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ゼロの悪魔召喚師 第七話
<流星>
「魔界か?ここは…」
魔法学院の教室は大学の講堂みたいな作りをしていた。
そこに学生達が談笑している、いろいろな悪魔を連れながら。
俺達が入ると静まり返るが直ぐにまた談笑が始まる。
生徒の反応は二つ、こっちを見ないようにするか、こっちをみながら笑うか。
もっとわかりやすく言うなら、食堂で近くにいたか、遠くにいたかだ。
…平和などこにでもある風景…
…平穏な日常…
…退屈な日々…
俺の学生生活は遠い所に行ったなぁ…
何せ隣に立っている人間の鞄の中には銃があるからな…どちらかというと魔界よりアメリカか?
感慨深く思っているとご主人が椅子の前に立ったので椅子を引く。
「それでは、私は後ろの方にいますので」
ご主人を椅子に座らせ後ろに下がる。
ご主人と太目の貴族が言い争いをしているがキュルケのお嬢ちゃんが止めに入っている。
あ、鞄に手を突っ込んだ。食堂で近くにいた連中がすばやく離れていく。
あの太目もっと空気を読めるようになった方がいいな、『今度』があればね。
あ~あ、太目はご主人とお嬢ちゃんに怒鳴られて涙目になってるなぁ。
よくドラマである銃口を天井に向けての取っ組み合いになったが、教室に入ってきた中年教師が二人を座らせ教室は落ち着きを取り戻した。
けど太目は何も理解してないな、また喧嘩売ってるし…。ん、太目が丸焼けになってオチもついたか。
お嬢ちゃんの火力はアギくらいかな、本気で行けばアギラオくらいまではいけるかも。
それにしてもあの太目きっと卒業できないんだろうなぁ。
さて、ドタバタコメディも終わったことだしこっちのやるべきことをしようか。
壁を背にしてCOMPを起動させる。
……TALK……
さて『使い魔』達の雑談を聞くとしようか。
ここの「幻獣」はノモスとは大分違うらしいからな。
使い魔達の雑談はそんなに中身の有るものはないな。
住んでた所、新しい環境、自慢話、そして食糧事情……
食糧事情?
『フレイム、ちょっといいか?』
『…っ、人間が俺達の言葉を話すとはね』
さすがに驚くか、とはいっても表情など無いが
『わけありなんだ、あまり気にするな。あと黙っといてくれると助かる。』
『いいだろう。それで聞きたいこととはなんだい?』
『ここにいる使い魔達はマグネタイトは必要ないのか?』
『なんだいそれは?きいたこともないな』
『幻獣の食事のかわりになるものなんだが……』
『みんなそれぞれ食べるものが違うのにかい?』
こちらを見上げる目の輝きが変わる、馬鹿にされてるなぁ
『俺の居た所ではそうなんだがな』
『変わったところだな。じゃあ、俺はもう寝るぜ』
『すまなかったな、お休み』
フレイムは欠伸をするとお嬢ちゃんの方へ歩いていった。
わかったことから考えをまとめよう
こっちの魔獣、幻獣はマグネタイトで体を構成していない。
生態系にしっかりと組み込まれている。
生きるためにそれぞれの個体に合わせた食事が必要。
魔界とは大分違うな。魔界の悪魔たちには基本的にマグネタイトが補充される限り食事の必要は無い。
もちろん、生きたまま人間を食べる者もいるが、それは「恐怖」のマグネタイトが好みなだけだ。
苦痛と食われるという現実でより多くの「恐怖」のマグネタイトを引き出すのだ
。天使ならば人間に試練を与えそれを乗り越えた「歓喜」のマグネタイトを好む。
種族により好む「感情」に違いはあるが用はマグネタイトさえあればいい。
他の者を襲って食べるのはマグネタイトを奪うためか、嗜好、趣味くらいだ。
この違いはどこから来るのだろうか?
魔界とつなぐ門がありそこから悪魔たちがこちらに来る>マグネタイト消費が少ないのでこちらに居座る>
環境に適応して「意識体」から肉体を持った「実体」へと変化して今に至る。
だめだな……一応筋は通る推測だがわかっている事実が少なすぎるな。
やはりエーテル濃度の関係か、それともこっちではマグネタイトの消費が抑えられるといっていたことが関係してるのか?
