アットウィキロゴ

Noir ou blanc

「ざけんなよ!何が殺しあいだ!そんなの……あたしは乗らねぇ!
 生徒会の仲間と一緒に全員無事に帰るんだ!」

ビルが建ち並ぶオフィス街。街灯が辺りをかすかに照らす。
そんなオフィス街に一人の少女の声が響く。
薄い茶色の長い髪を大きなリボンでツインテールにした少女。

黙っていれば極上の美少女に見えるのだが、一人で声を荒げてる様を見ると気が狂ったかのように見える。
こんな深夜のオフィス街で大声で叫んでいる女の子がいたとしたらまともと言えるのだろうか。
いや言えないだろう。誰が見てもそう思う。
もっとも、このような場所で、つい先程あった出来事を考えたら仕方ないのかもしれないが。

少女の名は椎名深夏。碧陽学園の生徒会副会長を務める少女である。
当然彼女はゲームには乗らない。
曲がったことが嫌いな性分でもあり、自分の妹や生徒会の仲間までもが巻き込まれているのである。
彼女がこのゲームに乗って優勝を目指すことはまずありえない。

「真冬……無事でいてくれ……!とりあえず早く皆と合流しねぇと!
そのた「少しいいかな?」めには……ってうわあ!!」

後ろからのいきなりの声に驚く深夏。
それも仕方ない。こんな状況なのだ。後ろからいきなり声をかけられたら驚きもする。

「すまない、驚かせてしまったようで。僕の名前は森近霖之助。
 改めて、少し聞きたいことがあるんだがいいかな?」

そこにいたのは和風の服を着た銀髪のメガネをかけた青年、森近霖之助であった。
これが椎名深夏と森近霖之助のファーストコンタクトである。



◆ ◆ ◆



とりあえず、立ち話も何なのでということから近くの手頃な段差に座ってお互いの情報交換をすることになった深夏と霖之助。

「幻想郷ねぇ……」
「まぁ、信じられないのも無理はないね。僕も実際に外界の人間と驚いているしね」

何かを考える素振りをしている深夏にしみじみと呟く霖之助。
互いに得た情報を整理するだけで手一杯のようだ。

「それにしても、なんであたし達がこんな目にあってんだよ。森近さんは心当たりとかないですか?」
「霖之助でいいよ。それに敬語も使わなくてもいい。うん、そうだね。僕にも心当たりがないかな。
はぁ……こういうのは霊夢や魔理沙の役目だと思うんだけどな……」

重い溜息を吐き、どんよりと落ち込む霖之助。
それも仕方がないのかもしれない。
霖之助は幻想郷で起こった異変はほぼといっていいぐらい関わってない。
精々外野がいいとこだ。それが突然こんな異変に巻き込まれて落ち込まないはずがない。

普段、先頭にたって異変を解決する博麗霊夢と霧雨魔理沙がなぜかいないということが拍車をかけている。
ここにいるのは、自分とよく自分の店である香霖堂の客としてくる十六夜咲夜、紅魔館の門番である紅美鈴だけ。
もう一度深くため息を吐き、どうしてこうなった、と自問自答しても答えは出てこない。

「なあ、霖之助」
「ん?何だい」
「霊夢と魔理沙って誰だ?」
「ただの知り合いさ。妹分でもあるね」
「そうか……でも不謹慎だけど羨ましいよ。大切な人がいないってのは。
ここにはあたし以外にも生徒会メンバー全員がいるし。妹も……ホント、最悪だ」

唇をかみしめ悔しそうに拳を握る深夏に霖之助は既視感を抱いた。

(似ている……ん~、何だろうね、これは)

喉に魚の骨が引っかかるようなもどかしさを霖之助は感じた。その理由がわからず、霖之助は思考の海に落ちる。

「なぁ、突然だが霖之助お願いがあるんだ」
「うわ、っとどうしたんだい深夏?」

突然の深夏からの呼び掛けに少し声がどもってしまうが、気を取り直して深夏の話を聞こうと顔を見夏の方へ向ける。

「身を守る物を、なんでもいい!なにか、あたしに譲ってくれ!頼む!」

土下座でもしかねない勢いで頭を下げる深夏。
今まで表情が薄かった霖之助も深夏の気迫に押されたのか少し表情を崩す。

「確か、ランダムに何か適当に入れるとあの主催者は言っていたが……
武器が入ってなかったのか。深夏のデイバックには元々何が入っていたんだい?」

霖之助がそう尋ねると深夏は苦虫を噛み潰したような顔でデイバックの中を乱暴に地面にぶちまける。

「これは……その……すまない……」

霖之助は絶句し、余計なことを聞いたと深夏に謝った。
ここまで運が悪いとは、と霖之助は深夏に同情の視線を向ける。

「いいよ……もう……ここまでふざけてると逆に清清しいよ」

椎名深夏に支給された物は。



一枚の紙。



大きく『は☆ず☆れ』と書いてある。
どう見てもはずれの支給品です。バカにされています。
本当にありがとうございました。

「なんだはずれって!ばかにしてんのか、そうなのか!楽しいか、あたしをバカにして!!
 あたしはちっともたのしくねぇんだよ!こんちくしょう!ああ、もう!
 不幸だーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

