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三国最強 呂奉先

バトルロワイアル開始から、まだ数十分。
この短い時間の間に、早くも参加者中上位に入る戦闘力を持つ二人が戦いを開始していた。
おのれの身の丈よりも巨大な深紅の剣を振り回すのは、呂布。
言わずと知れた、三国時代の中国大陸で最強の名をほしいままにした男。
対するメイド服姿の美女は、森。
「機関」に身を置く超能力者にして、常人離れした身体能力を持つ謎多き女性である。

(くっ、まさかこんなにも早く、私以上の実力を持つ相手に出会ってしまうなんて……)

森は、焦りを募らせていた。彼女は、紛れもない強者である。そのことを彼女自身も自覚している。
だが、目の前の相手は明らかに森を上回る戦闘力の持ち主だ。
強者であるがゆえに、森は自分より強い相手との戦闘経験はほとんどなかった。
ゆえに、そのような存在と戦うことになったとき焦るのだ。

「はああああっ!」

気迫の叫び声と共に、森は右手に装着した鉄の爪で一撃を放つ。
だがその攻撃も、呂布に易々と捌かれてしまう。

「ふん!」

そのまま呂布は、反撃に移る。身を翻して回避しようとする森だが、刃が彼女の足をかすめる。
怪我自体は、たいしたものではない。だがこのレベルの戦いになれば、少しの怪我が大きなハンデキャップとなってしまう。

(まずい……。次の攻撃は避けられない!)

取り乱す森に、大剣が迫る。だがその刃が森を切り裂く前に、呂布目がけて一本の矢が飛んできた。
呂布は迷わず攻撃を中断し、矢を回避する。

「まさかこの私が、呂布を相手取ることになろうとはね……。
 荷は重いですが、襲われている人を見殺しにするわけにもいきませんのでね」

そう呟きながら、弓を手にした一人の男が二人の前に姿を現した。
その体は呂布と同じく、中国風の鎧に覆われている。

(知り合い?)

第三者の乱入に気を引かれつつ、警戒を続ける森。
一方の呂布は、自分に弓を向けた相手をじっと見つめる。

「貴様は……たしか北郷軍の朱拠……だったか?」
「天下に名だたる飛将・呂布に名前を覚えていただいていたとは……。光栄ですよ」
「謙遜するな。北郷軍を陰で支える弓の名手といえば、名前は知られている」

会話を続けながら、呂布はゆっくりと朱拠に近づいていく。

「奇妙なことになったが……。もとより我らは敵同士。その首、もらい受ける」

改めて剣を構える呂布。だがここで、彼は一つのミスを犯した。
朱拠に気を取られ、森から注意を外してしまったのである。

「はあっ!」

隙を見いだし、森は跳び蹴りを繰り出す。呂布は反応こそするものの、回避できない。
肩に蹴りを受け、呂布はバランスを崩す。

「勝機!」

この好機を逃すまいと、朱拠は迅速に矢を射る。彼が放った矢は、見事に呂布の肩に突き刺さった。
それはたしかに、有効打となる一撃だった。並の武将なら、これほどの怪我を負えば戦闘を続行するのは不可能だろう。
だが、朱拠が戦っているのは並の武将ではない。最強の武将・呂布である。

「かあっ!」

矢を受けながらも、それを感じさせぬ勢いで呂布は走る。一心不乱に、朱拠に向かって。

(やはり矢の一本で止められるほど、楽な相手ではありませんか……。ならば、倒れるまで攻め続けるまで!)

淀みのない動作で、朱拠は次の矢を弓にかける。だが、その矢を放つ前に彼の手は止まってしまった。
呂布の予想外の動作を目にし、思考が一瞬停止してしまったのである。
呂布は、手にした大剣を大きく振りかぶっていた。そして次の瞬間、それを投げた。

「なっ!」

縦にも横にも巨大な剣が、矢をも上回る速度で飛んでくる。予想だにせぬ攻撃方法を前にして、朱拠にそれを防ぐ術はなかった。
横倒しになった剣が、朱拠に命中し易々と鎧を砕く。それだけに収まらず、剣は彼の内臓をあばらもろとも粉砕した。

「がはあっ!」

朱拠の口から、大量の血が噴き出す。誰の目から見ても、もはや彼が生きながらえることは不可能であった。

(やはり私には、荷の重い相手でしたか……。申し訳ありません、北郷様。
 私はこれ以上あなたの助けにはなれないようです。どうか、ご武運を……)

