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#navi(ゼロのドリフターズ)
そこは無数にあるゲルマニア小国家の一つであった。
既にその手で滅し、廃都と化したその街で、軍は身を休めていた。
――そんな中で、一人佇む意志の塊が存在した。
頭から全身にローブを纏い、赤緑青とカラフルなトンボが先端に乗った意匠の杖をつく。
その奥の顔は窺い知れず、されどその心はわかりやすく染められている。
"黒王"――"廃棄物"達の王にして災厄。
エルフの領域たるサハラと、旧ゲルマニアの間に存在している"未開の地"。
そこに住む亜人達を取り込み、オルテによって虐げられた者達を束ね、膨れ上がり、通る道を灰にしてきた意志。
長である黒王に対し一人の男が近付くと、恭しく跪いて確認する。
「よろしかったのですか」
「・・・・・・ラスプーチン」
「はっ」
御心を問い、名を呼ばれた男は毅然と畏まる。
「構わぬ。奴らと人間達の確執はお前も知るところ――」
「・・・・・・・・・・・・」
ラスプーチンと呼ばれた男は、答えぬままに肯定の意を滲み示す。
黒王軍――黒王にとって見方は二つしかない。
それは即ち、我らの側につくか、もしくは敵となるかの単純明快な二択。
されどエルフ種族は、現在このハルケギニアにおいて最強とも言える勢力である。
それを今すぐ敵とするのは穏やかではない。我らが軍勢はまだその域には達していない。
ゆえにこそ保留。エルフ達と人間達の相食む対立を鑑みての判断。
『大いなる意思』を絶対の信仰にしていると聞くし、場合によっては滅ぼす必要も出てくる。
いずれにしても焦る必要はない。目的は確実に達せられなければならないのだから。
土壌は着々と作られつつある。焦らず、されど迅速に――
「――引き続き諸方に伝えよ。されば今まで人間を恐れていた者どもも、人の世が終わる事を信じなかった者どもも我らの軍勢に参ずるだろう」
黒王はラスプーチンに告げて、ローブを翻すように後ろへと振り向く。
夜空に浮かんだ双月に一瞥をくれてから、いつの間にか存在する眼前の者達の名を呼ぶ。
「土方」
ただそこにある影のように、付き従うように立つ廃棄物達――
「ジャンヌ・ダルク」
人類廃滅。彼らはその唯一の理をもちて――
「ジルドレ」
その内に秘めたる激情は、何もかもを呑み込んでいく――
「アナスタシア・ニコラエヴァ・ロマノヴァ」
戦列を率い、一人残さず人なる者を打ち倒す終わり。一人残さず人ならざる者を救う始まり――
「西へ――」
黒王は宣告するように一言。名を呼ばれた者達はそれぞれ陽炎が如くその場を離れる。
休養は充分。また次なる場所を陥とす為に総軍は動き出す。
「御親征! 御親征! 黒王陛下、御親征!!」
「耳アル者は聞ケ! 目ノアル者は見ヨ! 口アル者ハ吼エヨ! 全テヲ伝エヨ!!」
「世界廃滅ノ旅ハ終ワラナイ! 参集セヨ!! 参画セヨ!!」
「全テノ権力ヲ黒王へ!! 全テノ権力ヲ黒王へ!!」
黒王の号令の後もただ一人残り、建物の上に座って薄い笑みを貼り付けている少年を黒王は最後に呼ぶ。
「九郎判官義経、お前は"決まった"か。漂流物か、廃棄物か」
「さあてね、生憎とまださ」
「――ならば未だ好きにせよ」
「うん、僕はずっとそうしてきた。だからここでもそうさせてもらった。そして・・・・・・そろそろ行くよ、見極めたいからね」
少年は音もなく立ち上がると姿を消し、軍勢は一個の生命体のように脈動する。
西征。その圧倒的な力を内に、黒王軍は進撃す――
†
――黒王軍より南。廃都を遠くに眺め、外套にフードで頭を隠す3つの人影があった。