さらに考えを纏めようとしたした所に閃光が走り、わけもわからず伏せる。
一瞬遅れて爆風と爆音が教室中を駆け抜ける。爆心と思われる方向、教壇のほうを見るとご主人が「ちょっと、失敗したみたいね」と言ってるのが見える。
使い魔達も爆音に驚き暴れ始めるがほうっておこう。おとなしくさせるのは簡単だが悪目立ちするのはご主人一人で十分だ。
その為にマジックアイテムと銃を渡したのだ。
俺はマジックアイテムと銃を持った使い魔からただの平民の使い魔に、ご主人はただのメイジからマジックアイテムと銃をもったメイジに。
わざわざ目立たぬようにしたのにそれを壊す必要は無い。
が、「いつだって成功率ゼロじゃないかよ」の言葉を聴いて最初からただの平民の振りしとけば良かった。アイテムと銃渡さなくてすんだんだが。まぁ、貴重なものを渡しているわけではないが今後は渡す必要はあまり無いな。
しかし馬鹿にされ虐められている力を持たない者が力を持ったときにする事は「身に染みて」わかっているからこの先は大変そうだ……
教室の現状復帰を命じられた俺は黙って教室の掃除をしている。
別に不満なわけではなく、魔界とここハルケギニアの違いについて考えていたからだ。
考えを纏めるのにモップで床を磨くくらいの単純作業はいい刺激だしな。
まぁ、ご主人は机に腰をかけて相当に落ち込んでいるみたいだが、どうでもいい。
「アンタ、何かいいたいことあるんじゃないの?」
そっち見てないはずなんだけどな、言霊ってあるんだ…
「別に何もありませんよ、ご主人様はご主人様ですから」
うそ偽りは無い、色々調べるのに使い魔の立場と学院という場所は便利だからな。
ご主人が優秀だろう落ちこぼれだろうが関係ない。とはいえ表情を変えることも無く、ご主人を見ることも無く答える。
これからヒス起こされて怒られて怒鳴られるんだろう…
「ウソいわないでっ!メイジなのに魔法も使えないっ!いつも失敗ばかりっ!やっと成功したサモンサーバントはただの平民っ!どうしてなのよっ!」
…召喚師だとはバレて無い様だな。でも人からマジックアイテムとか銃巻き上げといてそれは無いだろう、いくら温厚な俺でも終いにゃ魔王呼び出すぞ。
「少し落ち着いてください。ここは私が片付けますから、ご主人様は食事へどうぞ」
考え事するのに邪魔な五月蝿い鬱な人間を先に片付けることにした。
「うっさいわねっ!!ほっといてよ!!」
「わかりました。」
ご主人にかまうことなく掃除を再開するだが、俺の疑問は変わっていた。
ハルケギニア外の世界と繋ぐことのできたご主人が魔法を使えないと言うことはどういうことだ?
いくらアモンの魔法を受けての瞬間移動中だとはいえ。
これはこれでまたわからないことだらけだな
「ちょっと、アンタ黙ってないでなんか言いなさいよ」
しょうがないのでハルケギニアの外から召喚したのにも関わらず、ほかの魔法が使えないのはおかしいと
「知らないわよ…そんなの…」
怒りから落ち込みか…それでも話を続けよう
「魔法の失敗を初めて見たのですが、失敗=爆発なのですか?」
「違うわよ、ほかの人は爆発なんてしないわよ」
魔法の杖を取り出し手悪戯しながら答えてくる。
「じゃあ、集中の問題ですかね?試しますか?」
「どうやって試すのよ?」
声は年不相応に低く重く響いている。コンプレックスになってるな。
「これをもってください」
「なによこれ?剣の柄?」
不信がるご主人の背後に回って両手で保持させその手の上に自分の手を重ねる。
「いいですか、これに魔力で刃を作ると思って魔力を流し込んでください。」
目をつぶって集中する。
ブォンという音と共に光る刃が出来上がる。ただし、輪郭の部分がゆらゆらと揺らめいている…
「集中が甘いな……」
呟きだったが聞き取られたらしい。
「な、なんですって……きゃあああ、な、な、な」
抗議しようとした瞬間に今度はシュンという音と共に光る刃が消え去る。
「今度は目を開けたまま、光る刃をイメージして魔力を柄に流し込む!」
強い口調で命令する。気おされたご主人が黙ってコクリと頷き、光の刃を作り出す。
「輪郭の部分もしっかりとイメージして、どんなものでも切り伏せられる刃を」
しばらく揺らめいていた輪郭もしっかりとした刀身の形をとり始める。
「な、なんなの…」
「月の魔力を集めて作られた剣、ルナブレイド。ほら、集中が乱れてる。」
輪郭の崩れた剣を見て慌てて集中し刀身をはっきりさせる。
ゆっくり重ねていた手を離しご主人の正面に回る。額に汗をびっしりと浮かべ前髪が額に張り付いている。
「これがワタシの魔力……」
実際は違うんだがな…女で剣をイメージできれば誰でも使える。
魔法のミスなら集中か魔力不足と仮定する。魔力不足はさっきの理由でありえない、だとすれば集中力不足になる。
イメージと集中力鍛えるならこれほど良い教材は無いだろう。
「そろそろ刀身をしまってください。」
「ど、どうやってしまうのよ?」
剣を両手持ったまま、まるで爆発する間際の爆弾を持ってるかのように焦って聞いてくる。
「ランプの火を消すようなイメージでもいいですし、柄の中に刀身が入るイメージでもいいです。刀身がしまわれるところをイメージしてください。」
シュゥゥゥンゆっくり刀身がしまわれていく。
それと同時にご主人もペタンと床に座り込んでしまった。ハァハァと完全に息が上がってるな。
体力は強化されないといっても、それ疲れすぎだから。それぶん回して戦闘するやつもいるんだよ?
