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紅く染まれ――愛/哀の傷跡

森。
木々が生い茂り、草木が地面にコーティングされているかのように一面に広がっている。
小鳥のさえずりはなく、聞こえるのは風で木の葉がゆれる音のみ。
普通の森にならいるはずの虫の鳴き声もなく、巷ではよく聞くひぐらしの鳴き声もない。

「ハヤテ~、マリア~。どこにいるのだ~」

ツインテールにまとめた鮮やかな金髪、発育の悪い小さな体、
いや、貧相とでもいうのだろうか。胸を見ればわかるというもの。
そんな一人の小さな少女が森の中をとぼとぼと歩いていた。
三千院ナギ。とある大金持ちの一人娘である。

この暗闇の中で一人でいることは怖い以外の何者でもないとナギは思う。
普段ならここまで怖がることもなく、虚勢を張ることも出来るのだが。
だが、場所が場所だ。今までのとは格が違う。

自分の執事でありナギの想い人である綾崎ハヤテ、メイドのマリアがいない。
いつもはそばにいる頼りになる二人がいないことはナギにとっては大きな不安となり纏わり付く。

殺し合い?何だそれは?なぜ私が巻き込まれなきゃいかん!」

ふざけたゲームに強制的に参加させられることに憤りを隠しきれないナギ。
ナギの気持ちは正しい。誰だっていきなり殺し合いをしろと言われて不満に思わないはずがない。

「こんな暗いところで、一人は嫌だ……ハヤテ~、マリア~」

いくら学校を飛び級して高校に入っているとはいえまだ13歳。
この状況で平常心を保てる方が難しい。
なまじ、頭がいいだけにこの状況も理解でき、現実逃避をすることもできない。
かといって、怖くないかといえば嘘になる。

「誰かいないのか~、誰か~」

目には涙を溜め、いつもの勝気な顔は鳴りを潜めている。グスッと鼻をすすり、絶望に満ちた表情。
普段のナギを見ている人からすれば想像もつかない顔だ。

「誰か~……お願いだから、誰か~」

何度も誰かいないか、と呼ぶナギの姿は見ていて痛ましい。
それにこの行為は逆に殺し合いに乗っている人を呼び出してしまう可能性もある。
ナギはそれにまだ気付いていないがとても危険だ。

「無理だ……こんな暗い場所で一人は無理だ。それになぜスタート地点がこんな森なんだ!
 せめて、遊艶地とかデパートにすればいいものを……!
 おい、主催者不公平だぞ!せめて……街中がよかったぞ……」

デバイスの地図を見る限りに、この島には市街地がある。
他にも西洋風の街に廃村。森の中に飛ばされるよりはましだ、と言わんばかりにナギはここには居もしない主催者に抗議の言葉を放つ。
届くはずもない言葉――ナギもそれぐらいはわかっているのだが言わずにかいられなかったのだろう。

「ここまで私が願っているのに誰も現れないとは………」

目尻に溜まった涙が一滴ナギの頬を落ちる。これ以上は限界だと言っているかのように。
実際のところもう許容範囲を超えて、ナギの心は悲鳴を上げていた。

「すまない、すこしいいか?」
「うおっ!!だ、誰だ!」

ナギの後ろから出てきたのはブレザーの制服を着た茶髪の青年。
腰に差している太刀がナギの恐怖を煽る。
こんな人に後ろから声をかけられれば驚いて逃げてしまうかもしれない。

「驚かしてしまったようだな、すまない」

だが、すぐにフォローするこの礼儀の良さを見るとこの人は悪くないと印象に受ける。
ナギもそれを受けて、目の前の人が自分に危害を加えるのに現れたのではないと悟った。

「全く!いきなり後ろからは驚くじゃないか!まぁ……謝ってくれたからいいが」
「ははっ、悪かった。俺も配慮が足りていなかったらしい。精進しないとな」

頬を膨らましてプンスカと怒るナギに冷静な対応をする青年。
爽やかな受け答えから青年が大人びていることがよくわかる。

「俺の名前は棗恭介。恭介で構わない。君は?」
「私は三千院ナギだ。私もナギでいいぞ!」

自己紹介から始まり、お互いの知り合い、お互いが初めて会った人だということなどを交換していく。
終始リラックスした空気で情報交換は行われていた。

「なんにせよ、恭介がいれば安心だな。さぁ行くぞ、こんなゲームに乗る奴を倒しに!」

人と出会えて少し前まで消沈していたナギはもうどこにもない。
いつも通りの勝気な顔を取り戻している。

(最初に会った奴が恭介でよかった。待っていてくれハヤテ、マリア。
 私は大丈夫だから。信頼できる人に会える平気だから。
だから……無事で生きていてくれ。今、探しに行く……)