「これからどうするんですか? 叔父さま」
年若い少女の声。フードの下から僅かに漏れる金色の髪が、月光に照らされ輝いている。
「決まっているだろう、ルクシャナ。帰る以外にない」
ルクシャナと呼ばれた少女は唇を尖らせ抗議する。
「アリィーには聞いてないわよ」
あからさまな返しに、アリィーと呼ばれた青年は吐き捨てるように説く。
「他に何をやるって言うんだ。まったく、ビダーシャル様からも言ってやって下さい」
我が婚約者ながら本当に困ったものだとアリィーは毎度憂鬱な気分になる。
"蛮人"の研究をしている所為か、いわゆる"かぶれている"節があった。このまま「観光しよう」とか言い出しかねないほどに。
「・・・・・・そうだな――」
ビダーシャルと呼ばれたその男は、最も年配ではあるものの傍目からは判断がつきにくかった。
ただ彼の持つその落ち着きと雰囲気が、まだ幼さの残るルクシャナとアリィーとは一線を画している。
ハルケギニアの東方、サハラに住む"エルフ"。彼らは人間のおよそ二倍の寿命を持ち、総じて容姿も美しい。
成人が遅い為にそれだけ高度な教育を長期間受けていて、同族で相争うハルケギニアの人間達を蛮人と呼んで蔑んでいた。
「――このまま西へ行こうと思う」
「なっ!?」
「やった」
アリィーは驚愕に顔を歪ませて、ルクシャナは感情を一切の不純物なく表へと曝け出す。
帰らずに西に向かうその意。つまりは蛮人達の国へ入るということ。
「一体何故ですかビダーシャル様!! 我らの任務は――」
「あ~ら、アリィー。叔父さまが決めたことよ」
「くっ・・・・・・」
苦虫を噛み潰したようなアリイーに対し、ビダーシャルは諭すように語りかける。
「すまない。未だ考えがまとまったわけではない・・・・・・が、しかし我々は知っておかねばならない。"人間"というものを」
「ですがっ!」
「無論、付き合う必要はない。ここからはわたし一人で行く。二人は竜に乗って報告しに戻るのだ」
そんな叔父の言葉にルクシャナはテンションを一転させて訴える。
「イヤです! わたしも叔父さまと一緒に蛮人の国へ行きます!! 帰るのはアリィーだけでいいわ」
ビダーシャルは困った色を浮かべ、アリィーはルクシャナの言葉に葛藤する。
確かに帰りたいし、ビダーシャル様が言う以上は付き従う理由はない。しかし・・・・・・。
「それにほら、一人よりも二人の方が何かと便利よ叔父さま。一人旅なんて色々怪しまれるわ」
「い、いや・・・・・・そうは思わないが」
押しの強い姪っ子にビダーシャルも少し戸惑う。
姪の頼みを聞いてやりたいと思う反面、危険と言えば危険な旅になる。
言うなれば絶対の敵地であり、少なくとも観光気分で行く場所ではない。
「それにわたしの研究に必要ことよ。叔父さまが拒否するならわたしはわたしで行っちゃうかも」
ビダーシャルは肩を竦めて嘆息を吐くと、ルクシャナの頭を撫でる。
「まったく敵わないな」
「ありがと叔父さま、大好きよ」
屈託も悪意の欠片もない純粋な笑みに、我ながら心底甘いなとビダーシャルは苦笑する。
「二人より三人だ。そうですよね、ビダーシャル様」
「ふむ、それはつまり・・・・・・」
「ちょっとアリィー、さっきと言ってることが違うじゃない。あなたは報告しに帰ればいいでしょ」
「ぼくはあくまで護衛であってわざわざ戻って報告する義務はない。黒王軍の連中は案の定、予想通りの答えだったしな。
それにいくらビダーシャル様がついてるからって、君を蛮人の国にやれるわけないだろ!!」
「それって・・・・・・」
ルクシャナは首を傾げる。アリィーがついてこようとする意味とは――
