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[[異世界BASARA-26]]
フーケ捜索隊に志願したルイズ、キュルケ、タバサ…
そして真田幸村と前田利家はロングビルの案内で森の廃屋に向かっていた。
馬車に揺られながら利家は腹を擦っている。
「…うぅ~、朝飯も食わずに行くなんて思わなかったぞ…」
「我慢なさいなトシイエ。フーケに逃げられちゃったら元も子もないでしょ?」
げんなりとしている利家をキュルケはなだめた。
「それにしても、タダカツを連れて来られないのは残念ねぇ。彼がいたらもっと楽なんだけど…」
「目立つ」
タバサは一言そう言って持っていた本に目を落とした。
忠勝はじっとしていても体からうるさい音が聞こえてくるし、あの大きさでは隠れる事も難しい。
だから彼女はこの捜索に忠勝を連れてくるのを止めたのである。
「朝っぱらからいきなり起こされて何かと思えば、盗賊退治とはなぁ」
幸村の背中から声が聞こえてくる、デルフリンガーだ。
幸村は折れた槍の代わりにデルフリンガーを持ってきたのである。
「すまぬデルフ殿、ルイズ殿の為に力を貸して欲しい!」
「わぁーったよ、相棒の頼みなら仕方がねぇ」
「時にルイズ殿、魔法を使えるのは貴族だけであったな?」
デルフと話していた幸村は突然ルイズに尋ねる。
「そうだけど…それがどうしたのよ?」
「ならばあのフーケめ…民の上に立つ身でありながら盗みを働いておるのか…!!」
「メイジが全員貴族というわけじゃありませんわ」
幸村が憤っていると、馬車の手綱を握っている女…案内役のロングビルが口を開いた。
「様々な理由で貴族から平民になった者も多いのです。中には犯罪者になる貴族もおりますわ…」
それを聞いて、利家は自分達のいた戦国の日本を思い出した。
自分の国でも、主君を失った武士が浪人となって悪事を働く事がある…
「…幸村、ここもそれがし達のいた世界とあまり変わらぬかもしれんな…」
途中、一同は馬車を降りて森の中を進んで行く。
「見えました。あれです」
先頭を歩いていたロングビルが前を指差す。
その先には、確かに古びた廃屋がぽつんと建っていた。
「私は周辺を調べてきます。あなた達はあの廃屋を」
そう言ってロングビルは森の中へと消えていった。
「様子を見るだけよ、蹴破って中に入ったりしちゃダメだからね!」
ルイズに念を押され、偵察役を受けた幸村と利家は廃屋の中を窓から覗いて見る。
しかし誰かいる様子はない。
「ルイズ殿!誰もおりませぬぞー!!」
幸村の大声に隠れていた3人は出てきて扉の前に立った。
タバサが杖を振るい、トラップが仕掛けられてないかを調べてみる。
「罠はない」
タバサが中に入っていくのを見て、キュルケも後に続く。
ルイズは小屋の外で見張りをする事となった。
「埃だらけじゃない。本当にこんな所に隠れていたの?」
キュルケの言う通り、ここは長く使われていなかったように見える。
もしや偽情報だったのだろうか。
「あった」
一同の頭にそんな考えがよぎろうとした時、タバサが何かを見つけた。
「破壊の杖」
見つけた物を手に取り、皆に見せる。
「…一度宝物庫の見学で見た事あるけど…本っ当に趣味の悪い杖よねぇ」
それは銀色に光る筒に取っ手が付いたような物で、「Dead or Love」という見た事ない文字が刻まれている。
さらに全体にはハートの模様が散りばめられていた。
3人は怪訝な顔をしている。
だがそんな中、利家だけは違った反応を示した。
「こ、これは…!」
利家はそれを手に取り、真剣な顔つきで見つめた。
「あの南蛮人が持っていた物より小さいが間違いない!何故こんな所に…!」
ドガアアァァァァン!!!!