最初に会った参加者が恭介みたいな頼りになる青年であったことからナギは浮かれていた。
傍目から見てもはっきりわかるぐらいに。頬は緩み、目に貯めていた涙はもうない。

「その必要はない。だってさ――」

それ故にナギは気付かなかった。恭介の眼が変わったことに。
優しさが秘められた眼がどす黒い光に染められた瞬間を。

「ナギ、お前は今すぐ死ぬんだからよ」
「え――」

瞬間。
恭介が腰にさしていた太刀を抜き放ち、横薙ぎに一閃振るう。
その様は疾風の如く。見事と呼べる一撃だった。
恭介によって振るわれた太刀はナギの腹に吸い込まれていき、肉を断ち、骨を砕く。
そのまま太刀は薙ぎ払われ、血が辺りに飛び散る。

「……っ……」

二人の間にあった和やかな空気が霧散し、今や血生臭い地獄のように成り果ててしまった。
恭介は無言でデイバッグからメモ用紙を取り出し、血で濡れた太刀を拭く。
その無表情に淡々と作業を行う恭介の姿は殺人人形のようだ。

「う――あ、ああ……」

数瞬遅れて呻き声が辺りに響いた。
太刀による一撃が浅かったのだろうか、ナギはまだ生きていた。
最も、声に出せないくらい痛いのか、ビクビク震えるだけでナギの口からは呻き声しかでない。
玉のような汗がナギの顔を伝う。鮮やかな金髪は腹からの出血で染まり赤と金が混ざり、
とある快楽殺人者である奇術師が見れば美しい、と称したであろう。

「い、――い。い、ぁ……た、い」

唸り声をあげながら悶え苦しむナギに依然と涼しい顔をする恭介。
両者の状態は歴然であり、ナギの死はもはや避けられない。
恭介は太刀を抜き今度こそナギの息の根を止めようと動く。

「止めだ……」

そして恭介がナギの前に立ち、太刀がナギの首にめがけて振り下ろされる……!

「っ!」

いや、振り下ろされなかった。何かを予測したのか恭介は後ろに跳び、後退する。
その恭介が跳んだ瞬間、小さい“ナニカ”が風を切りながら恭介がいた場所を切り裂いた。
そして、その小さい“ナニカ”が再び恭介の首筋に向かう。

「させねえ!」

恭介は首筋に迫る“ナニカ”を手に持った太刀で弾き落とすが“ナニカ”は止まらない。
“ナニカ”は軌道を立て直し、太刀を持った右腕に迫るものの、見切ったのか安々と躱す。
いや、躱したかに見えた。

「ッ!……これはやられたな……」

いつの間にか恭介の右腕には大きな裂傷が刻まれていた。
恭介は初めに疑問に思った。確かに躱したはず、と。
なのになぜ自分の腕に裂傷がと考えたが即座に気づく。



“ナニカは二つ重なっていたのだ”



それが答えである。
恭介の右腕に近づく直前に“ナニカ”が分離し二重に恭介に襲ったのである。

二つの“ナニカ”は戻る。
森の奥から現れた青年の手に。

青年の身なりは珍しいものだった。
赤の軍服に身を包み、青年の両眼からは太陽が燃えるような怒りを感じる。

「その子から離れろ……!」

シン・アスカ――戦争に巻き込まれて家族を失い、軍人になった青年である。



  ◇  ◇



時はシンがスタート地点に飛ばされた時間に遡る。

「畜生……畜生畜生畜生畜生畜生畜生ぉおぉおぉおおおお」!」

シンはこのゲームに大きな怒りを感じていた。
何の罪もない人をこんなゲームで弄ぶ主催者に。
そして、

「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

人を救うために軍人になったのに何もできなかった自分に。

「人一人救えなくて何が軍人だ!無様にも……程があるッ!!」

力があったはずなのに何もできない自分。助けようと動こうとしなかった自分。
涙を流しシンは嘆いた。

「まだだ……まだこの島には助けを求めている人がいるんだ。こんな戦いとは無縁の人の命が。
俺がここで悔やんでてどうする、他の奴等より戦いに慣れている俺が!
 一人でも多く救って、元の平和な日常に返してやるんだ!」

