「現在の死者を連絡します。相田ケンスケ君、朝倉涼子さん、菊川雪之さん、珠洲城遥さん…。次に禁止エリアの指定です…」
《高槻やよい》
震える中、私は携帯のボタンを押していた。自分たちの荷物は持っていくことが可能であったことによる幸い。
私は外部との連絡を取るために家に電話をかけていた。
必死に、みんなで助け合おうと叫んでいたあの子は銃弾の前に倒れた。
私は仲間を探して、もう少しで辿り着きそうだったのに…。
今はこの島の村のような建物の中に身を潜めている。
同じ学校の友達である春香やオデコサンシャイン伊織たちは大丈夫だろうか。
死傷者リストに名前がのっていないということは無事なんだろうけど。それでも心配だ。
携帯電話のボタンを押し終える。
誰でもいい、繋がって……。
カラレス『携帯電話は使えないといったはずだぞ?』
電話を切り、私は携帯電話を叩き潰した。
何度も、何度も…。テーブルの下に隠れている私は息を切らして、窓の外を眺めながら体育すわりをして膝を抱えていた。
1人は怖かった…。
寂しく、そして恐怖に押し潰されそうになる。
今はただここで息を潜めて隠れていることしか出来ない。
誰か知り合いがいれば…。知り合いが…きてくれれば。
誰かが…やってくる。
足音、その足音に私は不安と期待の両方を抱えた。
机の下にいる私の前に見える白い足…どうやら女の子のようだ。
春香…ではなさそうだけど。このまま通り過ぎてしまえば…それでいい。それで…。
???「あぁ…助かった」
机の下を覗き込む女の子。私は心臓が止まりそうになった。
春香でもオデコでもない。
白い制服をきた少し白色の髪をして、両端をとめている小柄な女の子。
その子はその場に座りこんで涙を流し始める。
???「ようやっと人に出会えました……今まで1人で…」
やよい「そう…なの?私も1人で…」
その子は涙を手で拭うと、少しだけ笑顔を見せた。
咲夜「でもよかったです。
同い年くらいの子が見つかって……。私、神山咲夜。あなたは?」
やよい「私は…高槻やよい」
私はまだ彼女を信用できていないではいたが、それでも少しだけ心が落ち着いた。
同じ年の子で、そして同じようにこのゲームに巻き込まれそうに、そして動揺している子がいることに。
咲夜「やよいさん、やよいさんは…ゲームに乗っている人じゃないですよね?」
やよい「違うよ!私はこんなのに乗りたくない!!」
咲夜「よかった!もしかしたら私だけかと思ったんです。もうみんなやる気満々で、もうこの戦いを止めることができないのかもしれないって」
同じ気持ち。
確かに、さっきの子は失敗してしまった。
でも、それはやり方が悪かっただけで、ひとりひとりにしっかりと伝えていけば決して無駄なことじゃないのかもしれない。
だって、今も私と同じように思ってくれる子がいるから。
やよい「そんなことない!私の友達、春香だって…。
こんなこと絶対に間違っているって思うし、今もきっと説得しているはずだもん」
咲夜「そうなんですか…。それじゃー1人ずつ、言いに行きましょう?1人じゃ心細いですけど、2人だったら…」
やよい「…うん!なんとかなるかもしれない」
春香…きっと春香は怯えている。
だけど、私はそんな春香のこと必死に引っ張っていたよね。
今度も私が春香のこと迎えに行くよ。
1人で泣きじゃくっている春香に手を差し伸べて、一緒にこんなところから脱出しちゃうんだからさ。
咲夜「やよいさん、こんなところにいないで一緒に、行きましょう?」
やよい「うん…そうだね、こんなところにいても、始まらない」
私は机の下から出て、陽の光を浴びながら咲夜さんを見る。
咲夜さんは急に私を抱きしめてきた。
私は驚いて彼女を支える。咲夜さんは、私の胸の中で嗚咽を漏らしていた。
咲夜「ごめんなさい、私…とっても、とっても怖くて……」
やよい「なにいってるの。私だって……最初、咲夜さんに殺されちゃうかもって思ったんだもん。大丈夫!!」
咲夜「そうだったんですか。それじゃーよかった」
やよい「え?」
咲夜「私、元々あなたを殺すつもりでしたから」
そのときにはもう遅かった。
私の首にあてられていた鎌が私の頚動脈を切っていた。
私の首の横から何かが噴出していることを感じる。
息も出来ない状況のまま、私はその場に崩れる。
みんながみんな戦いに、このゲームに溺れてしまったのだろうか?