「君は仮にもぼくの婚約者なんだ。ビダーシャル様が甘やかすなら、ぼくが締めるところを締めないと何をしでかすかわかったもんじゃない」
アリィーは表情や声色には微塵にも出さなかったが、わかりやすい照れ隠しにビダーシャルは内心笑っていた。
「ふーん、そう。ねえ、アリィー?」
「・・・・・・なんだ」
「わたしは、あなたも大好きよ」
耳打ちするような距離から吐息混じりの言葉に、アリィーは参ってしまいそうになる。
「ふんっ」とアリィーはそっぽを向いてやるが、ルクシャナはそれを見てもニヤニヤするだけであった。
イチャつく姪とその婚約者を差し置いて、ビダーシャルは歩きながら考えをまとめる。
黒王軍との交渉内容はアリィーも言った通り、
想定の範囲内であった。が、それは同時に失敗を意味する。
黒王の中に在るのはただ人類を滅するという目的のみ。そこに富や名誉など、何がしかの思惑は感じられなかった。
ただただ研ぎ澄まされた刃のような純然たる感情で、人を滅ぼすことそのものを至上としている。
その上で――真意こそ語りはしなかったが、さらに何かを成さんとする心積もりがあるように思えた。
蛮人とそれ以外の種族が争うこと。蛮人の総滅を良しとするような過激な派閥もエルフ内には存在する。
しかし最終的にエルフ側の交渉として、戦争は忌避すべき事態であることを伝えた。
エルフが恐れるのものは二つある。その一つが"悪魔の力"であった。人間達が"虚無"と呼ぶ力。
彼らは、彼らが"聖地"と呼び、こちらで言う"悪魔の門"――"シャイターン"を求めている。
6000年もの昔、かつての"大災厄"が起こった原因。最大の禁忌。それだけは絶対に回避せねばならない。
戦争が激化すれば、それだけ悪魔の力の目覚めを加速させてしまうことになりかねない。
悪魔の力の使い手は仮に死んだとしても、また新たに使い手が現れるだけである。
ゆえにこそ、力が揃う時代であるからこそ、助長する行為は避け得るべきであるという結論。
人類を滅するべきではないこと、刺激しないようぼかしつつ話してはみた。
されど黒王軍――黒王の答えは断固たる拒否。取り付く島もなかった。
そうなれば黒王軍と足並みを揃えても人間達との死力戦にしかならない為に、同盟などは埒外である。
(黒王軍がいかに強大になろうとも――)
6000年も戦い続けてきた我らは知っている。蛮人達は数が多く、その中には強力な人間も確かに存在している。
まして滅ぼし"尽くす"など非現実的であり、戦が長引くほどに必要に迫られた悪魔の力は覚醒するだろう。
何よりも戦争は悪魔の力だけではなく、"技術"の発展までも促進させる栄養剤ともなる。
蛮人達は蛮人達の魔法を崇高なものだとし、技術を侮ってきた。
しかしそれも追い詰められるほどにどうなるかはわからない。
悪魔の門からも漂流してくる、急激な進化をしつつある道具の数々。
魔法を使わない技術とは、即ち万人が扱えるということである。
もし体系が確立されれば、その威力と単純な物量差による敗北が待っている。
ゆえに悪魔の門の向こう側、異世界は最も恐るべきもの。それらの知識を持つ漂流者も極めて危険な存在である。
そしてそれは、黒王軍に属する廃棄物達とて例外ではない。
それもまたエルフ側として、黒王軍さえも忌避すべきものとして扱う要因であった。
最終的に待つのは――全ての破滅かも知れないのだ。
根源的にはエルフは争いを好まない。精霊力を血生臭いことに使うなど、大いなる意思への冒涜だ。
種族内で紛れもなく確執は存在し、好戦派もいるが、あくまで防衛に留めるべきこと。
そしてオルテとの国境線では数十年の長きに渡る戦争が繰り返されている。
