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双月の女神 序章1 - (2007/08/22 (水) 01:21:45) の1つ前との変更点
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朝霧が深い森の中、一人の女性が道を行く。
ここはかつて女神が存在した、その世界では唯一の大陸、『テリウス』の
一国「デイン」国境付近に位置する森である。
(デインの地もこれで見納めね・・・。)
肩を覆う程のまっすぐで絹糸のような銀髪の女性は、別れを告げるであろう
故郷を思う。
女性の名はミカヤ。50年前、この地を救った英雄の一人、『暁の巫女』。
先代のデイン王国女王であった。
ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~
第一部 『ゼロの夜明け』
序章 『召喚(ミカヤの章)』
50年の月日を得ても衰えぬその美貌。
それは彼女の命の長さを示すもの。
神に近い姿で進化した知の民『ベオク』、獣の姿から進化した
力の民『ラグズ』の間に生まれた子供は長寿であり、生来から強い「力」
を持つ。
彼女の祖は古き時代に世界を救った英雄、ベオクの女剣士オルティナと鷺の
民エルラン。
故に女神の声を聞き、その身に女神の半身を映した。
もう一つの女神の半身がヒトの争いに怒り、裁きを持って滅ぼさんと
した時、『勇者』とその多くの仲間と共に立ち向かった。
激しくも悲しい、その戦いに打ち勝ち、女神が治める時代に終わりを
告げた。
その後、荒廃した故国の復興を長い年月をかけ、成し遂げるも王夫サザが
病に倒れ、息を引き取る。
(あの頃を共に生きた人達ももう、ほとんど残っていない。)
そして現在、任せられる者に王位を譲り、デインの地を後にしようとして
いた。
共に戦場を駆けた、数冊の魔道書と二本の杖。右手に持つ聖杖
『マトローナ』と共に。
その時だった。
「え!?」
ミカヤの眼前に、銀色に磨きぬかれた鏡が現れたのは。
不可思議な魔力を放つそれは、まるで扉のようでもあった。
そこからは、「声」が聞こえる。
「使い魔・・・。」
その言葉に引っかかるものはあった。しかし、『鏡』から聞こえてくるであろう
少女らしき声は、切々と訴えている。
「・・・。」
ミカヤは杖を『鏡』に向けると、此方側から魔力を送り、「声」を
『鏡』の向こうへ届けるように語り掛ける。
「私に呼びかける者へ、問います。」
その「声」が届いたのか、『鏡』の向こうの「誰か」が戸惑うような反応
が返ってくる。
「私を呼び、望むものは何ですか?」
その「誰か」は暫し、沈黙する。そして、意を決したように此方に答えを
返す。
その答えにふと、慈愛のこもった微笑を浮かべた。
「そう。それが答えなのね。」
その答えは彼女の、満足できる答えだった。
「あなたの召致に応じましょう。」
そう宣言すると、ミカヤは鏡の前へと歩みを進め―――
瞬間、彼女は光に包まれた。
光が晴れ、目を開けると、眼前には草原が広がり、突き抜けるような青い空。
そして、桃色の艶を持つブロンドの少女が見えた。
自身に呼びかけたのは、彼女であると確信し、こう名乗った。
「私はミカヤ。貴女の呼びかけに応えた者。
貴女と共に在り、共に生きることを誓いましょう。」
それが、彼女達の出会いだった。
朝霧が深い森の中、一人の女性が道を行く。
ここはかつて女神が存在した、その世界では唯一の大陸、『テリウス』の一国「デイン」国境付近に位置する森である。
(デインの地もこれで見納めね・・・。)
肩を覆う程のまっすぐで絹糸のような銀髪の女性は、別れを告げるであろう
故郷を思う。
女性の名はミカヤ。
50年前、この地を救った英雄の一人、『暁の巫女』。
先代のデイン王国女王であった。
ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~
第一部 『ゼロの夜明け』
序章 『召喚(ミカヤの章)』
50年の月日を得ても衰えぬその美貌。
それは彼女の命の長さを示すもの。
神に近い姿で進化した知の民『ベオク』、獣の姿から進化した力の民『ラグズ』の間に生まれた子供は長寿であり、生来から強い「力」を持つ。
彼女の祖は古き時代に世界を救った英雄、ベオクの女剣士オルティナと鷺の民エルラン。
故に女神の声を聞き、その身に女神の半身を映した。
もう一つの女神の半身がヒトの争いに怒り、裁きを持って滅ぼさんとした時、『勇者』とその多くの仲間と共に立ち向かった。
激しくも悲しい、その戦いに打ち勝ち、女神が治める時代に終わりを告げた。
その後、荒廃した故国の復興を長い年月をかけ、成し遂げるも王夫サザが病に倒れ、息を引き取る。
(あの頃を共に生きた人達ももう、ほとんど残っていない。)
そして現在、任せられる者に王位を譲り、デインの地を後にしようとしていた。
共に戦場を駆けた、数冊の魔道書と二本の杖。右手に持つ聖杖『マトローナ』と共に。
その時だった。
「え!?」
ミカヤの眼前に、銀色に磨きぬかれた鏡が現れたのは。
不可思議な魔力を放つそれは、まるで扉のようでもあった。
そこからは、「声」が聞こえる。
「使い魔・・・。」
その言葉に引っかかるものはあった。
しかし、『鏡』から聞こえてくるのであろう少女らしき声は、切々と訴えている。
「・・・。」
ミカヤは杖を『鏡』に向けると、此方側から魔力を送り、「声」を『鏡』の向こうへ届けるように語り掛ける。
「私に呼びかける者へ、問います。」
その「声」が届いたのか、『鏡』の向こうの「誰か」が戸惑うような反応が返ってくる。
「私を呼び、望むものは何ですか?」
その「誰か」は暫し、沈黙する。そして、意を決したように此方に答えを返す。
その答えにふと、慈愛のこもった微笑を浮かべた。
「そう。それが答えなのね。」
その答えは彼女の、満足できる答えだった。
「あなたの召致に応じましょう。」
そう宣言すると、ミカヤは鏡の前へと歩みを進め―――
瞬間、彼女は光に包まれた。
光が晴れ、目を開けると、眼前には草原が広がり、突き抜けるような青い空。
そして、桃色の艶を持つブロンドの少女が見えた。
自身に呼びかけたのは、彼女であると確信し、こう名乗った。
「私はミカヤ。貴女の呼びかけに応えた者。
貴女と共に在り、共に生きることを誓いましょう。」
それが、彼女達の出会いだった。
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