自分に救える限り、人を救おう、と。

「俺みたいに“血”で汚れている奴はいい、でもそんなのとは無縁の命はなくさせない!」

例え自分の命をかけてでも人を護ろう、と。

「そうだろ……ステラ」

かつてシンが救えなかった、愛していた存在、“ステラ・ルーシェ”を思い浮かべながら シンは誓った。
そしてシンは感傷にふけるのを止め、デイバックの中から名簿を取り出す。

「俺以外には……誰もいないか。レイがいれば心強かったんだけどな。
 仕方ないか、名簿には書かれてないんだ。俺一人しか……ここにはいない」

シンは乱暴に名簿の冊子を閉じデイバッグの中に投げ捨てる。
次に自分に何が支給品として配られたかをチェックする。
いくら軍人とはいえ丸腰では心許ない。せめてナイフぐらいは入っていて欲しいとシンは願った。

「これは……」

最初にデイバックの中から出てきてシンの手に握られているのは六角形の金属、核鉄。
使用者の本能に反応して武器へと変える超常の産物。
武器としては当たりの部類に入る。

「モーターギア……自由自在に操れるチャクラムか。それなりに使えそうだな」

シンはモーターギアの核鉄をとりあえずしまい他には何かないかチェックする。

「銃は、ないか」

他にめぼしい物はなかったのか、デイバッグの中身を漁るのを止め、核鉄だけを出して腰のベルトに捻じ込む。
さてこれからどこへ向かうかと考えていたところにシンの耳に女の子の声が聞こえた。

「誰かの声が聞こえる。行ってみるか」

シンは耳を澄まし、声の震源地の方向へ向かう。
向かった先で見たものは。
恭介がナギを斬りつけた光景だった。

「……!武装錬金!」

シンの言葉を受けて核鉄が二つのチャクラム――モーターギアに変わる。
そしてモーターギアを“二枚重ね”にして射出する。

――明らかにあの男は乗っている。シンは即座に恭介の黒い情念に気づいた。

シンの“二枚重ね”の小細工の結果、恭介は一度目は躱すが二度目は躱せなかった。
直前で二つに分けてモーターギアを動かしたためである。

「その子から離れろ……!」

シンは警告として一度だけ言葉を恭介にかけるが、恭介に降参の気配はない。むしろ徹底抗戦する構えにも見える。

「二度は言わないッ!」

シンは手に持ったモーターギアを飛ばす。
二つのモーターギアが空中を縦横無尽に翔け、恭介を斬り殺そうと迫る。

「同じ手は……通用しねえ!」

恭介は右から勢いよく迫るチャクラムを太刀で弾き、正面から来るのはしゃがんで躱す。
そして勢いよく立ち上がりシンに迫る。

「死になぁ!」
「そんな程度で!俺を殺せると思うなぁああああ!」

シンは片方のモーターギアを高速で手に戻し恭介の太刀による一撃を受ける。
そして、一方のモーターギアを恭介の背後から飛ばす。

「これで!」

シンは背後からの攻撃は躱せない、そのまま恭介の背中に突き刺さると考えていた。
だが恭介は予測していたのか身体を90度回転させながらシンの背後に回り込む。

「このままだとお前が受けることになるぜ!」
「ッ!」

シンは直前まで迫ったチャクラムを横に跳ぶことで躱し、恭介もシンと反対側に跳ぶことでチャクラムを避ける。
再び、シンは両手にチャクラムを身につけて恭介に迫る。
恭介も手に持った太刀で応戦する。
キンキンキンと連続した金属音が森に鳴り響く。

「大人しく、倒れろッ!」

シンの下段からすくい上げるようなパンチを恭介は太刀を斜めに構えることで受け流す。
シンの拳を流した勢いで恭介は太刀でシンの額に一直線で突きを放つ。

「モーターギア!」
「またかよっ!厄介な武器だな、おい!」

シンは両手のモーターギアを外し、迫る太刀にぶつからせる。
それによって太刀の軌道がずれ、シンは間一髪で太刀による一撃を躱す。

再び金属音が鳴り響く。何分続いただろうか、それとも何秒?それはもはや当人たちも分からない。
命をかけた戦いにそんなのを気にする余裕などない。

「どうした、勢いがなくなってきてるぞ!」
「はっ、お前の方こそ!そんな程度で俺を殺れると思うなッ!」

恭介の息が上がってきた。
一方のシンはまだまだ余裕だと言わんばかりに容赦なく恭介の隙を攻め立てる。
恭介はただの学生だ。
軍人であるシンとは地力と格が違う。
段々と、恭介の身体には裂傷が生まれ、動きも鈍くなっていく。
時に弾き、時に受け、時に流す。それもおろそかになりつつある。