主君の無事を祈りながら、朱拠は静かに息を引き取った。


まずは朱拠を討ち取った呂布。だが、戦いはまだ終わってはいない。
もう一人、彼と戦っている人間がいるのだから。

「はあっ!」

森は、攻撃動作を終えたばかりの呂布に容赦なく鉄の爪を振るう。
回避に失敗した呂腑の顔面に、爪によって傷が刻まれる。
しかし、それで怯む呂布ではない。傷などものともせず、握りしめた拳で反撃を放つ。
バックステップを踏み拳撃から逃れようとする森だが、足の傷がわずかにその動きを鈍らせる。
結果として、呂布の拳は森の右肩をかすめる。それだけでも、破壊力は充分。
森はバランスを崩し、地面を転がった。

(くっ、まずいですね……。足に続いて肩までやられたとなれば……。もはや肉弾戦では勝ち目はありません)

美貌を歪めながら、森はゆっくりと立ち上がる。
ゲームに消極的な彼女には、呂布をどうしても倒さなくてはいけない理由はない。
だが、今更逃げ出したところで呂布の身体能力を考えればすぐに追いつかれるだけだ。
それに彼のような危険人物を野放しにしておけば、保護対象である涼宮ハルヒや同志である古泉一樹に危険が及ぶことになる。
殺人を忌避する気持ちはあるが、自分や守るべきものの命には代えられない。
森は、そう割り切ることが出来る人間だった。

(格闘家として銃器にはなるべく頼りたくありませんでしたが……。そうも言っていられない状況ですね)

大剣を拾い直し迫り来る呂布に対し、森は鉄の爪を投げ捨ててデイパックから新たな武器を取り出す。
その武器の名は、RPG-7。今や重火器の代名詞と言っても過言ではない代物だ。

「なんだ、あれは……。武器なのか?」

当然RPG-7など見たこともない呂布は、奇怪な形状の物体に戸惑う。
彼の動きが鈍ったその瞬間を狙い、森は引き金を引いた。
轟音を立て、RPG-7から弾頭が発射される。
その時になってようやく飛び道具と気づいた呂布だが、もはや回避には時間が足りなすぎる。
彼はとっさに、剣を自分の前にかざして盾とした。直後、その剣に弾頭が命中。爆発が起きた。

(命中! これならさすがに……)

勝利を確信する森。だが、その確信は直後にあっさりと裏切られる。
爆風が消えた後に立っていたのは、無傷の呂布だったのだ。

「そんな! 至近距離であの爆発を受けて、無傷で済むはずが……!」

森は、思わず叫んでいた。
彼女は、一つ重大なことを知らなかった。呂布が使っている剣は、ただ巨大なだけの剣ではない。
名前は「烈火大斬刀」。「火」の力が込められた武器なのである。
すなわち、爆発による「熱」に非常に強い代物なのだ。

「その武器には驚かされたが……。俺を倒すことは出来なかったようだな。貴様も、この呂奉先の敵ではなかったということだ」

万策尽きた森に向かって、呂布は烈火大斬刀を振り下ろす。

「百花繚乱」

次の瞬間、炎を纏った斬撃が森の体を両断した。


◇ ◇ ◇


「…………」

二つの骸が転がる前で、呂布はただ立ちつくしていた。
何か物思いにふけっているようだが、その心の内は杳として知れない。

「しょせん、俺には戦うことしか出来ぬ。それだけのことよ……」

感情のこもらぬ声で呟くと、呂布はしとめた二人から奪い取ったチップをしまう。
死人の武器をはぎ取るのは気が引けるが、これは勝者に与えられる印のようなもの。
持っていっても問題ないだろう。そう呂布は考えていた。

「さて、そろそろ行くか。次の戦場へな……」

烈火大斬刀を担ぎ、呂布は歩き出す。その行き先は、本人すら知らない。


【朱拠@中華武将祭り 死亡】
【森さん@涼宮ハルヒちゃんの憂鬱 死亡】


【一日目・深夜/C-2・森】
【呂布@中華武将祭り】
【状態】ダメージ(中)
【装備】烈火大斬刀@侍戦隊シンケンジャー
【道具】支給品一式、不明支給品0~2、スターチップ×2
【思考】
基本:戦う。
※第四十六話、呂布子と一騎当千呂布を倒した直後からの参戦です。


※備考
C-2に以下のものが放置されています
朱拠の所持品:支給品一式、エロスの弓@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場、不明支給品0~2
森さんの所持品:支給品一式、鉄の爪@ドラゴンクエスト4コマ漫画劇場、RPG-7@仮面ライダーSPIRITS、不明支給品0~1


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最終更新:2009年12月23日 18:50
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