「今度からそれを使って集中とイメージの訓練をしてみては?」
「いやいやいやいや。これはさすがにおかしすぎるわよ、光る剣なんて伝説とか御伽噺にしか出てこないものよ?」
言葉使いがおかしいが詰め寄って質問してきた、大分普段通りになってきたな。
「ノモスの国宝のひとつですからね。」
ここはハッタリで押す。デザートイーグルのとき同じだ。驚かして正常な判断力を失わせ信じ込ませる。
「ちょ、国宝って…」
「ノモスって戦争状態になりましたからね、略奪が横行して相手に奪われそうだったから持ってきたんですよ。後で返さないと不味いですけど今はほかに使い道が無いからいいでしょう。」
「え…そんなこといわれても…」
「良いも悪いも魔法が使いたいのでしょう?今までだめだったのですから新しい方法を試していかないといつまでも今のままです。それでいいのですか?」
今度は不安を煽る、正常な判断力の無い状況を維持するのだ。
「そ、それは…イヤ…」
「なら使いましょう。ここはノモスと離れています。使ったとしてもわかりません。それにノモスの国宝を守った貴族とは名誉あるものなのではないですか。
ノモスの王から感謝され表彰を受けるかもしれませんよ。」
不安を煽っておき名誉という餌を撒く。
「そ、そうよね。他国の国宝を守るのも大事な貴族の務めよね。」
「ですから使いましょう。」
「そ、そうね……少しくらいならいいわよね。」
見事に喰い付いたな。魔界で磨いた交渉術と学校で習った悪徳商法の騙し方このコンボは使える…
「ただし、その剣を持つからには自らの信念と誇りに基づきやるべき事をやらねばならない。ルナブレイドを持つことを許された人間の背負う義務です。」
ご主人の目を真っ直ぐ見て力強く言い聞かせる。
剣と銃持って暴れまわられたりしたら退学になってしまうかもしれないから、回りくどいが釘を刺しておく。
ご主人も俺から目をそらさずに頷きしっかりとルナブレイドを持つ。
「ここに剣の契約は成されました。剣に恥じることの無い様に心がけてくださいね。」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、この名と杖と剣に懸けて誓うわ。」
あれ?そこまで大げさに構えられても…別にそんな大したものじゃないんだけど…
「私は今まで以上に努力するわ!必ずこの剣に相応しくなって見せる!」
え?なにそんなに盛り上がってるんですか?
「そうと決まれば早く掃除を終わらせるわよ!」
ちょっ…ハイテンション過ぎてついて行けないんですけど…
ご主人がやたら張り切り掃除をするので何とか食事の時間が終わる前に片付けることができた。もっとも8割方俺が終わらせておいたのだが。
「はやく昼食に行きましょう。アンタは先生に掃除が終わったこと報告したら、厨房で賄いでも食べさせてもらいなさい。」
そう言ってご主人は食堂へと消え、俺は職員室に向かうべく歩いてきたメイドに職員室へ案内してもらった。
「はぁ…たいへんですねぇ。」
「ん、まぁこれが終わったら食事だからな。まだましというものさ。」
たまたま聞いたメイドが朝厨房に案内してくれた人だったので雑談をしながら職員室へ向かう。
この雑談でわかったことはすでに学園に勤めている平民にも俺のことが知れ渡っているらしい。
貴族からは笑いの対象だが、平民たちからは同情的な目で見られていることだけが救いだな。
「あ、ここが職員室です」
「ありがとう」
中年女教師に掃除が終わったことを報告して職員室から出ると、コルベール先生が廊下を必死に走ってくる。
魔法を使えばいいんじゃね?と思いつつも何気なく話しかけた。
「どうしたんですか?コルベール先生、そんなに急いで?」
顔も真っ赤で額は汗が光っている。まさに茹で蛸状態。
「ああ、丁度いいところに君も一緒に来てください。」
別にどうでもいいよ、そんな事は
「君のルーンがわかったんですけどね」
なに強引に手を引っ張っていきますか?
「いや、それがもう大変なもので」
いや、俺まだご飯が済んでない…
「これから学院長のところに行くんですが、君も一緒に」
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