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『友達』

【全自動卵割り機】は殺し合いが始まってからずっと、何をするでもなくただじっと動かずにいた。
支給された荷物を調べるでもなく、誰かを探すでもなく、恐怖に怯えるでもなく、何も考えずに。

喜んで全自動卵割り機を使ってくれていた波平は、殺し合いを始めるという暴挙を犯し。
優しい磯野家の面々も前の殺し合いで豹変してしまった。
そして、全自動卵割り機の唯一の友達であったタラちゃんは、殺し合いの中で命を落とした。

もう全自動卵割り機には頼れる人も大事な人も残ってはいない。
この広大な世界の中、一人きりで生きていくしかない。
だけどそんな事を簡単に受け入れられるほど全自動卵割り機の心は強くなかった。
初めての友達の喪失。
それは全自動卵割り機の心に大きな穴を開けた。
『タラチャン、僕はどうすればいいのかな』
タラちゃんが全自動卵割り機に生きて欲しいと願っていたなんてことは理解していた。
それでも、一人で生きていくというのは辛い事だった。
なまじ皆でいるという幸せを知っていたからこそ、孤独に耐えられそうに無かった。
『どうして僕もタラチャンと一緒に死ねなかったんだ』
段々と心がネガティブになっていき、全自動卵割り機は自身の頑丈な機械の体を呪うように呟く。
『どうしてタラチャンが死んだのに僕はまだ生きているんだろう』
やがてそんな事さえ思うようになり、自殺をする事を考え始めた時。

「そんな哀しい事言わないでよ!」

哀しそうな声が傍で聞こえた。
全自動卵割り機が声の方を見ると、栗色のポニーテール少女が顔を辛そうに歪めて立っていた。

「そんなの誰も望まないよ!そんな、自分のせいで友達が自殺するなんて望むわけが無いよ!」
少女プリシスは全自動卵割り機の自殺願望を聞き、
大切な友達の無人君が自分達を守る為に自爆したのを思い出す。
そして仲間のアシュトン・アンカースが、自分の為に殺し合いに乗った事も。
彼女のケースと全自動卵割り機のケースは違うかもしれない。
でも大切な人の為に間違いを犯そうとしている、という事には変わりが無い。
もし自分が死んだ時それに絶望した友達が自殺なんてしたら、
自分はきっと苦しみ、悲しみ、後悔する事だろう。
だからプリシスは止める。
全自動卵割り機にどんな悲劇があったのかは知らないけれど必死で止める。
『でも、僕はタラチャンを守れなかった。
 タラチャンは僕を友達と呼んでくれたのに、僕を守ろうとしてくれたのに』
「だったら尚更死ぬなんて駄目だって! 大切な人が死ぬ苦しみは分かってるんでしょ?
 あたしも友達が死んでとても辛かった……こんな気持ちを他の人に味合わせたら駄目だよ!」
どうしても無人君の最期を思い浮かべてしまうプリシスの目から涙が浮かんでくる。
『僕にはもう、僕の為に泣いてくれる人はいないから……。
 タラチャンは死んじゃったし、波平さんは僕たちを殺そうとしている』
全自動卵割り機を大事にしてくれる人達は確かにいた。
でも変わってしまった今となっては、
ただの道具の全自動卵割り機の為に泣いてくれるかは分からない。
「あたしが泣くよ! だからもう死ぬなんて言わないでよ……」
『……なんで君は今あったばかりの僕なんかの為にそこまでしてくれるの?』
それは当然の疑問だった。
殺し合いという状況の中、見ず知らずの人にそんな事を行ってもらえるなんて思わなかった。

「……死んじゃったあたしの友達とさ、似てたんだ」
しんみりとした表情で、それでいて自慢げにプリシスは無人君の話をしていった。
「ずっと昔からの友達でさ、あたし達を守る為に自爆しちゃったんだけど。
 もし、あたしが先に死んでたら、無人君も自殺しちゃったのかなって……。
 そんなのあたしはぜーったいに嫌だからさ、そう思ったら、さ」
全自動卵割り機も、もし自分がタラちゃんより先に死んでいたらと考える。
タラちゃんが自分を追って自殺をするなんて耐えられないだろう。
自分はタラちゃんにそんな責め苦を味あわせようとしていたんだ。

それから二人は自分達の知り合いや境遇などを話し合った。
殺し合いに巻き込まれる前の事や、以前の殺し合いの事も。

『そう、プリシスも仲間が殺し合いに乗ってるんだ』
「全自動卵割り機も家族が殺し合いに乗ってるだけじゃなくて開いた人まで家族だったなんて」

二人はお互いの知り合いの暴挙を止めようと誓った。

『ありがとう、プリシスのお陰で生きる気力が出てきたよ』
「気にしないでよ、だってあたしたちもう友達じゃん!」
『とも……だち…………』
「そう、友達。一緒にいた時間なんて関係ないよ」
プリシスの言葉に全自動卵割り機は声を震わせる。
「あちゃ……やっぱ出会ってすぐだし、ちょっと図々しかったかな」
『ううん、そんな事無いよ。凄く嬉しかったよ!』

友達になるのに時間も性別も年齢も種族も関係ない。
ただお互いが友達だと認めたらそれは友達なのだ。
例え殺し合いの最中にだって友情は育める。
だが、そんな友情を壊すような殺人鬼は確実に存在する。
そんな事を知らないかのように二人は新たな友情を喜び合った。


【一日目/深夜/神奈川@テラカオスバトルロワイアル】
【プリシス・F・ノイマン@AAAキャラ・バトルロワイアル】
[時期]:121話『夢は終わらない(ただし悪夢)』でクレス達と揉めた後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:首輪解除して主催撃破
1:クロード、ボーマン、アシュトンを止める

【全自動卵割り機@波平さんがバトルロワイヤルを主催するスレ】
[時期]:9話『孤独の円盤』でフグ田タラオが殺された後
[状態]:健康
[所持]:不明@不明
[方針]基本方針:プリシスについていく



★パロロワ一口メモ★
【全自動卵割り機】

波平ロワのカオスに拍車をかけている一員。
さりげなく名簿に混じってて吹いたと思ったら、普通に本編に登場する。
しかも普通に喋ってるし、普通に面白い。
さあ、みんなも波平ロワに興味が出てきたら、短いので読んでみよう!



004:今日のディアボロ 投下順 006:人手が欲しい
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最終更新:2010年04月12日 22:43
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