く無数の根が突き刺さったショックでキャットウーマンはその命を落とした。カラン、と音を立てて忍者刀が地に落ちる。
彼女の致命的な勘違い、それは左腕の異形からしか根による攻撃はできないと思っていた事。
木蓮は懐に潜られた時の為に左腕しか使わず、敢えて相手にそう思わせていたのだった。もし、体のどこからでも根を出せると知られていれば近寄る事もなく逃げられてしまうかもしれない。獲物を逃がすような真似をしたくなかった木蓮の作戦。
それが嵌った今。木蓮の表情が更なる喜悦に歪んだ。
「ククク……、ギャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
女性の柔らかい肉に自らの根が突き刺さる感触を味わいながら、木蓮は狂笑した。
数分後、そこには二人分のデイパックを担いだ木蓮と、道路に無造作に転がったキャットウーマンの亡骸があった。
「まったく、最初に女が殺せるなんざ幸先がいいぜ」
未だにその顔に愉悦の笑みを浮かべた木蓮はひとりごちる。
これからどう動くかを考える彼の頭に、名簿にあった二人の名が思い浮かんできた。
「花菱烈火に紅麗、奴らを殺すにゃ相応の準備がいるな」
自分を倒し虚仮にしてくれた花菱烈火と、現在の上司である森光蘭から殺害命令の下っている紅麗。
片方は対峙し、片方は部下として動いていたからこそ二人の実力はわかっているつもりではある。
木蓮は地図を取り出す。その視線の先には、D-3『植物園』と書かれている。木霊を使う木蓮にとっては好都合な場所。
「しっかし準備が良すぎるんじゃねえか主催者さんよ。ま、有効活用させてもらうがな」
植物園を目指し、木蓮は歩き出す。その目には全てを殺しつくさんと燃える凶暴な炎を灯して。
仁無き男・永井木蓮。この男の次の犠牲者は果たして誰になるのだろうか……。
【キャットウーマン@バットマン:死亡確認】
残り:49名
【一日目/深夜/A-2】
【永井木蓮@烈火の炎】[状態]健康
[装備品]バヨネット×2@HELLSHING
[道具]支給品一式×2 、楼蘭舞踏鞭@Get Backers~奪還屋~、火車丸の忍者刀@烈火の炎、不明支給品1~3
[思考・状況]基本思考:全員殺す
1:植物園に向かい自身を強化、及び色々と準備。
2:烈火と紅麗は必ず殺す。
※裏武闘殺陣終了直後から参戦
【キャットウーマン@バットマン:死亡】
残り:49名
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最終更新:2008年09月22日 16:53