「これで、終いにしようか」

シンは後ろに下がり、少し距離をとる。
そこからロケットのように加速しながら恭介に迫る。
だが、恭介に慌てた様子はない。むしろ、余裕にも見える。
その自信は何か。その自信の出所はすぐにわかった。

「かかったな」

ニヤリ、と恭介は笑った。シンは不可解な表情をするがもう遅い。
シンは大きな木の幹につっかかりドテンと音を立てながら転んでしまった。
恭介の狙いはシンをここにおびき寄せることだった。
疲れた振りをして、シンを油断させる。そして、木の幹が多いこの場所にうまく誘導させ、転ばせる。
結局はシンの油断が隙となり、木の幹に引っ掛かり転んでしまうハメになったのである。

「終わるのはお前だよ」

恭介は今までその力をどこに隠していたんだと言いたいぐらいに俊敏にシンに迫り太刀を振り上げる!

(モーターギア!駄目だ!転んだときに落としてしまった。操るよりあいつの刀が俺を裂く方が早い!
 俺は終わるのか?こんな所で?)
ここからだよ!

考えても考えてもこの窮地を抜ける方法は思い付かない。
シンはそれでも最期の一瞬まで考える。生き抜くための手段を。
でも思い付かない。完全に手詰まりだった。

(畜生!まだだ!まだ!)

刃がシンの頭上に迫る。シンは思わず目を閉じ、これから自分の身に起こるスプラッタな惨劇から目を背ける。
奇跡でも起こらない限りシンは死ぬ。



そう。



“奇跡でも起こらない限り”



トスッ。
何かが刺さる音がシンの耳に入った。
そして、何時までも太刀による斬撃がこないことを訝しみ、目を開けると。

「がっ!っゥう!」
「外れた、か」

恭介が肩を抑えて呻き、ナギが後ろで不敵に笑っていた。
シンにとっては驚きである。ナギはもう死んでいると思っていたからだ。

「んだよ……!それはっ!」
「ス、ペツナ、ズナ、イフ。刃を飛ばす事ができる代物ら、しいな」

ナギが途切れ途切れに言葉を発する。
恭介は舌打ちをして肩に刺さったナイフの刃を無理やり取り出す。

「分が悪い。ここは退散させてもらうぜ!」

恭介は捨て台詞を言い残し、この場からの退却をしようとシン達と反対の方向へ走り出す。

「待て!」
「待てと言われて待つ奴がいるか!それよりいいのか?
 あいつ、相当弱ってるぜ!」
「くそ……!」

シンは恭介を追いたいが追えない。ナギがいるためだ。
このまま、ナギを放っておけば確実に死んでしまう。
故に、シンは恭介を追うのを止め、ナギの方へ走る。

「おい、傷口を見せろ!応急手当をするから、早く!」

シンがそう言いながらナギの元へ駆けるがすでに遅し。
ナギは立っていることが辛いのかその場にバタンと倒れてしまった。

「まだだ!血を止めればまだ!」
「もう……いい。わ、たしは、手遅れだ」
「そんなこと言うな!俺は……今まで人を救えなかった!!
マユの時も!!!ステラの時も!!!!だから今度こそ助けるんだ!
諦めるな!」

涙をぼろぼろと流し急いでナギの出血を止めようとするシン。
そんなシンにナギは優しく微笑み、シンの震えた手をしっかりとした強さで握る。

「だから、気に、する、な。私はゴホッゴホッ……
お、まえが助、けに来て、くれた、だ、け、でもう満、足だ。
後な、お、願い、が、ある。聞い、て、くれ、ない、か」
「何でも聞くから!何でも!!だから死ぬなよ……」

