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#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
ルイズはアンジェリカを抱きしめたまま眠りについていた。
「アンジェ…泣いているの?」
朝日が昇るほんの少し前に目を覚ましたルイズはアンジェリカが寝ながら涙を流しているのに気付く。ルイズはアンジェリカを自身の胸元にギュッと抱きしめる。
「ごめんねアンジェ。わたし、こんなことしか出来ないの」
ルイズはアンジェリカが目を覚ますまでずっと抱きしめ続けるのだった。
アンジェリカが目を覚まし以前のように水汲み場へ行ってもそこにシエスタの姿はない。
「ルイズさん。シエスタちゃんがいませんよ?」
きょろきょろと辺りを見回しながらルイズに尋ねる。
「そ、そうね。どうかしたのかしら?」
分かっていた事だった。シエスタがアンジェリカを避けていることなど……。
「時間が惜しいから早く洗濯済ますわよ」
「はいルイズさん」
あのモット伯の屋敷で何かがあった。シエスタがアンジェリカを避ける決定的な何かが……。
「ねぇアンジェ…」
「どうかしましたかルイズさん」
アンジェリカがルイズの瞳を覗き込む。
「やっぱりなんでもないわ」
「?」
やっぱり怖くて聞けない……。
しばらくの間二人は何もしゃべらずに黙々と洗濯を続けるのであった。
ルイズは洗濯が終わり厨房へ向かおうとするアンジェリカを引き止める。
「今日から食堂で一緒に食べましょ」
「え?」
足を止めルイズの方へ振り返ったアンジェリカ。
「だから、一緒にご飯食べるって言ってるの!」
顔を赤くしてアンジェリカにぶっきら棒に言い渡した。アンジェリカはそんなルイズをみて笑顔を浮かべるのだった。
二人そろってテーブルに着いたが、ルイズは食事を取る前にある人物を指差しアンジェリカに問いかけた。
「あいつのこと覚えてる?」
そういってモンモランシーとギーシュを指差す。
「モンモランシーさんと…あと一人は何方ですか?」
首をかしげながら答えるアンジェリカ。
「じゃあ、あいつは?」
次いでキュルケとタバサを指差した。
アンジェリカはしばらくその方向を眺めながらも……力なく首を左右に振った。ルイズはそれをみて考え込む。
『アンジェはこのことを自覚しているのかしら…』
「ルイズさん…」
「何アンジェ?」
アンジェリカの呼び声にハッとして答える。アンジェリカはルイズの瞳をじっと見つめながら口を開いた。
「あの、私忘れてるんですか…大切な人を忘れてたりしていませんか?」
そういうアンジェリカの顔には不安がありありとでていた。
「大丈夫よ。ちょっと聞いてみただけよ。だから気にしないで」
少しでもその不安を和らげようと気休めの言葉をかける。
本当はもっと色々聞きたいのだがそれをしてしまえばアンジェリカを傷つけてしまうのではないか。そんな不安からこれ以上聞くことも出来なかった。
「さあ早く朝食を済ませましょう」
気が滅入ってしまう……この話題を打ち切り目の前の朝食に取り掛かるのであった。
Zero ed una bambola ゼロと人形
何事もなく時間は過ぎていく。そして日が暮れ始めた頃、アンジェリカとルイズに向かってキュルケが声をかけた。
「ルイズ! まちなさいよ!」
キュルケの大きな声にピクッと反応するルイズ。それを最初は無視しようかとも思ったがさすがにそれは出来ない。しぶしぶその足を止める。
「何か用?」
「何か用じゃないわよ。アンジェちゃんが起きたんでしょ?何であたしに言ってくれないのよ」
「別にあんたには関係ないでしょ」
ぶっきら棒に答えるルイズ。だがキュルケはそんなルイズを無視してアンジェリカに話しかけた。
「はぁい。アンジェちゃん久しぶり~。元気? あたしのこと覚えてるかな?」
「ちょっと、わたしを無視してるんじゃないわよ!」
騒がしい二人をよそにアンジェリカは静かに答える。
「ごめんなさい。覚えていないです。お名前教えていただけますか?」
「は?」
アンジェリカの回答に声が出ないキュルケ。思わずルイズに詰め寄る。
「ヴァリエール笑えない冗談を吹き込むのはやめて貰えないかしら?」
「冗談じゃないのよ…」
ルイズは少し怒ったようなキュルケに向かってぼそりと呟くように答えた。
「あなた何言ってるの?」
ルイズは自分をからかっているのではないだろうか。キュルケはそう思いながら呆れたように言った。
「そうよ、冗談だったらいいのに…。アンジェリカが記憶を失うなんてわたしも信じたくないわ」
ルイズは俯きブツブツと呟く。
「アンジェだって自分の症状のこと自覚しているし……」
その声はだんだんと小さくなり次第に聞き取りにくくなっていく。
「ちょっとルイズ何言ってるの?」
ルイズは俯いたまま小さく声を上げるがよく聞き取れない。
「ああもう! ここじゃ何だから外にでも行って散歩しながら詳しく聞かせてもらうわよ」
「わかったわ」
ルイズも気分転換になるかもしれないと同意する。
「アンジェちゃんもそれでいい?」
キュルケは笑顔でアンジェリカに話しかけた。
「ルイズさんが行くのであれば私も行きます」
それにアンジェリカも笑みで返す。
「それとね、あたしの名前はキュルケよ。もう忘れたら嫌よ?」
優しい声で名前を再び教え、アンジェリカにウインクをする。
「はい、キュルケちゃん」
Episodio 21
Insegni un nome
名前を教えて
