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異世界BASARA-18 - (2008/02/28 (木) 23:24:57) の1つ前との変更点
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虚無の曜日。
この日は授業がなく、学院の生徒は思い思いの休日を満喫する日だ。
キュルケもまたその1人である。
「♪~、今日はどう過ごそうかしら♪」
口紅を塗りながらキュルケはこの日に何をしようか考えていた。
…ドドドドドドドドドドド
「キュルケ殿~~!!!!」
そんなご機嫌なキュルケの元に、使い魔の前田利家が勢いよく入ってきた。
「トシイエ、廊下を走っちゃダメって言っているでしょ。どうしたの?」
興奮気味の利家を落ち着かせ、何事かと尋ねる。
「キュルケ殿、それがし町に行きたい!」
――異世界BASARA番外編「ゼロの胃袋」――
「町?何で行きたいのよ?」
「うむ、今日町で大食い大会があるってシエスタから聞いたぞ!」
事の発端は今日の朝だった。
『大食い大会!?』
厨房で残り物を貰っていた利家は喜びの声を上げた。
『今日町で開かれるんです。マルトーさんも料理を作るコックとして出るんですよ』
『そうかぁ…それって一杯食べれるのか?』
『はい!マルトーさんも是非出場してくれって言っていました!』
「…で、それに出てお腹一杯食べたいって訳?」
「うむ!それがし美味い飯は大好きだ!」
キュルケは、これは良いかもしれないと思った。
というのも、利家の食欲に困っていた所だったからだ。
この男は用意された朝食では満足出来ず、生徒達が残した物、マルトー達が作ったまかない料理を食べてもまだ不満だと言うのである。
「それと、優勝すれば賞金も出るってシエスタ言ってたぞ」
「賞金ですって!?」
さらに、決定的な一言がこれだった。
丁度今日はどうやって過ごすか考えていた所だ、それに利家の食欲なら優勝出来るかもしれない。
「そうね…それなら出てみる?」
「本当か!?よーしそれがし沢山食べるぞおおぉぉ!!」
そして利家の希望により、2人は城下町の広場へやって来た。
既に多くの人が集まっており、大会の準備が進んでいる。
利家とキュルケの姿もそこにあった。
「いい?出るからには絶対に優勝しなさい!そして賞金ゲットよ!」
「分かった!それがし腹一杯食べるからな!!」
あまりよく分かっていないような気がするが、利家は楽しそうに置かれた椅子に座った。
その様子は別の場所にある調理場からも見えた。
「おお来たか、こいつは本腰を入れて作らないといけねぇな!」
今回の大会で料理を作る男…マルトーは利家を確認すると準備を進めているコックに向き直る。
「聞けお前等!例の裸の大食らいがここに来たぜ!!」
それを聞いたコック達に緊張が走った。
「マ、マルトーさん!本当に彼を呼んだんですか!?」
「ああ、だから皆気張って行け!気を抜くとぶっ倒れるぞ!!」
「「「「は、はい!!」」」」
マルトーの言葉にコック一同は大きく頷く。
自身も、これから始まる大会に胸を躍らせていた。
そして今、大食漢達の意地を賭けた戦いが始まる…!