戦の疲弊は確実に国を蝕んでいて、エルフ側としても今の状態で総力戦に当たるのは不確定要素があまりに強過ぎた。
(・・・・・・だからこそ知らねばならないのだ)
世界と――住む者達の全てを。場合によっては蛮人達との交渉さえも必要だろう。
悪魔の力を揃わせない為に、使い手を捕獲することも念頭に入れておかねばならない。
「ッなんだって!? 本気かルクシャナ!!」
アリィーの声が響く。ビダーシャルは思考を止めて、無意識に傾けた耳に蓄えられていた二人の会話を整理する。
「当然でしょ、蛮人の国に行くんだから蛮人の姿にならないと駄目じゃないの」
エルフにとって人間の国は敵地である。その為に念入りな扮装が必要という話。
ルクシャナの案というのが、精霊の力によって耳を人間と同じように丸めるということ。
とはいえルクシャナのような例外を除き、誇り高いエルフは下に見ている人間へ『変化』するのは非常に耐え難いこと。
「し、しかしだな・・・・・・」
「仕方あるまい、万が一にも露見すれば面倒なのは確かだ。フードなどでは隠し切れん」
「ほら、叔父さまも言ってるでしょ。それに耳だけでいいんだから」
のたまうとルクシャナはさっさと先住魔法の『変化』を使って、耳を縮めてみせた。
そうなれば見目麗しい妖精のような少女に過ぎない。ビダーシャルもそれに続く。
「はぁ・・・・・・。"風よ、我が姿を変えよ"」
アリィーも大きな溜め息を吐いてから、口語の呪文を唱える。
やっぱり大人しく自分だけ帰っていれば良かったかなと。
アリィーは蛮人と同じになった耳を触りながら仄かに心中で呟いた。
†
廃都より遥か上空。哨戒網に引っ掛からないほどの空から、一匹の竜と一人の人間が眼下を見下ろしていた。
夜を照らす双月と同じ色をした瞳を持つ少年は、黒王軍に関して分かる範囲で精細に羊皮紙に書き込んでいた。
現在の状況はもとより、侵攻ルートや戦中の大まかな様子。
布陣から戦術まで、竜の眼を通して意思疎通し、高高度からの分析したことを細やかに。
そうした竜とのコミュニケーション。仮に見つかった場合の迎撃から遁走まで。
黒王軍の竜騎兵相手に、全てを通じて実行力を持つのは唯一彼のみであった。
「ようやくか」
そう呟いてから口をつぐむ。実際には黒王軍が動き出さない方が良いに決まっていた。
ハルケギニアの"差し迫った現況"を、さらに掻き乱す黒王軍。
街を滅ぼしたのを観察した後、周辺の一通りを回ってからまた戻って来て幾日。
最後に次なる侵攻ルートを見極めてようやく任務は終わる。
(結局補給だけはわからずじまいか)
行軍においての生命線――補給線という重要な情報だけはついぞ掴めない。
通常守り手側が行う焦土戦術が如く、黒王軍は全てを滅ぼしているというのに。
城砦や街を焼き払うのは連中にとって当たり前で、略奪にも限度がある。
それでいてあれほどの大兵団を存続させているのだから、不可思議の一言であった。
しかしその謎を究明する為に動くにはリスクが高過ぎる。
今後また偵察する時を考えても、一層の警戒を促すわけにはいかない。
強引に近付いたところで確実に情報を得られるという保証なども存在しない。
「まあいい。さあっいこうか、アズーロ」
ある意味エルフ勢よりも厄介かも知れない廃棄物と亜人の軍団。
"最悪"を視野に入れつつ、手袋の下にある右手の甲の輝きに呼応するように、風竜はより高く夜空を飛んだ。
†
上空に浮かんだ空の大陸アルビオン。
ウエストウッドの森の中で、ティファニアはつつがなく、刺激のない日々を過ごしていた。
ロティがトリステインに帰ってから、もうどれほど過ぎただろうか。
今まで持たなかった――持てなかった同世代の友達。