突然、轟音が鳴り響くと同時に天井から瓦礫が降ってくる。
「ぬぅ!?彼奴は昨日の…!」
幸村の声に一同が上を見上げると、土で出来た巨大なゴーレムがこちらを見下ろしていた。
タバサが素早く杖を振って竜巻を放つ。
だが、直撃したにもかかわらずゴーレムは平然としている。
続いてキュルケが胸元から杖を取り出し、火の玉を作り出して発射した。
これもゴーレムの表面を焦がしただけで動きを止めるには至らない。
「無理よこんなの!」
慌てるキュルケを余所に、ゴーレムは唸り声を上げながら両腕をキュルケ達に向かって突き出した。
「でやあああぁぁぁ!」
「おぉぉらあぁぁぁ!」
しかし、彼女達を潰さんと突き出された腕は2人の使い魔によって防がれた。
「逃げられよ!ここは拙者と前田殿で!」
地面に足をめり込ませながら幸村は叫ぶ。
それにタバサは頷くと、キュルケを連れてゴーレムから距離を取った。
と、幸村はゴーレムの背後にいるルイズの姿を見つけた。
何故かルイズは逃げず、杖を振るって魔法を唱えている。
「くそ…幸村、こいつはそれがしが相手をする!ルイズを連れて行け!」
利家の言葉に幸村はゴーレムの腕を弾き、ルイズの元へと駆ける。
それを見た利家は槍を頭上で振り回し、ゴーレムへと飛び掛っていった。
「腹が減っても戦は出来るぞっ!!うおおおお!」
「何をしておられるか!危険にござるぞ!!」
駆けつけた幸村の言葉も聞かず、ルイズは再び杖を振るった。
だが爆発が起こるだけで、それもゴーレムには致命傷になっていない。
「あれには効かぬ、ここは逃げるのだ!」
「嫌!!」
腕を取る幸村を振り払い、ルイズは叫んだ
「ここで逃げたら、またゼロのルイズって馬鹿にされるじゃない…」
ルイズは睨みながら言う。その瞳に、うっすらと涙を浮かべて。
「…フーケを捕まえれば…もうゼロだなんて言われない…もうゼロのルイズなんて…」
所々で嗚咽を漏らしながらルイズは言った。
幸村も、彼女がゼロと呼ばれる所以は知っている。そしてその名を嫌い、人知れず努力している事も…
「……ならばルイズ殿、尚の事逃げられよ」
「嫌だって言ったでしょ!私は…」
「ルイズ殿が捕らえるのはフーケであろう!あの土人形ではない!!」
幸村の、いつもより大きい声が森の中に響き渡った。
普段からこの大声を聞いているルイズも、目を丸くして自分の使い魔を見ている。
「ここで出来損ないと言われたまま犬死してはならぬ。この幸村があのごーれむを倒し、ルイズ殿の手柄にしてみせましょうぞ」
「うわああぁぁぁぁー!!」
その時、戦っていた利家がゴーレムの腕の直撃を受けた。
利家は地面にぶつかると2回バウンドし、最終的にはキュルケの元にまで吹き飛ばされる。
「トシイエ!」
キュルケは気絶している利家を抱き起こし、揺さぶって起こそうとする。
「…むぅ…キュルケ殿か?」
「どうしたのよ、調子が出ていないじゃない」
朦朧とした意識の中、利家は口をゆっくりと開く。
「…は、腹…」
「腹?」
「…腹が減って…もう力が出ない…」
キュルケの体に脱力感が駆け抜けた。朝食を1回抜いただけでここまで弱るとは…
だが思い起こせば数十人分の食事を食べる男、1回抜いただけでも彼にとっては大問題だったのかもしれない。
そんな事を考えながらキュルケはやれやれと溜め息をついた。
利家を倒したゴーレムがゆっくりとルイズ達の方へ振り返る。
次は自分達の番だと、彼等は確信した。
「もう一度御願い申す。ここは退いて下され」
幸村はルイズに再度頼む。
「…分かったわよ、でも…絶対に勝つのよ!負けたら許さないんだから!」
「無論承知っ!!!」
キュルケ達の元に辿り着いたルイズを確認し、ゴーレムに向き直る。
そして右手に槍を持った幸村は余った左手で背中に携えた剣に手を伸ばした。
「デルフ殿、力を貸して頂きたい!」