「さて!今年も開催される事になりましたこの大食い大会!!今回も多くの人が集まってくれました!!」
司会者の声が広場に響く。
そして出場者の座っているテーブルの方へと目を向けた。
「お、おかわり!」
「う…うげ……つ、次!」
「飯ー!!」
「……………」
そこでは集まったチャレンジャー達が運ばれてくる料理を食べている。
「今年のメニューはゲルマニア産の牛肉を使ったステーキと、はしばみ草のサラダ!!時間は1時間!付け合せのサラダも完食しなければカウントされません!!」
運ばれてくる皿には30サント近い肉と、独特な臭いを放つサラダが盛り付けられている。
皆はそれを必死に食べていた。
だがどうしたことか、出場者の多くは食べる手が進まない。
理由は…付け合せに出されているサラダ…はしばみ草だった。
「ああっと!多くの挑戦者はサラダで苦戦している!やはりあの臭いは我慢が出来ない!!うっぷ、こっちにも臭いが来た……」
その悪臭に司会者も思わず鼻を押さえる。先に言ったように、付け合せも食べなければ皿の枚数はカウントされない。
結果、肉を食べきってもサラダが残ってしまい、中々完食出来ずにいたのだ。
1人を除いて…
「飯ー!!」
「また完食した!!これで7皿目!はしばみ草を物ともせずに食べるこの男!何者だああー!?」
前田利家だった。
司会者が驚くのも無理はない、彼の食べるスピードはずば抜けていた。
他の者が1皿に苦戦している間に、利家は2皿、3皿と平らげているのだ。
「飯ー!!」
「10皿目ー!!だがペースは依然として落ちません!この男、ただの裸ではない!!しかしマナーが最悪だぁ!手づかみで肉を食らうその姿は野生児そのもの!」
(そういえばトシイエに食事の作法なんて教えてなかったわね…)
「飯ー!!」
「こ、こ、これで20皿目ぇー!」
「(…ま、いいか。優勝出来れば…)トシイエー!頑張りなさーい!!」
「おうよ!!」
「ルイズ殿、あそこに人だかりがあるが?」
「そういえば今日は何か催し物があったわね。だからって勝手に歩き回っちゃダメよ!」
大食い大会が始まって30分…
1人は胃袋に限界がきて…
1人はサラダの臭いに我慢出来なくなって…
様々な理由で挑戦者がギブアップしていった。
「飯ー!!」
だが利家は食べるのを止めない、未だに開始した時と同じペースで料理を平らげている。
周りの見物客はそれを見て呆気にとられ、歓声すら上げなくなっていた。
「ここ、これで30皿目…ど、どうなっているのでしょう…この男の腹は底無しか!?」
司会者も同じく利家の食べっぷりに驚愕している。
一方、調理場でも緊急事態が起きていた。
「ぐわあああぁぁぁぁーっ!」
突然、肉を切っていたコックの1人が倒れる。
「どうした!何があったんてんだ!?」
「マ、マルトーさん…う、腕が!腕が動かねえぇぇ!」
コックは腕を押さえながら悶えていた。休みなく働いている内に体に限界が来たのだろう。
ドサッ…
「お、おい!?」
「す、すいません…もうダメ…」「限界…だ…」「はしばみ草が…はしばみ草が迫ってくる…!」「マ、マルトーどん……先に…逝くどぉ…」
さらに追い討ちを掛けるようにもう1人、さらに1人と倒れていく。
「クソ…えらい事になっちまった…!」
(何なんだこいつ…に、人間じゃない…)
場面は再び大食い会場に戻る。
利家の隣に座っていた男は彼の様子を見て手が止まってしまっていた。
「飯ー!!」
肉だけでも辛いというのに、不味いサラダまで平気で口に運ぶ…鼻が麻痺しているのか。
「う…うぶぐ!!??」
と、男の体に異変が起きた。ここまでかなり無理をして詰め込んできた事と、残っているはしばみ草の臭いに当てられて限界が来たのだ。