#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
#navi(Zero ed una bambola ゼロと人形)
ルイズはアンジェリカを抱きしめたまま眠りについていた。
「アンジェ…泣いているの?」
朝日が昇るほんの少し前に目を覚ましたルイズはアンジェリカが寝ながら涙を流しているのに気付く。ルイズはアンジェリカを自身の胸元にギュッと抱きしめる。
「ごめんねアンジェ。わたし、こんなことしか出来ないの」
ルイズはアンジェリカが目を覚ますまでずっと抱きしめ続けるのだった。
アンジェリカが目を覚まし以前のように水汲み場へ行ってもそこにシエスタの姿はない。
「ルイズさん。シエスタちゃんがいませんよ?」
きょろきょろと辺りを見回しながらルイズに尋ねる。
「そ、そうね。どうかしたのかしら?」
分かっていた事だった。シエスタがアンジェリカを避けていることなど……。
「時間が惜しいから早く洗濯済ますわよ」
「はいルイズさん」
あのモット伯の屋敷で何かがあった。シエスタがアンジェリカを避ける決定的な何かが……。
「ねぇアンジェ…」
「どうかしましたかルイズさん」
アンジェリカがルイズの瞳を覗き込む。
「やっぱりなんでもないわ」
「?」
やっぱり怖くて聞けない……。
しばらくの間二人は何もしゃべらずに黙々と洗濯を続けるのであった。
ルイズは洗濯が終わり厨房へ向かおうとするアンジェリカを引き止める。
「今日から食堂で一緒に食べましょ」
「え?」
足を止めルイズの方へ振り返ったアンジェリカ。
「だから、一緒にご飯食べるって言ってるの!」
顔を赤くしてアンジェリカにぶっきら棒に言い渡した。アンジェリカはそんなルイズをみて笑顔を浮かべるのだった。
二人そろってテーブルに着いたが、ルイズは食事を取る前にある人物を指差しアンジェリカに問いかけた。
「あいつのこと覚えてる?」
そういってモンモランシーとギーシュを指差す。
「モンモランシーさんと…あと一人は何方ですか?」
首をかしげながら答えるアンジェリカ。
「じゃあ、あいつは?」
次いでキュルケとタバサを指差した。
アンジェリカはしばらくその方向を眺めながらも……力なく首を左右に振った。ルイズはそれをみて考え込む。
『アンジェはこのことを自覚しているのかしら…』
「ルイズさん…」
「何アンジェ?」
アンジェリカの呼び声にハッとして答える。アンジェリカはルイズの瞳をじっと見つめながら口を開いた。
「あの、私忘れてるんですか…大切な人を忘れてたりしていませんか?」
そういうアンジェリカの顔には不安がありありとでていた。
「大丈夫よ。ちょっと聞いてみただけよ。だから気にしないで」
少しでもその不安を和らげようと気休めの言葉をかける。
本当はもっと色々聞きたいのだがそれをしてしまえばアンジェリカを傷つけてしまうのではないか。そんな不安からこれ以上聞くことも出来なかった。
「さあ早く朝食を済ませましょう」
気が滅入ってしまう……この話題を打ち切り目の前の朝食に取り掛かるのであった。
Zero ed una bambola ゼロと人形
何事もなく時間は過ぎていく。そして日が暮れ始めた頃、アンジェリカとルイズに向かってキュルケが声をかけた。
「ルイズ! まちなさいよ!」
キュルケの大きな声にピクッと反応するルイズ。それを最初は無視しようかとも思ったがさすがにそれは出来ない。しぶしぶその足を止める。
「何か用?」
「何か用じゃないわよ。アンジェちゃんが起きたんでしょ?何であたしに言ってくれないのよ」
「別にあんたには関係ないでしょ」
ぶっきら棒に答えるルイズ。だがキュルケはそんなルイズを無視してアンジェリカに話しかけた。
「はぁい。アンジェちゃん久しぶり~。元気? あたしのこと覚えてるかな?」
「ちょっと、わたしを無視してるんじゃないわよ!」
騒がしい二人をよそにアンジェリカは静かに答える。
「ごめんなさい。覚えていないです。お名前教えていただけますか?」
「は?」
アンジェリカの回答に声が出ないキュルケ。思わずルイズに詰め寄る。
「ヴァリエール笑えない冗談を吹き込むのはやめて貰えないかしら?」
「冗談じゃないのよ…」
ルイズは少し怒ったようなキュルケに向かってぼそりと呟くように答えた。
「あなた何言ってるの?」
ルイズは自分をからかっているのではないだろうか。キュルケはそう思いながら呆れたように言った。
「そうよ、冗談だったらいいのに…。アンジェリカが記憶を失うなんてわたしも信じたくないわ」
ルイズは俯きブツブツと呟く。
「アンジェだって自分の症状のこと自覚しているし……」
その声はだんだんと小さくなり次第に聞き取りにくくなっていく。
「ちょっとルイズ何言ってるの?」
ルイズは俯いたまま小さく声を上げるがよく聞き取れない。
「ああもう! ここじゃ何だから外にでも行って散歩しながら詳しく聞かせてもらうわよ」
「わかったわ」
ルイズも気分転換になるかもしれないと同意する。
「アンジェちゃんもそれでいい?」
キュルケは笑顔でアンジェリカに話しかけた。
「ルイズさんが行くのであれば私も行きます」
それにアンジェリカも笑みで返す。
「それとね、あたしの名前はキュルケよ。もう忘れたら嫌よ?」
優しい声で名前を再び教え、アンジェリカにウインクをする。
「はい、キュルケちゃん」
Episodio 21
Insegni un nome
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