おれはジャイアンさまだ! ◆yVXuy0xeGI



地図上ではF-6、遊園地ANGEL LANDにて。

「ふぅ...ちくしょう、ここはどこだってんだ...?」
近所ではガキ大将として恐れられている少年、剛田武(通称:ジャイアン)はそう呟いた。

突然変な奴に殺し合いを宣言され、一人の女の子が殺され、気が付いたらここに飛ばされた。

「なんでこの俺様が殺し合いなんてのに参加しなくちゃいけねぇんだ!あのアレなんとかって野郎、
今度あったらギッタンギッタンにしてやる!」

口ではそういったものの、普段の彼を知るものならば意外に思うほど弱気な声だった。
喧嘩は負けなし、町内では好き放題していた怖いもの知らずの彼でもこの状況には流石に
怯え気味になっていた。

元々彼は平和な世界の住人である。スネ夫と一緒にのび太をからかい、近所の子供からおもちゃを
奪い、時にリサイタルを開いたり、母ちゃんに怒鳴られたり。
時に未来から来たロボット、ドラえもんの秘密道具が巻き起こす騒動に巻き込まれることもあった。
彼らの日常の中に、人の生き死には起こらなかった。
たまにドラえもんやのび太の影響で非日常的な冒険に巻き込まれることはあった。
その中で命に関わるような危険を冒したり、命を賭けて戦ったこともある。
だけど、それだって仲間たちや冒険で知り合った人たちが死ぬようなことはなく、常に幸せな結末を
迎えられた。優しい日常に戻ることができた。

だからこそ、あの場所で女の子が首輪を爆破され命を落とす光景は彼の心に衝撃を与えた。
普段から暴力を振るうっている彼だが、その比ではない。
これまでの冒険があったからこそわかっていた。あの化け物は、これまでに戦ってきた相手と同じで、
自分ひとりでは到底勝ち目がないと。

それに、これまでの冒険では常に仲間が側にいた。いつも秘密道具で自分たちを助けてくれる
ドラえもんがいた。普段は弱虫だが、冒険のときになると人が変わったかのように頼もしくなる
のび太がいた。いつも優しいしずかちゃんがいた。自分の子分的存在で頭の回るスネ夫がいた。
だからこそ乗り越えることができた。

しかし今、彼の側に仲間たちの姿はない。ドラえもんやのび太、それに出木杉も参加しているようだが、
どこにいるかわからない。
故に、心の奥底で自分は助からないんじゃないかと思い始めてきた。

ジャイアンは頭を振る。弱気になってはいけないと。自分はガキ大将なんだ。
大丈夫、これまでも乗り越えられた。今度だってドラえもんやのび太がいれば乗り越えられる。

「そ、そうだ。あんな奴に負ける訳がねぇ!俺様としたことが、つい弱気になっちまったぜ」

とにかく今はドラえもんたちを探さないと。
その前に気分転換がしたい。
そう考え、ジャイアンはデイバッグになにかいいものは入ってないか探し始めた。

すると中からカラオケマシンが出てきた。

「お、こりゃいいや。一発、歌でも歌えば不安も吹き飛ぶだろ!」

そういって、ジャイアンは自分の自慢の曲をセットした。
すると懐かしのあの曲が流れだした。

てーてて♪ててててててーて♪てーってててててー♪
てーてて♪ててててててーて♪てって♪ててててててててーて♪

「おっれ~はジャイア~ン♪ガーキだいしょ~う♪
 て~んかむ~てきのお~とこっだぜ~♪
 の~び太スネ夫は目じゃないよ♪
 ケ~ンカスポ~ツ~♪
 ドンと来い~♪
 歌も~~~~~~♪う~まいぜ♪
 ま~かし~と~け~~♪」

ジャイアンはそのまましばらく気持ちよさそうに歌い続けた。

さて、言わずもかな、彼のその魔界のセイレーンすら打ち倒した大きな歌声は遊園地のみならず回りにも響いていた。
果たして彼の歌を聞いてしまった不幸な参加者はいるのか?
彼の歌声が誰かに届き、ドラマを作り上げるのか?はたまた何事もなく無事に終わるのか?

次回へ続く(かもしれない)

【F-6 ANGEL LAND/深夜】
【剛田 武@ドラえもん】
[状態]健康、気分高揚
[装備]なし
[道具]カラオケキング(マイク付き)@ドラえもん、基本支給品一式、
ランダム支給品×0~2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いから脱出
1:しばらく歌い続ける
2:仲間たちを探す
※F-6周辺にジャイアンの歌声が響き渡っています

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剛田武 :[[]]

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最終更新:2019年05月25日 00:32