「う、う、うげどぼげほおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
胃袋に入っていた物が全て逆流し、口から噴き出した。
「ああっと吐いた!全て吐き出してしまったーー!」
嘔吐した男が、ゆっくりと倒れ始める。
これで残ったのは利家だけ。司会者もキュルケも彼が優勝したと…
そう思った。
「これで残ったのは裸の彼ひと…………あれ?」
「やったわトシイエ!これで賞金…………え?」
男がゆっくりと倒れる。
その男の背後、丁度観客からも男が陰になって見えなかったテーブルにもう1人いた。
メイジが身に付けるマントを着て、小柄な体格の…
青い髪の眼鏡を掛けた少女が。
「タ、タバサ!?」
「何て事!貴族のお嬢様が残って、というか出場なさっていました!これは予想外!!!!」
#navi(異世界BASARA)
虚無の曜日。
この日は授業がなく、学院の生徒は思い思いの休日を満喫する日だ。
キュルケもまたその1人である。
「♪~、今日はどう過ごそうかしら♪」
口紅を塗りながらキュルケはこの日に何をしようか考えていた。
…ドドドドドドドドドドド
「キュルケ殿~~!!!!」
そんなご機嫌なキュルケの元に、使い魔の前田利家が勢いよく入ってきた。
「トシイエ、廊下を走っちゃダメって言っているでしょ。どうしたの?」
興奮気味の利家を落ち着かせ、何事かと尋ねる。
「キュルケ殿、それがし町に行きたい!」
――異世界BASARA番外編「ゼロの胃袋」――
「町?何で行きたいのよ?」
「うむ、今日町で大食い大会があるってシエスタから聞いたぞ!」
事の発端は今日の朝だった。
『大食い大会!?』
厨房で残り物を貰っていた利家は喜びの声を上げた。
『今日町で開かれるんです。マルトーさんも料理を作るコックとして出るんですよ』
『そうかぁ…それって一杯食べれるのか?』
『はい!マルトーさんも是非出場してくれって言っていました!』
「…で、それに出てお腹一杯食べたいって訳?」
「うむ!それがし美味い飯は大好きだ!」
キュルケは、これは良いかもしれないと思った。
というのも、利家の食欲に困っていた所だったからだ。
この男は用意された朝食では満足出来ず、生徒達が残した物、マルトー達が作ったまかない料理を食べてもまだ不満だと言うのである。
「それと、優勝すれば賞金も出るってシエスタ言ってたぞ」
「賞金ですって!?」
さらに、決定的な一言がこれだった。
丁度今日はどうやって過ごすか考えていた所だ、それに利家の食欲なら優勝出来るかもしれない。
「そうね…それなら出てみる?」
「本当か!?よーしそれがし沢山食べるぞおおぉぉ!!」
そして利家の希望により、2人は城下町の広場へやって来た。
既に多くの人が集まっており、大会の準備が進んでいる。
利家とキュルケの姿もそこにあった。
「いい?出るからには絶対に優勝しなさい!そして賞金ゲットよ!」
「分かった!それがし腹一杯食べるからな!!」
あまりよく分かっていないような気がするが、利家は楽しそうに置かれた椅子に座った。
その様子は別の場所にある調理場からも見えた。
「おお来たか、こいつは本腰を入れて作らないといけねぇな!」
今回の大会で料理を作る男…マルトーは利家を確認すると準備を進めているコックに向き直る。
「聞けお前等!例の裸の大食らいがここに来たぜ!!」
それを聞いたコック達に緊張が走った。
「マ、マルトーさん!本当に彼を呼んだんですか!?」
「ああ、だから皆気張って行け!気を抜くとぶっ倒れるぞ!!」
「「「「は、はい!!」」」」
マルトーの言葉にコック一同は大きく頷く。
自身も、これから始まる大会に胸を躍らせていた。
そして今、大食漢達の意地を賭けた戦いが始まる…!