泣きじゃくるシンをあやし、包み込むように、ナギは喋る。

「名前は……」
「えっ?」
「お前、の名前だ」
「シン……シン・アスカだ」
「そうかシン……伝言を、つた、え、て欲、しい。わ、たし、の名、前は、三千院ナギっ……
マリ、アに、は、いままで……ありがとう、そして御免って」
「そんなの、自分で伝えてくれよっ!なぁ!」
「ハヤテには――――」
「わかったから、必ず、必ず伝えるから!だから!」
「ぁぁ――シンみたいないい奴だったら……安心して、任せら、れる」

ナギの目が閉じていく。死がナギを包み込んでいく。

「ありがとう――――シン」

ゴトリとナギの手が地に落ち、命が消えた。
ナギの目はもう二度と開かない。ナギの口からは何も言葉を発さない。

「ああ、ぁ、ああ、ああああああああああああああああああ!!!!!
 ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

そして一人の男の慟哭が森に響いた。




【三千院ナギ@ハヤテのごとく!死亡】




【F-1南部/一日目・深夜】
【シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY】
【状態】疲労(中)、精神疲労(大)
【装備】モーターギア@武装錬金
【持ち物】支給品一式、不明支給品1~2(重火器はない)
【思考】
0.――――――
1.自分の命をかけてでも人を救う。
2.ハヤテとマリアに伝言を伝える。
※参戦時期は少なくともアスラン撃墜後です。
※近くにナギのデイバッグ、遺体、不明支給品0~2、スペツナズナイフの柄が落ちています。

【モーターギア@武装錬金】
中村剛太の武装錬金。2つで1セットのチャクラム。
特性は生体電流を充電し、速度・角度・回転数を事前にインプットしての射出。
攻撃力は全武装錬金中でも最低クラスだが、創造主の使用法一つで戦術の幅は大きく広がる。
またチャクラムを装着することも出来、両拳に装着することでのナックルダスターモード、
足首に装着することでのスカイウォーカーモード、
足裏に装着することでのマリンダイバーモードなどに応用することが出来る。
制限により切れ味が幾らか鈍くなっている。

【スペツナズナイフ】
見た目は円筒形をしており、グリップ部とシース部に分けられる。
シースは金属製で、装着したままでも警棒のように使用できる。
グリップ内部に30cmほどの強力なスプリングを備えており、鍔の位置に配置されたレバーを押すことで刀身を前方に射出することができる。有効射程は10m前後。
周囲に気付かれぬよう離れた標的を倒したり、近接戦闘時の奇襲として有効な武器と考えられている。



  ◇  ◇



俺は走る。あいつらから逃げるために。
あの状況であの軍服の奴と戦うのは無謀にも等しい。
それに、手痛い反撃をくらって戦闘の続行が厳しいのもあるがな。

「はぁ……まさかこんな序盤からしくっちまうとはな。情けねえ」

止血はしたもののナイフが刺さっていた肩は焼けるように痛い。
あのチャクラムみたいな物に傷つけられた傷も決して浅くはない。
右腕の裂傷は特にひどい。あの軍服野郎、今度会ったらただじゃおかねえ。

「無様だな、たがが一回戦闘があっただけでここまでボロボロになるとはな」

軍服野郎が強かったのもあるが、それにしてもあの時の自分は油断があったはずだ。
甘さがあったはずだ!
だから最初のナギを斬りつけた時も一撃で殺れなかった。
軍服野郎を追い詰めた時も早くナギに止めを刺さなかったからやられたようなものだ。
こんなんじゃ……理樹を護れない。

「鈴……お前はもう逝っちまったもんな」

あの開幕式での出来事は思い出したくもない。
自分の妹が殺される光景なんて!

「でも、まだ理樹は生きている……」

護らねえと。あいつはまだ弱い。鈴の死に耐えれるほど強くはない。
今頃はどこかの施設の隅で怯えているに違いない。

「皆、殺して、理樹だけは生かすんだ!」

真人も、謙吾も、三枝も。二木も。
誰が立ち塞がろうと全員叩き潰すだけだ。
それに。

本当に生きて帰れるのは今となっては理樹だけなんだ。
鈴は死んだんだ!もう……死んだんだ。
それに俺らが優勝したって意味がない。
俺らはもう死んでいるようなもんだから。

「とりあえず、どっか安心して休めるところに行かねえとな。こんな状態で戦えるわけねえよ」

どこで身体を休めようかと考えていた時、俺の視界に何かが映った。

「人影……」

誰だ?
あれは……

「理樹!」

あの黒髪。そして俺と同じ制服。
理樹だ!