こんなことなら知らなければ良かったともほんの少しだけ思いたくなる一抹の寂しさが去来していた。
慕い懐いてくる子供達や、今までの秘密を告白してくれたマチルダ姉さんはあくまで家族でしかない。
友達はまた別――否、個人個人は結局別物で、違う誰かで埋められるというものではないのだ。
「はぁ・・・・・・」
ティファニアは何度目か数えきれないほどの吐息を室内に響かせる。
風のルビーと母の形見の指輪をその手に、始祖のオルゴールが奏でる旋律に心と体を浸した。
ロティには感謝してもし足りない。
マチルダ姉さんが盗賊をやっていたなんて知らなかった。
捕まえて、それを解放する口添えしてくれたのもロティ。
わたし達が知らなかったマチルダ姉さんを救ってくれたのだ。
手紙では「大したことない」と言っていたけれど、また今度あった時には改めて「ありがとう」と伝えよう。
そう心に決めつつ、ふとティファニアの目の端に、オルゴールと並んで置いてある杖が映り込む。
(虚無・・・・・・)
伝説らしい。未だ信じられないけどそうらしい・・・・・・。
ティファニアは杖を手に取る。系統魔法は使えないけれど、コモン・マジックは使える。
少しだけ気になった――もしわたしが使い魔を召喚したらどうなるんだろうって。
それとなく聞いてみたところ、マチルダ姉さんは「別に構やしないよ」と言った。
王家付きで安定して高給。今は貴族派を探っているらしく、帰れないことも珍しくない。
盗難品などの賠償を含めても、今まで通りの生活ならむしろ余裕も出てくる。
だから使い魔の一匹や二匹を養うくらいは問題ないから、遠慮することはないと。
王家に仕えると最初に打ち明けられた時は、なんとも言えぬ気分になった。
でも母は最後まで争いを選ばなかった。人の悪意によって一方的に殺される最期の瞬間まで――
だからこそわたしも復讐なんて考えたことないし、考えることもない。
王家を恨むこともしないし、折り合いもつけた。
今はとにかく新たな日常に感謝し、ロティとの再会が待ち遠しいだけだった。
(もし・・・・・・――)
わたしが使い魔を召喚したら喜んでくれるだろうか?
確かロティはわたしが虚無の担い手で、その使い魔がどうなのか気になっていたようだった。
理由は結局よくわからないままだったけれど・・・・・・。
ティファニアは椅子から立ち上がる。
シャルロットの役に立つのなら――そう、ただそんなささやかで軽い気持ちだった。
寂しさを拭うことは出来ないけれど、使い魔がいれば賑やかになるかも知れない。
埋められはしないが、紛らわすことは出来るかも知れない。
理由は色々あったし、しない理由こそ何もなかった。
やり方は既にマチルダ姉さんから教わって知っている。
口語の呪文は系統魔法のルーン呪文のように、定型を必要としない。
魔法の力は意志の力。とかくイメージすること、強く思い願うことが大事である。
「我が名はティファニア。五つの力を司るペンタゴン――我の運命に従いし使い魔を召喚せよ」
杖を振れば――難なく成功し、"光り輝く鏡"のようなものが目の前に現れる。
「なんだか綺麗だな」と見つめながら、一向に現れない使い魔にティファニアは首を傾げる。
もしかしたら失敗したのかも知れないと思ったとその時――
"勢い良く飛び出してきた何か"に驚き、尻餅をついた。
"何か"は半ば覆い被さるようにぶつかってきて、ティファニアは薄っすらと眼を開ける。
やがて"顔を上げた使い魔"と瞳が合うと、少女はただただ呆然とするしかなかったのだった。
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