「お、ようやく俺様の出番って訳かい!抜きな相棒!」
背中の剣…デルフリンガーは景気良く答えるのを聞くと、幸村は一気に引き抜いた。
デルフリンガーを持った左手が、眩い光を発する。
「来い土人形め!真田源二郎幸村が相手だ!!」
#navi(異世界BASARA)
フーケ捜索隊に志願したルイズ、キュルケ、タバサ…
そして真田幸村と前田利家はロングビルの案内で森の廃屋に向かっていた。
馬車に揺られながら利家は腹を擦っている。
「…うぅ~、朝飯も食わずに行くなんて思わなかったぞ…」
「我慢なさいなトシイエ。フーケに逃げられちゃったら元も子もないでしょ?」
げんなりとしている利家をキュルケはなだめた。
「それにしても、タダカツを連れて来られないのは残念ねぇ。彼がいたらもっと楽なんだけど…」
「目立つ」
タバサは一言そう言って持っていた本に目を落とした。
忠勝はじっとしていても体からうるさい音が聞こえてくるし、あの大きさでは隠れる事も難しい。
だから彼女はこの捜索に忠勝を連れてくるのを止めたのである。
「朝っぱらからいきなり起こされて何かと思えば、盗賊退治とはなぁ」
幸村の背中から声が聞こえてくる、デルフリンガーだ。
幸村は折れた槍の代わりにデルフリンガーを持ってきたのである。
「すまぬデルフ殿、ルイズ殿の為に力を貸して欲しい!」
「わぁーったよ、相棒の頼みなら仕方がねぇ」
「時にルイズ殿、魔法を使えるのは貴族だけであったな?」
デルフと話していた幸村は突然ルイズに尋ねる。
「そうだけど…それがどうしたのよ?」
「ならばあのフーケめ…民の上に立つ身でありながら盗みを働いておるのか…!!」
「メイジが全員貴族というわけじゃありませんわ」
幸村が憤っていると、馬車の手綱を握っている女…案内役のロングビルが口を開いた。
「様々な理由で貴族から平民になった者も多いのです。中には犯罪者になる貴族もおりますわ…」
それを聞いて、利家は自分達のいた戦国の日本を思い出した。
自分の国でも、主君を失った武士が浪人となって悪事を働く事がある…
「…幸村、ここもそれがし達のいた世界とあまり変わらぬかもしれんな…」
途中、一同は馬車を降りて森の中を進んで行く。
「見えました。あれです」
先頭を歩いていたロングビルが前を指差す。
その先には、確かに古びた廃屋がぽつんと建っていた。
「私は周辺を調べてきます。あなた達はあの廃屋を」
そう言ってロングビルは森の中へと消えていった。
「様子を見るだけよ、蹴破って中に入ったりしちゃダメだからね!」
ルイズに念を押され、偵察役を受けた幸村と利家は廃屋の中を窓から覗いて見る。
しかし誰かいる様子はない。
「ルイズ殿!誰もおりませぬぞー!!」
幸村の大声に隠れていた3人は出てきて扉の前に立った。
タバサが杖を振るい、トラップが仕掛けられてないかを調べてみる。
「罠はない」
タバサが中に入っていくのを見て、キュルケも後に続く。
ルイズは小屋の外で見張りをする事となった。
「埃だらけじゃない。本当にこんな所に隠れていたの?」
キュルケの言う通り、ここは長く使われていなかったように見える。
もしや偽情報だったのだろうか。
「あった」
一同の頭にそんな考えがよぎろうとした時、タバサが何かを見つけた。
「破壊の杖」
見つけた物を手に取り、皆に見せる。
「…一度宝物庫の見学で見た事あるけど…本っ当に趣味の悪い杖よねぇ」
それは銀色に光る筒に取っ手が付いたような物で、「Dead or Love」という見た事ない文字が刻まれている。
さらに全体にはハートの模様が散りばめられていた。
3人は怪訝な顔をしている。
だがそんな中、利家だけは違った反応を示した。
「こ、これは…!」
利家はそれを手に取り、真剣な顔つきで見つめた。
「あの南蛮人が持っていた物より小さいが間違いない!何故こんな所に…!」
ドガアアァァァァン!!!!