「さて!今年も開催される事になりましたこの大食い大会!!今回も多くの人が集まってくれました!!」
司会者の声が広場に響く。
そして出場者の座っているテーブルの方へと目を向けた。
「お、おかわり!」
「う…うげ……つ、次!」
「飯ー!!」
「……………」
そこでは集まったチャレンジャー達が運ばれてくる料理を食べている。
「今年のメニューはゲルマニア産の牛肉を使ったステーキと、はしばみ草のサラダ!!時間は1時間!付け合せのサラダも完食しなければカウントされません!!」
運ばれてくる皿には30サント近い肉と、独特な臭いを放つサラダが盛り付けられている。
皆はそれを必死に食べていた。
だがどうしたことか、出場者の多くは食べる手が進まない。
理由は…付け合せに出されているサラダ…はしばみ草だった。
「ああっと!多くの挑戦者はサラダで苦戦している!やはりあの臭いは我慢が出来ない!!うっぷ、こっちにも臭いが来た……」
その悪臭に司会者も思わず鼻を押さえる。先に言ったように、付け合せも食べなければ皿の枚数はカウントされない。
結果、肉を食べきってもサラダが残ってしまい、中々完食出来ずにいたのだ。
1人を除いて…
「飯ー!!」
「また完食した!!これで7皿目!はしばみ草を物ともせずに食べるこの男!何者だああー!?」
前田利家だった。
司会者が驚くのも無理はない、彼の食べるスピードはずば抜けていた。
他の者が1皿に苦戦している間に、利家は2皿、3皿と平らげているのだ。
「飯ー!!」
「10皿目ー!!だがペースは依然として落ちません!この男、ただの裸ではない!!しかしマナーが最悪だぁ!手づかみで肉を食らうその姿は野生児そのもの!」
(そういえばトシイエに食事の作法なんて教えてなかったわね…)
「飯ー!!」
「こ、こ、これで20皿目ぇー!」
「(…ま、いいか。優勝出来れば…)トシイエー!頑張りなさーい!!」
「おうよ!!」
「ルイズ殿、あそこに人だかりがあるが?」
「そういえば今日は何か催し物があったわね。だからって勝手に歩き回っちゃダメよ!」
大食い大会が始まって30分…
1人は胃袋に限界がきて…
1人はサラダの臭いに我慢出来なくなって…
様々な理由で挑戦者がギブアップしていった。
「飯ー!!」
だが利家は食べるのを止めない、未だに開始した時と同じペースで料理を平らげている。
周りの見物客はそれを見て呆気にとられ、歓声すら上げなくなっていた。
「ここ、これで30皿目…ど、どうなっているのでしょう…この男の腹は底無しか!?」
司会者も同じく利家の食べっぷりに驚愕している。
一方、調理場でも緊急事態が起きていた。
「ぐわあああぁぁぁぁーっ!」
突然、肉を切っていたコックの1人が倒れる。
「どうした!何があったんてんだ!?」
「マ、マルトーさん…う、腕が!腕が動かねえぇぇ!」
コックは腕を押さえながら悶えていた。休みなく働いている内に体に限界が来たのだろう。
ドサッ…
「お、おい!?」
「す、すいません…もうダメ…」「限界…だ…」「はしばみ草が…はしばみ草が迫ってくる…!」「マ、マルトーどん……先に…逝くどぉ…」
さらに追い討ちを掛けるようにもう1人、さらに1人と倒れていく。
「クソ…えらい事になっちまった…!」
(何なんだこいつ…に、人間じゃない…)
場面は再び大食い会場に戻る。
利家の隣に座っていた男は彼の様子を見て手が止まってしまっていた。
「飯ー!!」
肉だけでも辛いというのに、不味いサラダまで平気で口に運ぶ…鼻が麻痺しているのか。
「う…うぶぐ!!??」
と、男の体に異変が起きた。ここまでかなり無理をして詰め込んできた事と、残っているはしばみ草の臭いに当てられて限界が来たのだ。
「う、う、うげどぼげほおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
胃袋に入っていた物が全て逆流し、口から噴き出した。
「ああっと吐いた!全て吐き出してしまったーー!」
嘔吐した男が、ゆっくりと倒れ始める。
これで残ったのは利家だけ。司会者もキュルケも彼が優勝したと…
そう思った。
「これで残ったのは裸の彼ひと…………あれ?」
「やったわトシイエ!これで賞金…………え?」
男がゆっくりと倒れる。
その男の背後、丁度観客からも男が陰になって見えなかったテーブルにもう1人いた。
メイジが身に付けるマントを着て、小柄な体格の…
青い髪の眼鏡を掛けた少女が。
「タ、タバサ!?」
「何て事!貴族のお嬢様が残って、というか出場なさっていました!これは予想外!!!!」
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