自虐を始めた深夏を生暖かい視線で見つめる霖之助。
そして深夏をさらに追い詰めるかのように。

「残念だけど僕のにも武器は入ってなかったんだ、だから深夏に分け与えることは出来ない。
 ごめんね、役に立てなくて」
「そんな……」

霖之助の追い討ちともいえる止めの言葉にがっくりとうなだれて今にも死にそうな顔をする深夏。

「……僕は武器を探しにこの基地まで行こうと思う。
基地と言うくらいだから武器があるかもしれないしね。深夏はどうする?」

霖之助はデバイスの基地と書かれているところを指差す。

「正直、こんな状態でうろついても無残に殺されるだけだし、なんにせよ武器は必要だ。
霖之助、ついていってもいいか?」
「構わないよ。邪魔にならないなら文句はないしね」

そう言って二人は歩き始めた。目標は基地――



◆ ◆ ◆



霖之助と深夏がいなくなったことで再び沈黙に包まれるオフィス街。
いや、もぞもぞと動いている影が1つ。
そして何もない無の空間から突然と現れる一人の青年。

「行きましたか。このシルバーケープ、どうやらほんとに姿を隠せるようですね」

薄い青色の髪にルビーのように紅い瞳。身につけてる服も青色なのでその瞳がより印象的に映る。
蒼蓮。『誓約』に縛られ望まぬ戦いを続ける青き鬼の青年である。

(これからどうしましょうか。ここには僕の他に透真さんに冥さん、山田太郎もいる)

自分の知り合いがそれなりに呼ばれていることにため息を吐きながらも蒼蓮の顔には悲しみがない。

(いくら知り合いだからと言ってもこんな状況では信用できるかどうか分からない。
常人なら狂ってもおかしくはない状況ですから。
優しくしても、結局は利用するためだけかもしれない。この殺し合いの場では)

蒼蓮はそれなりに長い間生きてきた。その生きている間には当然いろいろな人を見た。
平気で裏切る人、甘い顔を見せて騙そうとする人、数えだしたらキリがない。
自分の知り合いである睦月透真達もその例からは外れない。
先程、霖之助達に接触しなかったのも同じ理由である。

(それに僕には『誓約』がある。そのせいで今回の殺し合いでは能力は使えない……!
『誓約』がここまで仇になるとは……嫌になりますね、本当に)

『誓約』。それは鬼にとっては絶対のもの。それを破ると死に至るために鬼もやすやすとは破ろうは思わない。
蒼蓮の『誓約』はこの殺し合いの場では致命的とも言えるくらい強いものである。
それは――

(この炎で人は殺せない。僕の『誓約』で鬼以外に攻撃できないから。
炎なしでこの殺し合いは辛いかもしれない)

能力で人を殺せないこと。蒼蓮にとっては痛恨すぎることだ。

(むやみやたらに人を殺してまわるのはあまりよろしくない、なら……
 情報ですね)

この閉鎖的な場では情報は何よりも武器となる。
だれが怪しいか、善良か、それを区別するという意味でも情報を多く持っていたらかなりのアドバンテージとなる。

(しばらくは情報集めと行きましょうか。先程の人達の話を聞いた限り、かなり突拍子もない話もありましたし。
 幻想郷ですか……与太話ではなさそうですし。はぁ、これから大変ですね)

蒼蓮は大きなため息をつき、柔和な笑みを浮かべる。
しかし、見る者が見ればその笑みの裏にあるモノに気づくだろう。

「最後まで生き残るのは僕です。例えどんなことをしても、ね」

その笑顔が仮面であり、仮面の裏に潜む黒い情念に。

【G-7/一日目・深夜】
【椎名深夏@生徒会シリーズ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】支給品一式、はずれと書かれた紙
【思考】
0.こんなゲームに乗ってたまるか!
1.基地に向かう。
2.生徒会の仲間との合流。
※森近霖之助と情報交換を行いました。

【森近霖之助@東方Project】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、不明支給品1~3(武器は入ってない)
【思考】
0.とりあえず今は乗らない。
1.基地に向かう。
※椎名深夏と情報交換を行いました。

【蒼蓮@操り世界のエトランジェ】
【状態】健康
【装備】
【持ち物】 支給品一式、シルバーケープ@魔法少女リリカルなのは、不明支給品0~2
【思考】
0.生存優先、情報収集、単独行動に徹する。
1.乗る乗らないについては保留。場を見て判斷。
※椎名深夏と森近霖之助の情報交換を盗み聞きしました。
※第四幕透真達に協力前からの参戦

【はずれと書かれた紙】
大きくは☆ず☆れと書いてある紙。ちなみに書いたのは郷田真弓。

【シルバーケープ@魔法少女リリカルなのは】
ナンバーズの四番、メガ姉ことクアットロが羽織っているケープがこれ。
高いステルス性能と魔法攻撃に対する耐性を持っている。


BACK:誓い~キミのためにできるコト~ 時系列順 NEXT:紅く染まれ――愛/哀の傷跡
BACK:誓い~キミのためにできるコト~ 投下順 NEXT:紅く染まれ――愛/哀の傷跡
GAME START 椎名深夏 NEXT:
GAME START 森近霖之助 NEXT:
GAME START 蒼蓮 NEXT:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年03月25日 14:52
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。