よかった、よかった、よかった!
こんな早くに会えて!今の俺はボロボロだけどそんなのどうでもいい。
理樹が無事だった、それだけで俺は十分だ。
痛い身体を無視して俺は走り出す。

「おい、理樹。無事でよかっ――」

あれ何で喋れないんだ?腹が痛いんだ?
どうして――――



俺は理樹に銃で撃たれたんだ?



パンっと軽い音が耳に入る。
ああ、俺撃たれてるんだなぁと人事のように思った。
俺は遅かったのか。理樹はもう狂ってしまったんだ、鈴が死んだことで。

畜生、理樹を護れないで。
兄貴分として失格だな。

謙吾。真人。三枝。
理樹を止めてやってくれ、後は頼むぞ。
本来は優しい奴なんだ。きっと、わかってくれるはずだ。

理樹。
人を殺すのはこれっきりにしてくれ。これ以上自分を傷つけるのはやめるんだ。
人殺しを許容した俺が言える立場じゃねえけどな。ははっ、言葉にしねえとわかんねえか。
最後の力を振り絞って。
「り……き……や…………め」

パン。



  ◇  ◇



あはは、まずは一人殺した。
恭介の“ニセモノ”の始末。
そういえば、郷田の言ってたことを思い出して名簿を見たけどそこには僕以外の名前が五つあった。
恭介に真人、謙吾、葉留佳さん。風紀委員長である二木さんもなぜかいた。

まぁ僕のやることは変わらない。僕の邪魔をする人は全員殺すだけ。
それに“ニセモノ”の始末もしなくちゃ。
あの時、虚構世界を脱出しその後、僕はナルコレプシーを発症した。
病院で目覚めた後、僕は恭介達がバスの爆発により炎に包まれて死んだことを朧気ながらに覚えている。

“あの爆発で恭介達はもう死んだ”

ここにいるのは“ニセモノ”だ。きっとそうだ、そうに決まっている。
だって“ホンモノ”は死んだんだ、生き返るなんてありえないじゃないか。
だから別に殺してもいい。どうとも思わない。
むしろその“ニセモノ”が存在していることが腹立たしい。
“ホンモノ”が死んだのに何で生きてるの?ってね。

優勝を目指すのと同時に“ニセモノ”の始末もしなくちゃいけない。

待ってなよ、郷田真弓。この銃でぐちゃぐちゃのぎたぎたにしてあげる。
楽しみだなぁ、どんな顔で苦しんでくれんだろうなぁ。
きっと銃で撃たれたら悶え苦しんだ声で泣いて哀願するんだろう。

殺さないでくださいって。

でもだめだめ!許されないことだよね、それは。
鈴のうけた痛みを何十倍にして返してやるんだから!

ふふっ、ははは。

「ははははっははっはあっははっはっははっっはあはははははは!」




【棗恭介@リトルバスターズ!死亡】




【G-1/1日目・深夜】
【直枝理樹@リトルバスターズ!】
[状態]:健康 、激しい怒りによる自制心と判断力の欠如、狂気の片鱗
[装備]:冥加@永遠のアセリア、S&W M60 チーフスペシャル(2/5)
[道具]:支給品一式、不明支給品0~4、予備弾50
[思考・状況]
基本:郷田真弓を殺す
1 郷田真弓を殺す。そのために優勝する
2 仇をとったら鈴が一人で悲しまないように死ぬ。
3“ニセモノ”の始末もする
※Refrain、虚構世界から一回目の脱出後からの参戦。
※名簿のリトルバスターズメンバーは全て“ニセモノ”と認識しています。
※近くに棗恭介の遺体が放置されています。

【冥加@永遠のアセリア】
永遠神剣の位は第六位。刀型の永遠神剣。

【S&W M60 チーフスペシャル】
ステンレス製のリボルバー。高威力の.357マグナム弾を使用できる。



BACK:Noir ou blanc 時系列順 NEXT:稟の燈と歌うゴスロリ女
BACK:Noir ou blanc 投下順 NEXT:稟の燈と歌うゴスロリ女
GAME START シン・アスカ NEXT:
GAME START 三千院ナギ GAME OVER
GAME START 棗恭介 GAME OVER
BACK:独り 直枝理樹 NEXT:

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最終更新:2010年04月11日 19:44
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