突然、轟音が鳴り響くと同時に天井から瓦礫が降ってくる。
「ぬぅ!?彼奴は昨日の…!」
幸村の声に一同が上を見上げると、土で出来た巨大なゴーレムがこちらを見下ろしていた。
タバサが素早く杖を振って竜巻を放つ。
だが、直撃したにもかかわらずゴーレムは平然としている。
続いてキュルケが胸元から杖を取り出し、火の玉を作り出して発射した。
これもゴーレムの表面を焦がしただけで動きを止めるには至らない。
「無理よこんなの!」
慌てるキュルケを余所に、ゴーレムは唸り声を上げながら両腕をキュルケ達に向かって突き出した。
「でやあああぁぁぁ!」
「おぉぉらあぁぁぁ!」
しかし、彼女達を潰さんと突き出された腕は2人の使い魔によって防がれた。
「逃げられよ!ここは拙者と前田殿で!」
地面に足をめり込ませながら幸村は叫ぶ。
それにタバサは頷くと、キュルケを連れてゴーレムから距離を取った。
と、幸村はゴーレムの背後にいるルイズの姿を見つけた。
何故かルイズは逃げず、杖を振るって魔法を唱えている。
「くそ…幸村、こいつはそれがしが相手をする!ルイズを連れて行け!」
利家の言葉に幸村はゴーレムの腕を弾き、ルイズの元へと駆ける。
それを見た利家は槍を頭上で振り回し、ゴーレムへと飛び掛っていった。
「腹が減っても戦は出来るぞっ!!うおおおお!」
「何をしておられるか!危険にござるぞ!!」
駆けつけた幸村の言葉も聞かず、ルイズは再び杖を振るった。
だが爆発が起こるだけで、それもゴーレムには致命傷になっていない。
「あれには効かぬ、ここは逃げるのだ!」
「嫌!!」
腕を取る幸村を振り払い、ルイズは叫んだ
「ここで逃げたら、またゼロのルイズって馬鹿にされるじゃない…」
ルイズは睨みながら言う。その瞳に、うっすらと涙を浮かべて。
「…フーケを捕まえれば…もうゼロだなんて言われない…もうゼロのルイズなんて…」
所々で嗚咽を漏らしながらルイズは言った。
幸村も、彼女がゼロと呼ばれる所以は知っている。そしてその名を嫌い、人知れず努力している事も…
「……ならばルイズ殿、尚の事逃げられよ」
「嫌だって言ったでしょ!私は…」
「ルイズ殿が捕らえるのはフーケであろう!あの土人形ではない!!」
幸村の、いつもより大きい声が森の中に響き渡った。
普段からこの大声を聞いているルイズも、目を丸くして自分の使い魔を見ている。
「ここで出来損ないと言われたまま犬死してはならぬ。この幸村があのごーれむを倒し、ルイズ殿の手柄にしてみせましょうぞ」
「うわああぁぁぁぁー!!」
その時、戦っていた利家がゴーレムの腕の直撃を受けた。
利家は地面にぶつかると2回バウンドし、最終的にはキュルケの元にまで吹き飛ばされる。
「トシイエ!」
キュルケは気絶している利家を抱き起こし、揺さぶって起こそうとする。
「…むぅ…キュルケ殿か?」
「どうしたのよ、調子が出ていないじゃない」
朦朧とした意識の中、利家は口をゆっくりと開く。
「…は、腹…」
「腹?」
「…腹が減って…もう力が出ない…」
キュルケの体に脱力感が駆け抜けた。朝食を1回抜いただけでここまで弱るとは…
だが思い起こせば数十人分の食事を食べる男、1回抜いただけでも彼にとっては大問題だったのかもしれない。
そんな事を考えながらキュルケはやれやれと溜め息をついた。
利家を倒したゴーレムがゆっくりとルイズ達の方へ振り返る。
次は自分達の番だと、彼等は確信した。
「もう一度御願い申す。ここは退いて下され」
幸村はルイズに再度頼む。
「…分かったわよ、でも…絶対に勝つのよ!負けたら許さないんだから!」
「無論承知っ!!!」
キュルケ達の元に辿り着いたルイズを確認し、ゴーレムに向き直る。
そして右手に槍を持った幸村は余った左手で背中に携えた剣に手を伸ばした。
「デルフ殿、力を貸して頂きたい!」
「お、ようやく俺様の出番って訳かい!抜きな相棒!」
背中の剣…デルフリンガーは景気良く答えるのを聞くと、幸村は一気に引き抜いた。
デルフリンガーを持った左手が、眩い光を発する。
「来い土人形め!真田源二郎幸村が相手だ!!」
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