生きるため?生きるためには人の命をこんな簡単に奪えるのか。
私には向いていない。
私はただアイドルとして着ぐるみを着て、ラジオをやって…
大切な友人である春香と一緒にお茶したりしていることのほうが、よっぽどいい。
春香…頑張れ。
あんたのこと見てあげられなかったけど…こんなところで負けちゃダメだからね。
【高槻やよい死亡】
《神山咲夜》
咲夜「やよいさんったら馬鹿みたいにお人好しですね」
血に染まった鎌をタオルで拭きながら濃い赤の血の海に埋没するやよいさんを眺めていた。
ゲームはゲーム、負けたらそこでおしまい。
私は勝ち残る。
そしてその勝利を、私の愛してやまない奏先輩に捧げる。
そのためにはこんなところで、負けてられない。
まだまだ時間も、殺さなくてはいけない人間もたくさんいる。
急がないと……。私はやよいさんの荷物を持ってその場から離れていく。
《天海春香》
春香「あ…」
携帯のストラップ。
やよいちゃんと同じ日に買ったお揃いのものが切れて落ちた。
私は、それを拾うと強く握り締める。
何も考えない。考えたくなかった。
伊織「なにやってるのよ、バカリボン!置いてくわよ!」
春香「あ、うん…」
偶然だった、私の前が伊織ちゃんで、すぐに名前を大声で呼んだらやってきてくれた。
こうして2人で一緒にいれば少しは気が落ち着くし、それに…なんとなく心強い。
伊織「ったく、こんな訳分からないことで死んでちゃ…やってらんないわ」
春香「そうだよね…」
伊織「とっととあの着ぐるみ女とか真とか雪歩みつけて、こんなところ脱出するわよ!」
春香「うん!」
伊織ちゃんの言葉は、まるで自分に喝を入れているよう。
だから私も伊織ちゃんの言葉から元気をもらって…そして、みんなを見つけ出すんだ。
だからやよいちゃんも、待っていてね。すぐに迎えに行くから。
伊織「誰!?」
伊織ちゃんがバックにはいっていた武器…銃を草むらのほうに向けて怒鳴る。
私は伊織ちゃんの後ろでその方角を見つめた。両手を挙げてでてくる人影。
???「待ってくれ。僕は敵対する気はないよ」
男の人…その人はこちらにやってくる。
伊織「そこで止まりなさい」
足を止める男の人。
???「どうしてくれたら信じてもらえるかな?」
男の人は少し困惑した表情で聞いてくる。
伊織ちゃんはそんな相手にもまったく容赦しないようだ。
私は少し失礼なんじゃないかなと思ったけど…今は任せるしかない。
伊織「あんたの対応次第ね」
???「わかったよ。君達に従う」
伊織「荷物をこっちに投げなさい」
???「あぁ」
その男の人は荷物をこっちに投げる。
見た感じは完全に丸腰の用だけど…。
???「これでも、信じてもらえないかな?」
伊織「…いいわ。あんた名前は」
伊織ちゃんは銃をおろして聞く。
月 「夜神月」
そう告げた男の人…月さんは上げていた手を下ろして私たちを見つめる。
月 「僕は…ここを脱出するために、みんなを集めている」
突然、そんなことを告げる月さん。
勿論、驚いたけど…でも、そんなことが出来るとは思えない。
この首輪が私たちを拘束しているから。
伊織「そんなこと出来るわけ無いでしょう?」
月 「…僕にならできる。それともあなた達は、このゲームに乗るんですか?」
私は伊織ちゃんを見た。
誰もこんなゲームなんか望まない。こんな残酷なゲームなんか…。
伊織ちゃんはそれでもまだ何か言いたげな表情だ。
春香「もし、月さんに何か秘策があるならば協力します」
伊織「春香!あんた!」
春香「だって、このままゲームが続いたとして、雪歩ちゃんたちと戦うことなんかになったら…」
伊織「そんなことさせないわよ!」
春香「どうやって?」
伊織「それは……」
私は月さんを見つめ
春香「もし、何か作戦があるなら教えてください。私も協力します」
伊織「…もうバカリボン。私も、参加してやるわ。だけど…もし何かしようとしたら」
月 「えぇ。わかっていますよ。それじゃー改めてよろしくお願いします…えーっと」
春香「はい!私、天海春香です!よろしくお願いします」
伊織「水瀬伊織…よろしくね」
仲間が増えることは心強い。
私は月さんの手を握ってしっかりと握手する。
ゲームは始まってしまったけれど、それに対抗しようとする人はまだいるっていうことを私は知った。当たり前だ。
こんなことを続けようとしている人が全員なわけじゃない。
可能性がある限り私は立ち向かう。
今までそうしてきたように…これからも、そうしていく。
神山咲夜
【健康状態】良好
【精神状態】良好
【装備】
鎌 ドイツ製短機関銃MP5(やよいから強奪) 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし
天海春香
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】ハンドガン 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし
水瀬伊織
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】M3サブマシンガン 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】特になし
夜神月
【健康状態】良好
【精神状態】普通
【装備】ピコピコハンマー 地図 パン 水 コンパス 時計
【特殊能力】デスノートの切れ端
最終更新:2009年04月18日 23:03